1999年1月19日

「地球温暖化対策に関する基本方針(素案)」に対する意見の概要
(地球温暖化対策の推進に当たって必要と考える事項など)

畑 直之
市民フォーラム2001地球温暖化研究会
市民フォーラム2001活動委員



(数字の1〜4は素案に対応)

1.基本的方向

(A)京都議定書の目標
  第1約束期間の瞬間達成では意味がない
  第2約束期間以降(2012年以降)につながるもの…整合性・継続性が必要不可欠である

(B)現行の政府の温暖化政策の問題点をきちんと踏まえる必要がある
 @「6%の内訳」…国際制度頼みで国内はCOP3前と変化なし…「地球温暖化対策推進大綱」の内容
   「大綱」との関係はどうなるのか。
     推進本部決定にすぎない大綱が、国会で作られた法に基づき閣議決定される基本方針より上位に    あるかのようになってはならない。
 A「地球温暖化防止行動計画」の破綻への反省と総括が必要
    実効的な温室効果ガス排出削減の仕組みがなかったから何も出来なかった
     →地球温暖化対策推進法や基本方針も同じ…同じ轍を踏む

2.それぞれが講ずべきGHGの排出抑制用のための措置に関する基本的事項 
及び 3.政府の事務・事業の計画に関する事項


(A)目標設定  2008〜2012年が目標年だが、2008年に94になるように対策を取っていくべき
  議定書…「2005年までに明らかな進捗を実現している」→2005年=100程度か
   ほぼ毎年2%ずつ削減していくことになる…毎年の目標を設定

(B)中間点検→施策強化の仕組みを入れること。チェックによる修正を行うことが必要
 出来れば毎年点検を行い、目標達成が難しい時は追加施策を実施するなど強化の仕組みを入れること
  これがないとまた「結果できませんでした」になる

(C)「事業」…当然、公共事業も入る。温室効果ガス排出増を促す公共事業の放置は許されない
 公共事業等の温室効果ガス排出面からのアセスメント・チェックの機能が必要

(D)チェック機関((B)(C)など)は環境NGOを含む各セクターからのメンバーで構成されること

(E)自治体の事業にも当然公共事業も入る、国は自治体の裁量を広く認めるべき
  上乗せ・横出し的に意欲的な自治体を国が締め付けてはならない

4.事業者の計画に関する事項

 環境NGOを含む各セクターによる外部からのレビューの仕組みを導入すること








  具体的な政策措置(<別表2>参照)

<別表1:削減の道筋>

  1998年 110
  1999年 110
  2000年 109
  2001年 108
  2002年 106
  2003年 104
  2004年 102
  2005年 100(←中間目標年)
  2006年 98
  2007年 96
  2008年 94
  2010年 94−α(90くらいか)
  2012年 94−α(86くらいか)


<別表2:考えられる具体的な政策と措置>

エネルギー転換 石炭など化石燃料火発の増設停止
        再生可能エネルギー推進…意欲的な目標と効果的な施策
         再生可能電力の買い取り義務化、環境負荷を折り込んだ電力自由化
        効率向上…コジェネレーションetc.
        DSM(デマンドサイドマネジメント=需要側管理)の推進、ピーク時の電力料金アップ

産業 省エネ・効率向上…コジェネetc.
    資金回収に期間の掛かる省エネ技術への投資を促進する制度・経済的手法(補助金・税制優遇)
    効率の悪い技術・設備・製品への規制・課徴金
   製品の省エネ・高効率・長寿命化を促進する規制・経済的手法(良い物への補助金・税制優遇)
    エコラベル表示の義務化

運輸 大都市中心部の乗り入れ規制、公共交通の推進
   モーダルシフト(自動車から鉄道・海運へ)の推進…特に貨物輸送 必要な接続インフラの整備
   自動車輸送の改善(共同輸送etc.)
   自動車単体の改善(燃費向上・長寿命化etc.)…燃費の良い車に誘導する税制等
   アイドリングの禁止

業務 エネルギーを浪費する巨大建造物の規制、建造物の省エネ・高効率・長寿命化の促進
   コジェネの導入…規制緩和
   DSMの推進(テナント・ビルオーナー・エネルギー供給事業者の連携)
   自動販売機の制限…規制・経済的手法(「自販機利用課徴金」)

家庭 グリーンコンシュマーの推進←制度・経済的手法
    エコラベル(製造業者への義務付け)の利用、税or課徴金(悪い物)・補助金(良い物)
   再生可能エネルギー利用促進、DSM(エネルギー供給事業者への義務付け)
   住宅の省エネ・高効率・長寿命化(建築基準強化(断熱etc.))の促進

税財政
  「税財政のグリーン化」…課税・使途両面からの総合的な税財政改革
   歪みの是正…道路特定財源(5兆7千億円(運用分含む))etc.の改革
   炭素税の導入…逆行する政策との整合性



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