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2002年7月10日発行172号ピースネットニュースより

有事法制はいらない!
「備えあれば、憂いなし」と言うなら、
命と平和のための対策を!

ピースネットニュース  青山 正

 日韓共催となったワールドサッカー大会はさまざまな感動を残して終わりました。これで日韓の歴史的な問題が解決されたわけではありませんが、新しい友好関係を創り出す糸口にはなったようです。その一方で世界的な「平和のスポーツの祭典」を尻目に、6月29日の3位決定戦トルコ・韓国戦の当日に北朝鮮と韓国の間で海上での砲撃事件が起き、双方に多くの死傷者が出ました。パレスチナに対するイスラエル軍の侵攻も続き、ますます対立は泥沼化しています。チェチェンでも侵攻しているロシア軍による住民への不当な拘束や暴行・攻撃が続いています。
 こうしたことを見ると平和への道ははるかに遠いものにも思えます。けれどもそういう中で市民による非暴力に基づく活動が広がり、パレスチナ・イスラエル双方、そして各国の市民による平和解決を求める動きも続いています。今回の砲撃戦で多くの死傷者を出した韓国内でも冷静な声が大勢を占め、大きな混乱は起きませんでした。昨年の9・11テロ事件以降大きくなりだした軍事優先・治安優先の動きの中で、国境を越えた市民の非暴力行動と交流の輪の広がりが大きな希望となっています。
 一方国内を見ると、国会は延長となったものの有事法制は今のところでは今国会では成立しない見通しになっています。とは言っても廃案になったわけではなく推進側も断念してはいないので安心はできません。小泉首相はさかんに有事法制の必要性を唱え、「備えあれば、憂いなし」と問題を単純化してその本質を隠そうとしています。これがいかにでたらめなたとえであるかは、言うまでもありません。市民の間からは「有事法制よりも無事法制を!」という声や、NGO活動にかかわる人々の間から「非戦」を求める声もあがってきました。国家による軍事優先のあり様が、いかに市民にとって危険で、そして無駄なものであるかを、私たちはもっとあきらにしていく必要もあると思います。
 人間が起こす「有事」は人々の知恵と努力で止められる筈です。軍事力や多くの税金を投入し、双方に民間人も含めた死傷者を出す戦争のおろかさは今さら言うまでもありません。ところが毎年確実に起こる風水害や地震などの自然災害に対しては、巨額の防衛費から比べれば比較にならないわずかな予算しか回されていません。毎年多くの被害を出し、今後ますます大震災や火山の噴火などが起きる危険が指摘されていながら、市民の生命と安全を守ることには関心がないかのような政府・行政の対応ぶりです。いったい何に「備え」ようというのでしょうか。これで「憂いなし」とはとても言えません。
 それでなくても今の日本では毎年33000人という信じられない数の人々が自殺に追い込まれています。特にここ最近の傾向は日本経済の不振とともにリストラや倒産にあえぐ中高年の男性の自殺者が増加しています。これに対する政府の対策は何かあったのでしょうか。毎年これだけの多くの市民の自殺を防げず、憲法を否定しかねない「有事法制」を作ることに何の意味があるでしょうか。
 また最近食品に含まれる着色料などの違法な物質の使用が明らかとなりましたが、健康にとって一番重要な食品の安全性すら確保できずに何の「安全保障」でしょうか。私たち市民の生命と安全を守るために、本当は何が必要なのか、軍事力というものが何をもたらすのか、それらを問いながら、今後も「有事法制」の問題を考えていきましょう。

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