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2002年4月10日発行169号ピースネットニュースより
混沌の中、大事な問題を見落とさず、
視野を広くして歩もう!
ピースネットニュース 青 山 正
今の状況を一言で言うとしたら「混沌」でしょうか。海外では昨年から続いていたイスラエルによるパレスチナへの攻撃が激しさを増し、それに対してパレスチナ側も自爆テロなどを続けざまに起こし、平和解決の見通しはますます遠のいています。そして日々パレスチナやイスラエルの民衆が被害にあっています。こうした状況に対してイスラエルに強い影響力を持つ米国を含め、国際社会は有効な対応ができないままイスラエル軍によるパレスチナ再占領が拡大し、全面戦争の様相を見せています。
そして国内では自民党の鈴木宗男議員の疑惑追及の先頭に立っていた社民党の辻本清美議員が週刊新潮の秘書給与疑惑報道をきっかけに辞職に追い込まれ、それはさらに社民党全体や田中真紀子前外相への疑惑追及報道へと拡がりを見せています。確かに辻本前議員の嘘の釈明や社民党全体の対応のまずさや法的な問題があるとは言え、その一方で鈴木議員や秘書による巨額の不正疑惑が持たれる自民党の加藤紘一元幹事長は辞職すらせず、それ以上に問題のある構造的な日本政治の巨悪については隠されたままです。
こうした状況の中で小泉政権に対する支持率が急減したのは当然としても、野党も含めた政治への不信感が増し、結果的に現状が維持され自民党を中心とした連立与党にプラスに働く可能性があります。しかもそれ以上に大事なのは秘書疑惑にマスコミの報道が集中している間に、今国会では今後の日本の歩みにとって重大な影響を及ぼす法案が提出されようとしているにもかかわらず、それらの問題がまたもや論議のないまま成立させられる危険性があります。
その一つが有事法制です。戦争体制を前提に「有事」(この定義は「日本への武力攻撃事態以外の緊急事態」としてどんどん拡大される危険性があります。)の際に市民としての人権や自由、あるいは自治体の権限を制限してしまうという危険な法律です。この有事法制として「武力攻撃事態法案」「安全保障会議設置改正案」「自衛隊法改正案」の三法案が提出されようとしています。私権が制限されることに加え、米軍への物品・施設・役務提供も規定され、昨年成立させられた「テロ対策関連法」と併せ、ますます日本の米軍への戦争協力・戦争参加が法的にも整備されることになります。
そしてもう一つは、「人権三法」の名で成立が急がれている「個人情報保護法案」「人権擁護保護法案」「青少年有害社会環境対策基本法案」の三法案です。名前だけ見ると一見人権に配慮したいい法律のように思えますが、実態は市民と報道機関への規制と管理の強化と権力への批判封じと言えます。これだけの悪法にもかかわらず、国会での十分な議論は期待できず、マスコミでもあまり報道されていません。
すべては混沌状況を利用して進行しているように思えます。しかも二つの法制は別々のものではなくつながったものだと思います。それだけに私たち市民は冷静に何が問題なのかを見極め、そして行動していきましょう。まず有事法制や個人情報保護法案などの悪法成立に反対の声を様々な形で示していきましょう。すでにいろいろな動きが出ています。有事法制については以下のホームページが若い人々によって作られていますので、ご覧下さい。http://www.nowar.jp/
有事法制の先には憲法9条の改悪が出てくるでしょう。それだけに有事法制の動きは危険であるわけです。しかし、ここで私たちはもう少し考えてみたいと思います。まずはいかに混沌としていても、あるいは過ちがあったとしても絶対に政治に無関心であったり、しらけたりすることはやめたいと思います。そして何が問題の本質なのかを考えていきたいと思います。その時に有事法制・憲法改悪の反対の声を上げることは言うまでもないことですが、同時に混乱を深める中東問題あるいはチェチェン問題を傍観せず、自分たちの問題として考えていきましょう。反対したり、批判するだけではなく、どうしたら問題を解決し平和を創り出せるのかを考えて行動していきたいと思います。
表紙で紹介しましたが、沖縄で長年平和運動を続けてきた阿波根昌鴻(あはごん・しょうこう)さんが3月21日に101歳で亡くなりました。「戦争屋の喜ぶことをしてはならない。彼らは私たちの分裂、ケンカを喜ぶでしょう。消費は美徳に踊らされて貧乏するのも喜ぶでしょう。不規則な生活をして病弱になることも喜ぶでしょう。時間を無駄にして勉強をしないで無知になるのも喜ぶでしょう。私たちは、戦争屋を喜ばさない生活をすることも大事な平和運動であると考えてその実行に勤めております」という言葉に象徴されるように、米軍基地問題に非暴力に徹した平和運動を進める一方、人間としての生き方についても訴えてきた阿波根昌鴻さんについては、私もこれまではあまり知ることはありませんでしたが、その生き方や言葉には多くのことを学ばされます。混沌とし、厳しい状況ですが、あきらめずにそして冷静に視野を広く持って世界の市民と共に歩み続けましょう。
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