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2002年10月10日発行175号ピースネットニュースより

拉致問題の真実を!
そして負の歴史を見つめ直しながら、
影でうごめく軍事化の動きにストップを!

ピースネットニュース 青 山 正

 昨年の衝撃的な米国での同時テロから1年が過ぎて、世界はこの間アフガンへの米・英軍などの報復攻撃と、アフガンのタリバン政権の崩壊があり、それと前後してイスラエル・パレスチナ間の対立が激化して、パレスチナ側のテロとイスラエルによる報復攻撃により一般市民も含め双方の犠牲者は増える一方です。そして米国は今度はイラクへの攻撃を着々と準備しています。
 そういう悲劇的な状況が続く中で9月17日に初の日朝首脳会談が行われ、そこで北朝鮮側が日本人拉致を正式に認め、その内の8人の死亡と5人の生存という衝撃的なことが明らかにされました。言うまでもなく拉致という行為は許されることではありません。北朝鮮のこれまでの政策と体制がいかに人権を無視し、軍事を優先した歪んだものであったかが露わとなりました。まだ真実が全て明らかになったとは言えません。北朝鮮はさらに全ての事実を明らかにすべきだと思います。
 さらにこの事件に絡んで事実を明らかにしてほしいのは北朝鮮政府とともに、日航機よど号を乗っ取り北朝鮮に滞在するかつての日本の赤軍派「よど号グループ」です。彼らもこの拉致に関わった疑いが持たれています。このことをあえて言うのは、八尾恵さんの事件があるからです。よど号グループの一人の妻であった八尾さんとは、私たちも一時期一緒に運動をしたこともありました。八尾さんが今年に入り有本恵子さん拉致に関わったことを告白し、謝罪のため書いた『謝罪します』という本(文芸春秋刊)の中に、「1989年6月21日、旅券を返してもらうために起こした『旅券返納命令取消等請求事件』の訴訟の第1回口頭弁論が横浜地方裁判所で行われました。<略>私の裁判に、30人あまりもの支援者が傍聴に来てくれたのです。横須賀で市民運動をしている人、代用監獄に反対している人、国家機密法に反対している人、ピースネットの人、人権と報道の関係者等々が駆けつけてくれました。」とあるように、ピースネットの創刊前からやっていた国家秘密法に反対する市民ネットワークの活動の一環で、拘禁2法に反対する運動をしていた時に「北朝鮮のスパイ」として「有印私文書偽造・同行使」の容疑で逮捕された八尾さんと知り合いました。代用監獄の実態や警察の不当な取り調べ、マスコミのでっち上げ報道の問題などを集会で話してもらったり、その後の各種の裁判の様子などもニュースで紹介してきました。そのでっち上げ報道や警察の不当な取調べは事実でしたが、彼女は一番重要な事実を隠していました。
 本の引用を続けます。「私はこれまで『よど号グループとは関係がない、北朝鮮には行ったことがない』と主張していました。事実は正反対で〈略〉自分の中では、騙しているという意識はありませんでした。〈略〉このように革命のために嘘をつくことが、むしろ人間的なこと、正しいことだと、私は北朝鮮で、教えられていました。『よど号グループ』は『密林よ語れ』のように、結局は暴力で日本を解放しようとしていて、何よりまず、日本を解放するという目的が達成されることが正義であり、そのために嘘をつくことなど些細なことだと考えていたのです。〈略〉私は、私のことを真剣に考えてくれ涙を流した人、苦痛の表情をした人、激怒した人、それぞれの人達の思いを考えているうちに、人を騙したり、利用して平気な『よど号グループ』、そして金日成主義は間違っているのではないかと、思うようになっていきました。」
 八尾さんは多くの嘘をつきましたが、一方で彼女は騙されて「よど号グループ」の一員と強制結婚をさせれら、そして今は二人の娘を北朝鮮に残し、いわば人質を取られていた状態でした。そういう意味では八尾さんも被害者だと思います。それだけに北朝鮮当局とともに、「よど号グループ」もまた真実を語るべきだと思います。
 拉致問題の根は深く、それは長らく国交を結ばなかった日本政府の責任でもあると思います。また朝鮮半島分断の悲劇を作る遠因となった日本の植民地支配の問題と、その中で起きた朝鮮人の強制連行や従軍慰安婦などの暗い歴史も絡んでいるでしょう。それだけに日本側も歴史の真実をきちんと反省する必要があります。それがいまだに十分になされているとはとても言えません。それどころか、日朝首脳会談後、在日朝鮮人への嫌がらせが増えています。これまでも日朝間で何か問題が起きるたびに何の罪もない在日朝鮮人、特に朝鮮学校へ通う子女への嫌がらせや暴行事件が多発してきましたが、もうこんなことはやめさせなければならないと思います。拉致事件が恥ずべきことであると同様に、このような嫌がらせや脅迫・暴行事件は恥ずべきことです。
 そしてもう一つ気になるのが、表紙に掲載した映画「宣戦布告」に象徴されている、脅威を煽って日本の軍事化を進めようという動きです。この映画はちょうど日朝首脳会談に合わせるかのように緊急公開となりましたが、これは同時に日本の有事法制の推進を後押しするものだと思います。拉致問題を利用して影でうごめくこれらの軍事化の動きに注意し、継続となっている有事関連法案を廃案へ追い込んでいきましょう。

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