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2002年8月10日発行173号ピースネットニュースより
【連載】もうひとつのグローバリゼーションを求めて(15)
「変革の世紀 国家を超える市民パワー」を読み解く
ATTAC Japan 事務局 田 中 徹 二
読者のみなさんの中には、4月14日に放映された「NHKスペシャル・変革の世紀 国家を超える市民パワー〜国際政治に挑むNGO〜」を見て驚かれた方も多いと思います。この番組は、一言でいって「反グローバリゼーション運動入門」のような内容となっていました。今回この紙面を借りまして、番組内容を解説するとともに今秋の反グローバル化運動の焦点について述べます。この拙文を読んだ後、もう一度番組を見ていただけると理解し易いと思います。見ていない方、もう一度見たい方は、こちらで録画していますので、お申し出ください。
●国家を超える市民パワー
番組ではEU(欧州連合)サミットに対抗して10万人以上の市民が結集しての昨年12月デモと、そのデモの組織化の中心団体であるATTAC(アタック)のパリ大会の模様からはじまります。まず、圧倒的な数の人々の結集と多様性にあふれる参加スタイルに驚きます。
放送側は番組の企図を、「ここ数年、G8サミットなど大きな国際会議が開かれるたびに、"反グローバル化"を掲げて数万人もの市民グループが国境を超えて結集し、会議の行方に影響力を持つまでになっている」が、「しかし彼らが何を求めているのか、どのような組織なのか、力の源泉は何かがこれまであまり知られていなかった」とし、それを知るためにあるヨーロッパの市民グループに密着取材して「市民パワーが21世紀の国際社会でどのような役割を担おうとしているのか」を探っていきたいと語っています(NHK変革の世紀ウェッブサイトなど)。
ある市民グループというのがフランスでつくられた国際NGOであるATTACのことです。テレビを見ていて次に驚くのが、そこに結集している人々が「普通の市民たち」であるということです。番組では、ATTACのある地域集会(パリのカルティエ・ラタン地区)の模様を映していましたが、大学教授、退職者、主婦、学生、医師など普通の市民たちが国際政治について語り合っているシーンが印象的でした。ただし、ATTACには労働組合や農民団体、様々な社会運動団体が団体加盟していますので、正確には、「多くの普通の市民たち」を引き寄せているダイナミックな運動だと言うべきでしょうか。
ともあれ、ATTACは1998年にフランスで設立されました。正式名称は、「市民を支援するために金融取引への課税を求めるアソシエーション」(Association
for the Taxation of financial Transactions for the Aid of Citizens)と言います。この運動体が4年ほどの間に、ヨーロッパではほとんどの国で、これにアフリカやラテン・アメリカなどの途上国を含んで40ヵ国を超えてATTACが組織されているようです。アジアでは日本が最初で、昨年11月に関西で、12月に首都圏で相次いで設立されました。
●ATTACの主張と国家を超えた運動の必然性
番組では次に、ATTACがどのような主張をしているかを紹介します。1、投機を狙った短期的為替取引の規制、2、途上国の貧困の撲滅、が上げられていました。そして1、の規制ための武器がトービン税という税制であり、その課税から上がる収入を2、のベース資金にせよ、というものです。ATTACが設立された98年は、前年のタイをはじめとするアジア通貨危機が起こり、それが全世界に波及して世界恐慌に繋がるのではないかと懸念された年でした。今日のグローバル経済は、マネー経済とも言われているように金融が異常に肥大化し、1日あたり1.5兆ドルもの国際通貨取引が行われていますが、その大部分が利ざや稼ぎの投機的資金で、それがアジア通貨危機のように一国の経済まで左右するようになりました。まず「ジャングルの掟」(つまり弱肉強食を是とする経済)を止めさるための代替案としてトービン税が提案されています。
続いて番組では、ATTAC運動のような国家(国境)を超えての運動がどうして起きてきたかの分析を行います。国家を超えての運動がエポックをなしたのが99年末のWTO(世界貿易機関)シアトル会議に対して世界から結集した労働組合やNGOなどの反対運動でした。また、このシアトルの闘いというのが突然現われたのではなく、その前哨としてのグローバルな運動があったことも紹介されます。その運動とは、投資の完全な自由化を保障する多国間投資協定(MAI)に反対する運動でした。
WTOやMAIに見られる特徴とは、様々な経済社会政策が国家によって決められるのではなく、その頭ごなしに国際的に決められてしまうことです。その典型として、番組ではMAIの原型と言われるNAFTA(北米自由協定)での環境政策を巡っての国家と企業との対立について伝えています。
従って、環境、社会、経済政策などの変革を求めるNGOや労働組合などの運動も、一国内で完結するのではなく、必然的に国際化・グローバル化せざるを得なくなったというのが番組の結論のようです。実際、その通りだと思います。そしてそのグローバル化した運動の結集軸が、昨年より開催されている世界社会フォーラム(WSF)です。今年は2月上旬に全世界から8万人近い人々がブラジル・ポルトアレグレ市に結集し、WSF2が成功裡に行われました。
●アジアWSF、ジョゼ・ボベと全国ツアー
次に今夏・秋のATTAC Japanの活動を含む反グローバリゼーション運動を紹介します。まず8月10日からバンコクでWSFアジア会議が開催されますが、これは先のWSF2で決められた大陸別会議のアジア版です。このアジア会議を皮きりに、北米、中南米、欧州、アフリカと順次開催されていきます。
さて、今秋のATTAC Japanのメイン・イベントは、マグドナルド店解体事件で世界的に名を高めましたフランス農民連盟のジョゼ・ボベさんを招いて「世界は売り物ではない!」(仮称)と題して全国ツアーを実施します。日程は、10月22日から11月1日まで、仙台、新潟、東京、大阪、福岡、長崎でシンポジウム等が開催されます。世界を駆け巡って闘いの現場に立つボベさんから反グローバル化運動の熱い息吹を伝えてもらいます。その息吹を糧に、世界の反グローバル化運動からひとり取り残された感のある日本の運動を強めていきたいと考えております。みなさまの絶大なるご支援を心よりお願いします。
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