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2003年11月10日発行188号ピースネットニュースより
【総選挙後の焦点】
自衛隊イラク派兵、そして教育基本法・憲法改悪へ進む日本
ピースネットニュース・市民平和基金 青山 正
総選挙の後に出てくるもの
日本の総選挙は事前の予想通りに民主党が大きく議席を伸ばしました。自民党が、自民党を中心とした連立与党が絶対多数を得て政権を維持することになりました。まあ善戦した民主党にしても与党との政策の違いはわずかなので、元々どちらが勝ってもあまり変わりはないかもしれません。それ以上に、イラク戦争や自衛隊派兵に反対した社会民主党や共産党などの少数政党が圧倒的少数に追い込まれ、無所属も含めた市民派議員が落選したこの選挙結果は、今後の日本の針路に暗い影を投げかけそうです。
選挙後小泉政権は、まず自衛隊のイラク派兵へ向けた準備を具体化させます。いよいよ自衛隊がまさに戦時下と言っていいイラクへ送られてしまいます。これまでのPKO派兵とも大きく違い、実際に自衛隊が実戦で殺し、殺されてしまいかねない状況へと進んでしまいます。それが日本の新たな戦争の道への突破口となることを危惧せざるを得ません。
そしてそれと絡んで怖いのは、自民党が掲げたマニフェスト「小泉改革宣言」の5番目に上げられていた「教育基本法を改正」です。教育基本法を改悪して、子どもに愛国心を強制させかねないこの問題はとても危険です。その愛国心がねらうものは戦前とは違うとしても、最終的には「国のために死ねる」国民の育成ではないでしょうか。
動き出す憲法改悪
さらに教育基本法の改正に続き出てくるのが、同じ「小泉改革宣言」の5番目の主題である「新しい憲法草案をつくる」、つまり憲法の改悪でしょう。特に憲法第九条(戦争の放棄)の条文を変えて、自衛隊を正式な「軍」として「戦争のできる国」にすることです。「小泉改革宣言」には、「2005年に憲法草案をまとめ、国民的議論を展開しる」「憲法改正の具体的な手続きを定める『国会法改正』『憲法改正国民投票法』を成立させる」とはっきりと謳われています。それに向けた動きがこれから本格化するでしょう。9条の改悪の先には、「徴兵制度」の復活もありえるかもしれません。そういう大きな曲がり角に日本は立っていたはずでしたが、残念ながら今度の総選挙では、道路公団の民営化の問題や経済問題のみに焦点が当てられていたようです。
高まる差別意識
選挙の結果だけではなく、この間気になるのは、政治家による差別発言や暴言です。石原慎太郎・東京都知事は10月28日、「(日本の韓国併合は)武力で侵犯したんじゃない」「植民地主義といって
も、もっとも進んでいて、人間的だった」などと発言しました。これは歴史の真実とは異なる暴言です。石原都知事の発言は、この間日本で高まっている在日韓国・朝鮮人への民族差別を助長するものです。石原発言に続き、今度は松沢神奈川県知事が、中国からの就学生・留学生があたかも犯罪者であるかのような差別発言を行ないました。相次ぐ政治家の差別発言は、残念ながら氷山の一角であるように思います。そういう政治家の発言に象徴されるように、日本社会の中で特に在日・滞日アジア人への差別意識が高まってきているように感じます。そしてそういう差別意識を増長するように、先ほどの教育基本法の問題や憲法改悪の動きがあるのではないでしょうか。
困難を乗り超えよう!
これだけインターネットが普及し、国際化が進んでいるように見えても、日本社会の閉鎖性や民族差別意識は大きいと思います。状況としてはますます悪い方向へと進んでいる日本ですが、では私たち市民はどうすればいいのでしょうか。と言ってもすぐに答えは出ないものの、これまでの単なる護憲運動を超えた、新しい平和主義ともうひとつの世界をめざす民衆のグローバリズムとの連携が必要だと思います。選挙の結果にも落胆せずに、そして憲法改悪などの動きや自衛隊派兵の動きに抵抗しつつ、世界中のもうひとつの社会を願う人々とともに新たな共生社会に向けて歩んでいきましょう。 |