「グローバリゼーション」をどのように理解するかといった極めて基本的な論 点だけをとっても多くの議論や文献があり、それらを整理するだけでも大変な 作業になります。さらに、それに加えて、グローバリゼーションと闘う民衆運 動の考え方や運動論といった分野に関しても、同様に多くの議論があります。
いくつかの切口
(1)日本の運動はグローバリゼーションに対抗できているのだろうか? IMFの構造調整政策への反対闘争、NAFTAの新自由主義をメキシコ・チアパ スから糾弾したサパティスタの闘争、そしてシアトルの反WTO闘争など、資 本の多国籍化と国際機関の権力増強として表れているグローバリゼーショ ンに対して、国境を越える民衆の運動もまた力強く登場してきているよう にみえる。しかし、日本の運動は必ずしも反グローバリゼーションの大 きなうねりを獲得ししえているとはいえません。欧米のいわゆる先進国は 反WTOの闘争を日本以上に取組めている状況をふまえれば、日本の運動状況 は、日本に固有の何らかの原因が存在するといえそうだ。では、その原因 は何か、どのような解決策があるのだろうか。
(2)グローバルな資本主義をなぜ否定するのか? 資本主義は悪である、という自明の前提を置くことはで済ませられた時代 にはない。むしろ、「なぜ資本主義ではダメなのか」を再度明確にする努 力が必要だ。新自由主義の支配的なイデオロギーに対する有効な批判をど のような観点から行うことができるのか? 失業、貧困、差別、環境破壊と いった諸問題は資本主義の内部で解決できるし、それ以外の選択肢はあり 得ないとする考え方に対して私たちが対置しうる反資本主義のスタンスと はどのようなものでありうるのか。それは、IMFにせよWTOにせよ、それら と闘う民衆の闘争をどのように位置づけ、どのような意味をもつ闘争とし て捉えることができるのか、従来のマルクス主義的な階級闘争の観点がど こまで有効で、どのような限界を持っているかといった理論的な課題とも 関わるだろう。
(3)グローバルな権力と民主主義とは? 従来の政治学は、国家を最高の権力とみなしてきたとすれば、現在のグロー バリゼーションは、この伝統的な政治学の再検討を必要とする事態を示し ている。国家を出し抜きつつ利用する多国籍企業や国際機関、多国籍的な 軍事力。これらの存在に対して、一国レベルに制約される民主主義や「主 権」は無力に見える。同様に、国境を越える移民たちは、「国民」という カテゴリーから排除されて「主権」を剥奪され、「主権」の名のもとに抑 圧される。近代資本主義が前提にしてきた国民国家とそのもとでの、権力、 民主主義、主権といった概念はグローバリゼーションのなかでどのような 変更、変質を迫られることになるのだろうか。国際機関や多国籍企業の 「権力」問題を明らかにする必要があるのではないか。民衆がグローバル な領域でいかなる根拠をもって、権利の主体となり得るのか? 「グローバ ルな民主主義」「グローバルな市民社会」といった考え方の有効性と問題 点。
(4)コミュニケーションと文化のグローバル化とどう向き合う(闘う)か? 言語の多様性がグローバリゼーションのなかで大きな脅威にさらされ、い わゆる「英語帝国主義」とも言うべき状況が生み出されている。言語問題 は、コミュニケーションと討議をふまえた意思決定の問題、したがって民 主主義的な手続の実質を保証するための前提である。コミュニケーション のツールとして英語が事実上の標準として利用されることを大前提として 認めることは、民衆運動の方法論として妥当かどうか。同様に、さまざま な文化的な差異をどのような方法で「理解」し、支配を伴わない関係を作 り出すことが可能か。そして、多国籍文化資本に対してどのような闘い方 が可能か。 また、伝統的な単一文化に基づく国民国家への批判から「多文化主義」が 強調される傾向が80年代以降強まってきたが、そもそも米国の20世紀資 本主義は「多文化」を国民国家に統合するシステムを発展させることを通 じてグローバリゼーションの主導権を文化的にも握ることができたといえ る。「多様性」や「多文化」は場合によってはすでにグローバリゼーショ ンを支える支配の一つの道具になりうるともいえる。
(5)グローバリズムとジェンダー 以下の松井やよりさんの提起を参照
(6) グローバリゼーションの「セーフティネット」としての国連、国際ファン ド、NGO? 多国籍企業やIMF、世銀、WTOなどとは別に、いわゆる人道的な援助を主と する国際組織、NGOやファンドは、はたしてグローバリゼーションを阻止す る意図と影響力を持ち得ているのか、それとも、グローバリゼーションを 円滑に進めるためのインフラ、「人的資源」の開発、あるいは対抗勢力の 統合の制度となっているということではないのか。たとえば、ジョージソ ロスのオープン・ソサィエティ・ファウンデーションがソ連、東欧の崩壊 に少なからぬ影響を与えたことが知られている。こうしたファンドに依存 して活動するNGOに問題はないのだろうか。
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松井やよりさんからの問題提起
各国からセンターに届 く女性のミニコミはグローバリゼーション特集ばかりという感じですし、一歩日
本を出れば、グローバリゼーションにどう対抗するかという話ばかりです。最近
インドに行ってきましたが、女性運動の関心はやはりそれでした。日本の運動と
の温度差を痛感しています。
問題提起の4点は全部賛成ですが、ジェンダーまたは女性との関連を付け加えてい
ただけると助かります。グローバリゼーションの悪影響をもろに受けているのが、
女性たちなので、「貧困の女性化」と武力紛争がグローバルな女性運動の最大の
焦点になっています。夏の人種差別反対世界会議(ダーバン)ではレイシズムとジェ
ンダーのintersectionality (交差性?)が主要なテーマの一つになりますが、具
体的にはグローバル化によって引き起こされている國際移住労働の女性化や國際
人身売買の問題が地域別準備会議や三月のニューヨークでの女性の地位委員会で
論議されました。これは日本とももろに関連するグローバル化と女性の問題です
ので、もし、グローバル化を民衆運動との関連で研究するとすれば、グローバル
化と女性運動の関連をぜひとも研究テーマにいれていただきたいと思います。
こういうと、ジェンダーとか女性とかを切り離して取り上げるように誤解されや
すいのですが、他の4つのテーマに統合する形で取り組むべきだと思います。ジェ
ンダーのゲットー化を避けなければなりませんので、この点にはぜひとも留意し
ていただきたいと思います。 もう一つ、ぜひとも、組み込んでいただきたい視点は、現在日本で急速に勢力を
増しているナショナリズム、国家主義、(小泉政権もその推進役なので怖いです
が)をグローバリゼーションとの関連でどうとらえるかということです。これは、
女性たちが世界各地で頻発している民族、宗教紛争に取り組む中で、ナショナリズ
ムや原理主義がグローバル化によって促進され、それは、またアンチ・フェミズ
ムでもあるということで、取り組むべき緊急な課題としているからです。
今回の「つくる会」教科書も国家主義と女性蔑視とが見事に結合しているので、
VAWW−NETジャパンは『ここまでひどい!「つくる会」歴史・公民教科書ー
女性蔑視・歴史歪曲・国家主義批判』(明石書店)を緊急出版しました。女性差別
という視点からの「つくる会」教科書批判の本はこれが初めてだと思います。
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19日の研究会の進め方について
自己紹介
小倉からの問題提起
討論
次回以降の具体的な段取り
・頻度 最低月一回が可能か。それとも隔月位? 定例化できるかどうか。
・テーマ、報告者の設定をどのようにするか 報告者の候補、取り上げる必要のある文献など。
・各回の研究会の成果をどのようにまとめるか 記録をどうするか かならず積み残しの論点が出てくる。その措置など。
・各回の研究会に先立っての準備 レジュメ 案内状 ・担当あるいは事務局にお願いできること、できないこと。
スケジュールの確認 次回以降の日程 研究会の成果の公表、活用の方法について
・ウエッブの活用 ・印刷物
・その他 研究会の事務管理作業 ・経費 ・名簿 ・資料