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2003年9月10日発行186号ピースネットニュースより

相次ぐテロ事件 武力で抑えるよりも根本の問題解決を!
今こそチェチェン戦争を止めよう!

ピースネットニュース・市民平和基金 青山 正

 イラクでは相変わらず米英軍への襲撃やさらには他国軍や国連、そして同じイラク人の宗教指導者まで狙ったテロ事件が頻発していて、とても復興どころではありません。ますます混迷を深めている状況です。それはアフガニスタンも同様です。結局米国主導の軍事力による政権転覆は、大きな混乱と破壊をアフガンやイラクにもたらしました。そしてようやく和平に向けて動き出したかに見えたイスラエル・パレスチナ間の衝突も再び激しくなって、さらに一般市民の死傷者が増えています。
 そうした中でイラクへの自衛隊派兵をねらったイラク特措法を強引に成立させた日本政府も、派兵の予定を立てるのが困難となっています。さすがに「戦闘のない安全な地域」など今のイラクの見出すことはできず、自衛官の中にも不安が広がるのは当然です。そもそも米国が国連での議論を待たずに独断で一方的なイラク攻撃に踏み切り、イラクの政府・軍施設のみならず市民の生命と生活の場を破壊し尽くしたことが大きな過ちであったわけです。そのツケを国連が払わされなければならないというのはおかしな話でもあります。
 他の国々でもインドやインドネシアなどでもテロによる大きな爆弾事件が起き、多くの死傷者がでました。チェチェンでの軍事占領を続けるロシアでも爆破事件が相次いでいます。9・11の米国での同時多発テロ事件以降世界はテロにまみれているかのようです。それを果たして軍事力だけで抑えることができるのでしょうか。米国は一方的先制攻撃を含めた対テロ軍事作戦を取っています。そしてロシアもまた一層チェチェンでの軍事攻撃と一般市民への締め付けを強化しています。けれどもそうした一般市民も含めた犠牲者を拡大させる軍事力行使は、結局テロの連鎖を生み出しています。
 市民平和基金が設立以来関わってきたチェチェン戦争も同じです。ロシア各地で相次ぐ爆弾テロ事件は、すべてがチェチェン人の犯行とされています。たまたま8月に新聞の社説で相次いでチェチェン問題が取り上げられました。8月12日の毎日新聞の社説は「『対テロ』『民族自決』を隠れみのにするな」と題し、8月19日の朝日新聞の社説では「この流血を見逃すな」として両紙とも比較的客観的にチェチェンを取り巻く現状に触れ、ロシア・チェチェン双方に和平に向けた努力を訴えています。しかし、いわば喧嘩両成敗式に双方に問題を投げかけるだけでいいのでしょうか。ここで改めてチェチェン問題の根本的な問題について考えたいと思います。
 そもそも1994年に始まった第1次チェチェン戦争は、ロシア連邦からの独立に向けて歩み始めたチェチェンに対して大国ロシアが一方的な軍事侵攻を行なったことから始まりました。しかし、大義のない戦争で倫理的にも破綻したロシア軍は実質的な敗北となり1996年に停戦に追い込まれました。そして1999年の9月に隣国ダゲスタンへの侵攻とモスクワなどでの連続アパート爆破事件を理由として、ロシア軍が無差別空爆を行い第2次チェチェン戦争が始まりました。ところがその原因となった事件については、ロシア政府の謀略の影が当時から指摘されていました。昨年秋のチェチェン人武装勢力によるモスクワ劇場占拠事件でも、ロシア情報機関の関与がうわさされています。ロシア政府・プーチン政権にとってチェチェン戦争を継続することは自らの強権的政治を維持するために必要なものとなっています。その犠牲となっているのがチェチェンの市民です。そして終わりの見えない軍事攻撃と人権侵害の中で、孤立感と焦燥感を深めるチェチェンの人々を悲劇的なテロへと追いやってきたのは、ロシア政府だけではなく無関心を続ける国際社会であり、日本を含む世界のマスコミです。特に日本のマスコミの大半は第2次チェチェン戦争が始まったころロシア政府の一方的な言い分だけを伝え、チェチェンへの非難を繰り返してきました。
 チェチェン問題の解決のためにはロシア政府がまずチェチェンでの人権侵害と軍事占領をやめ、国際社会がチェチェンの復興を行なうとともに中立的な機関の監視のもとで平和解決の道を話し合うしかありません。それがきわめて難しいことはロシアの政権基盤と密接に絡んでいるだけに明らかでしょう。それだけに国際的な世論が必要です。チェチェン問題はこの間アフガン問題・イラク問題の影になり、テロ事件と関連づけてしか触れられてきませんでした。そこでまずチェチェンで起きている問題について私たちはもっと知る必要があります。アムネスティなどでもこの秋にチェチェンでの人権侵害を訴えるキャンペーンを始めています。市民平和基金でも小さな力ですが、チェチェンの平和と人権の回復のために努力していきたいと思います。皆様のご協力をお願いします。

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