To: wto@jca.apc.org
Subject: [wto 180] グローバル・スタンダードに対する NGO の視点
Date: Tue, 7 Sep 1999 17:05:35 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.apc.org>
●さんからのご意見、ご質問に対する何らかの参考意見になればと思い、以下に最近執筆した原稿(まだ発行されてませんが)を送付します。佐久間
NIRA政策研究9月号原稿
第4章「グローバル・スタンダードに対するNGOの視点」
佐久間智子(市民フォーラム2001事務局長)
要約:
各国の法規制・基準の国際整合化は、基準設定者による
生産要素・市場の独占と、公的機能の劣化を通じ、格差を
拡大し、環境破壊を助長する。多様な文化や価値観、生態
系を守る各国主権を擁護しつつ、国際的な最低社会基準(
グローバルミニマム)に対する合意を形成する必要がある。
本文
■「グローバルスタンダード」の本質
「グローバルスタンダード」とは、世界市場のあり方を
規定する様々な要因に支えられた、実際上の国際経済規範
を意味する言葉だ。その成立要件は、世界を一つの市場と、
一つの価値観に統合することである。そしてその目的は、
グローバルスタンダードを設定する者が、生産要素と市場
を独占することにある。
プロセスは二段階である。まず他国市場に存在する国内
法規制・基準を、貿易・投資障壁として取り除き、世界市
場の統合(シームレス化)を進める。次に設定者にとって
都合の良い国際基準を導入(スタンダード設定)すること
で、設定者の世界市場における優位性を高める。仕掛ける
側が最も競争力を発揮できる条件で世界市場を統一するの
である。統一ルールの存在は、同時に、各国の社会・経済
規制のさらなる撤廃を正当化する。
スタンダード設定の方法は大きく分けて二通りである。
国際機関を通じて明文化あるいは法的根拠をつくり、従わ
せる方法と、市場独占・寡占によって強制するやり方であ
る。いずれの場合も、どちらが「本当に優れているか」、と
いうこと以上に、先にルールや基準を明文化する、先に特
許を取得する、新規事業を開拓して市場シェアを伸ばす、
あるいは吸収合併で規模拡大を図る、などが決め手となる。
結果、グローバルスタンダードは、本来の自由市場経済の
理想とは裏腹に、「非効率」や富と権限の集中を促している。
本来の市場経済には「選択の自由」という民主性がある。
しかし、産業間格差や資本・技術・技能格差を是正せず、
環境・社会コストや文化・生物の多様性を看過した野放し
の競争は、「公平」でなく、「持続可能」でない。この競争
に勝てるのは基準の設定者だけであり、設定者もまた、荒
廃した環境と社会からのしっぺ返しを免れない。
■公的役割の変化
公的役割とは、税制を通じた富の再分配や、規制を通じ
た公正で持続可能な社会・経済の維持、セーフティネット
の整備による弱者救済などであると理解されてきた。しか
し国際競争が激化する中、これらは競争力を弱める要因と
考えられるようになった。政府は今、「国際整合化(ハーモ
ナイゼーション)」の流れに従い、積極的に公的役割を放棄
し、代わりに、強い企業セクターの応援団に特化しつつあ
る。一方、各国の公的機能を代替するはずの国際税制・規
制・セーフティネットは存在しないか、機能不全に陥って
いる。貿易自由化の流れを追って、この問題を考察する。
■貿易自由化と環境・人権・労働者保護のための国連条約
ウルグアイラウンド(UR)以前の貿易自由化交渉は、関
税や数量規制など、各国の国境措置を対象としてきた。国
境措置の低減により、輸入量が増加、輸入品価格が低下し
たため、各国の消費行動が変わり、産業構造が改変された。
価格競争が激化する中、タダの環境は汚染され、天然資源
は安く買い叩かれ、工場は環境基準や労働条件の低い所に
移転、公害が国境を超えて拡大した。
こうした事態を受け、各国政府は国連の場でさまざまな
多国間環境協定(MEAs)や人権規約、そして基本的労働基
準(ILO協定)を採択した。さらに1990年初頭までには「国
連多国籍企業行動規準」が草案され、多国籍企業の行動に
制約が課されようとしていた。経済のグローバル化に伴い、
グローバルな社会規制が必要とされたのである。しかし、
こうした努力の甲斐なく、多国籍企業行動規準は地球サミ
ットの開かれた1992年、国連総会で不採択となり、人権規
約やILO協定は多くの国でいまだ批准されていない。多国
間環境協定もまた、激化する国際競争の中で、経済を優先
する各国によって改悪されたり、実効性が脅かされている。
■最低基準が最高基準とされる問題
UR以降の自由化交渉では、非関税貿易・投資障壁として
国内法規制・基準を緩和・撤廃し、国際基準に整合化する
ことが主要な課題とされるようになった。また、このプロ
セスにおいて、企業間の自主基準や、社会基準の最低ライ
ンとして作られてきた国際基準が貿易・投資障壁の最高限
度として位置付けられるようになってきた。
世界貿易機関(WTO)協定では、各国の食品安全基準や
食品表示ルールなどをコーデックス委員会の定める基準に
整合化することが求められた。コーデックス委員会とは、
独自の食品規格を持たない途上国のための基準設置を目的
とした国連機関である。それまでの社会的認知は低く、そ
の構成員は科学者と食品産業が大勢を占めていた。当然な
がら、コーデックス基準は一部の国が参照する最低基準と
言えるものだった。しかし、食料貿易の障壁の削減・撤廃
を目的に作られたWTO「衛生植物検疫(SPS)協定」の拠
り所とされたとき、これが事実上の世界最高基準になった。
各国がこの基準よりも高い国内基準を維持し、それが貿易
障壁として提訴された場合、科学的根拠を立証できなけれ
ば基準改正や賠償を要求される。多くの国がこうした厄介
事を恐れ、自国基準をコーデックス基準に整合化(改悪)
した。日本も同様で、例えば私たちは今、以前は禁止され
ていたDDT残留食品を食べることになった。
もう一つが「WTOの技術的障害(TBT)協定」である。TBT
協定では、食品基準以外の全ての基準を対象として、その
国際整合化を奨励しており、将来、ISO基準がその最高基
準とされていく可能性がある。そうなれば、例えばISO14000
のエコラベル基準や持続可能な森林経営の基準よりも高い
基準を各国・自治体が採用することは国際法違反とされ、
提訴、改正、賠償、制裁の対象となる。ところがISOとは、
もともと一部の民間企業が独自に定めた内部規定のような
ものだ。したがって、企業に環境保全努力を促す効果はあ
っても、法的拘束力を持つ最高基準には全く不適当である。
同様に、国際通貨基金(IMF)の融資条件に既存の自主基
準を取り込むといったケースや、一国内の特許制度を国際
制度化するなどの動きがある。最低基準だった自主基準が
当初の社会的目的を離れ、経済活動への便益のために最高
限度とされ、人類全てに享受されるべき科学や技術の恩恵
は特許法の国際化と強化によって独占的利益を生むものと
なった。そして今、これらの新しい国際ルールが、貿易制
裁や融資条件という強制力を伴って各国に押し付けられる
ことになったのである。
■各国法制を侵食する今後の国際整合化
上述した事例は、これから始まる大規模な国際整合化の
第一歩に過ぎない。今後は、各国のあらゆる法規制・基準
が国際整合化の対象とされる。その先例は、昨年末に交渉
が打ち切られたOECDの多国間投資協定(MAI)に見出す
ことができる。MAIは、外国企業に対し、進出先の国内法
規制・基準を改正・撤廃する権限を与えようとした。その
適用実態が外国企業に差別的と判断すれば、企業は国際法
廷に直接提訴を行い、該当の法規制の改正・撤廃を迫ると
ともに、損害賠償を請求できるとしていたのだ。その逆に、
国家が国際法廷で進出企業を提訴することは検討すらされ
ていない。MAIの雛型となった北米自由貿易協定(NAFTA)
では、既にこのような「投資家vs.国家」紛争解決を通じ、
カナダやメキシコでは環境保全策が理不尽な撤廃を迫られて
いる。MAIでは、労働ストや消費者ボイコットで企業が被っ
た損害も、国家補償の対象とされた。MAIが成立していれ
ば、政府は事前の策としてストやボイコットを禁止しなけ
ればならなくなっていただろう。
現在WTOでは、各国や各自治体の政府調達の完全自由化
に向け、透明化や内外無差別などの原則作りが進められて
いる。競争政策の議論では、国有企業や独占企業が多い途
上国市場を外国企業に開放させることが主眼とされる。ま
た、来年始まるサービス貿易自由化の交渉では、公共サー
ビスや医療・福祉・教育などを含む160業種が対象となる。
公共サービスは民営化を迫られ、非営利サービスは営利化
を迫られる。そうしなければ外国企業に進出の「うまみ」
がないからだ。全ての人にわけ隔てなく提供されてきた公
共サービスが、貧困層には行き届かなくなるかもしれない。
グローバルスタンダードは「自給」や「自立」を基礎と
する社会や「自律」的な国家機構を破壊し、全てを外国企
業の「経済活動」に置き換えるための概念だ。その根底に
は、成長し続けねば崩壊する今の経済自体の問題がある。
■アカウンタビリティ議論の盲点
グローバルスタンダードの設定者は、世界人口、国数の
いずれで見ても数の上ではマイノリティである。だからこ
そ、グローバルスタンダードによる市場統合を通じた資本
蓄積、資源・市場支配、技術・技能独占によって自らの地
位を保全する必要があり、また、それを万人に是認させる
ためのスローガンを必要としている。
「透明性」や「アカウンタビリティ」はその典型と言え
る。この言葉は市民社会にも歓迎され多用されている。し
かし同時に、政府から経済活動を調整する権限を取り上げ、
資本を持った株主や経営者が利潤追求のために勤労者の命
運を掌握するための方便にも使える言葉なのである。社員
主体の「労働支配」型企業は、株主(投資家)主体の「資
本支配」型企業に変質を迫られる。
もちろん、封建社会や腐敗を肯定しているわけではない。
しかし、世界市場が統合される中、社会単位や経済単位の
大規模化そのものが大きな腐敗を生み出している。独占禁
止法は効力を失い、法人税回避の余地も拡大している。グ
ローバル化は、地理的にも心理的にも環境破壊や貧困の現
実を遠ざけ、情報を複雑化する。アカウンタビリティは資
本と情報理解力を持つものが、持たざるものや競合者、お
よび邪魔者を追い落とす方便となる。こうした中、世界で
最も強大な投資家の透明性やアカウンタビリティは確保さ
れておらず、今後も確保されないだろう。解決には、権限
や資本、経済・社会機構の規模縮小と分散が必要であり、
徹底できないアカウンタビリティ議論は弊害でさえある。
■偽装された保護主義:社会規制・基準の選択的適用
国際整合化は、内外無差別や消費者利益という古典的な
自由市場論だけではなく、透明性やアカウンタビリティ、
環境保全や労働者保護などの大義名分の下で進められる。
しかし、グローバルスタンダードのけん引役である先進国
の多くが、これまで国連で作られた数多くの環境協定や労
働基準、あるいは多国籍企業行動規準などには熱心でなく、
時には敵対的でさえある事実が並存する。
近年になって、先進諸国はWTOの場で環境と労働の問題
を熱心に議論し始めた。ILO協定や人権規約の批准さえ終
えていない日本や米国が、途上国の労働条件の悪さや環境
基準の低さをことさらに強調するようになった。その目的
は、自国産業を途上国の安い労働・環境コストとの競争か
ら守るために、これらの基準の低さを理由に、途上国に貿
易制裁を課すことにある。これを警戒する途上国政府は、
貿易制裁にリンクした「貿易と環境」や「貿易と労働」と
いう課題設定自体に反発、新たな南北対立が生まれている。
■問題整理
問題点は三つに整理できる。一つは、国際整合化による
国内社会法規制・基準の放棄という国内法の問題である。
これが文化や公共のあり方などにおける各国民の主権と価
値観を侵害し、多様な生態系を保全するための多様な施策
を反故にする。二つ目は、各国が放棄した法規制・基準が
国際レベルで補完されていないという国際法の問題だ。そ
して三つ目は、経済のグローバルスタンダードの導入に伴
い、衰退する国内産業をどうするのか、という経済的な問
題である。途上国の懸念と重なる問題だ。
これらの問題設定に対し、グローバルスタンダードは撤
廃された国内法規制を補完しており、その導入によって途
上国の社会規制・基準が向上するのではないかとの反論が
存在する。さらに、途上国では、透明性の向上と市場自由
化が民主化をもたらし、国内経済はより競争力のある産業
構造へと進化するとの意見がある。しかし実際には、その
どちらもあまり実現していない。なぜなら、経済のグロー
バルスタンダードは、より低い貿易・投資障壁を求める中、
社会規制・基準を障壁と見なし、最低限の社会規制・基準
への整合化を図ることを命題としている(低位平準化)。(上
述の通り、偽装目的で高い社会基準が持ち出されることは
ある。)国家間の投資誘致合戦がそれを後押しする。しかも、
国際化した経済活動に対する国際税制や規制、国際的な弱
者救済メカニズムは存在しないか、実効性を脅かされてい
る。さらに、自由化された途上国市場では、膨大な資本や
特許、企業内・企業間ネットワークに守られ、グローバル
スタンダードを先取りした先進国企業が利潤を寡占し、そ
の利潤を国外に流出させている。結果、途上国では、債務
返済が滞る一方、自由化によって国際金融市場に直結され
た途上国市場で金融危機が発生する可能性が高まる。実際、
金融危機は自由化された市場だけを直撃しており、また過
去十数年間に世界60カ国が大幅な経済のマイナス成長を経
験している(格差の拡大)。
■グローバルミニマムを求めて
グローバルスタンダードとは、一見自由市場経済を志向
しているようで、実は特定の価値観に人々を固定し、その
他の価値や、スタンダードを満たせない大半の人々を排除
するために作用している。しかし、経済の実態がこれだけ
グローバル化する中、市民社会もまた、ある種の国際社会
基準を設定し、国家の枠を超えて問題に対処する必要性を
認識している。しかしその目的は、世界中の人びとが、豊
かな自然環境の下、衣食住・雇用を保障され、人種・性別・
宗教・主義などを理由としたあらゆる差別を受けずに平和
に生存する権利を擁護することにある。
国連開発計画(UNDP)の「人間開発報告書」が用いてい
る生活水準、教育・雇用機会などの指標に表れている価値
や、国連で作られてきたさまざまな環境・人権・労働・消
費者保護のための協定は、文化や生態系の多様性を超えて、
全ての人が合意できる価値の一例といえる。私はその最低
基準をグローバルミニマムと呼んでいる。グローバルミニ
マムに上限という概念はない。それぞれの国・地域がそれ
ぞれの多様性を擁護する権利を持っていると考えるからだ。
そこが社会基準を障壁と見なす今のグローバルスタンダー
ドと根本的に違うところである。さらに、最低基準を満た
せない国に対しては、その国をさらに窮乏させる貿易制裁
や債務停止ではなく、市民・NGOも含めた相互理解のため
の国際交流や双方向的な国際協力が必要である。
今や経済格差は南北の間の問題ではなく、先進国内でも深
刻化している。環境問題もまた、先進国の市民だけでなく、
激しい環境汚染・破壊を目の当たりにしている途上国の市民
の大きな関心事だ。こうした中、世界の市民運動が一致して
MAIの成立を阻んだことは、グローバルスタンダード推進
派に根本的な変更を迫る社会的圧力の高まりを表している。
市民・NGOの合意を重視する国や国際機関が増えてきてい
るのは、その背後に何十億人もの不満が見え隠れするからだ
ろう。「このままでは世界各地で(貧困や飢餓による)大暴
動が起きる。」先般来日した世銀エコノミストの言葉だ。グ
ローバルスタンダードを推進しつつ、小手先の環境・貧困対
策でさらに儲けるという今までのやり方はもう通用しない。
公正と持続可能性に基づく世界平和は、モノ・カネを通じ
た相互依存と無限の経済成長によってではなく、多様な文化
の尊重と相互理解、そして協力を通じた人権擁護・環境保全
のためのグローバル・ミニマムの達成によって育まれる。
NGOは、「国際化した市場経済に伴われるべき適切な経済・
社会規律」という視点からのレビューと議論を求めている。
Date: Tue, 31 Aug 1999 10:58:15 +0900
To: wto@jca.apc.org
From: aosawa@jca.apc.org (OSAWA Akiko)
Subject: [wto 174] WTO シアトル閣僚会議関連 NGOイベント
皆様へ
以下に、WTOシアトル閣僚会議に並行して行われるNGOのイベント情報をお送りします。
市民フォーラム2001
大澤(さくまの代理)
======================================================================
Citizen's Summit Program, WTO Summit Seattle, November 27 - December 2, 1999
======================================================================
The likely structure and format for NGO activities in Seattle is emerging.
A full schedule of NGO strategy, education and action parallel to the offici
al Summit itself will involve successive days devoted to particular, related
themes or substantive issues (the various critiques of and alternatives the
WTO status quo). Activists and scholars from around the world will gather i
n Seattle, and the citizen's summit will reflect and project diverse perspec
tives and critiques of the WTO, from civil society in the South and North.
Each day will follow a similar functional agenda, along these lines:
@ 8:30ish
Press briefing over breakfast
Subject: that day's themes and issues.
Interviews scheduled.
A 10:30ish
Panels on the issues
Our opportunity to educate one another.
Reports from country-based campaigns.
B Noonish
Pressworthy public events --rallies, marches, demos
on the featured issue of the day, dramatizing the critique.
C 2:00ish
Strategy Sessions of activists working on related issues.
We often do not take advantage of international events to plan forward while
in the same city: organizing international campaigns, movement building, ski
lls sharing.
D 4:30ish
Report back on day's news.
Debrief from issue leaders.
Inside/Outside coordination.
E5:15ish
Adjourn and Dispatch
All clear for concerts, cocktail parties, chasing negotiators
Several appropriate venues for all these functions were reserved month ago,
all within a few blocks of the official Summit venue, the Trade and Conventi
on Center, and without the assistance of the corporate SHO coalition. The l
argest is the United Methodist Church which sits 1200 in the sanctuary and 4
00 in the Press Room below. Back-up venues are identified.
---------------------------------------------------------------
Schedule of events:
---------------------------------------------------------------
★FRIDAY & SATURDAY November 26 & 27
* International Forum on Globalization (IFG) Teach-In
(Benaroya Symphony Hall, Downtown Seattle)
Contact: 415.771.3394 or www.ifg.org
★MONDAY November 29
* Environment and Health
(United Methodist Church)
Contact: Mary Bottari, Public Citizen --202.546.4996 (health)
Dan Seligman, Sierra Club -- 202.547.1141 (environment)
* International Interfaith Service
(United Methodist Church)
Contact: Michael Ramos, Washington Association of Churches --
206.625.9790 or www.thewac.org
★TUESDAY November 30
* Livelihoods/Labor Rights/Standard of Living/Human Rights
(United Methodist Church)
Contact: Medea Benjamin, Global Exchange --510.548.0370 or www.globalexchang
e.org
Contact: Marianne Mollman, Public Citizen-- 202.546.4996 (human rights)
* Massive Rally and March on the WTO
(The Streets of Seattle)
Contact: EVERYONE YOU KNOW!!!
★WEDNESDAY December 1
* Women/Domocracy/Sovereignty/Development
(United Methodist Church)
Contact: Alexandra Spieldoch, Center of Concern -- aspieldoch@coc.org
* No Patents on Life: Biotech in the Global Economy
(Plymouth Congregational Church)
Contact: Phil Bereano -- 206.543.9037 or phil@uwtc.washington.edu
★THURSDAY December 2
* Food & Agriculture: Food Safety and Security
(United Methodist Church)
Contact: Institute for Agriculture and Trade Policy (IATP) --
612.870.0453 or www.iatp.org, or rvanstaveren@iatp.org
★FRIDAY December 3
*Who Rules? Corporate Accountability
(Gethsemane Lutheran Church)
Contact: David Korten, people-Centered Development Forum
pcdf@econet.org or http://iisd.ca/pcdf
--------------------------------------------------------------------
Organizing committees for each of these days have been formed or are in the
process of being formed. Contact the organizations listed after each day to
get involved or to learn more about the details of the planning of the vario
us days. Each organizing group aims to be as inclusive and incorporating as
possible, including international, national and local participants.
--------------
大澤晶子<aosawa@jca.apc.org>
市民フォーラム2001
〒110-0015 東京都台東区東上野1-20-6 丸幸ビル3階
TEL. 03-3834-2436 FAX. 03-3834-2406
http://www.jca.apc.org/pf2001jp/
To: wto@jca.apc.org, oda@jca.ax.apc.org
Subject: [wto 157] 世界のウエッブサイト案内(転送)
Date: Wed, 11 Aug 1999 18:39:32 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.apc.org>
WTO、農業、GMO、APEC、環境、温暖化、森林、ウラン、石油、人権、先住民、反戦などに関連する世界のウエッブサイトのリストを転載します。
佐久間智子
--------------------------------------------------------
This list is posted on the web by Brian Jenkins,
Australian Stop-MAI! Coalitiom
http://www.nettrek.com.au/~brian/andreas.htm
--------------------------------------------------------
Millenium Round // Rodada do Milenio // Ronde Millenaire
-> UPDATE 05.08.99 <-
====================
"OFFICIALS":
(neolib's blah blah)
====================
World Trade Organization:
http://www.wto.org
WTO Seattle
http://www.wto.org/wto/minist/seatmin.htm
Seattle Business welcomes WTO:
http://www.wtoseattle.org
European Commission:
http://europa.eu.int/comm/dg01/dg1newround.htm
TABD Mid Year Report:
http://www.tabd.org/about/MYMExecSummary1.html
and the annex: http://www.tabd.org/about/MYMTechnicalAnnex.html
CANADA'S DEPT. OF FOREIGN AFFAIRS AND INT'l TRADE
http://www.dfait-maeci.gc.ca/menu-e.asp
CANADIAN INT'l TRADE TRIBUNAL
http://www.citt.gc.ca/
US INTERNATIONAL TRADE COMMISSION
http://www.usitc.gov/
US Trade Representative
http://www.ustr.gov/
===================================================
"INOFFICIALS":
===================================================
============================================
WTO - MILLENNIUM ROUND - GLOBAL TRADE - MAI
============================================
(* frequently updated)
Adbusters: The big Question / en
http://www.adbusters.org/campaigns/economic/splash.html
American Lands / en
http://www.americanlands.org/forestweb/newwto1.htm
A SEED Europe / en *
http:// www.antenna.nl/aseed
Trade and Investment:
http://www.antenna.nl/aseed/trade/
ATTAC / en /fr *
http://attac.org/ang/
(in french): http://www.attac.org
ATTAC Brasil: http://www.attac.org/brasil/
Brian Jenkins anti-MAI page (Australia) / en *
http://www.nettrek.com.au/~brian/
"Citizens on the Web" / Toronto en *
http://www.interlog.com/~cjazz/action7b.htm
home: http://www.interlog.com/~cjazz/
Corporate Europe Observatory / Amsterdan en *
http://www.xs4all.nl/~ceo
WTO-special Issue:
http://www.xs4all.nl/~ceo/observer4/
Council of Canadians / en *
http://www.canadians.org/
Ej屍cito Zapatista de Liberaci溶 Nacional / es
http://www.ezln.org
Encontro Americano pela Humanidade e Contra o Neoliberalismo
http://www.encontroamericano.com.br/
"Infos zum MAI" / de
http://userpage.fu-berlin.de/~timor/mai/
"Millennium Round" (an URL of EP Green Party) / en *
http://www.millennium-round.org
"Model-WTO '99" (Oikos) / en (?)
http://www.stud.unisg.ch/~OIKOS/model-wto/
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http://no2wto.listbot.com/cgi-bin/view_archive?Act=view_archive&list_id=no2wto
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Ontario PIRG's MAI-not Project / Ottawa en *
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Peoples Global Action (PGA) / en fr es de ru *
Acci溶 Global de los Pueblos/ Action mondiale des peuples AGP/AMP
http://www.agp.org
PGA in Seattle / en
http://members.aol.com/mwmorrill/pga.htm
List archive:
www.listbot.com/cgi-bin/view_archive?Act=view_archive&list_id=WTOSeattleDiscussion
People For Fair Trade / Seattle en
http://www.peopleforfairtrade.org
Polaris Institute (Canada) / en
http://www.nassist.com/mai/
Public Citizens Global Trade Watch / en *
http://www.tradewatch.org
List archive: http://lists.essential.org/mai-intl/
"Road To Seattle" (Newsletter) / en *
www.newsbulletin.org/bulletins/getcurrentbulletin.cfm?bulletin_id=67&sid=
Seattle Citizen Committee/ en
http://www.seattlewto.org
"SHUTDOWN SEA-TOWN" / Seattle en
http://www.geocities.com/CapitolHill/Lobby/8771/nowto.html
Third World Network / en *
http://www.twnside.org.sg/souths/twn/trade.htm
WEED World Economy, Ecology & Development / de *
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WEED on WTO: http://www.weedbonn.org/info/wto2000.htm
Germanwatch on WTO: / de
http://www.germanwatch.org/pubzeit/z29home.htm
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some more
European Groups involved in the Stop Millennium Round Campaign
(without special WTO websites)
==============================================================
BUND (Friends of the Earth Germany) / de
http://www.snafu.de/~bund
or http://www.bund.net
Center for Environmental Public Advocacy (Slovakia) / sk
http://www.changenet.sk/cepa
Friends of the Earth Europe / en
http://www.foeeurope.org
Friends of the Earth Czech /cz
http://www.duhafoe.cz
Friends of the Earth UK / en
http:://www.foe.co.uk
Trade, Environment and Sustainability:
http://www.foe.co.uk/foei/tes
KEPA Finland / fi
http://www.kepa.fi
Movimiento contra la Europa de Maastricht / es
http://www.nodo50.org/maast
Oxfam Belgium / fr en
http://www.oxfamsol.be
World Development Movement (UK) / en
http://wwengineered alternative to the well-known biotech TNCw.wdm.org.uk/
=====================================
AGRIGULTURE FOOD - - GENETICS - TRIPs
=====================================
BUKO Agrar Koordination / de (?)
http://www.bukoagrar.de
Coordination paysanne europeenne - CPE / (fr)
http://www.confederationpaysanne.fr/cpe.htm
Confederation Paysanne France / (fr)
http://www.confederationpaysanne.fr/
Food First (USA) / en
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Genetic Resources Action International (Spain) / en es fr
http://www.grain.org
Genetix Snowball (UK) / en
www.gn.apc.org/pmhp/gs
Global Forum on Sustainable Food and Nutritional Security (Brazil)
contact: agora@tba.com.br (URL ?)
Institute for Agriculture and Trade Policy (USA) / en (?)
http://www.iatp.org/
Inter Continental Caravan / en
http://http://stad.dsl.nl/~caravan/
MST (Brasil)
http://www.mst.org.br/
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Tomoko Sakuma
People's Forum 2001, Japan
Maruko-bld. 3F 1-20-6 Higashi-ueno
Taito-ku, Tokyo 110-0015 Japan
TEL +81-3-3834-2436
FAX +81-3-3834-2406
Email : tsakuma@jca.apc.org or pf2001jp@jca.apc.org
Website: http://www.jca.apc.org/pf2001jp/
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To: wto@jca.apc.org
Subject: [wto 144] WTO 次期交渉 UPDATE
Date: Wed, 28 Jul 1999 17:11:24 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.apc.org>
WTO-MLの皆さま、
昨日、とある会合で使ったレジュメです。WTO次期交渉に関する7月末までの現状を一応まとめてみたものです。 Just
For Your Information.
佐久間
WTO次期交渉について
1999.7.27
佐久間智子(市民フォーラム2001)
I. WTO次期交渉を巡る議論
■交渉方法 + 調印方法
▽個別分野交渉(米国が主張)+ 早期収穫方式(個別交渉で成立した分野から次々に調印する方式)
▽包括的交渉(日本、EUが主張)+ 一括受諾方式(包括的交渉の結果を一括して調印する方式)
▽採用される可能性が高い交渉方法; 包括的交渉を行い、調印は最終的に全ての分野の交渉終結後に一括受諾方式で。しかし調印前でも合意が成立した分野から暫定的に実施していく。交渉期間は約3年で合意。
■関税引き下げの方式
▽フォーミュラ方式;全ての国が各国のそれぞれの現行関税率から一定割合を一律削減する(モノの関税引き下げで使われたが、サービス交渉でもこの方式を用いることを米が提案)
▽ゼロ・ゼロ(Zero for Zero)方式;各国が合意できる特定部門について相互に関税を撤廃する(APECから持ち越されたATL(林産物、水産物など9分野や鉱工業製品分野)に適用?)
▽タリフ・ピークの一律削減;各分野の最大関税率を引き下げる(農業分野?)
▽関税分類の簡素化;全ての関税について、3つに分類し、それそれの分類ごとに関税率を一律化(EU提案)
▽タリフ・エスカレーションの撤廃;原料よりも加工品の方が高くなる関税制度を止める
■交渉対象分野
▽ビルトイン・アジェンダ(ウルグアイ・ラウンド交渉で2000年からの交渉再開が定められている分野):農業(AOA)、サービス(GATS)
▽ニュー・イシュー(一部先進国が新たに交渉の対象にしようとしている分野、対象とされるかどうかは未定):政府調達、競争政策、投資、貿易と環境、貿易と労働
▽シアトル閣僚会議までに交渉が進められる分野(ATL;Acceralated Tariff Liberalization);林産物・水産物などを含む、鉱工業製品(モノの分野)の関税撤廃交渉。閣僚会議での調印を目指す。
▽定期的レビュー項目:知的所有権(TRIPs;2000年)、貿易関連投資措置(TRIMs;1999年)
■交渉の焦点
○シアトル閣僚会議までに交渉が進められる分野
▽鉱工業製品(この分野の関税率が低い日本が積極姿勢。ただし林野庁は、林・水産物については鉱工業製品の枠から外し、別途交渉することを求めている。紙パルプは林産物ではなく鉱工業製品の扱いになる予定?)
○ビルトイン・アジェンダ
▽農業(米国の最大の課題。EUは補助金の堅持を目指す。バナナ、牛成長促進ホルモン、遺伝子組み替え(GMOs)食品、ダイオキシン汚染食品など、米ーEU間の対立がすでに激化している分野)
--貿易自由化(米国・ケアンズグループなど);輸出補助金の撤廃・削減、数量制限・輸入禁止を関税割当(Tariff
Rate Quotas)に移行、TRQsの拡大、国家貿易企業の撤廃、関税引き下げ、市場アクセスの改善(特に途上国から先進国市場に対して)、特別セーフガードの撤廃
--食品安全性、農業の多面的機能(環境)、食料安全保障(EU、日本、ノルウェー、モーリシャス、カリブ諸国など);肉牛・乳牛へのホルモン剤投与の問題、GMO(遺伝子操作)食品の取り扱い(SPS協定=コーデックス委員会食品規格)、環境・地域社会保全のための補助金の維持(グリーン・ボックスの維持・拡大)、特別セーフガードの維持
--途上国への特別かつ差異のある待遇(Special and Differentiated Treatment ); 特恵関税の改善またはLDCsからの全輸入品に対する関税撤廃など。
▽サービス(EU、米国が積極的。日本は防御?=農業自由化とトレード・オフの関係。公共サービス、非営利分野が民営化、営利化を迫られることが最大の問題)
エネルギーなど公共サービス分野、電気通信分野、弁護士・会計士、病院・介護、流通などへの内国民待遇、国際基準の導入、電子商取引については関税を設けないとの暫定合意を維持(米・EU)
実務(弁護士・会計士・コンピュータ関連・研究開発・不動産・レンタル/リース)、通信(郵便・配達・電気通信・オーディオビジュアル)、建設関連(ビル・土木・設置/組立・仕上げ)、流通(問屋・卸・小売・フランチャイズ)、教育(初中高等・生涯)、環境(汚水処理・廃棄物処理・公衆衛生)、金融(保険・銀行・証券)、健康関連(病院・介護)、観光・旅行(ホテル・レストラン・旅行代理店・旅行ガイド)、レクリエーション・文化・スポーツ(娯楽・報道・図書館・博物館・スポーツ)、運輸(外航海運・内陸水運・航空・宇宙輸送・鉄道・道路輸送・パイプライン)、広告、電子商取引など、計160業種
○ニューイシュー
▽政府調達(米国は11月の閣僚会議までに透明性などに関する原則を交渉、閣僚会議での調印を目指しているが...)
情報の透明化、国・自治体・市町村などあらゆるレベルの政府調達に対して内外無差別を徹底(特に途上国)
▽競争政策(米国の反ダンピング乱発を止めさせたいEU、日本。したがって米国はこのイシューに消極的。途上国による国内競争政策の整備を支援することが議題となる?)
独占禁止法などの競争政策がいまだ整備されていない国での競争政策の整備義務づけ、途上国の制限的ルール(パフォーマンス要求など)の撤廃、業界団体などによる制限的商慣行の撤廃、外国企業の国内市場で一定のマーケットアクセス確保
▽投資(EU、日本は前向き。米国は国内(議会)からの批判を恐れて消極的。インド・パキスタンは反発)
WTOで交渉されるとしても、OECDでとん挫したMAIとは違ったアプローチ(ボトム・アップ方式=各国が自由化できる分野を自己申請して交渉するやり方)を取ることはほぼ間違いなし。この方式を採用するのであれば、新たに投資協定を作らなくても、TRIMとGATSの再交渉によっても同様の効果が得られる。米国は後者を希望。
▽環境と貿易(EU前向き。米政府は消極的だが米議会は前向き?インド以下ほとんどの途上国は「偽装された保護主義」に使われると反発)
多国間環境協定の貿易制限措置をWTOルールに位置づけること、エコラベルなどのPPMsに基づく措置を容認させること、環境・食の安全については「予防原則」に則ることなど。
▽環境と労働(EU前向き。米政府は児童労働と貿易制裁のリンクを考案中?)
「偽装された保護主義」との途上国の反発を避けるため「基本的労働基準の遵守」にはプラスのインセンティブを与えるという打開策がEUから提案されている。
▽その他、貿易の円滑化(貿易手続きの簡素化)、紛争解決手続きのレビューなど
II. 最近のトレンド
■途上国やNGOからの批判を意識した新たな取り組み(開発・環境への配慮、透明性・NGO参加)
--貿易と開発委員会(CTD)、貿易と環境委員会(CTE)などでの議論(1995年〜)
--開発および環境に関するハイレベル・シンポジウムの開催
--1996年12月のシンガポール閣僚会議よりNGOのオブザーバ参加容認
--NGOとの非公式協議が増加(WTO、各国)
--EUがミレニアム・ラウンドの「持続可能な開発への影響評価」を外部に委託
■開発、環境の議論を逆手に取った先進国の戦略
ーNGOからの情報収集(ヒアリング)の活発化(米国、EU、日本)
ー市民参加の促進により、自国の企業や環境NGOを紛争解決で活用しようとしている米国
ー途上国のためを装った「市場アクセス」議論と、環境のためを装った「保護主義」の併存
■現在出されている関連の提案;
--後発開発途上国(LDCs)からの輸出品に対し、2003年までに先進国が関税を撤廃(EU提案)
--途上国に対するWTO法律支援センターの設立(バングラディッシュ、コロンビア、香港、オランダ、ノルウェー、フィリピン、南アフリカ、タンザニア、チュニジア、トルコ、イギリス)
--生産プロセス手段(PPM)に基づくエコラベルを容認させる(EU)
--貿易ルールにおける「予防原則(Precautionary Principle)」の確立(EU)
--基本的労働基準の遵守に対する貿易面での(制裁ではなく)インセンティブを設ける(EU)
--ダンピング率が2%以下を反ダンピング認定の対象からはずしているが、これを途上国に対しては5%まで対象外とする。また、ダンピングされた輸入品が総輸入の3%以下の場合も対象外としているが、これについても途上国に対しては5%まで対象外とする(インド提案)
--先進国のタリフ・ピーク(最大関税率)を農業、繊維、衣料、皮革製品など途上国が比較優位を有する分野において現行の350%から引き下げる(欧州議会)など
III. NGOの主張・提案
■地球環境問題の解決策と国際経済ルールの矛盾
-- 多国間環境協定(MEAs)が未発達な中での急速な経済のグローバル化(貿易・投資ルールの自由化、無規律な資本移動の増大)
★市場経済には環境・社会政策が伴われねばならない★
■国内政策と国際経済ルールの矛盾
-- 内外無差別原則が循環型経済(資源の地域循環)や、地域社会経済活性化のための政策を阻害
(途上国の発展も阻害)
-- 科学的根拠の追求が「予防原則」および国民主権(国民の望む政策の実施)と矛盾
-- 環境保全や労働者保護を装った北の「保護主義」に途上国が反発(一方的貿易措置)
-- 南を装った多国籍企業による「市場アクセス」要求が各国の環境・雇用政策に及ぼす悪影響
-- 生物特許の確立と知的所有権の適用期間の延長による行き過ぎた特許保護(自由化に逆行?)が企業による種苗や科学技術の独占を招く
■経済のグローバル化や、その結果である金融・経済不安から生ずる環境問題
-- 輸出のための天然資源の収奪激化、農薬多投、大規模潅漑などに頼る非持続型農業・養殖の拡大
-- 森林の縮小や植林による所有権の変化などによる、伝統的焼き畑農業の持続不可能化
--→ 結果としての沙漠化、土壌劣化・流出、沿岸部の劣化、生物多様性の消失
-- 南北格差、国内格差の拡大
--→ 都市化とスラム化。食料分配の問題、衛生、廃棄物、公害など
-- 種子や生薬などの生物資源の排他的独占権が確立されることによる、農業生物多様性の喪失、遺伝子組み替え生物の拡散、小規模農家の経営圧迫 ★食料と水の確保・分配の問題、環境・衛生の問題★
■政策のグローバル化に伴う問題
-- 意思決定の場が遠退くことが人々を無気力、無関心にしている問題(分権に矛盾?)
-- 複雑性が増すことにより、専門家だけの議論にされてしまう問題(住民参加・情報公開に矛盾?)
-- 普遍性が追求されることで、文化、価値観、生物の多様性が看過されがちである問題(マイノリ ティの権利に矛盾?)
-- 国際レベルで三権分立が実現していない問題(民主主義に矛盾?)
★グローバル化は、情報・資源・能力の集中する国家やセクターによる「操作」を容易にする★
■課題整理
-- ★Welfare State(福祉国家=国民国家)からWelcome State(誘致国家=企業国家)への変質★
(国家や自治体の公的機能(税制=所得の再分配、規制=環境・社会規制、弱者救済など)が否定される一方、国際レベルでこの機能が代替されるようにはなってきていない)--→サービス貿易自由化によりこれら公共サービスおよび非営利事業が民営化・営利化される危険性)
-- ★あらゆる国内政策の国際整合化(ハーモナイゼーション)による文化・生態系の多様性の喪失★(生態系ごとに異なる環境保全政策を採択すること、住民の望む発展パターンを選択すること、住民の価値観を法制度に反映することなどを阻害)
■必要とされる施策
-- 短期資本移動の抑制(国際規制・税制)と持続可能な実体経済への資金環流、環境保全への誘因
-- 多国籍企業行動規制
-- 国際税制・国際競争法・国際環境法の整備、充実
-- 国家、地域の主権の確認
■具体的な方法
-- ★市民・NGOなど、非政府・非営利セクターによる相互の交流、協力、連携★を通じ、信頼醸成、民主化、環境保全、開発政策などに関する水平的な国際協力を模索
-- 一般市民、地域住民に対する★情報公開を超えた「積極的広報」★により、公的機能への理解を促進
■WTOについての提案
○WTO制度一般について
1. WTOのコンセンサス方式は機能していない。いくつかの前提条件を付けた上で「投票方式(理想的には無記名投票)」を採用する。
2. たすきがけ制裁は廃止する。ネガティブ・コンセンサス方式も廃止する。
3. 途上国が抱える最大の問題は、国際交渉に対応できる資金・知識・人材が圧倒的に不足していることである。約束されている資金・技術支援を速やかに実施すると共に、紛争解決システムを利用できるように支援する。(→WTO法律支援センター設立提案)
4. 「市場アクセスの向上」は結果主義の管理貿易であるため、前提としない。ただし、後発途上国などからの輸出品については別途優遇措置を講じる(GSPは関税率が軒並み低下する中、十分機能しなくなっていることに配慮する)。(→2003年までにLDCsからの輸入に対し先進国の関税を撤廃する提案)
5. 「自由」ではなく「公正」と「持続可能性」を貿易ルールの原則とする。そのために必要な国境措置を維持・再構築してくことを容認させる(スタンド・スティル、ロールバック両条項の廃止)。
6. 環境・食料安全保障などの原則を確立する。ただし、途上国に対しては差異のある措置を講じる。
7. 紛争パネルへの市民参加(米国が主張)は、先進国企業のパネル介入を可能とするため、前提条件を厳しくするなどの配慮が必要。
8. 環境保全や労働者保護などの目的であっても、一方的な貿易制裁は一切認めない。MEAsによる貿易措置はMEAsのユニバーサリティなどについての条件付きで容認していく。(多国間主義の維持)
○次期交渉について
9. 次期交渉では「さらなる自由化」ではなく、ウルグアイ・ラウンド合意(WTO協定)が社会・経済・環境・開発に与えた影響の評価レビューをまず行うことが必要である。その結果に従い、WTO協定の改訂作業に入ることができる。
10. 投資、サービス、政府調達、競争政策などの分野については、十分な理解と現状認識が存在せず、特に投資・サービスについては急成長分野であるために見通しが不透明である。また、公共サービスや非営利サービス事業など、営利化にはなじまない分野も含まれているため、これら公共・非営利サービスの分野の交渉には応じない。投資、政府調達、競争政策についても交渉開始よりも前に、開かれた議論の積み重ねが不可欠である。
10. 農業補助金の例外として「食料安全保障ボックス」を新設、価格支持や備蓄政策などを容認させる。食料輸入国の輸入品目の国内生産の奨励、自国内消費のための環境保全型農業の奨励を直接所得保障の条件とすること。(途上国からは「開発ボックス」が提案されており、食料輸出国と輸入国の区別という考え方は一般化していない。一方「多面的機能」はEUの輸出補助金を守るための詭弁だとして途上国から不評を買っている。)
11. 政府補助金が支給できない純食料輸入途上国を対象に、WTO以外のフォーラムで「小規模農民保護基金」を創設、先進国の農業補助金の一定割合を拠出する。
To: wto@jca.apc.org
Subject: [wto 143] WTO 関連情報 6月 Vol.2
Date: Tue, 27 Jul 1999 19:01:47 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.apc.org>
WTO関連情報 6月 Vol.2
目次:
■WTO新ラウンドに関する閣僚級会議がブダペストで開かれる
■ 米政府ヒアリング;フロリダの農家が自由化に反発。ミネソタの農業団体はGMO問題と一次産品価格低迷に懸念を表明
■ シラク仏大統領がメルコスール(南部南米共同市場)、チリとEUの貿易経済協力協定の交渉にストップ
■ WTO一般理事会の会合にインド政府がWTO次期交渉に向けた提案を提出
■韓国がWTOの投資ルールに注文
■WTO新ラウンドに関する閣僚級会議がブダペストで開かれる
5月28日、ブダペストでWTO新ラウンドに関する閣僚級会議が開かれた。参加したのは18カ国(アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、コスタリカ、チェコ、ハンガリー、インド、日本、韓国、メキシコ、モロッコ、ニュージーランド、シンガポール、スイス、タイ、米国)と香港およびEUである。閣僚らは、現在WTOに加盟申請を行っている国々が次期交渉開始までにWTOに加盟できるよう努力することで一致した。次回会合は10月にスイスで開催される。
参加した閣僚のほとんどが、経済発展レベルの違う全ての加盟国の関心が反映されるよう、広範かつバランスのとれた次期交渉を目指すことに支持、そうでない限りビルトイン・アジェンダ(農業・サービス)においても大幅な自由化は達成できないとした。しかし一部の国からは、既存のWTO協定の実施に困難を来している国々に配慮し、交渉範囲を広げすぎないよう注文が出された。
また、途上国、特に後発開発途上国の関心への配慮を優先すること、およびその具体策を検討することに合意が形成された。WTO協定に合わせた国内法の改定、人材やインフラ面での国際協力や、貿易関連の技術支援策などである。
次期交渉の中身については、ビルトインアジェンダ以外の交渉課題として、鉱工業製品(モノの貿易)の関税引き下げを取り上げることがほぼ合意された。その他に投資や競争政策、貿易手続きの簡素化などが挙がったが、合意には至らなかった。
ほとんどの閣僚が交渉方式について「一括承認・受諾」形式と3年間の交渉期限を支持、次期交渉の概要を定める「シアトル閣僚宣言」は解釈のズレが生まれないよう、明確かつ簡潔な文書とすべきだと主張した。シアトルでは、紛争解決に関する了解についての再交渉の結果や、後発開発途上国の外国市場へのアクセスの改善策など、詳細な決定事項について別途文書を作成することもほぼ合意された。
閣僚の多くは、市民社会の理解を促進するためにWTOの透明性を向上すること、市民社会との対話を促進することを支持した。
抄訳:Friends of the New Round Declaration, June, 4 1999, Inside US Trade
■米政府ヒアリング;フロリダの農家が自由化に反発。ミネソタの農業団体はGMO問題と一次産品価格低迷に懸念を表明
農業が観光に次ぐ主要産業であるフロリダ州で米農務省(USDA)と米通商代表(USTR)がWTO次期交渉に関するヒアリングを開催した。参加した農家のほとんどが「農業貿易の自由化」に否定的な見解を表明、米市場向けに輸出を行っている外国の環境・労働基準の低さや、金融危機による通貨切り下げにより、さらに安価となった輸入食料と競争できずに米農家が損害を被っている事態が明らかにされた。
かんきつ類の生産コストは1ポンドあたりブラジルでは48セントなのに対し、フロリダでは76セントであるが、その理由は米国が厳しい労働・環境基準を採用しているためであるという。そのため、EUや米国の農家は、農業貿易を自由化する際にはEUや米国の労働・環境基準と同等の基準を他国も採用することが条件とされるべきだと考えている。
11,500農家を代表するフロリダかんきつ類相互会社の代表は、ブラジル産のかんきつ類の99%が輸出用である一方、米国産で輸出されているのは全体の10%に過ぎないとして、ブラジルからのかんきつ類輸入に対する関税引き下げは「自殺行為」だと主張した。
ピーナツ生産者らからは、NAFTA(北米自由貿易協定)やGATTが成立しても米国からのピーナッツ輸出は増加していないとして、自由化そのものに対する疑問が呈された。
一方、トウモロコシ生産者や大麦モルト生産者らが参加したミネソタ州でのヒアリングでは、低迷する一次産品価格と、海外から反発が強まっている遺伝子組み替え(GMO)作物の問題に意見が集中した。また、、EUが米バナナ会社による中南米諸国からのバナナ輸出を規制してきた件について米国がWTOに提訴、勝訴した件についても、地元NGOからは、米国内で禁止されている化学品を使用して生産されたバナナをEUが輸入しないのは当然であるとの厳しい意見が出された。
あるサウスダコタ州議員は、WTO閣僚会議の米政府代表に、誰に対しても責任を負わない多国籍種苗・農化学企業の代表ではなく、全米農業者連合(National
Farmers Union)の代表を入れるよう要請した。
これに対してUSDA側は、WTO閣僚会議では農業分野の再編成や低迷する一次産品価格、GMO表示などについては話し合われないだろうと返答し、WTO協定の内容説明に終始した。
参考:USTR,USDA hear concerns on trade talks, US agenda alarms Florida farmers,
By Kevin G. Hall, Journal of Commerce, June 8,1999
The fires burn in Europe; Taking stock of US policy in the World Trade Organization,
By Steve Sprinkel, An ACRES, USA, Special Edition, June 7, 1999
■シラク仏大統領がメルコスール(南部南米共同市場)、チリとEUの貿易経済協力協定の交渉にストップ
6月4日にケルンで開かれたEUサミットで、シラク仏大統領は2000年12月までの開始で合意されている南米5カ国との貿易・経済協力協定の交渉に反対を表明、サミットの共同声明から突如、この件に関する文言が削除された。この協定については6月28日、29日にリオジャネイロで開かれる欧州・南米会議に大きな影を落とすことになる。このリオ・サミットはシラク氏自身が提案したものである。シラク大統領は、WTO次期交渉における農業分野の扱いが明らかになるまで、他の貿易交渉を開始すべきではないと主張したが、それに対し、他のEU首脳は南米市場が米国に独占されると反発した。
参考:Spanish paper reports 'fiasco' as Chirac 'blows apart' EU-Mercosur agreement,
BBC summary of world broadcasts, June 8, 1999
■ WTO一般理事会の会合にインド政府がWTO次期交渉に向けた提案を提出
6月7日、8日に行われたWTO一般理事会の会合にインドが提出したペーパーは、反ダンピング協定(実施に関する協定第5条)、補助金および相殺関税に関する協定、衛生植物検疫に関する協定(SPS協定)、および貿易関連投資措置(TRIMs)協定の改正を提案している。
反ダンピング協定についての提案は、対象外とされている輸出額の2%を下回るダンピング率を、途上国からの輸出については5%とすること、および対象外とされている輸入に占めるダンピング輸入の割合を現行の3%から、途上国に限って5%に引き上げることである。さらに、同一品目のダンピング調査を再開するときには、前回の調査終了時より1年間の期間を空けること、および事実認定のための国レベルでの調査の結果に対して他国が反論することを認めるよう要請した。
最近のWTO年次報告によれば、1997年に開始された反ダンピング調査は、オーストラリア42件、EU41件、南アフリカ23件、米国16件であり、その対象とされたのはEU59件、中国31件、台湾16件、韓国16件となっている。また、1997年時点に発動されている反ダンピング措置は合計で880件であり、その34%が米国に対して、16%がEUに対して、10%がカナダ、9%がメキシコに対して発動されている。
補助金に関するインドの提案は、途上国が輸出実績に応じて支出される補助金、あるいは国内製品を優遇する補助金などをWTOルールで容認するというものである。さらに、相殺関税の適用の対象外とされている輸出価格の3%までの補助金を、途上国については7%まで引き上げるよう要請した。インドは、既存の補助金ルールが先進国型の補助金だけを例外扱いとし、途上国型の補助金を差別的に扱っていることを非難している。
SPS協定についてのインドの提案は、現在途上国に与えら得ている、SPS協定に基づく国内法整備の実施猶予の期間を延長すること、および国際基準の策定プロセスに途上国が参加できるようにすることである。
TRIMsに関しては、途上国が外国から進出した企業に対して国内コンテント要求(国内産の部品を一定割合使用することを要求)や輸出要求(生産量の一定割合の国外輸出を要求)を2000年1月までに撤廃しなければならないとする現行ルールを改正し、これらの維持を容認するよう求めた。
参考;India urges revision of WTO agreements on antidumping, subsidies, investment,
International Trade Reporter, Volume 16 Number 23m June 9, 1999
■韓国がWTOの投資ルールに注文
6月3日、4日に開催されたWTO貿易投資作業部会(WGTI)において韓国政府は、投資ルールの交渉開始は支持しつつも、その中身を制限する内容の提案を提出した。その内容は、原則自由化で例外項目リストを各国が提出するという「トップ・ダウン方式」のOECD・MAIタイプの協定ではなく、WTOのGATS(サービス貿易協定)が採用したボトム・アップ方式を採用することで発展レベルの違う各国の事情を反映できるようにすること、および対象範囲を製造業分野に限定することの2点である。
現在、WTOで投資協定を交渉することにはインド、パキスタン、ASEAN諸国が難色を示しており、米国は議会やNGOの反発を恐れてこの件には口をつぐんでいる。投資協定の交渉に前向きの姿勢を示しているのはEU、日本、ブラジル、カナダ、スイスなどである。
参考:South Korea urges limited talks on investment in next WTO round, International
Trade Reporter, Volume 16 Number 23, June 9, 1999
To: wto@jca.apc.org
Subject: [wto 140] WTO 関連情報 6月 Vol.1
Date: Fri, 23 Jul 1999 21:55:53 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.apc.org>
WTO関連情報 6月 Vol.1
■ OECD閣僚理事会;MAIの失敗を正式に認める。
■ 米政府が国家貿易企業について4ヶ国に質問
■フィンランド緑の党がWTO次期交渉が新たな分野に取り組むことに反対を表明
■オランダ政府、新たな投資協定ではなく既存のTRIMs(貿易関連投資措置に関する協定)の強化を主張
■バーシェフスキ米通商代表、サービス貿易の大幅自由化を提案
■ OECD閣僚理事会;MAIの失敗を正式に認める。
OECDパリ本部で毎年4月〜5月に開かれる閣僚理事会が今年は5月26日・27日に開催され、加盟29カ国から貿易相と財務相が参加した。今回の焦点はWTO次期交渉だったが、その内容に実質的な進展は見られなかった。また、採択された閣僚声明は、米政府からの要請もあり、投資協定の今後の可能性については言及していない。
今回の閣僚理事会では、この議論以外にも、世界経済の展望や持続可能な開発に関するOECDの調査、電子商取引への課税システムの開発やバルカン半島における戦後復興にOECDが果たしうる役割などについて話し合われた。
加盟各国は11月のWTO閣僚会議でビルトイン・アジェンダ(農業・サービス)の再交渉を開始すること、および次期交渉では途上国が重要な役割を担うことについては合意したが、新たにどの分野を交渉に加えるかについては全く合意に至らなかった。
WTO次期交渉を3年以内に終結することと、一括受諾方式を採用することについてはほぼ合意が形成された。閣僚理事会後の記者会見に応じたグリア・メキシコ財務相によれば、電子商取引と政府調達についての規律は、次期交渉が開始されるよりも早く合意に至る可能性が高いという。
閣僚声明は国際労働基準の遵守を勧告しているが、この問題はWTO次期交渉に関する段落では取り上げられていない。貿易ルールに社会条項(労働基準遵守規定)を含めることを主張している労働組合は、これを支持するフランスなどとともにロビーを展開したが、途上国を代弁するメキシコ、韓国、日本が反対したのである。
オーストラリアのフィッシャー貿易相は、豪政府の調査報告「世界貿易改革」を発表、各国の関税率を一律に50%引き下げれば毎年4000億ドル以上も貿易額が拡大し、関税が全廃されれば同様に7500億ドルの貿易拡大が実現するとの調査結果を報告した。
OECD加盟各国は国際金融システムの強化と金融危機の予防を目的とした「コーポレート・ガバナンス原則」を採択、これが今回の閣僚会議最大の成果となった。これは昨年のOECD閣僚会議の勧告を受けてOECDが準備してきた原則声明である。閣僚らは、この原則声明がOECE各国、および世銀・IMFを通じて途上国においても積極的に活用されるよう期待を示したが、この原則声明は他の国際条約と違って法的拘束力を持たない。
参考;Trade Agenda Left Unresolved At Conclusion of OECD Ministerial Meeting, International
Trade Reporter, Volume 16 Number 22, June 2,1999.
OECD Final Communique and Communique of OECD Council Meeting at the Ministerial Level
(www.oecd.org)
■ 米政府が国家貿易企業について4ヶ国に質問
米政府は、国家貿易企業(STEs)に対する国際規範作りをWTO次期交渉の目標の一つに掲げている。この件について米政府は5月26日のWTO会合の場で、メキシコ、ノルウェー、トルコ、日本の4ヶ国にそれぞれ質問を出し、次回会合までに返答するよう要請した。現在のWTOルールではSTEsの維持は容認されているが、その運営は無差別原則と市場主義に基づいていなければならないとされている。
メキシコに対しては、STEであるCONASUPOが粉乳の輸入ライセンスを寡占している理由について、ノルウェーに対しては国家穀物会社が排他的独占特権を維持している実態について、トルコに対しては政府のタバコ公社(TEKEL)の民営化が中止されたことについて、そして日本に対しては4月のコメ関税化以後の食糧庁の米輸入の実態について、それぞれ返答が求められている。
抄訳;U.S. Presses WTO Members to Explain Activities of State Trading Enterprises,
International Trade Reporter, Volume 16 Number 22, 1999
■フィンランド緑の党がWTO次期交渉が新たな分野に取り組むことに反対を表明
5月31日、ヘルシンキで行われたNGOセミナーの場で、フィンランド緑の党議長が発言、WTO次期交渉において新たな分野(ニュー・イシュー)の自由化交渉を開始することに反対の姿勢を明らかにした。それよりも、現在のWTOシステム全体について評価を行わねばならないという主張である。フィンランド緑の党は現在、与党連合の一角を担っている。一方、どうセミナーに参加していた保守派の外務大臣は、にゅー・イシューを含めたミレニアム・ラウンド路線(交渉分野拡大路線)を堅持した。
■オランダ政府、新たな投資協定ではなく既存のTRIMs(貿易関連投資措置に関する協定)の強化を主張
オランダ政府が5月28日に発表した「新ラウンド('The New Round')」によって、オランダのWTO次期交渉に向けたポジションが明らかにされた。注目すべきなのは、OECDでMAI(多国間投資協定)交渉グループの議長国を務めていた同国が、WTOでも早急に投資協定を交渉していこうとしているEC(欧州委員会)を批判、それを避けて既存のTRIMs協定を強化していく方法を主張している点である。オランダはWTOシステムの強化を望んでおり、そのために貿易に関連した競争性策や投資の分野における規律作りを重視している。しかし、こうしたニュー・イシューに交渉範囲を広げることに反発が広がっている事態を受け、より現実的な路線を模索していると言える。
その一方、金融危機などで「自由貿易」への疑念が広がっていることに対し、さらなる自由化だけがこの危機を脱する方法だと主張、関税手続きや反ダンピング措置、補助金などの非関税障壁の削減を目指すとしている。また、多くの途上国がウルグアイ・ラウンド合意の実施困難を主張していることに対しても、この合意について再交渉することは不可能だと切り捨て、ケース・バイ・ケースで対応すべきだとした。
多国間環境協定(MEAs)とWTOルールの矛盾点についてはMEAsの貿易制限措置をWTOルールの下で容認することを支持した。また、予防原則と汚染者負担原則(PPP)についても受け入れていく方針を示したが、その提案は具体性を欠いていた。さらに、EU内の農業従事者が直面している(高い環境などの基準などによる)高い生産コストを低減するための環境補助金をどう扱うべきかについては言及していない。
抄訳:Latest Development in the Netherlands, by Erik Wesselius, June 3,1999
■バーシェフスキ米通商代表、サービス貿易の大幅自由化を提案
バーシェフスキ米通商代表は6月1日、ワシントンD.C.における世界サービス産業大会の場で講演し、次期WTO交渉におけるサービス貿易の大幅自由化に意欲を示した。同代表は、ウルグアイ・ラウンドで締結されたサービス貿易協定(GATS)の交渉形式(リクエスト・オファー方式=各国ごとに自由化できる部門やその程度について自主申請し、交渉するやり方)は効率的でないとして、モノ(鉱工業製品)の関税引き下げ交渉方式(各国が自主申請した例外部門を除き、原則全ての部門を一律に自由化する方式)をサービス分野にも採用すべきだとした。
さらに、各国が合意できる特定部門については関税を撤廃する「ゼロ・ゼロ方式」や、全ての国が各国の現行関税から一定割合を一律削減する「フォーミュラ方式」をサービス貿易交渉でも積極的に活用して行くべきとの見解を示した。米国は、これらの方式を組み合わせて、特に金融、電気通信(テレコム)、運輸、オーディオ・ビジュアル、建設、教育、健康、観光、および専門職業における大幅自由化を目指している。
同代表によれば、GATSの下で、オーディオ・ビジュアル部門で自由化を約束しているのは14ヶ国に過ぎず、また、ニュースの収集・配信を自由化した途上国は皆無である。さらに、モノの貿易自由化に不可欠である運輸サービスの自由化を約束している国は50ヶ国に満たないという。ウルグアイラウンド終結以後に締結された金融サービス協定や基本テレコム協定にはそれぞれ70ヶ国しか参加しておらず、同代表の目的は残りの約60ヶ国のWTO加盟国にこれら個別協定を受け入れさせることである。
基本テレコム協定では、国内規制に一律に課される国際規律(原則)を採択した。米国は、今後のサービス交渉においても、このような国際規律を作りたいとしている。バーシェフスキ通商代表は、GATSの再交渉によって、技術開発が促進され、不公正な障壁が撤廃されることを期待すると語った。同代表はまた、健康産業なども電気通信を介してサービスを提供できる部門であり、差別的な扱いを受けるべきではないと主張した。
同代表はまた、政府調達の透明性を確保するための協定を、シアトルWTO閣僚会議よりも前に締結すること、およびインターネットを介する電子商取引に関税を課さないとの暫定合意の期限を延長することを米政権は目指していると述べた。さらに、米国と中南米諸国が交渉している米州自由貿易協定(FTAA)ではサービス貿易自由化に関する草案が9月には完成する予定であり、また米国とEUの間で話し合われている大西洋間経済パートナーシップ(TEP)では専門職業サービスの資格規定の相互認証が話し合われており、その両方の結果がWTO次期交渉の行方にも大きな影響を与えるだろうと語った。
抄訳:Barshefsky reveals U.S. push to broaden WTO service talks, Inside US Trade,
June 4 , 1999
To: wto@jca.apc.org
Subject: [wto 135] WTO 関連情報 99/5 Vol.2
Date: Wed, 21 Jul 1999 15:06:42 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.ax.apc.org>
WTO関連情報 99/5 Vol.2
目次:
■WTOシアトル閣僚会議に向け、米産業界がアンケート調査
■EU貿易大臣会合がWTO次期交渉に向けた共通ポジションについて協議
■米国の食品加工業界が加工食品輸出を戦略分野に位置づけるよう米政権に要請
■WTO次期交渉に関する国際商業会議所(ICC)の要請
■欧州議会がEU農業補助金の削減を勧告
■米国のアグリビジネスの連合がWTO次期交渉に注文
■ 「予防原則(Precautionary Principle)」が今後の交渉のカギ?
■WTOシアトル閣僚会議に向け、米産業界がアンケート調査
米産業界は今年11月のWTOシアトル閣僚会議に向けて「貿易拡大のための米国連盟(U.S.Alliance
for Trade Expansion)」を組織、シアトルの全米製造業連合(NAM)に事務局をおき、毎週会合を開催している。会合では、国際貿易に関わる女性連合(WIIT)が実施したアンケートの集計結果が発表された。以下の結果は米議会と行政府、およびメディアや世論調査会社に送付される;
1. 米国人のほとんどが、貿易問題について詳しくないながらも、貿易協定は「相互主義」に基づくべきだと考えている。
2. 84%の人が、外国市場が閉鎖的である限り、米国の貿易は拡大できないと答えた。
3. 70%の人が、貿易協定は良いものであり、WTOシアトル閣僚会合において米国が指導力を発揮することを望んでいる。
4. 労働組合員の家庭と、そうでない家庭とでは回答の内容に若干の違いがあった。
■EU貿易大臣会合がWTO次期交渉に向けた共通ポジションについて協議
5月9日・10日、EU議長国であるドイツの経済担当相の議長の下、ベルリンでEU貿易大臣会合が開催された。WTO次期交渉に向けたEUの共通ポジションについて話し合う最後の閣僚級会合である。ここで、WTO次期交渉の交渉期間については3年以内、交渉方法は「包括的」かつ「一括受諾」、対象分野については鉱工業製品の関税引き下げ、投資ルール、競争政策、貿易と環境、および貿易と社会条項(労働基準)などのニュー・イシューを、既に交渉することに国際的合意のある農業とサービス(ビルトイン・アジェンダ)とともに交渉していくことで基本合意された。ただし投資や競争政策などについては、次期交渉の間に少なくとも原則に関して合意を形成し、その後の具体的交渉につなげるとした。
特に投資ルールについては、OECDでのMAI(多国間投資協定)の失敗を受けて、MAIとは全く違う、新しい投資ルールをゼロから策定していくべきだとした。具体的には、MAIのときのようなトップダウン形式(原則自由化、例外リストを提出)ではなく、ボトムアップ形式(自由化できる分野や品目についてだけリストアップ)で交渉すること、発展段階に応じた差異のある待遇、および実体経済に関わる投資だけを対象とする(資本移動を含めない)ことなどである。
競争政策については、WTO加盟各国において競争政策を整備していくためのインセンティブを設けることと、透明性・無差別・対象とされる慣行などについて基本原則を定義することを提案する。EUはこれにより、各国はWTO原則に反する行為について該当国を提訴することができるようになるとしているが、米国内の反トラスト法を外国に適用することが制約されるとして米国が反発することは必至である。
鉱工業製品の関税については、最大関税率(タリフ・ピーク)を下げることと、経済発展の度合いに応じた段階的なタリフ・ピークを求めていく。また、関税制度を統一化するために、全ての品目を3つのカテゴリーに分類し、その分類ごとに一括して関税引き下げ率を定めていくことを提案する。こうした制度を採用することにより、EUや米国、日本の関税は全体平均で40%程度引き下げられるとしているが、途上国に対しては、より高い関税を維持できるように高めの平均レベルを設定するとしている。
EUはまた、関税相当額の査定方法や、許認可制度、原産地規定、国際整合化などの水平的課題(あらゆる分野の貿易にまたがる問題)でも積極的に議論をリードしていくとしている。
環境の問題については、多国間環境協定とWTOルールの整合性の問題に加え、消費者の環境意識を貿易ルールに反映すること、およびラベルに生産方法を記載することを容認する表示ルールを確立することを目指している。開発の問題については、EUは従来より、2003年までに先進工業国が後発開発途上国(LDCs)からの輸入に対する関税を撤廃すること、およびLDCsのWTOへの実質的な参加を可能とするための技術支援を強化することを主張してきている。LDCsからの輸入に対する関税撤廃については、5月12日の欧州議会でもEUのポジションとして、カリブ・中南米諸国と自由貿易圏を形成していく件とともに承認されているが、同日に閉幕した四極貿易大臣会合(東京)では合意に至らなかった。
知的所有権に関する貿易ルールについても規定を強化していくことが合意された。農業については、CAPの改訂版であるアジェンダ2000がEUの交渉ポジションそのものであることが再確認され、農業の持つ「多面的機能」に配慮していくことにほとんどの大臣が合意した。
各国別では、ベルギー副首相とイタリア貿易相は「グローバル化が人々に与える影響」を考慮すべきだと主張、ベルギーは特に労働、文化の多様性、環境、消費者保護への配慮を強調し、イタリアは途上国の利益、および市民の生活水準の向上への配慮を強調した。フランスはWTOとILO(国際労働機構)の合同作業部会が発足したことを歓迎し、WTOにおいて労働問題がきちんと位置づけられるべきだと主張した。
参考:Informal Council in Berlin on 9 and 10 May to prepare European Stance for next
multilateral negotiations on basis of commission paper - Globalization, respect for
reform of the Cap, resuming negotiations on investments 'from scratch', Agence Europe,
May 6,1999
European trade ministers back a global round of WTO negotiations to be concluded
quickly, Agence Europe, May 10,1999など
■米国の食品加工業界が加工食品輸出を戦略分野に位置づけるよう米政権に要請
全米加工食品製造者連合(Grocery Manufacturers of America)は、近年、小麦やトウモロコシなどの一次産品の輸出高を上回った加工食品を、一時残品輸出と同様に米国の貿易戦略分野として位置づけ、他国市場の開拓に力を入れるよう要請する文書を大統領宛に提出した。米国の食品加工業界は、遺伝子組み替え食品に対する表示義務づけに向けた他国の動きに神経をとがらせており、それに関連して、WTOの衛生植物検疫に関する協定(SPS協定)の改正を主張するEUの動きを押さえ込みたいと考えている。現行のSPS協定では、食品安全性や動植物保護のための国内措置は貿易障壁となるため、「科学的根拠」に基づいていなければならないとしている。 同業界は、鉱工業製品に課される各国の関税の世界平均が4%であるのに対し、一次産品と加工食品に課されている関税の平均は40%であるとして、一次産品と加工食品にも鉱工業製品並の関税率を適用するよう主張していくとしている。同業界の試算では、2005年までに加工食品輸出が米国の農産物・食品輸出に占める割合は75%に達するという。この割合(加工食品と加工食品材料の合計)は1975年には(B24%だったが、1988年には既に61%に達している。
参考:US food must be higher on tfade talks agenda-group, Reuter Financial Report,
May 17,1999
■WTO次期交渉に関する国際商業会議所(ICC)の要請
G8サミットを1ヶ月後に控えた5月20日、多国籍企業の連合体である国際商業会議所(ICC)はG8の議長を務めるシュレーダー独首相と会合を行い、WTO次期交渉に関する要請を行った。その内容は、交渉期間については、前回のウルグアイ・ラウンドの長期化が世界経済に悪影響を与えたとして、急速に変化するビジネス環境に遅れを取ることなく、産業界の要請に応えるよう、次期交渉の早期妥結を求めた。また、次期交渉では、企業が世界市場で平等な条件の下、自由に競争することを可能とする、より広義の「市場アクセス」の確保が焦点とされねばならないとした。これはつまり「国家の法規制に関する多国間の規律を強化することである」。具体的には;
@サービス貿易のさらなる自由化、
A農産物貿易における保護主義的障壁の実質的削減、
B関税の引き下げと撤廃、
C長期資本投資を含む海外直接投資(FDI)の保護、
D多国間環境協定(MEAs)に基づく貿易措置をWTOルールに整合するための基準作り、
E事実上の貿易障壁となっているエコラベルの問題への対処、
F通関手続きなどの貿易関連手続きの簡素化と近代化、などを要請した。
ICCは世界137ヶ国にICC委員会を擁しており、G7各国で組織されているICC委員会もそれぞれG7各国政府に要請文を提出している。
抄訳:Settle rows and launch new trade round, business tells G7, May 20
(全文はWeb; www.iccwbo.org)
■欧州議会がEU農業補助金の削減を勧告
欧州議会は5月4日、WTO全加盟国が2005年までに後発開発途上国からの輸入に対する全ての関税を撤廃すべきとの決議を採択した。この決議では、ウルグアイ・ラウンドの結果が途上国にとって不利に働いている現状を改善するよう求めている。さらに、先進国による補助金付き輸出により、途上国内での食品加工が伸び悩んでいる実態を踏まえ、EUの「非効率であり、保護されすぎている」EUの農産物分野への補助金を削減しなければならないとしている。
欧州議会はまた、WTO紛争解決メカニズムの下での係争が多発していることにより、途上国への負荷が大きくなっていることや、調停による解決への道がほぼ閉ざされてしまった点に懸念を表明した。したがって、途上国に対する「特別かつ差異のある待遇(SPDs)規定」を再検討することが次期WTO交渉の大前提とされるべきであるが、同時に、SPDの付与にあたっては、国際労働基準の遵守が条件とされるべきだというのが欧州議会の主張である。
具体的には、次期交渉においては、農業、繊維、衣料、皮革製品など、途上国が先進国に対して比較優位を有する特定分野におけるタリフ・ピーク(最大関税率)を現行の350%から引き下げることを主眼とすべきだとした。
参考:EU Parliament Endorse Duty Benefits For Least Developed Nations in WTO Talks,
International Trade Reporter, Volume 16 Number 19, May 12,1999
■米国のアグリビジネスの連合がWTO次期交渉に注文
米国の70以上の穀物輸出グループやアグリビジネスがWTOシアトル閣僚会議に向けて結成したシアトル円卓農業委員会(Seattle
Round Agriculture Committee; SRAC)は米政府に対し、価格支持に基づく従来の農業補助金を維持すること、および国内産業に影響の大きい一次産品輸入に対する関税割当制度(TRQs;一定量の輸入に対して低い関税率を適用し、それを超えた分については高関税を課す方式)の適用範囲を拡大しないことを要請する声明を採択した。SRACのメンバーには全米農業ビューローや全米綿花委員会、カーギル、コナグラ、全米加工食品業連合などのアグリビジネス大手が含まれているが、30万人もの加盟者を擁する全米農業者連盟は参加しておらず、同連盟は独自に提言を提出する予定である。SRACのメンバー自体がさまざまな利害を内包しているため、声明文でも利害が対立する部分についてはかなりあいまいな表現が残された。
米アグリビジネスの間には、米国が他産業を保護・振興するために米国の農業分野が 犠牲にされてきたとの認識がある。また1996年に成立した米農業法によって米国の農業はすでに自由化への移行期間にあるにもかかわらず、実際には段階的に減らされている不足払いでは賄いきれなかった分が緊急救援金として支給されている事態に懸念を抱いている。これに対して米議会筋は、例外的に安値だった昨今の一次産品価格が今後も続くはずはないとして、緊急救援が恒常的なものでないことを強調している。
市場アクセスを改善するための施策として、SRACは関税引き下げと輸出国のメリット向上に資するTRQsの改善を勧告したが、現在、綿花やさとうきび、ピーナッツ、チーズ、牛肉などに適用されている米国のTRQsの適用範囲を拡大することは求めていない。一方でSRACは、TRQsの枠を超えた輸入品に対する法外な高関税を互恵的に撤廃していくよう求めている。
SRACは輸出補助金の全廃を標榜しているが、その達成は困難として、少なくとも輸出補助金の乱用(例えばEUの国内向けチーズ製造に対する補助金などが、実際には輸出補助金と同様の機能を果たしているにもかかわらず、現行のWTOルールでは輸出補助金とは認識されておらず、その削減対象に含まれていない)を防ぐ厳格なルールを作るべきだと主張している。
同様に、SRACは国家貿易企業(STEs)の原則撤廃を望んでいるが、同時に、より現実的な要求として、STEsの運営の透明性の向上と、市場ごとに設定価格を変える差別的価格設定の廃止を求めている。
バイテク製品の取り扱いに関するSRACの主張は、SPS協定に基づき「適正科学」と「適正なリスク評価」を基礎とする現行のやり方を維持すべきであり、同時に、既存のSPS協定の改正を通じて、あるいは新たにバイテク製品に関する協定を締結することによって、バイオテクノロジーの進歩を促進すべきだとしている。
WTO協定の紛争解決に関する了解12条8項で認めている「生鮮食品に関する紛争解決手続きの‘迅速化’措置」について、SRACは、係争両国の合意を要件項目からはずすよう求めた。SRACはまた、貿易制裁の対象品目に食料を含めないことをWTOで合意するよう求めている。環境や労働と貿易ルールとの関係の問題については、米政権がこの問題に正面から取り組まなければ「一括承認手続き(ファスト・トラック)法案」が承認されないとして、貿易を制限しない形でこの問題に取り組むべきだとした。
次期交渉全般については、交渉範囲は包括的であるべきとして、農業とサービス分野に限定しないよう要請している。交渉方式については、例外を認めず全ての農業分野について一括交渉する「フォーミュラ方式」と一括承認方式を主張、交渉期限は3年以内とした。
抄訳;Agriculture Coalition Sets Priorities For WTO, Sidesteps Radical Reform, May
21, 1999, by Mark Ritchie(IATP)
■ 「予防原則(Precautionary Principle)」が今後の交渉のカギ?
レオン・ブリタンEC副委員長はEU、米国と環境NGOの今後の協力関係を強化することを目的に開かれたブリュッセルでの会議の場で「予防原則は我々が直面している最も困難な政策課題である」として、今後この原則にさまざまな解釈がつけられ、乱用されていく可能性を示唆した。OECDが作り上げた予防原則という概念は、92年地球サミットで採択されたリオ宣言の「科学的根拠の欠如が環境問題への対策を遅らせる原因になってはならない」という文言に表れている通り、環境問題に対処する際の原則として登場した。ブリタン副委員長はこの予防原則が不必要かつ過剰な政策を正当化することで、貿易制限措置を温存する言い訳に使われることを懸念している。一方、環境NGOは、昨今の貿易交渉にからむ議論の中で、例えば投資環境整備(海外投資保護のためのルール作り)が「予防原則」に則って迅速に進められるべきだ、というような形で環境保全ではない分野で乱用され始めていることを批判している。
To: wto@jca.apc.org
Subject: [wto 112] FW: NGO Registration to attend Seattle WTO Ministerial Conference
Date: Tue, 13 Jul 1999 01:07:23 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.ax.apc.org>
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Sender: owner-wto@jca.apc.org
X-Sequence: wto 112
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Reply-To: wto@jca.apc.org
WTOシアトル閣僚会議にNGOオブザーバーとして参加するための手続きの案内です。先日、AMネットの川上さんもWTO-MLに転載してくれていましたが、リクエストがありましたので、再度転送します。
佐久間
> For those NGOs interested in NGO accreditatioin to the WTO
> Ministerial Conference in Seattle, please see the information below
> which describes the necessary procedure. You may also wish to visit
> the WTO website at <http://www.wto.org>, and click on
> "Non-Governmental Organizations".
>
> ______________________________________________________________
>
>
> NON-GOVERNMENTAL ORGANIZATIONS
> FACILITIES PROVIDED TO ATTEND
> THE THIRD WTO MINISTERIAL CONFERENCE
>
>
> As time is running and representatives from Non Governmental
> Organizations need to prepare for their attendance at the third
> Ministerial Conference of the WTO to be held in Seattle from 30
> November to 3 December 1999, WTO Members have agreed on 15 June 1999
> to renew the same procedures for registration adopted for the two
> previous Ministerial Conferences held in Singapore (December 1996)
> and in Geneva (May 1998).
>
> Applications from NGOs to be registered will be accepted on the basis
> of ArticleV, paragraph2 of the WTO Agreement, i.e. such NGOs
> "concerned with matters related to those of the WTO".
>
> When addressing their request for registration to attend the Seattle
> Ministerial Conference, NGOs have to supply in detail all the
> necessary information showing how they are concerned with matters
> related to those of the WTO.
>
> To speed up the process for those NGOs who have been duly registered
> for and attended one of the following meetings: previous Ministerial
> Conferences (Singapore '96, Geneva '98) or the Symposia organized by
> the Secretariat in March 1999, their requests can be accompanied only
> by a shorter presentation of their activities and how they relate to
> those of the WTO. The reference of the meeting for which they have
> been granted registration and attended has to be mentioned.
>
> Requests for registration accompanied by the presentation of the NGO
> activities have to be sent by mail before 16August 1999 to:
>
> External Relations Division
> Centre William Rappard
> 154 rue de Lausanne
> 1211 Geneva 21
> Switzerland
>
> Please note that all registration forms are numbered and cannot be
> copied. They should be returned by mail with all the information
> requested and recent passport size photos attached to the External
> Relations Division as soon as possible and in any case not later
> than 15 September 1999. Incomplete requests will not be accepted.
>
>
> Confirmation of registration will be sent to NGOs as from 1 October
> 1999 after the list of NGOs having requested registration has been
> circulated to WTO Members.
>
> Upon confirmation of registration, badges will be made available in
> Seattle for entrance to the Plenary Sessions, entrance to the NGO
> Conference Centre, where facilities will be provided to all
> registered NGOs and participation in social events.
>
>
>
>
>
>
>
>
>
>
>
>
> Observer status for international IGOs at the Seattle Ministerial
> Conference
>
>
> WTO Members have agreed on 15 June to invite International
> Intergovernmental Organizations (IGOs) as observers to the third WTO
> Ministerial Conference to be held in Seattle from 30November to
> 3December 1999 on the basis of the same guidelines adopted for the
> two previous Ministerial Conferences (Singapore '96 and Geneva '98):
>
> (a) organizations that are observers to the General Council will be
> automatically invited;
>
> (b) organizations that are observers to subsidiary bodies will be
> invited if they request to attend; and
>
> (c) consultations will be held to determine which other organizations
> that are not observers to the WTO and that request attendance at the
> Ministerial Conference should be invited.
>
>
> As provided in the Rules of Procedure for observer status of IGOs "if
> for any one-year period after the date of the grant of observer
> status, there has been no attendance by the observer organization,
> such status shall cease. In the case of sessions of the Ministerial
> Conference, this period shall be two years".
>
> Pursuant to this provision all organizations which have attended the
> Singapore and the Geneva Ministerial Conferences will upon request
> automatically be granted observer status at the 1999 Seattle
> Ministerial Conference.
>
> .
>
>
>
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Tomoko Sakuma
People's Forum 2001, Japan
Maruko-bld. 3F 1-20-6 Higashi-ueno
Taito-ku, Tokyo 110-0015 Japan
TEL +81-3-3834-2436
FAX +81-3-3834-2406
Email : tsakuma@jca.apc.org or pf2001jp@jca.apc.org
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Date: Fri, 2 Jul 1999 23:29:34 +0900
To: wto@jca.apc.org
From: aosawa@jca.apc.org (OSAWA,Akiko)
Subject: [wto 101] バイオテクノロジー関連情報 7/2
Sender: owner-wto@jca.apc.org
X-Sequence: wto 101
Precedence: bulk
Reply-To: wto@jca.apc.org
これからできるだけ、GENETメーリングリストに流れた中から抄訳して流していきた
いと思います。基本的にWTOに関係する情報にしますが、それ以外でも大きな影響の
ある動きについては取りあげます。
今回はGOODニュースとBADニュースが各2個です。
も く じ
★EU、GMO(遺伝子組み換え作物)の新規認可を凍結★
★生物多様性条約、ターミネーター・テクノロジーに態度を決められず★
★コーデックス委員会:牛成長ホルモン(rBGH)の国際規準、採択されず★
★「環境にやさしい」遺伝子組み換えブタ??!★
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★EU、GMO(遺伝子組み換え作物)の新規認可を停止★
…GMO禁止に向けた決定打。日本の新聞もかなり報道していました。
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EUは6月24日、厳しい環境基準が導入されるまでは、ヨーロッパ域内で今後いっさ
い、新たな商業用GMOを認可しないことを決定した。高まる消費者の不安に応え、予
防原則にもとづいた判断だ。決定にあたってはフランス、ドイツが旗振り役になり、
イタリア、デンマーク、ルクセンブルグなどが積極的に支持した。この認可停止は、
少なくとも2002年まで維持されるとグリーンピースは見ている。なお、現在申請中の
GMOはすべて、EUの認可プロセスの要件を満たしていないことで、ストップされている。
リット・ビエルゴーEU環境担当委員は、この措置に関してたとえWTOで法的に訴え
られても、EUは勝つと自信を見せている。
(参考:"Tell the World we have a GMO Moratorium!", Steve Emmott, 6/24/99)
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★生物多様性条約、ターミネーター・テクノロジーに態度を決められず★
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6月中旬にモントリオールで開催された、生物多様性条約の補助機関「SBSTTA(科
学的及び技術的助言のための補助機関)」会合で、ターミネーター・テクノロジー(
下記参照。生物多様性条約での正式名は、「GURTs:Genetic Use Restriction Techn
ologies」)に関する決議が採択された。しかし、決議は非常に種苗会社寄りの内容
となり、NGO側はショックを隠せないでいる。
交渉ではまずノルウェイ政府が、GURTsの実験栽培および商業化に対するモラトリ
アム決議を提案。これに対し、アジア、アフリカ、中南米の国々が賛成、アメリカと
カナダは強硬に反対した。その後、イギリスが妥協案−−モラトリアムではないが、
結果的に商業化の禁止につながる案−−を出した。この二つはそれなりに評価できる
ものだが、少数のグループでの密室での交渉ののち、なぜか最終的に決議は、各国政
府は実験栽培と商業化の禁止を行ってもよい(しかし本当に禁止すると、WTOルール
の下で貿易障壁であるとみなされる恐れがありリスクが高い)、という、ボランタリ
ーベースの内容にまで引き下げられてしまった。密室では、オーストリアなどのGMO
輸出国グループ「マイアミ・グループ」が、決議の内容を骨抜きにしたと思われている。
ターミネーター・テクノロジーに対する反対運動を展開しているNGO、RAFI(国際
農村発展財団)は、「『自国の天然資源に対する国の主権』(同条約15条-1)を保障
している生物多様性条約が、その主権を侵害するGURTsに対してきちんと立場を表明
できないなら、いったい他のどこができるのか?」「この決議は、同条約の信頼性を
著しく落とした」と批判している。(参考:"Biodiversity Convention's Terminato
r Decision Fails Biodiversity and Fails Farmers",RAFI,6/29/99)
※ターミネーター・テクノロジー
毒素遺伝子を組み込むことによって、種苗会社から買った種子からできた種子を農
家が自家採種して再びまいたときには、発芽しないようにする技術。米企業のデルタ
&パインランド社(後にモンサントが買収)と米農務省の共同開発で生み出され、そ
の後、同様の技術をイギリスのゼネカ社も開発した。
企業の種子支配の強化(特に自家採種が多い途上国の農民への影響が大)や、生態
系への影響があるとして、NGOの強い反対が起きている。(バイテクと緑の革命の推
進側であるロックフェラー財団ですら、つい最近、モンサントの理事会に対し、この
技術の商業化プランを放棄するよう求めている。)
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★コーデックス委員会:牛成長ホルモン(rBGH)の国際規準、採択されず★
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…EUのrBGH牛肉輸入禁止維持([wto 97])に続くグッドニュース。
ローマで開催されたコーデックス委員会において、rBGHの最大残留量を定める国際
規準の採択が見送られた。これによって、各国がより低い基準値を独自に定めたり輸
入禁止したりすることが可能になる。
これまで、コーデックスで規準を採択することをアメリカが強く主張しており、今
回もEUとの間で長い論争が行われると予測されていた。しかし今回アメリカは、コン
センサスが得られないと早々に判断し、「規準を採択しない」ことを提案、各国を驚
かせた。110ヶ国245の消費者団体からなる国際消費者機構(CI)は、「もし規準が採
択されれば、rBGHの安全性が証明されたことになり、現在各国が行っているrBGH使用
の乳製品の輸入禁止が貿易障壁であるとしてWTOに持ち込まれるところだった」と、
この決定を歓迎している。
(参考:"Countries free to set own standards on BST residues in food",
Consu
mer International, by Michael Hansen, 6/30/99 より詳しい情報はモhttp://www.
consumersinternational.org/campaigns/food)
※牛成長ホルモン(rBGH)
アメリカで使用されている合成ホルモン剤。牛の肥育促進・肉をやわらかくする・
乳量増加などを目的に使われる。同時に抗生物質を大量に投与することや、ミルクに
rBGHが混じり、飲んだ人にアレルギーやホルモン異常を引き起こすなどの問題がある
。EUだけでなく、カナダも最近、モンサントのrBGH認可申請を却下している。アメリ
カの農家の15%が使用。日本ではなんの規制もない。(参考『遺伝子組み換え食品Q&A
』安田節子著)
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★「環境にやさしい」遺伝子組み換えブタ??!★
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カナダの科学者が、マウスとバクテリアの遺伝子を組みこんだ、ヨークシャー種の
「環境にやさしいブタ:Enviropig」を開発したと発表した。
このブタの糞は、従来のブタの糞に比べて、河川汚染の原因となるリンの含有量が
20〜50%少ないという。環境問題を解決することを目的につくられた遺伝子組み換え
動物は、これが初めてと思われる。しかし、もちろん真の狙いは、「現在、ヨーロッ
パ、アジアの一部、北米で、ブタの飼育数の増加を妨げてるのはリンに対する規制。
リンが50%少ない糞を出すブタなら、従来の倍の頭数を飼育しても環境基準をクリア
できる」というところだ(開発したGuelp大学のジョン・フィリップ教授自身の言葉
)。事実、この開発資金27万ドルを提供したのは「オンタリオ養豚農家市場連盟」で
、同連盟が「Enviropig」の独占ライセンス権を持っている。商業化には、最低4年間
かかるみこみ。
(参考:"Environmental Friendly Pigs???",from Yahoo News: http://dailynews.ya
hoo.com/headlines/sc/story.html?s=v/nm/19990624/sc/canada_pigs_1.html, 6/24/99)
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大澤晶子<aosawa@jca.apc.org>
市民フォーラム2001
〒110-0015 東京都台東区東上野1-20-6 丸幸ビル3階
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To: wto@jca.apc.org
Subject: [wto 97] WTO 関連情報 99/5 Vol.1
Date: Fri, 2 Jul 1999 14:12:02 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.ax.apc.org>
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Sender: owner-wto@jca.apc.org
X-Sequence: wto 97
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Reply-To: wto@jca.apc.org
相変わらず情報が少し古くて済みません。
ところで、昨日送付した農業・林水産業に関する日本提案の骨子は、PDFファイルになっているため、画像として取り込まれており、文字として認識できません。アクロバットという解読ソフトが必要です(これは農水のウェッブ他、多くのウェッブで無料でダウンロードできます)。ですから、こちらからは添付のPDFファイルという方法以外はメールする手段がなかったため、非常手段としてこのようなやり方をしました。こちらからの添付資料も、農水のウエッブのものもうまく開けない、あるいは文字化けしている、という方で、どうしても入手したい方は、農水省国際経済課に直接郵送してもらうようお願いしてみてはどうでしょうか。
佐久間
WTO関連情報 99/5 Vol.1
目次:
■欧州連合(EU)、成長ホルモン牛肉に対する輸入禁止を継続
■ベルギー、イタリア、デンマークの開発NGOがEUの食糧政策を批判
■その他のNGOの動き
■欧州連合(EU)、成長ホルモン牛肉に対する輸入禁止の維持を発表
成長ホルモン牛肉は発ガン性物質であるとのEU科学委員会の意見を受け、EUは5月4日、牛成長ホルモンを使用して肥育された牛肉の輸入禁止措置の継続を決定した。EU科学委員会は、6種のホルモン(17種のエストロゲン、2種の天然ホルモン、3種の合成ホルモンーZeranol,
Trenbolone, Melengestrol acetate)について試験を行い、17種のエストロゲン(Beta oestradiol)が明らかに「発ガン性物質」であると結論づけた。委員会は、米国における乳ガンや前立腺ガンの発症率と米国産牛肉に残留するホルモンとが相関している可能性や、これらのホルモンが遺伝子や免疫系、神経系に悪影響を与える可能性も指摘した。
この輸入禁止措置はWTO上級委員会(パネル)の裁定(1998年1月)によって撤回を迫られているため、一旦裁定が出た係争ケースについて、新たな科学的根拠が出てきた場合に、その実施義務をどう回避するかが今後の欧州議会の課題となる。
これに対し、米通商代表部(USTR)の農業担当交渉官、ピーター・シャー氏は、WTO上級委員会の裁定にしたがってEUが輸入禁止を撤回しなければ、益900万ドル規模(約10億円)の報復関税を課すという姿勢を改めて明確にし、EU側が米国に対する損失補償を真剣に検討していないとしていらだちを見せた。(その後、米国はWTO紛争解決パネルに202万ドル(約2億4000万円)の報復措置を求めて提訴、7月中に裁定が出される予定。)シャー氏は、このEU科学委員会の調査結果について、米議会の公聴会において「インチキ」であると証言し、グリッグマン農務長官とバーシェフスキ通商代表の共同声明でも同様の見解が示されている。
EUは4月28日、この輸入禁止の対象に6月15日より米国からのホルモン・フリー(ホルモンを使用していない)牛肉も含めると発表した。EU側のサンプル調査によると、ホルモン・フリーとしてEUに輸入されている米国産牛肉の約12%からホルモン使用の痕跡が発見されており、今後はサンプル調査を100%に拡大するよう努力するとしている。米国はEUに対し、成長ホルモン牛肉の禁輸に対する補償として、ホルモン・フリー牛肉に対する期間限定の数量規制枠の拡大を求めてきた。アンディ・ソロモン通商代表部広報担当はEUの発表を受けて同日、EUと米国は「EUが米国から約2500万ドルに相当するホルモン・フリー牛肉の輸入を続ける」との仮合意があると発表し、この問題は「食料安全性や健康の問題とは何の関係もない」と述べた。EU側はこの仮合意の存在を否定している。
EUは現在、成長ホルモン牛肉に対してラベリングを義務づけるといった打開策を提案しているが、「輸入が禁じられている製品についてラベリングを検討するのは無意味(バーシェフスキ通商代表)」として米国はこれに応じていない。
参考:UE: pas de lavTe de l'embargo sur le boeuf auz hormones, Le Monde, Mardi 4,
1999
Agriculture U.S. Sees Little Chance of Setting Dispute With EU Over Beef Imports
as Talks Collapse, by Gary G. Yerkey and Bengt Ljung, International Trade Report,
Vol 16 No.18 May 5, 1999, The Bureau of National Affairs, Inc., Washington, D.C.
■■ベルギー、イタリア、デンマークの開発NGOがEUの食糧政策を批判
4月15-17日にブリュッセルで開催された欧州開発NGO総会は、WTOやCAP(EU共通農業政策)、ロメ協定などにおけるEUの政策を批判し、NGO側の要望をまとめた宣言を採択した。要望の内容は以下の通り;
1. 先進国の農業輸出に対する補助金を禁止すること。このような補助金は豊かな北の国々が余剰食糧を海外にダンピング輸出することを助長し、世界の食料価格を低迷させ、結果として途上国の小規模農家に多大な被害を与える。
2. 「デカップリング」所得補償を含む、あらゆる形のダンピングを禁止すること。これにより不公正な国際競争、または持続不可能な生産パターンを回避することができる。
3. 農業生産の規模に応じて補助金を出すなどのCAPの輸出指向を正し、社会・環境・経済面から小規模で持続可能な農業を評価し、振興するよう政策を変更すること。
4. EU市場に対する途上国のアクセスを改善すること。途上国に対し、恒常的な低関税を保障し、数量規制・季節的規制・その他の非関税障壁・加工品に対する高関税(タリフ・エスカレーション)を撤廃し、さらに2000年より最貧国からの農産物を含む全ての輸入品を非関税とすること。
5. 途上国および純食料輸入国に対し、農業セクターの保護を通じた自給率の向上を容認すること。つまりは、WTOのミニマム・アクセス要求、関税化、関税引き下げの適用を免除し、自給率の向上のための国内農業支持を容認すること。
6. WTOにおける最貧国の保護。最貧国が交渉する主権を尊重し、食料純輸入国である最貧国についてのマラケシュ援助協定を実行に移すことで、最貧国が国内の小規模農家を援助する能力を高めること。
7. 最貧国に対しては、ロメ協定のような互恵的ではない特恵待遇の付与を容認すること。
8. つまり(TRIPs27条3Bなどで規定している)生物特許(バイオ・パイラシー)、および再生不能な種子(ターミネーター技術)の開発を禁止することで、遺伝子資源に対する各国の主権を保障すること。
9. 国際基準よりも高い基準を国民が望んだ場合には、政府が動植物の生命に関する高い国内基準を定めることを容認すること。
10. 環境・社会的に持続不可能な形で(かつ労働者の権利をないがしろにした)生産によって、生産コストを下回る安い価格で行われる商取引をWTOルールによって阻止すること。
11. 地域市場における地域内の農業生産の競争を奨励し、これを一時的に国際競争から保護すること。
12. 全ての人々が食料を得るという基本的権利(食料主権)を保障する国際法制度を強化すること。
13. WTOの意思決定に途上国政府が実質的かつ公平な形で参加できるよう、そしてNGOや労働組合、農民組織、女性団体などの社会・民衆運動団体の参加を促すことで、WTOを民主化すること。
14. CAP改革が途上国に与える影響を適切に評価し、その悪影響を受ける途上国に対して支援を行うこと。
15. ACP(アフリカ・カリブ・太平洋州の諸国)に対し、アジェンダ2000によるCAP改革で被る損害を補償すること。
16. 途上国の食料安全保障という問題がWTOルールに適切に反映されるよう、APC諸国やその他の途上国政府との協議を開始すること。
17. EU農業諮問委員会および農業政策決定メカニズムに、開発・環境・消費者・小規模家族農家の公式および非公式な代表を入れること。
部分訳:EU policies on agricultural trade (WTO, CAP and Lom Food Security must come
before commercial interests, The General Assembly of European Development NGOs' meeting
in Brussels on 15,16 and 17 April 1999
■その他のNGOの動き
1. 開発団体に関する世界教会連合(APRODEV):4月18ー22に農業と貿易政策、そしてWTOとロメ協定が最貧国の食料安全保障にもたらす影響について話し合う集会を開催。アフリカ、アジア、中南米、および欧州の57ヶ国からの参加者らが採択した宣言文では「WTO農業協定の包括的な影響評価を実施するために今後少なくとも2年間は、次期交渉を凍結する」よう要求している。
(Contact; Robert W.F.Van Drimmelen <aprodev@skynet.be>)
2. シエラクラブと全米野生生物連盟(NWF):米政権に対して「White Paper on Environmentally
Responsible Trade Negotiating Authority」(環境面での責任を果たせる貿易交渉権限に関する白書)を発行、民主的かつ説明責任を果たしうる貿易交渉権限の新たなあり方について提案している。その中では、米議会が「国際貿易に関する特別委員会」を創設し、貿易問題に関する公聴会を開催できるようにすることを提案している。この特別委員会には、国際商取引の促進を担当している連邦政府部局だけでなく、環境保全や消費者の保護と安全、および労働者権利などを担当している部局も参加させるよう求めている。
(Contact; John Audley at NWF <audley@nwf.org>
3. 国際自由労連(ICFTU):1999年3月にWTO本部で開催されたハイレベル・シンポジウムでは「Development,
Environment and Trade」という声明を発表、WTOに対して労働基準の遵守を貿易ルールの中に位置づけるよう要請し続けている。
(Contact; James Howard at Employment and International Labour Standards, International
Confederation of Free Trade Unions <howard@icftu.org>
4. 南・東アフリカ貿易情報・交渉イニシアティブ(SEATINI);南部および東部アフリカ諸国の貿易交渉担当者らが集まり、現行の貿易ルールや今後の貿易交渉に関する情報・意見交換を行っていく中でアフリカ諸国の共通ポジションを探っていく試み。第二回会合は3月4ー9日にウガンダの首都カンパラで開催された。
(宣言文を希望の方は佐久間まで<tsakuma@jca.apc.org>、Contact; Dr.Yash Tandon at
International South Group Network <ytandon@harare.iafrica.com>
5. グローバリゼーションに関する国際フォーラム(IFG):世界の活動家、学者、経済学者、研究者、作家など60名からなる同フォーラムは、グローバル化を押し進めている現在の国際政治経済のあり方に対して、それに代わる新たな思想や共同行動、市民教育などを実施してきた。そしてWTOシアトル閣僚会議の期間中にいくつかのイベント(セミナー、シンポジウム、戦略会議など)を企画している。
(Contact; <ifg@ifg.org>)
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Tomoko Sakuma
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Subject: [wto 88] WTO 次期交渉に対する日本政府の立場
Date: Wed, 30 Jun 1999 19:05:29 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.ax.apc.org>
MIME-Version: 1.0
Sender: owner-wto@jca.apc.org
X-Sequence: wto 88
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Reply-To: wto@jca.apc.org
6月17日に記者発表された日本政府のWTO次期交渉に対するポジション(農業、林産物・水産物)が農水省のウエッブ上でダウンロードできます。<http://www.maff.go.jp/wto/wto00.html> ただし、技術的なミスにより、ネットスケープではそのページだけ行くことができない状態になっています。
農業の「提案骨子」についてはPDFファイルを添付します。
佐久間
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Tomoko Sakuma
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添付書類を変換: Macintosh HD:WTO990~2.PDF (TEXT/dosa) (000095C5)
To: wto@jca.apc.org
Subject: [wto 87] StopWTORound メーリングリストのご案内
Date: Wed, 30 Jun 1999 17:57:22 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.ax.apc.org>
MIME-Version: 1.0
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X-Sequence: wto 87
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Reply-To: wto@jca.apc.org
WTO次期交渉の開始に反対する市民・NGOのメーリングリストとして今月始まったメーリングリストの紹介です。(但し、国際MLなので内容は全て英文です)。
佐久間
StopWTORound [English] [For People Over 10] [moderated]
This mailing list has been created to facilitate a global campaign opposing a Millenium
Round
or a new Round of comprehensive trade negotiations within the World Trade Organisation.
Signatories are calling for a moratorium on negotiating any new issues, whilst the
existing
agreements are reviewed and rectified. The mailing list's primary purpose is to facilitate
strategy development and information exchange between signatories to and sympathisers
with the"STATEMENT FROM MEMBERS OF INTERNATIONAL CIVIL SOCIETY OPPOSING A MILLENNIUM
ROUND OR A NEW ROUND OF COMPREHENSIVE TRADE NEGOTIATIONS." To transfer to the
joint statement please click on the informational link address.
For more information, http://antenna.nl/aseed/trade/index.html
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Tomoko Sakuma
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Subject: [wto 86] 2/16WTO 一般理事会議事録(英文)
Date: Wed, 30 Jun 1999 13:07:21 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.ax.apc.org>
MIME-Version: 1.0
Sender: owner-wto@jca.apc.org
X-Sequence: wto 86
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Reply-To: wto@jca.apc.org
1999年2月16日にWTO本部で開催された一般理事会の議事録です。公式文書ですので、要約または抄訳はありませんが、転載します。
佐久間
WORLD TRADE ORGANIZATION
RESTRICTED
WT/GCIW/1 17/Rev.1 -25 January 1999
General Council 16 February 1999
REVIEW OF PROCEDURES FOR THE CIRCULATION AND DERESTRICTION OF WTO DOCUMENTS
Note by the Secretariat on Proposals made by Delegations - Revision
This note reflects the present state-of-play of the discussions and
reproduces the written proposals of US/Canada (WT/GC/w/106), the European
Communities (WT/GC/W/92), and Mexico (WT/GC/W/113), as well as the oral
proposals for changes in the Procedures for the Circulation and
Derestriction of WTO Documents (WT/L/160/Rev.1) which have been made by
delegations in the course of discussions during the October General Council
meeting.
I. GENERAL
(a) Mexico
Making it clear in the main text of the General Council Decision that if
they are to be derestricted, documents must be available in Spanish, French
and English. Giving greater meaning and operability to footnote 2 of the
General Council Decision.
(b) United States and Canada
WTO documents initially issued as restricted documents, but subject to
automatic derestriction after a determined time-period (e.g. minutes),
should be clearly marked on the first page of the document with the
anticipated date of derestriction. In the exceptional case where a document
is to remain restricted beyond the period foreseen, the Secretariat should
issue a notice to this effect.
(c) Indonesia on behalf of ASEAN Members
Transparency meant access to information without undermining confidentiality
principles. In attempting to enhance transparency, Members should ensure
that the intergovemmental and contractual nature of the WTO was not
compromised.
(d) Switzerland'
In favour of unrestricted circulation of WTO documents to the greatest
extent possible, provided that delegations had the opportunity to protect
politically sensitive documents, which was presently the case.
(e) Japan
A balance had to be struck between the effort to improve the transparency of
the organization and the need to preserve its intergovernmental character as
a forum for negotiation.
II. PARAGRAPH 7
(a) United States and Canada
As with the original 1996 Decision, the anticipated revised Decision should
be reviewed again after: two years.
III. APPENDIX
1. Item (a)
(I) Secretariat Background Notes
(a) United States and Canada
Paragraph (a) of the Annex to the 1996 Decision should be modified to
provide that Secretariat background notes, except for those which purport to
portray the views of WTO Members, shall normally be circulated as
unrestricted documents. Recognizing that there may be exceptional cases in
which a WTO body, when requesting the Secretariat to prepare a background
note, considers it essential that the note be initially considered on a
restricted bases, provisions should be made for exceptional restriction of
such notes, provided that a maximum time-period (e.g. 6 months) should be
established for its automatic derestriction if there are no exceptional
circumstances.
(b) European Communities
Secretariat background notes are intended to provide factual information and
not to represent the collective views of WTO Members. All such notes should
therefore be circulated on a non-restricted basis. There may be exceptional
cases in which a WTO body, when requesting the Secretariat to prepare a
background note, considers it essential that the note be initially
considered on a confidential basis. This may be allowed, as an exception to
the general rule of derestriction, provided that a maximum time period (e.g.
6 months) is established for its automatic derestriction.
(c) Indonesia on behalf of ASEAN Members
Secretariat background notes, when they provided factual information and did
not represent collective or individual views of Members, could be circulated
as unrestricted documents. However, a Secretariat background note could be
circulated as restricted if there was a consensus thereto.
(d) Argentina
Secretariat background notes could be derestricted 15 days after circulation
if no request to the contrary had been received by the Secretariat.
(e) Switzerland
Present procedures should continue to apply to working documents of the
WT/BFA/SPECA series and Balance-of-Payments documents.
(f) Japan
Provisions to maintain the necessary confidentiality of these documents
would have to be made clear.
(ii) Documents Submitted by Members
(a) United States and Canada
Recognizing that paragraph (g) of the Appendix to WT/L/I 60/Rev. 1 already
provides that documents submitted by Members for circulation should normally
be issued as unrestricted documents, the General Council should decide to
amend paragraph (a) of the Appendix to provide that this shall also be the
normal practice in the case of documents from Members circulated in the W
series. Of course, in both cases, we should preserve the possibility for the
Member making the submission to make an exceptional request for restricting
the submission, but for a period not, in principle, to exceed six months.
(b) European Communities
Documents submitted by a WTO Member should be circulated as unrestricted,
including those which are currently classified as working documents. On an
exceptional basis, a Member may indicate to the Secretariat that a document
be circulated on a restricted basis. In such case, however, the document
should be automatically derestricted after the expiry of a period of time
(e.g. 6 months).
(c) Indonesia on behalf of ASEAN Members
With regard to documents submitted by WTO Members, procedures under
paragraph (a) of the Appendix of WTIL/160/Rev.1 could be modified to allow
for the same rules as in paragraph (g), according to which documents
submitted by WTO Members, other than in the W" series, were circulated as
unrestricted unless otherwise stated by the Member concerned, and would be
considered for derestriction at the end of each six-month period.
(d) Japan
Provisions to maintain the necessary confidentiality of these documents
would have to be made clear.
(iii) Meeting Agendas
(a) European Communities
Meeting agendas should be immediately derestricted.
(b) Indonesia on behalf of ASEAN Member States, and Egypt
Agendas of meetings should be derestricted only after adoption by Members.
(iv) Other working documents
(a) European Communities
Working documents of a draft nature, such as decisions and proposals:
Consideration could be given to procedures to facilitate earlier
derestriction of such documents after the expiry of a reasonable period of
time.
2. Item (b)
(a) Mexico
Adding, in subparagraph (b) of the Appendix to the General Council Decision,
documents relating to the modification of schedules of commitments under
Article XXI of the General Agreement of Trade in Services (GATS).
3. Item (c)
(a) United States and Canada
Paragraph (c) of the Appendix to WT/L/160/Rev.l should be modified so as to
provide that minutes of meetings of all WTO bodies, including Summary
Records of Sessions of the Ministerial Conference and Secretariat-produced
notes of discussions should be considered for derestriction three months
after their circulation in all three WTO languages.
(b) European Communities
Minutes are prepared under the responsibility of the Secretariat and provide
essential information about WTO activities. Minutes should therefore be
circulated on an unrestricted basis. Exceptions would be made for a limited
number of WTO bodies which, by their very nature, require a certain degree
of confidentiality in proceedings.
(c) Indonesia on behalf of ASEAN Members
<Members approved> minutes of meetings in their final version could be
derestricted after procedures for achieving final Member-approved minutes of
meetings should be defined. This rule would not apply to certain WTO bodies
which, by their nature, required a certain degree of confidentiality in
their proceedings.
(d) Switzerland
Possibility of restricting such documents, as provided in WT/L/160/Rev.1,
should remain.
(e) New Zealand
Once categories of documents like minutes had been circulated to Members in
the three WTO languages, there were no compelling reasons for maintaining
any additional period for derestriction.
4. Item (e)
(a) European Communities
Documents relating to Working Parties on Accession submitted by the acceding
country could be subject to earlier derestriction if the acceding country so
indicates to the Secretariat.
5. Item (h) (footnote 1)
(a) United States and Canada
As soon as the "Findings and Conclusions" portion of a completed final
panel
report is prepared in all three official languages of the WTO, a final
report shall be issued to the parties to the dispute and the "Findings and
Conclusions" portion shall be circulated for information purposes as an
unrestricted document. In addition, at the same time, pending its
translation into the other two official languages of the WTO, the
"Descriptive" portion of the final report, shall be made available as an
unrestricted document in the original language of the panel report. This
decision is without prejudice to the Dispute Settlement Understanding and
the working practices concerning dispute settlement procedures agreed by the
Dispute Settlement Body and contained in document WT/DSB/6.
(b) European Communities
Panel reports should be immediately derestricted upon their circulation to
all WTO Members. Other aspects relating to transparency in WTO dispute
settlement should be considered within the framework of the DSU review.
(c) Egypt
Final panel reports should be derestricted once available in all official
languages.
(d) Argentina
Agree with the US/Canada proposal but for practical reasons, Members should
find a formula to ensure that the parties had such information at least a
few days or a few hours before the press, so that they could inform their
governments appropriately and explain to the public and to their national
institutions the meaning of the different decisions.
(e) Jamaica and Colombia
With respect to the distribution sequence of final panel reports, thought
should be given to the role of third parties.
IV SCOPE OF THE PROCEDURES
(a) European Communities
It should be noted that procedures for derestriction only apply to official
WTO documents. The procedures do not apply either to the Plurilateral Trade
Agreements, although the Community would favour their adoption by the
competent bodies.
(b) Australia
Other useful WTO documents, such as for example those with "job numbers"
and
papers from the Committee on Agriculture's Analysis and Information Exchange
Process were currently outside the scope of the procedures. Arrangements
could be made to enable appropriate circulation of these documents as well.
In the course of the review of the DSU a number of proposals which have a
bearing on the subject of derestriction and circulation were made. They are
reflected in the Compilation of comments submitted by Members prepared by
the Secretariat (Job No.6289). The relevant texts are reproduced on the
following
--------------
Texts referred to in footnote 1
(a) EC: "As of today, when the panel and Appellate Body reports are issued
to the WTO Membership, they are also made available to the general public.
One possibility might be to make public at that stage not only the reports,
but also the documents in the file before the panel or the Appellate Body
(e.g. analysis and background notes prepared by the WTO Secretariat,
submissions of participating parties which the parties had cleared for
publication or non-confidential summaries, thereof, etc.). This suggestion
might permit a significant shortening of the reports, by eliminating or
substantially shortening the arguments section. In developing the precise
modalities, the availability in all three official WTO languages of the
documents necessary to fully understand individual cases should be ensured.
(Paragraph 159 of the Compilation)".
(b) Japan: "With a view to encouraging the parties to the dispute to provide
a non-confidential summary of the information contained in their submissions
(i.e., a public version of the submission) and to improving transparency of
the dispute settlement process, a deadline of providing public versions
requested by any Members should be set out in the DSU. In this regard, the
timing of derestricting final panel reports should be also considered.
(Paragraph 174 of the Compilation)".
(c) Norway: "Early derestriction of the parties' submissions - or the
non-confidential parts thereof, at the latest at the same time as the
derestriction of the panel report itself, may promote a better understanding
in the public of the dispute settlement system of the WTO. This may
alleviate the need for extensive inclusion of the submissions in the panel
reports themselves, which should be guided by the usually short summaries of
arguments given in judgments of national courts. (Paragraph 166 of the
Compilation)".
(d) The Compilation of comments submitted by Members also contains in
paragraph 170 and the footnote 22 thereto a cross-reference to the proposal
by the US and Canada which appears in item 3(d) of this note
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Tomoko Sakuma
People's Forum 2001, Japan
Maruko-bld. 3F 1-20-6 Higashi-ueno
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Email : tsakuma@jca.ax.apc.org or pf2001jp@jca.ax.apc.org
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To: wto@jca.apc.org
Subject: [wto 83] WTO 関連情報 99/4 Vol.3
Date: Thu, 24 Jun 1999 18:51:16 +0900
From: Tomoko Sakuma <tsakuma@jca.ax.apc.org>
MIME-Version: 1.0
Sender: owner-wto@jca.apc.org
X-Sequence: wto 83
Precedence: bulk
Reply-To: wto@jca.apc.org
WTO関連情報 99/4 Vol.3
目次:
■米農務省長官、WTO次期交渉における連携をカナダに要請
■米企業に広がる遺伝子組み替え作物ボイコットに米国生産者の不安高まる
■WTO閣僚会議に向けた準備プロセスが大国の対立によって停滞
■米政権、新たに7件のWTO提訴を検討中
■米農務省長官、WTO次期交渉における連携をカナダに要請
ダン・グリッグマン米農務省長官は、WTO次期農業交渉に対するスタンスについてカナダ政府との合意を形成するためにオタワを訪問した。しかし長官が、カナダの農業補助金制度を批判すると、カナダ政府側からも米国の同様の制度に批判が上がるなど、多くの点で両国のスタンスが一致することは困難な状況にあることが明らかとなった。
グリッグマン長官は、WTO次期交渉の農業交渉における米国の最大の目標について、関税・輸入割当などの「貿易歪曲的措置」を削減することであり、特にカナダの小麦ボード(販売委員会)などの「国家貿易会社」の撤廃を重視していると述べた。カナダ小麦ボードはカナダ西部から輸出される全ての小麦、大麦を取り扱っており、その量は世界の小麦貿易の約5分の一を占めている。長官はこのボードの補助を受けたカナダからの小麦が市場価格を下回っているため、カナダ小麦の世界市場シェアが拡大され、市場価格が低迷すると非難し、また、このボードが米国の穀物商社に比べて不透明であると批判した。しかしカナダ側は、このボードは農民から徴収された資金で運営されており、政府からの補助を受けていないと反発し、逆に米国の穀物商社と同等に透明性が確保されればボードを維持することを認めるかと問い返した。これについて長官は明言を避けた。
米国が輸出補助金などの貿易障壁の削減交渉でリーダーシップを発揮していくとの長官の発言はオタワの聴衆から拍手を持って受け入れられたが、同時に、米国が率先して自国の輸出補助金を削減すべきではないかとの聴衆からの意見に対しても大きな拍手が巻き起こった。WTO次期交渉での米国の第二の目標は、貿易制限的な法制度(数量規定や輸入禁止など)を全て関税割当制度(TRQ;
Tariff Rate Quotas)に置き換えていくことである。この場合、食料に対する関税は最大300%までとされる。米国は現在、このTRQをピーナッツと綿花に適用しており、カナダは酪農製品と卵、および鶏肉に適用している。長官は第三の目標として、各国の国内農業補助金に対する規制を厳しくすることだと述べた、米国は昨年、緊急時の補助金として60億ドル以上の追加支出を定める法律を成立させているが、長官によるとこの補助金は「貿易歪曲的」ではない上、WTOで定められた補助金の限度内に収まっているという。しかし米国は、補助金削減の算定基準年に農業補助金を大幅拡大することで、補助金削減を実質的に行わなくて済むよう操作しているという事実がある。
参考:Journal of Commerce, Wednesday, April 21,1999
■米企業に広がる遺伝子組み替え作物ボイコットに米国生産者の不安高まる
4月16日、カーギル社が遺伝子組み替え作物の買い取りを停止するとの報道があった。同社の広報担当はこれを否定したが、モンサント社のラウンドアップなどの特定の農薬に耐性を持つ遺伝子組み替えトウモロコシの生産者の間には不安が広がっている。その理由は、別の大手穀物商社、ADM(ア−チャー・ダニエルズ・ミッドランド)社が4月16日以降、同社の加工工場や貯蔵施設ではEUに輸出できない遺伝子組み替えトウモロコシを受け入れないと発表していることである。全米で三番目の規模を誇るトウモロコシ加工業者、AEスターリー社も同様の決定をすでに発表している。
米国の穀物商社グループの推計によると、今年の米国産トウモロコシの約4〜6%がラウンドアップ・レディ農薬耐性遺伝子組み替えトウモロコシだという。穀物商社は、EU向けのトウモロコシ澱粉飼料に、EUが輸入禁止としている種類の遺伝子組み替えトウモロコシが含まれていると判明した場合に、対EU輸出に支障が出ることを心配している。
カーギル社によれば、遺伝子組み替え作物やその加工品をEU向けに輸出できないことに懸念を抱いてはいるが、国内市場向けに遺伝子組み替え作物を国内生産者から買い上げることは今後も続けていくという。同社はまた、米国内の種苗メーカーや生産者グループに対し、EUに輸出できない特定の遺伝子組み替えトウモロコシの種類について周知徹底するプログラムを支援しているという。
抄訳:Resource News International, April 21,1999
■WTO閣僚会議に向けた準備プロセスが大国の対立によって停滞
WTO次期交渉の対象分野や交渉方法を巡って対立が続く中、これらに合意が成立するのは早くとも7月頃となり、実質的な準備プロセスは秋に集中することになる。当初のスケジュール通りに進んでいない最大の理由は、米国の態度がはっきりしないことにある。6月24日まで続く米国内のヒアリング・プロセスが終了するまでは公式なポジションが出せないことになっているためである。一方EUでも、EC(欧州委員会)に交渉権限が与えられていない中、公式なポジションを提示できずにいる。ECに交渉権限が与えられるのは早くともWTOシアトル閣僚会議後になると思われる。日本は6月中旬に農業交渉に対するポジションを含めた詳細な提案を提出する予定(6月17日に「農業」および「林・水産物」の分野の提案が公表された)だが、カナダの提案提出は秋になるという。
ジュネーブのWTO本部ではそれ以外の各国から提案が上がってきている。オーストラリアは、シアトル閣僚会議において「農業貿易」に「モノの貿易」と同じ原則を適用するという目標を掲げることを提案したが、これについて米国などの大国からの意見は出されていない。このオーストラリアの提案は、具体的には農業輸出補助金の撤廃を意味しており、同国はこの補助金削減と、途上国に対する特別かつ差異のある扱いを農業交渉の中心的課題に含めることを求める具体的な提案も別途提出している。
途上国数カ国もすでに提案を出しており、そのほとんどが既存のWTO協定から途上国が恩恵を受けられるようにすることと、この協定の実施確保が優先されねばならず、それまではビルトイン・アジェンダ(BIA;
ウルグアイラウンド終結時に2000年からの再交渉が合意されている分野)以外の分野にまで広げた交渉を行うことには反対するという趣旨である。しかし米国は3月23-24日の一般理事会で、「協定実施の困難性を克服すること」は、次期自由化交渉の対象を拡大し、BIA以外の分野を含めることと矛盾しないと主張している。米国は今までも途上国がWTO協定を遵守するための国内法整備が遅れている部分について紛争解決に持ち込んできており、今後もこうした実施の問題はケースバイケースで対応するとしている。一方パキスタンなどは繊維分野の自由化が先進国サイドで進んでいないことを「実施」上の問題として改善を要求している。
途上国にとって、複雑かつ広範な世界貿易交渉に対応するだけの専門性と知見を備えた人材が不足していること、交渉スタンスを決めるための独自の分析を行えていないことなどが大きな障害になっているとの共通した認識が存在するにもかかわらず、またそれに対する資金・技術支援が約束されていながら十分に実施されていないことも大きな問題と認識されている。
次期自由化交渉に積極的な国はカナダ、日本、オーストラリア、メキシコ、韓国、中南米諸国、東南アジア諸国である。インド、パキスタン、エジプトの3ヶ国は次期交渉そのものに反対であり、マレーシアは交渉スケジュールに反対している。米国は合意が成立した分野ごとに締結する「早期収穫」方式を提案している。
参考:"WTO Ministerial Preparations Slowed By Major Trading Partners",
Inside US Trade, April 23,1999
European Commission Reviews Preparation of Millennium Round - Global Talks, areas
of negotiation, Positions of Participants, Brussels April 23,1999, Agence Europe
■米政権、新たに7件のWTO提訴を検討中
米政権は現在、EUに対して2件、韓国に対して2件、カナダに対して1件など、合計7件のWTO提訴を検討している。米国はこれまで、合計44件の提訴を行い、その内の20件で勝訴している。
今回提訴の対象には、航空管制システムの開発に関するEU企業の共同プロジェクトに対するフランス政府の補助金が含まれている。韓国に対する提訴の対象は、輸入牛肉に対する韓国政府の輸入管理政策および最低価格設定、そして米国産牛肉にとって「差別的」な国内流通システム(商慣行)である。韓国に対するもう一件の提訴の内容は、空港建設に関する韓国政府の政府調達が国内業者を優先しており、WTOの政府調達協定に違反しているというものである。
カナダに対してはTRIPs(貿易関連知的所有権)協定に基き、既存および新規の特許に対して20年間の保護を与えねばならないところを、1989年10月以前に申請された特許については17年までしか認めていない点をWTO違反で訴える。
米国はアルゼンチンに対しても、穀物販売許可を得るためにアルゼンチン政府に提出された米製薬会社の非公開の試験データの漏洩について、TRIPs違反であるとして提訴の準備を進めている。米国はEUに対しても、EUが農産物と食品に課している原産地表示義務が、TRIPsの定める商標保護に違反しているとして提訴を行う予定である。また、インドに対してはTRIMs(貿易関連投資措置)協定に「違反」している自動車産業界の商慣行について訴えるとしており、カナダに対しては、オンタリオ州法が同州と米ミネソタ州にまたがる湖において米漁民に差別的な措置を定めているとして米通商法301条に基づいた調査を開始する。
抄訳:Administration To Bring Seven Trade Complaints To WTO, Congress Daily April
30,1999
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