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2003年4月10日発行181号ピースネットニュースより
一方的殺戮、そして破壊と混乱をもたらした米英のイラク攻撃
それでも「ありがとう、ブッシュ大統領。
世界の人々を結びあわせてくれて」
ピースネットニュース・市民平和基金 青 山 正
「衝撃と恐怖」これが今回の米国・英国によるイラク攻撃の作戦名でした。しかし実態はそれ以上でした。イラク兵士は無論のこと、子どもを含む多くの一般のイラク市民や各国ジャーナリストまでもの命を奪う一方的な殺戮と破壊が行なわれ、圧倒的な軍事力に勝る米英軍がイラクの首都バグダッドをほぼ抑え、攻撃は終息に向かいつつありますが、イラク各地で繰り広げられる略奪などイラクやそして世界中に大きな混乱をもたらしたことは明らかです。
この間世界の各地で大規模な反戦行動が行なわれてきました。日本でも万単位でのピースパレードが繰り返されてきました。多くの人々が米国・英国の一方的な攻撃と小泉政権の戦争支持政策に疑問を持ち、怒り、初めての反戦行動に立ち上がりました。実際この間の行動には近年の日本ではなかったくらい広範囲の市民の参加がありました。その一端は次の粟野さんの米国大使館前での抗議行動報告にもあらわされています。圧倒的な破壊と殺戮のイラク戦争を私たちは止めることはできませんでしたが、けれども無力感に襲われる必要もその余裕もありません。問題はこれからです。そして私たちはこの間多くのことを学び、知り、そして世界の平和を願う人々とつながることができました。3月19日の朝日新聞の夕刊にブラジルの作家パウロ・コエーリョさんの次のような「ありがとう、ブッシュ大統領」と題するメッセージが掲載されました。
「ありがとう、偉大な指導者ジョージ・W・ブッシュ〈略〉ありがとう、今世紀、ほとんど誰もなしえなかったことを実現してくれて−世界のすべての大陸で、同じひとつの思いのために闘っている何百万人もの人を結びあわせてくれて。その思いというのは、あなたの思いとは正反対のものであるのだが。」「ありがとう、再び私たちに、たとえ私たちのことばが聞き届けられることがなくとも、少なくとも自分は黙ってはいなかったのだ、と感じさせてくれて−それは将来において、私たちにより以上の力をあたえてくれることになる。」「ありがとう、私たちを無視してくれて。あなたの決断に反対する態度を明らかにしたすべての人を除け者にしてくれて。なぜなら地球の未来は除外された者たちのものだから。」「ありがとう、なぜなら、あなたがいなければ、私たちは自分たちに人を動かし、動員する力があることに気づかなかったはずだから。その力は今すぐには何の役にも立たないかもしれないが、もっと後になって必ず役立つはずだから。〈略〉」「ありがとう、すでに起動してしまっている歯車をなんとか止めようとして街路を練り歩く名もなき軍勢である私たちに、無力感とはどんなものかを味わわせてくれて。その無力感といかにして戦い、いかにしてそれを別のものに変えていけばいいのか、学ぶ機会をあたえてくれて。〈略〉「ありがとう。私たちに耳を貸さず、私たちの言うことを本気にしないでくれて、ありがとう。むろんのこと、私たちはあなたの言うことをしっかり聞いており、あなたのことばを決して忘れない。そのことを、ぜひ知っておいていただきたい。ありがとう偉大な指導者ジョージ・W・ブッシュ。ありがとうございました。」
そういう意味では私たちは小泉首相にも「ありがとう」を言ったほうがいいかもしれません。日本がいかに米国の政策にただ追従しているかを私たちに示してくれて、しかも日本が実は世界の平和などまったく考えていないことを示してくれて。さらに世界最大の発行部数を誇る読売新聞にも「ありがとう」と言わざるをえません。読売新聞の4月11日の社説では堂々と次のように主張しています。
「〈略〉長期にわたる圧政から解き放たれた人々の様子からも、米英の選択が正しかったことが証明された、と言えるだろう。イラク戦争について、まずその点を確認しておく必要がある。〈略〉米英が、武力行使に踏み切ったことは、勇気ある決断だった。バグダッドでは、本格的な市街戦も起きなかった。しかも、三週間という短期間で大勢が決着したことで、人的犠牲は最小限に抑えられた。〈略〉
米英の勝利は、開戦前に米国支持を鮮明にした日本政府の対応が正しかったことも裏付けた。小泉首相は、『国連決議を無視し続けたイラクに非がある』との立場から、米国の武力攻撃支持を決断した。〈略〉国益の観点から日米同盟の重要性を率直に訴えた首相の姿勢は、国民の理解も得た。読売新聞の三月下旬の世論調査では、米国支持の首相方針を容認した人が七割を超えた。正しい判断であれば、率直に説明することで、国民の理解は得られる。」
これだけ堂々とイラク戦争と小泉首相の判断を支持する姿勢を明確にし、多くの犠牲者の存在を「人的犠牲は最小限」と決め付ける読売新聞には、怒りを通り越してあきれ果ててしまいます。これだけひどい社説を堂々と書いてくれて本当にありがとう、とつい言いたくもなります。これを読んだ読売新聞の読者もさすがにあきれ果てることでしょう。しかしあきれてばかりもいられません。小泉政権をそれでも支持する人がまだ大勢いて、残念ながら読売新聞の主張や報道を鵜呑みにしてしまう人もそれなりにはいます。そういう日本のあり方を変えていくことが必要です。言うまでもなく戦争に反対するだけですべてが解決されるわけではありません。今回の米英そして日本政府の政策に疑問を持ち、戦争に反対した私たちは、今回の戦争を生み出した背後の問題や、今後の世界や日本のあり方にも注視していきたいと思います。平和な社会を世界の人々と創り出していくためにやるべきことはたくさんあります。そのことを平和を願う世界の人々と一緒にこれからも考え行動していきましょう。 |