子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
040808 いじめ報復
殺人
2004.8.29 2004.9.20更新
2004/8/8 北海道石狩市のアパートで、Sさん(46)が長男を訪ねてきた私立高校の少年A(高1・15)に刺殺された。少年は中学時代に同級生だったSさんの長男Tくんにいじめられ、中学の卒業アルバムを見ているうちにそれを思い出し、次第に腹が立ってきた」「母親を殺せば長男が悲しむと思った」などと話している。
経 緯 中学を卒業してからAは、Tくんに会ったことはなかった。どこの高校に行ったかも知らなかった。

2004/7/ 中学の卒業アルバムを見ていたら、当時、Tくんにいじめられていたことを思い出した。

8/8 午後9時10分頃、Aは歩いてTくんの家に行ったが、母親に「長男はいない」と言われて、引き返したが、もう一度行って、母親の胸などをナイフで数回刺して失血死させた。

8/9 午前0時35分頃、外出先から帰宅した長女が遺体を発見して、119番通報。

朝、Aは現場付近で警察官に自首。
凶 器 全長10数センチのナイフ。
加害者の言い分 札幌地検に対し「中学時代、Tくんから何度も後ろからけられた。中学の卒業アルバムを見ているうちにそれを思い出し、次第に腹が立ってきた」などと動機を供述。
母親を殺害したことについては、「母親を殺せばTくんが悲しむと思った」などと話している。
Aは調べに対し、「(Sさんに対しては)今は悪いことをしてしまったと思っているが、自分をいじめていた長男に対してはまだ思っていない」と話した。
いじめの内容 中学でほかの同級生にも少しはいじめられていたが、Sさんの長男(16)に一番いじめられていた。
肩をカッターナイフで切られたり、教室の掲示板に頭を押し付けられたこともあった。
学校ほかの対応 2004/3まで、AとTくんが通っていた公立中学校の校長(56)はいじめを否定。
校長は「(Tくんは)おとなしい性格で、特別親しくはなかったが、逮捕された少年と遊ぶこともあったようだ」「(2人の間に)相手の親の命を奪わなければならないような重大な問題があれば気付いているはず。担任だった男性教諭はショックを受けている」と話した。

また、在学中は2人を含む4、5人のグループが集まっている光景が目撃され、少年が一方的にたたかれるという状況があったが、「ふざけているだけで、いじめではなかった」と説明。
記者会見でも、校長は、2人の関係について「テレビゲームの話や追いかけっこをして、見た目には仲が良かった。ふざけたりする中で、殴り合うような場面もあった」としながら、「深刻なトラブルは見当たらない」と話した。
同級生らの証言 同級生らによると、2人は比較的仲が良かったというが、小柄な男子生徒を体格の良い長男がいじめているようにみえたこともあったという。
同級生のひとりは、「Aは嫌がっているように見えた」と話した。
加害者 私立高校の教頭によれば、「(Aは)おとなしい性格で目立たない生徒。問題行動は一切なかった」という。
鑑 定 少年の付き添い弁護団は、道警科学捜査研究所の報告書をもとに「広凡(こうはん)性発達障害」の可能性を示唆。短時間の面接調査ではなく、一定期間入院させる長期間の鑑定を求めた。
札幌家裁は少年の精神鑑定を行うことを決定。

※広凡性発達障害は、知的能力に遅れはないが、対人関係の面で未熟さが残り、他人と共感することが難しいとされる。犯罪を起こすことはまれで、むしろ被害者になりやすいとの指摘もある。
(2004/9/8 北海道新聞)
参考資料 朝日新聞2004/8/9、2004/8/10、2004/8/11、毎日新聞2004/8/9、2004/8/11、北海道新聞2004/9/8、読売新聞2004/9/16 



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