子どもたちに関する事件【事例】



注 :学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ事件を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
040609 障がい児虐待 2004.6.10新規
2004/6/9 神奈川県横浜市中区の市立北方小学校の個別支援学級で2002年度から2003年度にかけて、担任教師ら3人が、障がいのある児童ら4人に虐待をくり返していたことが発覚。学校長は保護者などから指摘を受けながら指導を放置。虐待のリーダー的男性教師(49)を副校長への昇任に推薦していた。
経 緯 2002年度 
男性教師S(49)は、女児Bさん(小1)に段ボールをかぶせ、10数分間閉じ込めた。
Sは、男児Aくん(小1)の机の上の鉛筆などが入った道具箱をわざと床に落として、床をはう姿勢で約1時間かけて拾い集めさせた。
Sは、別の男児Cくん(小1)には、「パニック状態を乗り越えさせる」として、机上から消しゴムを何度も床に落とし、くり返し拾わせた。
掃除の雑巾がけの際に、「姿勢が悪い」などとしてCくんの尻を蹴った。

2003年度
2/ 学芸会のあいさつの練習がうまくできないとして、男児Dくん(小6)の頭を数回たたいた。
ほかにも、「チャンバラしている状態を収拾する」として、児童の尻や頭をプラスチック製バットやメガホンで数回たたいた。また、「ボコボコにするぞ」などと威圧的な暴言があった。

また、女性教師F(48)と女性教師E(36)も、2年に進級したBさんが怖がってうずくまったときなどに、数回ずつ段ボール箱をかぶせて閉じ込めた。(2年間に10数回)

2004/3/ Fは2年に進級したAくんを揺すって倒し、背中に擦り傷などを負わせた。
被害者 4人の児童の内、2人は自閉傾向があり、感情が高ぶってパニックを起こすこともあった。
(児童精神科の専門医らは「自閉などの子どもを押さえつける行為は逆効果」とする)
背 景 同小学校の個別支援学級は、複数担任制で、知的障害児や情緒障害児を受け入れている。
在籍児童数は、2002年度11人。2003年度10人。

市教委によると、軽中度の知的障がいや情緒障がいは増加傾向にあり、横浜市立の個別支援学級に通う児童生徒は2004年5月1日時点で、9年前の約2倍の2637人。現在9割以上の市立小中学校に個別支援学級がある。特学担任の引き受けてがなく、特殊教育教諭免許状の保有率は、横浜市立小学校で、21%と5人に1人(2002年度)。

市教委は校長を対象に毎年、年1、2回、各2時間程度の障害児教育に関する研修を実施していた。
全員出席とされているが、昨年度(2003年度)の出席率は5割程度だった。
学校の対応 2002年度後半、保護者からの連絡で、女性校長はS教師を指導したが、その後は放置。

2002年度末、校長はE教師から、「S教諭が男児をけって指導している」との報告を受けていたが、「そんな指導はやめよう」とその場で話し合ったが、S教師への確認や市教委への報告は行わなかった。

校長は、S教師を「仕事熱心で指導力もある」として、副校長への昇任に推薦。

2004/3/末 Aくんの保護者がF教師の暴力的指導について、校長に抗議。校長は学内で納めようとして、市教委に報告しなかった。
Aくんの保護者が児童相談所に訴えて、問題が明らかになる。

6/9 記者会見で校長は、「子どもたちや保護者や地域の人たちに申し訳ない気持ちでいっぱい」と謝罪。一方で、「子どものプライバシーや気持ちを尊重して取材は自粛してほしい」という内容の「保護者から託された」とする文書を読み上げた。
教師たちの言い分 S教師:1980年に教師として採用。特殊教育教諭免許状を持ち、養護学校など一貫して障がい児教育に関わっていた。
「厳しい指導が自立につながる」と思い込んでおり、同小でも同僚に「子どもと手をつなぐな」などと話していた。
落とした物を拾わせたことに対して、「自分で課題を解決させる力を付けさせるため」。
段ポール箱への閉じ込めについて、「女児を落ち着かせる効果があると思った」と説明。
市教委に対して、「厳しく指導することが、児童の自立のために最良だと思い込んでいた。深く反省している」と釈明。

F教師・E教師:特殊教育教諭免許状を持たない。担当して1、2年目。
S教師の説明を信じて、その方法を敬承したと説明。

校長:「男性教師はベテランだから」と市教委に報告しなかった。

市教委:厳しい指導も一部の保護者には好意的に受け取られた。卒業後に礼を言いに来た卒業生もいた。自信を深めた男性教師はこうした指導を徹底。女性教師2人も「こういうものなのだ」と同様の行為をするようになったと説明。
教育委員会の対応 2002年度末、保護者から市教委に、S教師について「言動があらっぽく子どもが怯えている」という相談があった。校長の指導で「改善が見られた」として、保護者への報告や確認は行わなかった。

2003年度、市教委は、校長の推薦を受けて、「見識ともに優れている。人望も厚い」として、別の養護学校の副校長に就任させた。

2004/6/9 市教委は記者会見で、Sの行為を「体罰」と表現。何度も落としたものを拾わせた行為について、「くじけない気持ちを育てたかったのではないか」とした。
処 分 S教師(2002年度担任)に停職6カ月、F教師(2003年度担任)に停職3カ月、E教師(2002−2004年度担任)に減給10分の1を1ヶ月、校長に減給10分の1を3カ月の懲戒処分。
S(現別の学校の副校長)は辞表を提出しており、6/10付で辞職。
参考資料 2004/6/10神奈川新聞、2004/6/10朝日新聞、2004/6/10産経新聞、2004/6/10毎日新聞



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