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2002年6月10日発行171号ピースネットニュースより

糸紡ぎ、非暴力=アヒンサー、
そして核・有事法制

ピースネットニュース 青 山 正

 なぜ「糸紡ぎ」なのかについては、くわしくは本誌11ページからの田畑さんのお話を読んでいただきたいのですが、前号で案内したピースネットの合宿の講師の田畑さんの話は実にわかりやすく、多くの示唆に富むものでした。田畑さんが編集した『ガンジー自立の思想』でもくわしく触れていますが、ガンジー氏の非暴力の思想=アヒンサーのシンボルとしてチャルカ=手紡ぎ車が重視されていました。平和な社会の実現の第1歩は糸紡ぎからというのが、ガンジー氏の考えだったということは、私にとっても新鮮でした。そしてガンジー氏が非暴力・不殺生のアヒンサーの社会と真の自立・自治の実現のためには、文明のあり方を根底から問い直し、まず自分から変わっていくことの必要性を訴え続けていたことも初めて知りました。
 そのガンジー氏の働きにより第2次世界大戦後独立の道を得たインドとパキスタンは、今カシミールの帰属をめぐり一触即発の戦争直前の状態にあります。双方とも核兵器を持ち先制核攻撃の危険性はどちらにもあります。そうなればどれだけの一般市民の犠牲者が出るかはかり知れません。またパレスチナとイスラエルとの紛争状態は長引き、双方で市民や子どもたちの犠牲が増えています。
 こうした各地の紛争に対して日本政府は何の働きかけもしていません。唯一の被爆国として、そして第2次世界大戦で国内外に多くの犠牲者を出してしまった国として日本は、世界各地で起きている殺戮行為を止める役割があるはずです。しかし、何もしないどころか今有事法制3法案を国会に提出し、戦争体制を整えようとしています。さらにあろうことか最低限の歯止めであった日本の「非核3原則」の見直し発言までもが政府の責任者から漏れてきました。その発言の実際はどうあれ自民党の中にそのような指向があるのは間違いなく、そういう意味では本音が示されたわけで、それだけにインド・パキスタンの核戦争の危険性すらある時に、日本政府の姿勢が厳しく問われます。
 ガンジー氏のアヒンサーの思想は残念ながら、現在のインド・パキスタンの政府には受け継がれませんでした。しかし、ガンジー氏が自ら実践し提起したことは死後50年近く経った今なお、というか21世紀を迎えテロと戦争と環境破壊の恐怖の中にある今こそ実践される課題であると思います。ロシア軍の侵攻が続くチェチェンの青年5名をインドに派遣し、ガンジー思想を学ばせるプロジェクトも市民平和基金などの支援により計画されています。また、イスラエル軍が侵攻して多くの犠牲者を出したパレスチナの難民キャンプを訪問するため先に入った何人かは入国を拒否されてしまいましたが、日本の市民たちがイスラエルに赴きました。市民の非暴力に基づく国際的な行動に参加しようという動きは前にも伝えたように日本でも着実に増えています。有事法制に反対すると同時に、私たちは市民としてできる国際協力・非暴力の実践に取り組んだり、あるいは今の社会構造を根本から変えるために一人一人の生き方・暮らし方の見直しもしていきたいですね。

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