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2003年6月10日発行183号ピースネットニュースより
『下北「核」半島危険な賭け』
―再処理・核燃サイクルの行く末―
創史社刊(八月書館発売)、2003年5月
定価本体1200円 A5判144ページ
創史社:151-0053 東京都渋谷区代々木1-17-9-2F
TEL&FAX:03-3377-2083 sousisha@ybb.ne.jp
この本を読んでいて、何ヵ所かときどきドキっとする表現にぶつかることがありました。
たとえば、最初にまず低レベル放射性廃棄物ということで、原発の労働者の服や燃やした灰などを受け入れたつもりの「私たち」青森県民。ところが今度はより高レベルな「低レベル」―雑固化体も受け入れることになり、そして次には廃炉にともなって出てくる高ベータ・ガンマー廃棄物までも引き受けることに。そしてITERの誘致合戦になり、「ITERが来てくれたならば、そこから生じる核のゴミを青森県に受け入れることを前向きに考えたい」の木村青森県知事(当時)の発言。
これをこの本では「一旦核のゴミを受け入れた場所には、次から次へと核のゴミが押し寄せる構図」と表現しています。同じことを他の人が書いたならたぶん「受け入れる」は「引き受ける」に、「押し寄せる」は「押しつけられる」というような表現になったと思うのです。そこに貫かれているのは、あくまで青森県に暮らす人の視点。ある日、青森県が核のゴミを受け入れてしまったこと? 次から次へと核のゴミが押し寄せてくる現実へのとまどいが感じられます。
高レベル放射性廃棄物については、低めに見積もって1000年程度たってやっと放射能は半減、産出後30年とか50年が一番放射能が高いし、放射線も大量に発生するという説明の後、こう結ばれています。「その一番危険な時期に青森県に運んでいるわけですから、なんとも悲しいものがあります」。
青森から遠く離れた場所で、日々原発の電気の恩恵を受けながら、核のゴミを押しつけている罪悪感をたま〜に感じているような人間は、これを読むとどきっとしてしまうのです。つらいからと言って、この現実に目をつむって通り過ぎるのを待つわけにはいきません。現実はものすごいスピードで進んでいます。「遠い」青森で。せめて私たちはそこで何が起きているのか、知らなければならないと思います。
この本には、最新の情報が盛りだくさんに詰め込まれています。特に再処理工場の使用済核燃料の冷却プールの水漏れや、むつ市の中間貯蔵施設計画など、どんどん変わって行く状況をリアルタイムにこの本は伝えてくれています。ぜひこの状況が真新しいうちに、読むことをおすすめします。
また巻末の「日本原燃トラブル事例集」と「青森核燃施設関連年表」は、手元に置いて保存資料としても活用できます。 (ちょび) |