CATVの可能性を確認

 民衆のメディア連絡会、4月22日の例会は「市民メディアのテレビ戦略−ケーブルTV・CS・地上波の経験から」というテーマで3人の報告と2人のビデオレポート、そしてディスカッションが行われた。参加者は23名と少なめだったが遠方からこのために来た参加者もあり内容的にも「濃い」例会だった。

 津田正夫さん(市民とメディア研究会・あくせす/写真手前)の話では、「社会派情報・ジャーナリズム市場の難しさ」を実例をあげて紹介。

 質的には「アクセス・法」「告知・討論」「表現・芸術」、メディアとしては「マスメディア」「マスとの協働 or どこでも」「反マスメディア or ミニ」という具合に何を求めているのかを分けて戦略を立てる必要があるという提案がされた。

 また、東海地区での「市民とメディア研究会・あくせす」や「メディアアクセス推進協議会」など、現在動き出している実例も紹介。

 遠藤大輔さん(ビデオ・ジャーナリスト/写真中央)は、自主制作→東京ローカル(UHF)→CS→地上波での番組制作の経験の中から、それぞれのメディアでの苦労談を披露。

 土屋豊さん(VIDEO ACT!代表/写真右)は、CSチャンネル「Jドキュメント」での問題について説明。自主ビデオネットワーク「VIDEO ACT!」に番組提供依頼があり準備を進めたが直前になりJドキュメント側から約半分の番組が放送できないと言われたのである。

 低予算での番組づくりが必要となる中でも市民に開かれていかないCS局の実態が明らかになった。

 萩の中原憲明さん、銚子の秋元健一さんのビデオレポートは、それぞれの地域での取り組みが紹介された興味深いものだった。

 現状では、市民が作った番組を流そうとするメディアはあるが、実際には作る市民がなかなかいないというもあるようだ。しかし、きっかけや環境が整えば市民が作り手になる事は充分可能だし、そうしなければ真に開かれたメディアは実現しないだろう。

 ディスカッションでは、たまたま上京中で参加した中海テレビの専務・高橋孝之さんの発言が参加者の共感を呼んだ。CS局の元気がない中、地域と密着したCATVの可能性を感じる事ができた。

 CATVの中海テレビでは、コミュニティをやればやるほど視聴者が増え、それによりスポンサーがついて、実際に経営に役立つという。現在は全国のケーブル局95社・250万世帯に配信できるを結んだネットワーク放送(サテライト・コミュニケーション・ネットワーク)を始めている。

 高橋さんが言う「市民と一体感を持たなければ、これからのケーブルは生きていけない」という発想を持ったCATV局がネットワークを組むことにより、市民により開かれた放送に近づくことができる。

 今後は、より具体的に、どこでどんなものを流せるのか、その際に流せるかどうかの判断を誰がどのようにするのかなどが検討されていく必要がある。

 可能性はまだある。同時にやるべき事はまだまだあるようだ。

                                (小林アツシ)

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