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2002年2月10日発行167号ピースネットニュースより

非暴力の実践
Peace Brigades International
インドネシア・プロジェクトへの参加

Peace Brigades International(国際平和旅団)野 田 真 紀
http://www.jca.apc.org/~nvpf/makisg.htm

●Peace Brigades International 参加のきっかけ
 私がPBIを知ったきっかけですが、インターネットです。私は、2000年12月にアメリカ・カリフォルニアのモントレーにあるモントレー国際大学を卒業いたしました。そこでは国際政策を専攻しておりました。在学中は開発・人権擁護に興味を持ち、特に子どもの人権擁護に興味をもっておりましたので、その研究を行いました。
 卒業後は、人権・開発の分野での職業につき、学んだこと、研究したことを生かしたいと思っておりましたので、しばらくアメリカにて就職活動を行いました。その時インターネットでPBIの存在を知り、非暴力での平和構築の推進というPBIの活動方針に、興味を抱きまして、ちょうどその時インドネシアプロジェクトの募集がかかっておりましたので、応募するにいたりました。

●PBIの活動は
 PBIは1981年に設立された国際人権・平和団体で、地域紛争の非暴力的解決を促進することを目的とし、特にマハトマ・ガンジー提唱によるシャンティ・セーナ(非武装・非暴力の平和隊)の思想にもとづいています。PBIは要請にもとづき、紛争地域に世界各国のボランティアから構成された非武装・非暴力のチームを派遣し、非暴力・直接行動・中立の立場から支援することにより、暴力的衝突の可能性を減少させ、地域の人による非暴力的解決を促進します。国際事務局はロンドンに置かれ、支部は現在18ヵ国にあります。残念ながら日本にはまだ支部はありません。世界9ヵ国で活動をしてまいりまして、例えば、大畑さんが活動していたスリランカ。日本人で2人目のPBIの参加者である佐藤太さんが参加していた、グアテマラなどがあります。現在はコロンビア、メキシコと私が参加するインドネシアで活動をしております。

●インドネシアプロジェクトについて
 PBIのインドネシアプロジェクは1999年4月に発足したしました。PBIはその国からの要請がなければプロジェクトを立ち上げないという背景があり、インドネシアの場合は、Komnas HAMという人権委員会の要請を受けての発足となりました。当初は、西ティモールにチームを置いておりましたが、情勢の悪化などの理由から、2000年からジャカルタとアチェにチームを置いております。
 ジャカルタチームは現在3人のボランティア、アチェには8人のボランティアが活動しております。参加者は、アメリカ、オーストラリア、オランダ、スイス、スウェーデン、ウルグアイなどから参加しています。現在インドネシアの語学学校に通って準備をしているものも何名かいますので、私が入る頃にはもう少し人数が増えることになると思います。
 活動内容ですが、ジャカルタチームは主に紛争地で活動しているアチェチームのサポートを行っています。例えば、連絡調整や資金管理などです。また、地元住民主体の紛争解決に関するワークショップの企画・運営を行っております。そのほかにも、広報活動や各地元団体・国連組織などとのネットワーク作りを行っております。これがとても重要な役割で、PBIは自立・自治を尊重し、両者が安心して話し合える空間は提供しますが、意思決定には関与しないという中立の立場で現地で活動している、ということを地元の人々や、紛争当事者に知ってもらわなければならないからです。
 アチェチームは紛争地にあることからも、プロテクティブ・アカンパニメント(護衛的同伴)が主な活動内容となっております。プロテクティブ・アカンパニメントとは、武器を持たないボディーガードともいえます。これはその活動内容から迫害を受け活動ができなくなっている地元団体から依頼を受けPBIのボランティアが依頼者と行動をともにし、彼らが活動できる環境を提供するサービスです。また、人権侵害が起こった際の、国際的証人となる役割ももっております。この護衛的同伴ですが、すべての依頼をPBIが引き受けているのではありません。チームのメンバーは日々情報収集を行い、最新で正確な情報を常にもつことを心がけており、その情報をもとにその依頼してきた団体がPBIの活動方針に沿う団体かどうかを判断し、護衛的同伴のサービスを提供をするかどうか、チームのメンバー一人一人が納得するまで話し合いをします。
 最近の護衛的同伴の例では、RATAという団体の3名のボランティアが2000年12月に殺害をされた関係で、PBIのボランティアは2001年1月から護衛的同伴を行っています。Kolisiに関しては、今年に入りましてからアチェ南部において、Kolisiの弁護士が殺害されるという事件がおこり、その後嫌がらせの電話などを受けているということから、ボランティアが一日何時間かKolisiのオフィスに滞在し、PBIの存在を社会に示し、今後またそういった殺害が起こらないよう監視をしています。こういった存在を示すことが大事なことで、それによって社会に世界の目が向けられていることを示します。

●緊急事態が起こったら
 過去20年間、PBIがこれらのサービスを提供してきて、活動中にボランティアに危害が加わるといった事は起こっていません。しかし、万が一ということもあるので、そのときのためのERN(緊急救援ネットワーク)への参加をお願いしています。これは、Emergency Response Networkの頭文字で、私やチームのメンバー、またサービスを提供しているNGOに緊急事態が発生した時、参加者にとっていただく行動です。誰でも参加できます。
 どう機能するかというと、例えば私が監禁されてしまったなどの緊急事態が発生した場合、チームのメンバーからカナダのコーディネートオフィスに連絡しERNを要請します。その後、コ―ディネートオフィスは世界各国の担当者に連絡し、自国内のネットワーク参加者に情報が廻ります。ネットワーク参加者は、インドネシア政府や軍などに対して生命の保障、適正な調査などを要求する手紙を送付・FAXするといった仕組みです。
 HPもできましたので、一人でも多くの方にこのERNに参加していただけることを望んでおります。これが私の力となり、心の支えとなりますのでよろしくお願いいたします。

●事前のトレーニングは
 チームで活動しているのは、すべてボランティアです。チームに参加するためには、ボランティアはトレーニングを受けなければなりません。私の場合は6月の中旬にカナダで行われたトレーニングに参加しました。参加者は5人(私、カナダ人2人、スイス人、ナイジェリア人)でした。トレーニングの内容はPBIの方針である非暴力平和活動とはどういったものか、インドネシアの歴史・情勢についてインドネシア人の方からの講義を受け、自分達でその情勢の分析を行ったり、ロールプレイを行ったりと朝から晩まで内容の濃いものでした。また、このトレーニングはチームに参加できる適正能力があるかを最終的に評価する目的もあります。適正能力とは新しい環境への順応力や、紛争地において活動していける能力があるか。またチームは共同生活をしていくので、協調性があるか、それと同時に異文化の人への理解力があるかなどが評価ポイントだったと思います。
 トレーニングで特に印象に残っているのは、ロールプレイです。トレーナにより場面を想定され、それに従って演じていくものです。ロールプレイの前に、PBIとしての活動内容は教えられますが、実際に場面を想定され(例えば緊急時の対応など)、演じてみると、自分では十分理解し当然できると思っていたことが、実際演じてみるとできなかったりと、いろいろなことがわかります。そんな時トレーナーの方など誰も助けてはくれませんのでチームメンバーと協議し、また自分のもっている知識や経験をフルに活用して、自分なりの最善の解決策を見つけ出していきます。
 教えられるのではなく自分で学ぶ能力を身に付けることができるといった点からもロールプレイが果たす役割はとても大きいと思います。

●私がPBIに参加した理由
 世界では色々な悲しいことが日々起こっています。今の私は無力ですし、お金もたくさんもっているわけでもなく、紛争解決につながるような政策を考える立場でもありませんので、何か自分のできることからはじめようと思いました。PBIの活動は、そんなに難しいことを要求されるわけではありません。地元の人たちのニーズに合ったサービスを一人一人に提供し、紛争解決の一躍を担っていると思います。しかし、ボランティアの間でも葛藤が起っていることですが、もしかしたらPBIがいなくてもその人たちは危険ではなかったのかもとか、またPBIがいたから殺されずにすんだのかも、とその活動の効果の判断は難しいものです。これから起こるかもしれない人権弾圧を予防していくというのは、判断が難しいのです。今のアフガニスタンのように、爆撃で何もかも失われ、国の再建設ということであれば、ゼロからの出発となり、今後の様々な援助により、どのくらいの人が、どれぐらいの援助を受けられた、ということを評価し易いのです。PBIの活動は、物理的には評価しにくいのかもしれませんが、今まで護衛的同伴をすることによって、サービスを提供した人たちから「心のゆとりがもてた」「活動をしていく勇気が湧いた」と言われて、PBIの存在の大きさは認識されています。
 この経験は、非暴力・非武装の平和構築が本当に可能なのか、また、自分が本当にこの世界でやっていけるのか、などを見極めていく良いチャンスだと思っています。紛争解決にはいくつかの方法があり、武力に頼るのも1つの方法でしょうが、私は武力では本当の意味での紛争解決は導けないと考えています。武力を武力で解決しようとすれば、多くの人が犠牲になります。今のアチェのような状態では、どんな手を使っても紛争を解決できればと考えている方も多いと思います。非武装・非暴力での紛争解決は時間がかかります。しかし武器を持たず紛争解決の手助けができるのであれば、私はそちらを選びたいのです。そしてPBIはそれを実践しています。
 今回の派遣で私が望むことは,その現実を自分で体験したいのです。私はとても頑固で、自分が経験していないことに対して批判することは好きではありません。とはいっても時間は限られていますので、経験ができることにも限りがあります。しかし、自分のできるかぎりでこの信念は貫きたいと思っています。ですから今回の参加についても非暴力・非武装で平和構築ができるのか、自分の存在が役に立つのか、ということを確かめたいのです。
 日本では今はまだ知名度の低いPBIですが、私が参加することによって紛争解決の1つの手法を実践している団体として、広く皆様に認識していただき支援の輪を広げていっていただけたらと思っております。
 小泉首相がインドネシア訪問の際に出したコメントで「平和・安定・貧困の撲滅のためにもっと資金的援助が必要だ」といっていました。東チモールの避難民に対して13億円、学校に通えない子どもたちの奨学金として5億円ということでした。では、アチェは、西パプアは? という疑問は残りますし、日本のインドネシア向けODAは今まででも一番多いのにもかかわらず、情勢は変わっていない場所はまだまだあります。市民レベルの活動、草の根のPBIの直接行動が,インドネシアを少しでも変えていけるのではないかと思います。PBIのプロジェクト存続のために皆様からの資金的な支援もどうぞよろしくお願い致します。

Peace Brigades International(英語)
http://www.peacebrigades.org/
野田真紀サポートグループ
http://www.jca.apc.org/~nvpf/makisg.htm
連絡先:大畑 豊 E-mail ohata-yu@jca.apc.org
351-0014 埼玉県朝霞市膝折町4-6-11ケ
Fax 048-461-0341
カンパの送り先
郵便振替口座:00110−1−110046
口座名 PBIまきSG

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