例会報告「インターネットTVが始まった」

 

 1 月27日の例会は「インターネットTVが始まった!」のテーマで開催した。参加者は37名といつもより多く、関心の高さを窺わせた。以下、報告の要旨などを紹介する。報告は安田幸弘さん(写真中央・JCA-NET)と大榎淳さん(写真左・メディア・アーティスト)

<安田幸弘さんの報告要旨>

★JCA-NET の周辺でも最近、インターネット放送の話題が多くなっている。昨年秋、韓国のレーバーメディア会議に参加したときも、このテーマのセッションは超満員だった。韓国のJCA-NET にあたるJIMBO-NET (進歩ネット)では、インターネット放送用のサーバーを持っていて、大きなイベントを世界に放送している。JCA-NET では、それを借りることも検討している。

★インターネット放送が実用化してきたのは、画像情報をどんどん取り寄せながら同時にどんどん再生していくストリーミング技術が確立されたことが大きい。リアルタイムで流すことが可能になった。実際はインターネットというのは、信号の多い道路のようなものなので、リアルタイムといっても若干の遅れはある。

★まだTVなみの画質を送ることは難しいが、圧縮技術が進んできたので、ソコソコには見られるようになった。私自身は、盗聴法国会の時、参議院が提供しているライブ放送をずっと見ていて役に立った。

★システムはいろいろあるが、一番使われているのはリアルビデオというソフト(リアルオーディオ、リアルプレーヤーなど皆同じメーカー)。受信は安いパソコンでOK。送信も、ビデオカメラ+すこし力のあるパソコン+変換器(2 〜3 万円くらい)+ソフト(ただ)で出来る。通常のやり方でやるとすると、プロバイダーがインターネット放送用のサーバーを持っている必要がある。残念ながらそのサーバーを持っているところは少ない。(JCA-NET は持っていない)。

★問題は、そのサーバーが高いこと。64人分で100 万円くらいかかる。それから回線の情報量をたくさん使うので、回線が太くする必要が出てくる。

★いずれにしろ、どんどんよくなっている。生放送でなく、ファイル化してあとで見るという方法もあるので、使い方を工夫するといい。

 

<大榎淳さんの実演>

 

 大榎さんは、某所にあるサーバーにつないで、実際に例会の様子を放送してくれた。カメラで撮影した画像をサーバーに送り込み、そこからまた受信するという形だ。道具は、ウィンドウズのノートパソコン+PHS+マイク+ビデオカメラだけである。時間を計ってみると、実際の映像は約2 分遅れて、受信できた。普通は10〜50秒くらいの遅れだが、今回はノートパソコンを使ったので、その分パソコンの力が弱かったので、タイムラグが大きかったという。画質はかなり荒れているが、様子を見るには十分で、音もまあまあだった。

 実際に放送されているという実感があり、参加者からため息がもれた。

       <受信された画像>

 

<質疑から出た話>

Q.マックでも使えるか?

 送信はウィンドウズでないとだめだが、受信はマックでも問題ない。

Q.アメリカは普及していると聞くが?

 送り出しはハイクォリティで、受信の映像は、もっとなめらか。処理がうまいようだ。ケーブルを使って常時接続が可能のことも普及の要因としては大きい。

Q.見る人を限定することはできるか?

できる。パスワードなどを設定すればクローズな放送ができる。

Q.著作権問題は?

今の法律ではインターネットの著作権まで想定していないので、対応が送れている。ジャスラックがあせっている。

Q.64人しか見れないのはさびしいのでは?

 マルチキャストの技術などが進んでおり、いずれ改善されると思う。現状ではその範囲でやれることを考えたほうがいい。何千人、何万人に流せるのは大手メディアしか今のところできない。

Q.ライブでなくビデオクリップをホームページ上の載せる方法は?

 それは簡単にできる。いまでも3 分くらいのビデオクリップなら10本くらい載せても問題はない。そのファイルはリアルプロデューサーというソフトで作れる。

Q.おすすめのインターネット放送はあるか?

 YOMIURI NEWS STREAM が面白い。

Q.ラジオとしての使い方は?

音質はいいので、ラジオをして使うこともできる。ただ、仕組みとしてはインターネット放送と同じシステムを使うことになる。

 

<私の感想>

 お二人の話と実演で、インターネット放送の仕組みや問題点がよくわかった。確かにいろいろ使えそうだが、「発展途上」の技術でもある。話を聞いていて、とりあえず僕等がやれそうなこととしては、VIDEO ACT!のホームページ上に「新作紹介」(30秒位のビデオクリップ)の動画ファイルを載せることなど。それは相当簡単そうだが「よし俺がやろうという人」がいなければ出来ない。

いずれにしろ私たちの使えるメディアの選択肢がぐっと広がった気がした。

 

(文責=松原明)

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