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2002年1月10日発行166号ピースネットニュースより
〈投稿〉9月11日の考え
東京・高校生
9月11日の夜、私はテレビでテロ事件を見ていた。次々と入る情報は信じなかった。パレスチナの犯行、ビンラディンが関与、ティモシー・マクベスの友人の犯行か? 色々な憶測が飛び交う中、目で見ているもの、世界貿易センタービルの崩壊、ペンタゴンの炎上は事実だった。
各国首脳が次々に、テロ反対を表明し始める。ロシア政府や、中国政府も表明をした。しかし、僕にはロシア政府がチェチェン戦争を、中国政府がチベットやウイグル地区の侵攻を正当化するためで、それがテロ事件を利用したものだと思った。テロの被害者遺族の一人が「私の息子の命を、報復という名の戦争に利用しないで欲しい。報復など望んでいない」と言っていた。私は被害者に同情をするなとまでは言わないが、いくら同情をしたところで、彼らの命が戻るわけでもない。本当に彼らの命を無駄にしないのなら、あのような惨劇を繰り返さないことであると思う。
小泉首相は「空爆をせずにテロは無くなるのか?」と言っていた。また、アメリカでは「完全に除去しなければ成功とは言えない」と今回の報復戦争をガンに例えて説明していた。私は今回のガンには特効薬があると思うし、空爆をせずにテロを無くすことができると思う。首謀者とされるビンラディン氏は、以前からビデオなどでサウジアラビアから米英軍の撤退、パレスチナの平等な平和を望むと言っていた。しかし、米英軍は撤退せず、世界人権会議では、イスラエルとアメリカが途中からボイコットした。私が、彼の発言から感じるのは報復の連鎖の問題ではないということである。つまり、報復をしなくても、状況が良くならなければテロは無くならない。報復をした場合、さらなる憎しみを生み、状況が良くなるはずは無く、少なからず犠牲者を生む。
今回の報復がもたらしたものは何だったのか? テレビに出ていたある学者が「今回のテロ事件で少なからず世界は良い方向に向かうだろう」と言っていた。果たしてそうだったのか? この文を書いているまでの時点で、報復によりアフガニスタン近隣のイスラム教徒は反米感情を強め大規模なデモが行われた。パレスチナの自爆テロへの報復として、イスラエル軍が空爆をしたし、その空爆をアメリカ政府が支持をして、中東和平は途絶えてしまった。アフガニスタンも、いつ内乱が起こるかと市民は不安で結局のところ平和が戻ったわけではない。インドとパキスタンはカシミール問題で緊張が高まっている。アルゼンチンでは経済不安から大暴動が起き大統領が辞任する事態になっている。人の目はアフガニスタンに向けられメディアはチェチェン戦争や、世界各地の情勢や内戦が伝えなくなった。良い方向には向かわなかったと私は思う。
このままでは、アフガニスタンの報復が終わってもビンラディン氏が捕まっても、根が解決されず、テロはなくならない。私は今回のテロで一番問題だと思ったのは、アメリカ政府が、自分達のやってきたことを少しも反省しないことであり、そのアメリカ政府を各先進国政府は批判もせず支持をしていることだと思う。
「やって良いことと悪いことがある」まわりの世間の人は今回のテロ事件をこう言っていた。しかし、CIAが冷戦時代にビンラディン氏と結びついていたこと、武器を与えていたこと。イラクでは経済制裁により100万人の人(内半数が子供)が亡くなっていること。クリントン政権下での報復攻撃により薬品が難民に届かず死者がでたこと。CIAがコソボのテロリストと手を結んでいること。チェチェン、チベットで起きていること。グローバリゼーションの中の過酷な労働搾取。これらは、やって良いこと、起きていて良いことでは無い。悪いことのすべてが伝えられていないのが事実である。
私はテロを反対も肯定もできない。私はアフガニスタンの人達と同じ生活はしていない。イスラム教徒でもない。ビンラディン氏やテロリストの感情を理解は出来ない。私たちが考えなければならないのは自分達のしてきたことの反省だと思う。これは、アメリカだけではなく日本における慰安婦問題、南京問題、教科書問題、靖国問題もそうである。また、私たちの生活についてもそうである。12月15日ピースネットでの講演会で大畑さんが世界中の人間が日本人レベルと同じ生活をしたら3ヵ月、アメリカ人レベルだったら10日間以内で地球は無くなってしまうということを聞いた。私たちがいかにすごい生活をしているかがわかった。私が不安に思うのことは、このままでは、あのテロ事件が、ただの一つの出来事にしかならなくなってしまうことである。何故、あのようなことが起きたのかが世間の人に伝わらないと、あの貿易センター跡地はただ同情するだけの何も考えさせないものになってしまう。テロ事件から、ただテロ行為が残虐なことだとしか考えさせなかったのなら犠牲者の命は無駄になってしまう気がする。
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