少し固めで、でも和やかに
プラッサ年末パーティー

報告:森 克明



 昨年12月10日(日)午後1時30分より、渋谷区笹塚区民会館にて「プラッサ年末パーティー」が開かれました。出席いただいた30名の方の中では、始めて顔を合わせる会員の方も多く、初めのうちは皆さん多少緊張ぎみだったものの、話が進むにつれて雰囲気も和み、約3時間の楽しく、有意義な意見交換の場を持つことができたと思います。




 会の冒頭、プラッサ代表の小池彰さんより「『今なにがおきているのか?』を知ることからプラッサを始めました。今日は、すべてのプロジェクトを善とするような『プロジェクト万歳』の話にはならないと思いますが、皆さんの忌憚のない意見を出し合う場として、少し固めに、しかし和やかな雰囲気でこの会を進めていきたいと思います」との挨拶があり、会が進行していきました。


「自己紹介と今後のプラッサへの希望」

 *出席された方からの発言や意見を、簡単にまとめ させていただきました。メモ書きよりまとめたため、 表現がご本人の意図とは異なる箇所があるかもしれ ません。ご了承願います。

・現地の体験をされた方の話が貴重だと思います。この冊子をもっとたくさんの人によんでもらいたい。(Oさん)

・アルコール依存症の家族の中で育った子どもの問題に関心を持っています。(Sさん)

・スタッフとメンバーの区別がつかない。境界線のないところがプラッサのよいところだと思います。(Mさん)

・メキシコの子どもたちは貧しくても、目が輝いています。経済の発展とともに輝きが失われてくるような気がします。(Sさん)

・プラッサをどんな人たちが作っているのかが知りたくてきました。プラッサは第一線の記事以外にも、資料としても活用できる論文があり、内容が広範囲でいろいろなベクトルが内包されていると思います。自分自身ドロップアウトを経てきているので、他の人についても、自分自身に置き換えて考えています。僕は「昔の僕に対して何かしてやれないか」という気持ちでいます。(Oさん)

・山形からきました。最近の事件をみると「命が軽くなっている」という気がします。(Mさん)

・能力によって「能力によって人が選ばれていく」のは正しいことなのか。優れた能力を持っている腕かで、人の判断がなされてします。プラッサも優秀な人間ばかりでなく、様々な人に参加してもらいたい。(Nさん)

・世界のニュースと身近な問題を取り上げてほしい。(Kさん)

・日本の交通事故は毎日のように新聞に載るが、アフリカや東南アジアの事件、出来事はなかなか載らない。(Mさん)

・日本の子どもたちは恵まれすぎている。第三世界の子どもたちとの格差がどのくらいあるのか。家族で話し合えるような内容も載せて欲しい。(Sさん)

・一人でも多くの人たちに読んでもらえるようにしたい。(Nさん)


「ブラジルのプロジェクトについて」

 *プラッサの発起人の一人で、ブラジル在住の冨田洋平さんより、ブラジルのプロジェクトの現状についての話がありました。

 ブラジルの各プロジェクトはボスニア問題等でヨーロッパからの援助が減ったこと、さらに、新経済政策により通貨が一時的に強くなったため、援助金の外貨をヤミで倍近くに換金して運用している、各プロジェクトは経営難に陥っています。

 毎日のように州政府、企業、ユニセフ等が、プロジェクトを作っているニュースが流れ、一種のブームのようになっています。しかし、今まで5〜6年周期で、盛り上がり、減衰をくりかえしており、持続して取り組むことが重要と思います。また、企業と労働組合がプロジェクトを作っていますが、工場の自動化による人員削減(先進国のマネが先行)で失業者を増やしている企業が、プロジェクトを作っているのは疑問があります。

 一方、教育問題がマスコミなどで大きく取り上げられています。教育が進めばストリートチルドレンはいなくなるように言われていますが、実際には高度な労働力を作りたいだけではないでしょうか。第三世界には第三世界なりのものの考え方があるのではないかと思いますが、それが全く日本と同じ考え方をしています。

 ブラジルには徴兵制度がありますが、ストリートチルドレンは軍隊にも入隊できません。彼ら自身は軍隊に入れば技術を身につけられる(まともな職探しも出来る)ため、徴兵されるのを望んでいるにもかかわらずです。国の中でも見捨てられたような存在になっています。ストリートチルドレンは保証人、身元引受人がいないため、一般的な仕事につくことができません。

 ブラジルの一般市民の彼らに対する認識は徐々に変わりつつあります。表面上は理解を示すようになってきました(特に比較的裕福な家庭に多く見られるようです)。但し、一般的な家庭で彼らを受け入れようとしても、周囲から変な目で見られます。まだ、本当の意味では理解されていないように思います。

 ブラジルのストリートチルドレンの問題への対応は、外国からの圧力、NGOの圧力のよって動かされているのが実状です。もっと自国の問題として考えることが必要と思います。


Q:ブラジルの警察の状況は?

A:ストリートチルドレン最大の敵といわれている警察ですが、ユニセフは現在警察とタイアッ プしてストリートチルドレンの問題を扱ってい ます。ストリートチルドレンへの殺害行為は、 麻薬組織が関与していますが、容疑者が検挙さ れるのは10%程度です。また、不思議に思うか もしれませんが、ストリートチルドレンの中に は軍警察に対する憧れ(強いものに対する憧れ) もあります。

Q:日系人はストリートチルドレンの問題をどのようにとらえているのでしょうか?

A:日系人全体からみると認識は低く、「不良少年」と考えている人が多いようです。老人、身体障害者、孤児院などへのボランティア意識は高いのに比べ、ストリートチルドレンへの関心が低いのは、ストリートチルドレン問題(ほとんどが黒人または黒人との混血)がわかりづらい、ストリートチルドレンは特定できない。といったところに原因があると思います。


「懇親会」

 懇親会では、最初こそ遠慮がちに話されていた方もいらっしゃいましたが、時が経つにつれ、皆さん活発に意見を交わされました。

 懇親会の終わりには、バングラデッシュで記者をされている Bablu Lahman さんより、バングラデッシュのNGOの活動について紹介をいただき、16:30 盛況のうちにプラッサ年末パーティーを閉会することができました。




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