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2003年6月10日発行183号ピースネットニュースより

有事法制成立=戦争のできる国となった日本を変える
非暴力に基づく新たな平和運動を!

ピースネットニュース・市民平和基金 青山 正

 公園脇の海岸の岸壁は、悪臭を放つ赤い海水に覆われていました。魚が至るところで死んで浮かび上がっている様は実に不気味です。そこは軍港横須賀の海。対岸に米軍艦船や海上自衛隊の艦船が見えます。
 「あの船が戻って来てからこうなったのよ。何か変なものを持ってきて流したんじゃないの」と通り掛りの地元のおばさんが心配そうに私たちに語りかけてくれました。「あの船」とは、5月20日にインド洋から戻ってきた自衛隊の誇る最新鋭のイージス艦「きりしま」と補給艦「ときわ」です。その日は横須賀の市民グループの毎月末の日曜日に行われる定例デモの日で、私たちがその前に行われているヨコスカ平和船団による港内1周の基地見学会に参加した際の出来事でした。平和船団のスタッフの説明では赤潮が来ているせいだということでしたが、その異様な赤い海と対岸に横たわる巨大な軍艦の群れを見ていると、とても自然のいたずらとは思えなくなります。
 海上自衛隊のイージス艦のすぐそばには、イラク攻撃から帰ってきたばかりの米軍の空母キティーホークなどの艦船があちこちに停泊しています。どの船も長い戦争での航海から戻ってきて、船体はいたるところ痛んでいました。東京からほんの少ししか離れていない横須賀はまさに戦争に直結していたのです。久しぶりに訪れた横須賀の街は、確かに高層のビルが建ちにぎやかでしたが、その一方で米軍も自衛隊の艦船も共に大型化と戦力の大幅なアップが図られていました。今後の横須賀母港化の地ならしをするかのように、空母キティホークに続いて5月10日には、原子力空母カール・ヴィンソンが寄港しました。そうなれば一層横須賀は、いや日本は米軍による世界大の戦争に大きな関わりを持つことになります。
 そしてついに6月6日に有事関連3法案が成立してしまいました。個人情報保護法案に続く相次ぐ最悪の法律の成立は、あの横須賀の海のように私たちの心を暗くしてしまいます。日本はいよいよ戦争ができる体制を整えました。いずれ形ばかりの保護法制ができたとしても、市民の基本的な人権や自治体の権利を踏みにじる、つまり民主主義とは相容れない法律である本質は変わりません。けれども暗く落ち込む必要もないし、むしろこれからやるべきことはたくさんあります。
 その時に考えたいことは、有事法制ができる前の日本も決して平和な国ではなかったということです。アジアや第3世界の人々にとってこれまでの日本は、とても信頼できる平和な社会ではありませんでした。その上で今後は米軍とともに武力を行使する可能性がでてきたわけです。であれば私たちはこの国とこの社会に住む人々のありようを根本から平和的に変えていくことをじっくりと考えていきたいと思います。平和憲法だけに寄りかからない、非暴力に基づく新しい平和な社会と暮らしを実現するために、これからの歩みを始めましょう。

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