子どもたちは二度殺される【事例】



注 :
被害者の氏名は、一人ひとりの墓碑銘を私たちの心に深く刻むために、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
000423 暴行殺人 2000.12.4. 2001.3.24.更新
2000/4/23 2000/1/30 千葉県成東町上横地の無職・布施智さん(19)が、中学校時代からの友人の専門学校生(19)に殴られて倒れたところを、さらに電気工(20・事件当時少年)が「だらしない」と腹を立て、頭を10回以上蹴られるなど暴行を受け、意識不明になる。3ヶ月後の4月23日に死亡。
警察の対応 1/4 千葉県警成東署は、専門学生と元電気工を傷害容疑で逮捕。専門学校生が、「悪口を言われ、腹を立てた」と供述したことから、友人同士のけんかと発表

傷害事件として扱われ、警察から被害者遺族に何の説明もなかったことに対して、成東署は、「発表時はそれまでの捜査情報で判断したことを伝えたのであって、問題はなかったと思う」(2000/11/30朝日新聞)、「当時の関係者が移動してしまったので詳しいことはコメントできない。一般的に少年事件は通常の刑事事件よりも慎重な捜査が必要となるが、少年法によって被害者側に説明できない部分もある」(2000/11/29毎日新聞)と話している。
報 道 警察の発表を受けて、智さんが同級生を呼び出し、けんかを仕掛けたように、新聞に書かれていた。
家庭裁判所 遺族は、書店で目にした「少年犯罪被害当事者の会」を知り、杉浦ひとみ弁護士を紹介される。弁護士の支援を受け、加害少年の処分を決める家庭裁判所の審判前に、裁判官と会うことができる。病床の智さんを描いた絵を見せ、植物状態だという医師の診断を伝える。裁判官に、処遇についての意見を求められ、「厳しい判断を」と伝える。
加害者 2月中旬 千葉家裁八日市場支部は、元電気工を中等少年院送致、専門学校生と、現場にいた別の無職少年(19)を不処分とする審判を下した。
調 査 遺族は、審判が出た直後に、家裁に約2万円のコピー代を支払い、加害少年らの警察調書を入手。その結果、
1999/12/24 智さんは、元電気工から暴行を受けた
1999/末から数回、元電気工から暴行を受けたり、恐喝を命じられたりしていた。
2000/1/2 元電気工と無職少年(19)に顔や腹を数回殴られ、車のボンネットに頭を打ち付けられた。パチンコ店でも元電気工から殴る蹴るの暴行を受けた
1/3 元電気工と無職少年から恐喝を命じられたが拒否したことから、顔などを殴られた
などの一連の行為が明らかになったほか、元電気工が、いやがる智さんに無理矢理、専門学校生とけんかさせていたことなどを多くの関係者が供述していることが判明。

両親の調べで、3人は中学時代から智さんを繰り返しいじめていたことが判明
裁 判 遺族が、加害者少年3人に、総額1億円の損害賠償を求めて、千葉地裁に提訴する。

「事件はいじめがエスカレートした結果で、加害者に反省を促したい」「被害者が死亡した重大事件なのに、審判は傷害のまま行われた。罪の重さを認識させ、社会的責任をとらせる『懲罰的損害賠償』の意味を込め、多額の賠償を請求する」と原告代理人の児玉勇二弁護士がコメント。
被告の言い分 元電気工の母親(53)は、「暴行したことは事実なのでできるだけのことはしたいが、限度を超えた金額の場合は争わざるを得ない」と話している。
参考資料 2000/9/4朝日新聞、2000/11/9毎日新聞、2000/11/30朝日新聞、2000/12/7読売新聞・夕刊



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