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2003年8月10日発行185号ピースネットニュースより
自然災害・自殺による被害をなくすことこそ安全保障の要
自衛隊の派兵より市民の命を守る社会を
ピースネットニュース・市民平和基金 青山 正
7月26日未明に「イラク復興支援特別措置法案」が参議院本会議において成立してしまいました。これで米英軍が占領しているイラクへ自衛隊が派兵されることが決まったわけです。このイラク特措法では派兵される自衛隊は「非戦闘地域」での活動に限定するとされています。しかし、次々と米兵らがゲリラ攻撃により襲撃され殺されている今のイラクの状況を見れば、「非戦闘地域」などはあり得ないということは明白です。それでも小泉首相は「(審議は)十分尽くした。論点は尽きたと思う」「(派遣の)後になれば理解を得られると思う」と強弁しています。このような強弁や詭弁を繰り返しながら成立させられた法律の下で、イラクへ送り込まれる自衛官は本当にかわいそうです。
法律ができてもすべてが終わったわけではなく、まだまだやるべきことややれることはたくさんあります。自衛官への取り組みや、今後の有事法制・イラク派兵に対する取り組みの考え方については、次の横須賀の新倉さんの問題提起をみんなで一緒に議論していきたいと思います。また、本誌の表紙で紹介した出版されたばかりの『戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法』という本にも様々な提案が掲載されています。暗い状況でも明るく前向きに、そして具体的に状況を変えていきましょう。
ところで「イラク復興支援特別措置法案」が成立させられたまさにその7月26日未明に、宮城県北部を震源とする震度6強を含む強い地震が断続的に起きました。この地震では重傷26人を含む計648人のけが人が出ました。また家屋などの被害は全壊318棟、半壊1617棟、一部破損6313棟で、最大1万3721戸が断水し、約10万戸が停電するという被害が出ました。今回の一連の地震による被害額は約86億円と算出されています。これだけ大きな被害が出た宮城県での地震ですが、これでも近い将来に必ず来ると言われている宮城県沖地震に比べればまだまだ小さな規模とされています。にもかかわらずこれからの地震への備えは一体どれだけなされているのでしょうか。言うまでもなく来るべき大地震は宮城沖だけではありません。日本のあちこちで近いうちに起こると言われていますが、首都圏も含めどこも有効な対策を取っているところはありません。
「有事」法ができてしまいました。けれどもその法律の中には、自然災害への対処は何ら触れられていません。毎年のように繰り返され、さらに破滅的被害が予想される巨大災害さえ予想されているにもかかわらず、事実上何の対応もないに等しい日本の安全保障はきわめて不完全な状態です。結局は人間が(それも一部の政治指導者の決断で)始める戦争は人間の努力で止めることができますが、毎年のように繰り返される自然災害は止めることはできません。それでも自然災害の被害を最小限にする工夫と対策は取れるはずですが、現状ではあまりに無策と言っていいと思います。
日本にとって、いや世界にとっても戦争以上に毎年のように多くの人々が自然災害で被害を受けています。日本の真の安全のためにも、そして世界への重要な貢献のためにも、日本は軍事費分を自然災害対策費へ回して国内外での被害減少のために率先して行動すべきではないでしょうか。
自然災害と並び、戦争ではなく日本では毎年多くの犠牲者が出ています。これまでも何度か触れてきましたが、自殺問題です。7月24日に発表された警察庁のまとめで、日本での自殺者が5年連続で3万人を超えたことが明らかになりました。昨年1年間では3万2143人です。実に信じられないくらい多くの人が自ら命を絶たずにいられない日本の状況は、やはり平和な社会とは言えないと思います。特に自殺の動機として「経済・生活問題」が大幅に増えて過去最高となる7940を占め、政府の経済政策の無策が自殺者を増やしたと言えなくもないと思います。自殺原因のトップの健康問題も、結局は十分な医療・社会保障制度が整っていれば解消される部分も大きいはずで、それも含めれば自殺問題における政治の責任は非常に大きいはずですが、そのような反省は政府からは何も聞こえてはきません。もし戦争によってこれだけの犠牲者がでたら政府は一体どうするでしょうか。今こそすべての命を本当に守るための政治が問われているのではないでしょうか。 |