モンゴルの子どもたちの現状を知る
養護センター“イトゲル/信頼”

子どもたちの養護センター“イトゲル/信頼”所長
X.バーブガイ
翻訳:大島 武行



 子どもたちの養護センター“イトゲル/信頼”は、「家のない街の子ども」の生活援助や世話をし、教育を受けられるようにする目的で、1991年4月に設立されました。

 そして、これまで2歳から18歳までの2000人程の「家のない子ども」を受け入れ世話をしてきました。センターの収容人数は72人ですが、現在48人の子どもたちが生活しています。しかし、冬になれば100人にまで増加することになります。

 このセンターに子どもたちが入るきっかけは、いくつかあります。・子どもたちが自主的に自らの意志で来る。・警察に補導されて連れてこられる。・良心的な人が街中で保護して連れてくる。というものです。そして、センターの活動は、子どもたちの食事をはじめ、教育を受けられるようにすることで、生活全般、例えば衣類を支給し、入浴をし、洗濯をし、医療を受けることなどです。

 これらの子どもたちは、3日間から3年間、このセンターで生活することができます。私たちは、一般に「街の子ども」という表現を使いますが、これは家や家族から1〜2日間から何ヵ月も、何年も離れて、街の中をうろつきながら、ビル、住居、事務所の一角、列車の駅などに寝泊りして生活している子どもを指します。

 これらの子どもたちは、非公式の調査によると3000人くらいいるといわれていますが、最近はさらに増加してきています。私たちは、特に幼児をはじめ2歳〜12歳の小さな子どもたちや、女の子が増加してきている傾向をたいへん心配しています。2〜5歳の幼児が捨てられたり、放り出されてうろついていることが目立つようになってきています。

 そこで私たちは、子どもたちの養護センター“イトゲル”を拡大させ、関連施設として保育園を増設することができました。しかし、現在モンゴルの「街の子ども」のための養護施設は、ただひとつ、私たちの“イトゲル”と関連施設の保育園だけです。今後、政府は、このような養護施設を増設することを決めているところです。しかし、16才以上の青少年の問題は、いまだ何の対応も取られていません。

 あちこち街中を歩き回って暮らしている子どもの家族は、ほとんど貧しく仕事を持っていない家族です。その中には、親がアルコール中毒や精神病の患者、又は、両親が離婚してしまったり、刑務所にいるといったことがあげられます。ですから、これらの子どもたちに対しては、絶えず保護をすることが求められています。そして、政府は、これらの子どもたちの生活や教育を受けるために学校施設を建設しました。さらに、政府は都市予算から毎年2万2000USドルを供出しています。しかし、これだけの資金では、建物の維持管理費用や子どもたちの食事をやっと補うくらいでしかありません。ですから、私たち“イトゲル”は、国内外に援助を呼びかけているところです。

 これまで多くの良心的な方々から文房具をはじめ衣料など、さまざまな支援が送られ、たいへん助かっています。

 また、ぜひ、私たちの養護センターと同じような各国の施設と連絡を取り、お互いの交流の中で情報交換や経験の交流ができることを望んでいます。



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