子どもたちに関する事件【事例】



注 :学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ事件を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
940920 その他の
自殺
2005.6.25 新規
1994/9/20 福岡県福岡市の中学校の女子生徒(中3・14)が、学校からの帰宅途中、自宅近くの高層団地から、飛び降り自殺。
同級生の歓心をかうために、盗みをしてプレゼントを渡していた。
遺 書 「私が全部悪いんです。もう生きていく資格がないから死にます。」という内容の遺書を残していた。
経 緯 9/14 家庭訪問で、女子生徒が夏休みの終わりに、出所のわからない約5万円の現金をもっていたことが判明。担任の女性教師は、「真実をつかむ必要がある」と両親に話し、生徒と以前していた交換日記を再開することを提案。

9/16 女子生徒は9/15に日記を書き、担任に渡した。

9/20 担任が5万円の件を問いただしたところ、生徒が盗んだと認めたため、自分から両親に話すよう指導し、午後2時半頃、分かれた。
生徒は自宅に戻らず、約3時間後に遺書を残して、自殺。
交換日記 「自分で自分の首をしめた。
(中略)何度も同じ事をし、信用を失われ。生きる価値もない人間なのだ。
根も葉もないうそを言いつづけ、結局は真実を解き明かされて。
(中略)体がだるい。手につかれがつっぱしる。死ねるものなら死んでしまいたい。でも、そんなことをしたら親がかなしむとおもう。今頃、罪悪感をせおったってしかたのないことなのに。
今、だましたみなに、顔をあわせられない。あわせたくない。白い目でにらまれるだろう。つめたいしせんをなげつけられるだろう。けど、私のした罪はそんなものではないのだ。人間のくず以上の私に、どうしろといわれて、ことわるわけにはいかない。
罪悪感の重さがあまりにも重くて、死ぬ時に味わう痛さより、この罪の重みの方がいたいと思う」
(女子生徒が自殺する4日前に担任教師に手渡した交換日記の一部)
教師の認知と対応 担任の女性教師(36)は、日記を読んだが、「この年代の子はしかられた時の気持ちはこういうものかな」と感想を抱いただけで、内容について生徒と話し合うことはしなかった。

「当時は、彼女の口から(盗みの)事実を絶対に聞き出さなければいけないという気持ちがいっぱいで、日記も(自殺の)サインとは受け取れなかった。友人関係が背後にあることも分からなかった。彼女にとってはきつい指導だったと思う」と話した。
親の認知と対応 女子生徒は、入学当時、友人がほとんどできず、「同級生が悪魔に見える」などと家族に話していた。

3年生の夏休みに別の盗みをしていたことがわかり、父親が「そんなにお金がほしいのか」と聞くと、「お金がほしいんじゃない。友だちがほしいんだ。取り柄がないから、おごってやったりしないと友だちがついてきてくれない」と泣きながら話した。
調 査 女子生徒は同級生の歓心をかうために、他人の家や車から現金を盗みんで、CDや文具などのプレゼントを渡していた。友人たちも、「今度はいつ『あれ』をするの」と盗みを期待したり、さまざまなものをねだったりしていた。
当時の同級生らの話によると、女子生徒は友人を見張りに立たせて車のなかを探ったり、他人の家に入ったりして、何回も現金を盗んでいた。盗んだ金を自分のために使うことはなく、ほとんどは友人との飲食やプレゼントにあてていた。
情報公開 1996/2/ 父親は、「学校の行きすぎた指導が長女を自殺に追いやった可能性がある」として、女子生徒の指導要録の開示を請求。

1997/4/21 市教委は、これまで部分開示しかしなかったのを改め、「生徒が亡くなった経過やその背景といった特別な事情のもとでの開示」ならば、指導要録制度に与える影響は少ないと判断。今回は「特例」としながらも、全面開示することを決定。
見舞金 見舞金は、文部省の外郭団体「日本体育・学校健康センター」の「災害共済給付金制度」によるもので、全国の小中学校のほとんどが加入している。保護者が年間600円(当時)の掛け金を支払い、児童が学校管理下で負傷、死亡した場合、医療費や見舞金が支払われる。(1997/1/20産経新聞・夕刊)

1996/10/ 遺族がマスコミ報道で、見舞金制度のことを知り、福岡市教育委員会に問い合わせた結果、学校側が申請していないことが判明。
1996/12/ 遺族の指摘で、学校側が請求。この時点ですでに、請求期限の2年が過ぎていた。
1997/1/19 「日本体育・学校健康センター」の「災害共済給付金制度」によって支払われるべき見舞金約850万円が、学校側が申請を怠ったため、支払われていないことが発覚。
参考資料 1995/12/8朝日新聞・夕刊(月刊「子ども論1996年2月号/クレヨンハウス)、1997/1/20産経新聞・夕刊(月刊「子ども論1997年4月号/クレヨンハウス)、1997/4/22朝日新聞(月刊「子ども論1997年7月号/クレヨンハウス)



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