OECD/Willam Witherell氏からの返事(日本語訳)
ウィリアム・ウィゼレル(OECD金融財政企業局長)からのキャンペーンハガキへの返事
1998/3/11
あなたから頂いた最近のMAIに関するハガキに返答し、MAIに対する懸念をお知らせ下さったことに感謝を申し上げるよう、事務局長からの要請を受けてお返事を差し上げております。あなたからのお便りは、MAIに関する重要な市民との意見交換の一環であり、事務局長も歓迎しています。
あなたのおハガキが指摘する問題は、海外投資一般についてのものであり、MAIそのものに対するものではありません。OECDと加盟29ヵ国は、海外直接投資を含む自由な資本の流出入は、雇用創出や生活水準の向上を全ての国にもたらすものであり、経済発展に良い影響をもたらすと認識しています。同様に、国連環境開発会議(1992年リオサミット)の成果である「アジェンダ21」でも、持続可能な開発という目標を達成するための手段として、海外投資の拡大を支持しています。
OECD諸国は、海外直接投資の大きな部分を占めており、これら諸国から流出する投資は全体の85%、これら諸国に流入する投資は65%に上ります。ですから、これら諸国は国際投資を統制するルールに大きな関心をもっています。MAI交渉を開始するという95年のOECD閣僚理事会の決定は、既存のOECDのシステムを統合し、完成するための理にかなった一歩といえます。特に1961年の「自由化コード」、1976年の「国際投資と多国籍企業に関する宣言と決定」などの枠組みは、長年にわたって国際投資と経済協力を促進してきました。OECDの他分野での活動(開発協力、環境、収賄と腐敗の根絶)もまた、MAI交渉を補完しています。
MAIの基本的原則とは、国内と外国の投資家の「無差別」待遇です。しかしMAIは、この内国民待遇を適用することで、各国政府が労働・環境基準に関する国内政策を実施する権利を制限するわけではありません。MAIでは、各国の国内基準が、外国投資家に対してより厳しいことがあってはならないとしているだけなのです。つまり、MAIが要求しているのは、外国投資家に対する公正かつ無差別な扱いであり、規制緩和ではありません。加えて、MAIには、海外投資を誘致する手段として国内基準を低下させることを明確に禁止する条項を設ける予定です。環境と労働に関する条項については現在検討中です。企業の責任ある行動を促すためのOECD多国籍企業ガイドラインが付属文書とされる可能性も大きくなっています。(あなたの指摘とは違って、投資家対国家の紛争解決は、国際投資協定の中に定められて久しく、海外投資家による悪用の事例はありません)。さらに、各国がMAIに加盟するときには、国別の留保項目を提出することができます。
MAIは全ての国が加盟できる協定であり、加盟要件を満たす意志があれば全ての国が遵守できる協定です。将来、MAIへの加盟を希望する国は、加盟条件を交渉することができます。OECD非加盟国に対してはMAI交渉に関するアドバイスや情報提供も継続して行われています。世界中の多くの国々が、MAIに多大な関心を寄せています。同様に、環境やその他の問題について活動するNGOや、労働組合、産業界との協議も継続して行われています。例えば、昨年秋には約50のNGO代表者との会合が行われ、そこでは交渉の進捗状況とNGOの懸念について検討が行われました。その会合のフォローアップとして、NGOとの数多くの対話を継続しています。また、多くのOECD諸国は、日本も含めて、国内でもこのような協議を実施しています。
ご参考までに最近のMAIに関するOECDの政策要旨を同封します。ここではMAIの背景や、目的、特徴について大変詳しく解説しています。現在のMAI交渉テキストなどのさらに詳しい情報は、OECDのMAIウェッブサイトをご覧ください。http://www.oecd.org/daf/comis/mai/maindex.htm
ウィリアム・ウィゼレル(OECD金融財政企業局長)