平和資料協同組合
自治体と市民のための「ガイドライン法案」速報 
ピースデポ(平和資料協同組合)・ガイドライン法案プロジェクトチーム
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自治体と市民のための「ガイドライン法案」速報 第8号 1999年4月16日

発行:ピースデポ(平和資料協同組合)・ガイドライン法案プロジェクトチーム
監修:前田哲男、梅林宏道 編集:川崎哲、池田佳代
事務支援:緊急プロジェクト・スタッフ
予約・問合せ先:〒223-0051横浜市港北区箕輪町3-3-1日吉グリューネ102号ピースデポ
TEL:045−563−5101 FAX:045−563−9907
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●掲載しきれなかった情報や、記事の原資料は事務所にあります。お問い合わせを。
●各地での動きを紹介しますので、ぜひ情報を寄せてください。
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 個人・小グループ:1口5,000円、自治体・団体:1口10,000円
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<1>国会の動き

【早ければ23日に委員会採決】

 今日4月16日、衆院特別委理事会が開かれた。今後の日程は以下の通りである。
4月19日(月)12時〜理事会
  20日(火)9時〜18時一般質疑
  21日(水)中央公聴会
  22日(木)一般質疑
  23日(金)早ければこの日に締めくくり総括質疑と採決がおこなわれる。遅くとも26(月)か27(火)には委員会採決となり、可決の場合、翌日衆院本会議で可決(29日の首相訪米前の衆院通過が自民党の意向。)

 理事会ではすでに修正協議に入っている。民主党(=<資料1>=)と公明党(=<資料2>=)の修正要求内容の原文を資料として掲載する。
 4月13日の一般質疑の審議内容は、ファックスでとり出せる(ボックス番号836#)。電子メールでの受信者には別便でお送りする。ホームページ版では<資料6>として掲載。各党の修正要求内容と比較して読んでいただきたい。<資料3>に4月20日の一般質疑の予定表を掲載する。

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<2>各地、自治体の動き

【明日17日、嘉手納基地で降下訓練実施】

 明日4月17日午前6時から9時まで、延期されていた米海兵隊の沖縄・嘉手納基地でのパラシュート降下訓練がおこなわれる。200人規模の訓練と見られる。
 この訓練は3月6日に同基地で実施が予定されていたが、沖縄県側の反発から延期されていた。3月4日、日本側の要請を受けてフォーリー駐日米大使が高村外相に電話で延期を伝えた。同日野中官房長官は「訓練に対する沖縄の受け止め方が、米国側に一定の理解が得られた」と歓迎の意を表明していた。同訓練は、96年12月の沖縄施設・区域特別行動委員会(SACO)最終報告で、伊江島補助飛行場に移転することに合意している。しかし、悪天候のために同飛行場での訓練は頻繁に中止されてきた。
 その後3月16日にはブレア米太平洋軍司令官が稲嶺恵一知事を訪ね、県民の不安と反発からSACO合意に沿った移転しての実施を求める知事に対し、「日本の防衛任務を遂行するためにも訓練は不可欠だ」「実施にあたっては軍人だけでなく周辺住民の安全確保を講ずる」と述べてる。
 今回米側が訓練実施を決めたことについて、日本政府は「今回の嘉手納での降下訓練は例外的に実施されるものと理解している」(外務省北米局)としている。

【地方公聴会で切実な声】

 4月14日に福岡、福井、函館で開催された地方公聴会では、それぞれの地域事情から法案に反対や慎重審議を求める切実な意見があがった。修正協議で法案通過を急ごうとする中央の動きとの開きが浮き彫りになった。以下に、各開催地での意見をいくつか紹介する。

●函館
○佐藤かの氏(函館平和委員会事務局長)

 1997年10月、函館に寄港したアメリカ第7艦隊ブルーリッジによって、既に市民はその危険性を先取りして体験し、多数の市民がふるさとの街を守るために非核平和条例の実現にとりくんでいます。
 函館は開港以来、140年にわたる諸外国との交流があり、その歴史が市民の誇りでもあります。函館市は「地球市民」として世界の平和に貢献し国際観光都市としての発展をめざしています。20年の実績を持つ市民の国際交流により、諸外国との友情のきずなは網の目のようにひろがっています。戦後、平和憲法でうたう国際平和主義は生活にすっかり根付いて、日常化していますから、市民は平和憲法のもとでこそこのしあわせがあることを感じています。アメリカの戦争に協力して他国を敵視するなどとても出来ません。
 函館港は民間港でありながら米艦の入港が多く、市民の心配の種となっていました。15年前の8月6日、運動が実り函館市は「核兵器廃絶平和都市宣言」をしました。入港軍艦にたいして歓迎もなくなりました。毎年この平和宣言を記念して函館市は集会や無料の平和電車を走らせていますが、戦後50年に市民運動が高まった時は、市議会も全会一致で「日本国憲法の恒久平和の原則を守り、戦争を2度と繰り返さないことを求める決議をしています。市民運動は市議会を動かし、アメリカ軍艦の入港も少なくなってきました。
 函館は津軽海峡に面し、今まで海峡封鎖作戦などでアメリカ軍艦が漁網を切断したり、空母エンタープライズ艦船機が連絡船を標的に演習をしたり、米軍機が予告もなく空港に突然侵入し演習をしたために旅客機の出発が遅れたこともありました。とくに北海道は日米共同演習が激しく行われ、矢臼別での住民無視の演習は目にあまるものがあります。その矢臼別へ向けて函館からも丸火印の火薬を積んだトラックが並んで国道を走ります。この法案が成立すればこれらが日常的に激化し、市民は協力を強いられることになります。既に米軍は函館の施設、港湾、病院などの調査済みです。
 1997年8月29日付北海道新聞の「日本周辺有事の際、米軍、数十ヶ所使用港・空港を要求」という記事の中に函館も上げられていました。市民は驚き大きな不安にかられていた矢先、その数日後の9月5日、小樽に米空母インディペンスが、次いで10月3日函館にブルーリッジが寄港しました。市民はかってない規模で反対に立ち上がりました。米軍の上陸地点では、子どもの親たちが沖縄少女暴行事件のようなことがおきるのではないかと心配し、停泊地点の漁民は刺網を引き上げ休漁させられました。広範な市民のさまざまな反対運動で、ロバート艦隊司令官は「函館市民は我々をあまり歓迎していない」とがっかりしていたと10月4日の毎日新聞は報じ、市民が平和を必死に守ろうとした声が艦長を通してアメリカ国民に届いて欲しいと私は願いました。また、ある高校生は英語で米兵たちに「今度来る時は軍艦でなく観光船で来て」とよびかけていました。
 昨年12月に地方自治体として平和憲法や非核三原則を守り、核兵器廃絶平和都市宣言を一層発展させるために「非核平和条例をつくろう」と運動が始まりました。安保条約賛成の人も、反対の人も、思想信条、立場の違いを越え、ふるさとを自分たちの手で守るために結び合ったことは大きな力となりました。条例には、入港するすべての外国艦船から非核証明書の提示を求め、提示のないものは入港させない、市の施設は平和に反する目的のためには使用させないことなどがもりこまれ、「この条例には法的障害はない」という確信を持って誕生した非核平和条例は、まさに市民の財産です。署名も短期間で25045筆集められ、14議員の共同提案の「非核・平和行政の推進に関する条例案」とともに市議会に提出されました。結果は継続審議・廃案となりましたが、選挙後の議会へ向け運動が続けられています。地方分権時代を迎え、住民の暮らしを守る自治体としての運動、平和都市宣言、平和行政、平和条例などが軍事力に代わって平和を守るための「平和力」であることに確信を持つことが出来ました。
 議員のみなさん、国民の悲痛な声に耳を傾けて、憲法に明記されている平和原則を堅持していただきたいと心から訴えます。
(*ご本人の了解を得て全文の中から抜粋、若干の修正を加えた。)

●福井
○吉村清(敦賀市原子力懇談会委員):周辺に原子力発電所を抱える福井市では、「有事の際は必ず原発が標的にされ、一度放射能が漏れたら周辺事態法どころではなくなる」(4月15日付『読売新聞』)
○岡田正則(金沢大学助教授):法案の問題点は(1)交戦権の行使・武力の行使にかかわる判断など、主権国家としての根幹部分を他国に委ねてしまう、(2)政令などへの委任の方法が憲法違反とされる「白紙委任」と疑われる、(3)地方自治を破壊し、地方公共団体を国に従属させる危険性を有している。来世紀において少なからぬ混乱と犠牲を招きかねない。周辺諸国の人々の理解を抜きにして、こうした法律を作ることは、今後の日本の外交にも支障となる。
○須藤真志(京都産業大学教授):危機がおこったときには戦争ではなく外交で解決するのが重要だ。
○島田洋一(福井県立大学助教授):戦闘において前方・後方の区別がないというのは、そのとおり。リスクなしに抑止力は高められない。(以上、4月15日付『しんぶん赤旗』)

●福岡
○石川元平(前沖縄県教組委員長):我が国の侵略戦争の教訓と反省から、徹底した平和主義を貫き、武力の行使や軍隊の保持を否定した憲法前文と第9条に反するもので、廃案を求める。私たちはかつて沖縄戦を体験し、戦後も在沖米軍の出撃という形で朝鮮戦争、ベトナム戦争を、そして復帰後も湾岸戦争を肌で感じてきた。そこでは戦争による犠牲は軍人よりむしろ民間人が圧倒的に多いというのが冷厳な事実である。戦争では前方も後方もない。米軍基地が75%も駐留する沖縄や地理的に朝鮮半島に近い九州の危機感は大きい。
○その他:自治体への協力規定をこの法案の中にあえて入れる必要があるのか。地方分権との絡みからも心配だ。/国と地方に上下関係はない。法案によってこの関係をそこなうことがあってはならない。(情報提供:『社会新報』)

【法案に反対・危惧の地方議会、正確な数字】

 本速報第6号では、「新ガイドラインとその立法化に反対する国民連絡会」調べとして、法案に反対・危惧を表明した地方議会の数は173にのぼったことを伝え、一覧表を掲載した。続く第7号で2議会を追加したので、その時点で175にのぼったことになる。その後、4月14日付『朝日新聞』は同社調べとして「177自治体」と報じた。4月16日付『しんぶん赤旗』は、「新ガイドラインとその立法化に反対する国民連絡会」調べとして「188自治体」と報じた。4月14日付『朝日』に掲載されていて、本速報第6、7号に掲載されていないのは下記の自治体である。
(青森)波岡町
(宮城)柴田町、大河原町
(神奈川)寒川町
(長野)中野市、塩尻市(趣旨採択)、丸子町、高森町
(京都)京都府
(兵庫)宝塚市、伊丹市
(山口)小郡町

 また、「戦争への『新ガイドライン関連三法案』NO!福岡県フォーラム」が、福岡県内の全地方議会の意見書、陳情の採択状況について集計を出している。そこにあがっている自治体のうち、第6号に掲載されていないのは以下の通りである。問い合わせは、同フォーラム092−633−3745まで。
(福岡)水巻町、田川市、山田市、八女市、志免町、水巻町、若宮町、稲筑町、穂波町、頴田町、田主丸町、香春町、赤池町

 なお、ピースデポの調査のなかで、第6号に掲載した札幌市と長野県佐久町は不採択、徳島県牟岐町は意見書や陳情の審議の事実がないということがわかった。

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<3>解説

【民間機・船舶による武器・弾薬輸送の実態明らかに】

 「民間機及び民間船舶による武器・弾薬等の輸送に関する質問主意書」(3月24日、照屋寛徳参議院議員提出=<資料4>=)に対する答弁書(=<資料5>=)が4月9日に出された。それにより、次のようなことが明らかになった。

●輸送した武器弾薬の種類、量。民間業者名。
●武器・弾薬の積み込み、荷降ろしは、民間業者の従業員が、米軍と防衛施設庁の立ち会いのもとでおこなったこと。
●民間機・船舶の契約形態は、米軍の依頼を受けた防衛施設庁が日本通運を通じて民間業者と契約をする場合と、米軍が民間業者と直接契約を結ぶ場合とがあること。
●運航業務の実施は民間業者の従業員がおこなったが、兵員を輸送することについては搭乗・乗船した米軍指揮官が責任をもち「運航を管理」していたこと。
●これら民間機・船舶は「合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるもの」にあたり、日米地位協定第5条が適用されること。
●米軍が防衛施設庁を介して民間機を借り上げたのは97年6月の全日空機の例がはじめてで、民間船舶については同年以降の在沖米軍の射撃訓練の本土移転各演習においておこなわれていること。
●従来より米軍が直接民間業者と契約する例はあり、この場合も地位協定5条が適用されていること。

【分析:民間機・船舶の安全性に大きな疑問】

(1)民間業者の乗員も責任者も、事前に武器・弾薬輸送を把握できなかった

 答弁書では、防衛施設庁は日通を通じて全日空へ連絡していたので、「全日空においては、銃器の種類及び数並びに弾薬の数について把握していたものと承知している」としている。
 この点につき、99年3月16日付『朝日新聞』は、営業本部の担当者に「米軍側」から輸送日の直前になって「自動小銃を運んで欲しい」との要請があり、担当者らが「客室への武器持ち込みは認められないが、貨物室でなら」と口頭で米側に了解を伝えていたが、これら経緯は上層部には知らされず、輸送した品目を文書にしなかったことなどから、経営陣は「武器は輸送していない」と認識していたと報道している。
 いっぽう、去る4月7日の衆議院特別委の参考人意見聴取では、川本和弘・日本乗員組合連絡会議議長が、海兵隊人員の輸送が「非常に大きな問題になって、団体交渉等を通じて会社に中止を依頼し、帰りの便については会社が中止した」との経緯を述べている。
 これらのことから、武器・弾薬の輸送について事前の「連絡」はあったかもしれないが、社内の責任者にも実際の輸送に携わる乗員にも周知徹底されていなかったことがわかる。
 このような実態をみると、周辺事態にあたって政府が民間に協力を依頼する際、協力の内容がどれだけ具体的に現場の従業員にまで伝わるのかは、大きな疑問が残ると言わざるを得ない。

(2)米軍が「運航を管理」することで生じる危険性

 答弁書では、武器・弾薬を輸送する民間機・船舶は、米軍が「運航を管理」しており、それゆえに地位協定5条が適用されることが説明されている。
 武器・弾薬を輸送する航空機が国際民間航空条約(シカゴ条約)の対象となる民間航空機とされるのか、あるいは同条約の対象外となる軍用機等の「国の航空機」となるのかは「個別に判断される」とういのが外務省の説明だ。しかし、米軍が「運航を管理」している場合には、シカゴ条約の対象外とみなされると考えるのが自然である。4月15日の衆院特別委での辻元清美氏(社民)の質問に対して、外務省は、協力依頼する航空機がシカゴ条約の対象外となるケースもあり得るとしている。
 また、3月26日の同委では、志位和夫氏(共産)の質問に対して、後方地域支援活動をする自衛隊の艦船・航空機は国際法上「民用物」とはみなされない(国際紛争で攻撃の対象としてはならない「民用物」が1977年のジュネーブ第一追加議定書第52条1項で定義づけられているが、それに該当しない)と外務省は明言していることから、自衛隊と同様に米軍支援のために武器・弾薬を輸送する民間機・船舶も、危険にさらされる可能性が避けられない。
 こうした国際法上の危険性について、政府が民間業者に依頼するにあたってどれだけ十分に伝えられるのか。政府は、安全性にかかわる事項は、「(自治体・民間協力の際の)その協力に関する重要事項」(法案第2条2項7号)の中に書き込まれると答弁している(4月15日、衆院特別委)が、国際法上の立場などについても、記述され伝達されるという保証はない。

(3)米軍との直接契約の場合、安全性はきわめて疑問

 答弁書では、米国と民間業者が直接契約をおこなった場合については、「その際に、具体的にいかなる物資を輸送しているかは、政府としては承知する立場にない」としている。いっぽうで、法案審議の場では、米軍と民間業者が「安全の見通しの立たない契約を結ぶことがないよう配慮し、安全情報を民間業者に逐次連絡して安全確保に努めたい」と述べている。しかし、武器・弾薬の輸送の有無さえ把握することなく、「安全の見通しの立たない契約を結ぶことがないよう配慮」していると言えるのだろうか。
 米軍との直接契約の場合の民間業者の安全性については、4月15日の衆院特別委で太田昭宏氏(公明)が追及をした。野呂田防衛庁長官は、「安全配慮について米側に厳しく要請したい」旨の答弁をしたが、その前提として、「直接契約を法律で規制することはできない。民間業者は危険を感じれば契約をしなければいい」旨も述べている。

(4)協力依頼を断るのは「至難のわざ」

 周辺事態法案第9条2項によって民間業者に対して国からの輸送の協力依頼があった場合に、「企業は、許認可権が非常に多い航空の中では、国に対してそれをお断りするというのはかなり至難のわざ」(川本和弘氏、4月7日、衆院特別委)とされる。国からの依頼を断ることが困難な中で、高い危険性を伴う協力内容が、現場の十分な理解のないままに「押しつけられて」しまう可能性がある。

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<お詫びと訂正>

前号6頁右段、函館公聴会の団長名が「畑英次」とあるのは「畑英次郎」の誤りでした。訂正とともにお詫びいたします。

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<資料1>

ガイドライン関連法案について法案修正を求める点

(民主党・防衛指針関連法案対策委員会)
1999年4月13日

<周辺自治体法>
(1)基本計画の国会承認
・基本計画の実施前に国会承認を必要とする。
・緊急の場合は措置実施後直ちに国会承認を求める。
・承認事項は基本計画(周辺自体の認定+基本計画+自衛隊の出動のすべてを含む)とする。
・不承認の議決又は措置が不要になった時は直ちに措置を終了する。
(2)一定期間毎の措置継続に対する国会承認
・国会承認の日から60日を超えて措置を実施する場合は国会承認(基本計画の見直し)を求める。
・不承認の議決があれば遅滞なく措置を終了する。
(3)周辺事態法に基づく措置が日米安保の枠内であることを法案に明記
(4)周辺事態の定義を「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態で、我が国に対する武力攻撃に発展する怖れのある事態」という旨とすること
(5)船舶検査には国連安保理決議を要件とすること(政府原案のまま。)
(6)後方地域支援活動についても武器使用の規定を法案に明記すべきこと

<自衛隊法の一部を改正する法律案>
(1)準備行為を法律に明記すること
(2)艦船派遣に対する内閣総理大臣の関与を自衛隊法に明記すること

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<資料2>

防衛指針関連法案について法案修正等を求める点

(公明党・改革クラブ・防衛指針関連法案検討チーム)
1999年4月16日

(1)法案修正
1.基本計画を原則、国会の事前承認とし、緊急の場合は20日以内に事後承認を求めることとする。
2.周辺事態終了後、対応措置の詳細をすみやかに国会に報告する義務を法案に明記すること。
3.周辺事態法に基づく措置が「日米安保条約の枠内」であることを法案に明記すること。
4.船舶検査活動については国連安保理決議を要件とすること。(政府原案のままとする)

(2)その他
1.「周辺事態」概念を明確化するために、認定基準につき包括的に類型化したものを、認定手続とともに統一見解として出すこと。
2.地方公共団体や民間に求めたり依頼したりする協力の内容や補償措置等につき明確化し、マニュアル等を作成すること。
3.関連法案は「抑止」の側面のみを議論しているが、日本の平和戦略の全体像を示すためには「対話」の側面をも明確化する必要があるので、「我が国の平和外交のビジョンと基本政策」(仮称)をとりまとめ早期に発表すること。

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<資料3>

4月20日衆院ガイドライン特別委員会(案)

8:30〜理事会
9:00〜一般質疑
質疑者:
前原誠司(民主、90分)9:00〜10:30
藤田幸久(民主、45分)10:30〜11:15
島聡(民主、45分)11:15〜12:00
山中あき子(改革、100分)13:00〜14:40
東中光雄(共産、50分)14:40〜15:30
北沢清功(社民、30分)15:30〜16:00
西川公也(自民、40分)16:00〜16:40
小島敏男(自民、40分)16:40〜17:20
達増拓也(自由、40分)17:20〜18:00

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<資料4>

民間機及び民間船舶による武器・弾薬等の輸送に関する質問主意書

(質問題13号、1999年3月24日)

 在沖米海兵隊の県道104号線越え実弾射撃訓練演習の本土移転演習に際し、民間機及び民間船舶で兵員、銃、榴弾砲、弾薬等が輸送されていることが判明した。
 民間機及び民間船舶によるこれら武器・弾薬等の輸送は国内法令や日米地位協定にも違反する違法・不当な行為であって、断じて容認できない。同時に、これら武器・弾薬等の輸送は、現在国会で審議中のガイドライン関連法案の先取りであると強く指弾しなければならない。
 私は、これらの問題について予算委員会や沖特委で政府の見解を質したが、納得しうる答弁は得られなかった。
 よって、次の点について質問する。

一、1997年在沖米海兵隊が北富士演習場で実弾砲撃移転訓練を実施した際、全日空機をチャーターして兵器、銃、弾薬を輸送したのは事実か明らかにされたい。もし、事実であるならば、以下の点について政府はどのように把握しているか明らかにされたい。

1、右全日空機をチャーターしたのは、防衛施設庁かそれとも日本通運か、明らかにされたい。
2、右全日空機で輸送した兵員の数、銃器の種類と量、弾薬の量について明らかにされたい。
3、右全日空機による輸送の際、武器・弾薬等の積込み、荷降ろしは誰が、どのような手段で行ったのか明らかにされたい。
4、全日空機と防衛施設庁又は日本通運のいずれかがチャーター契約を締結した際、あらかじめ武器・弾薬の輸送であること、輸送する武器・弾薬の数量等については明示のうえ了承を得たのか明らかにされたい。
5、チャーターされた全日空機に搭乗した海兵隊員が全日空機の航行を具体的に管理、指揮していたのかについて、政府はどのように把握しているのか明らかにされたい。
6、右全日空機での武器・弾薬の輸送について、同機に対し日米地位協定第5条を適用した根拠及びそれ以前に民間機による武器・弾薬の輸送で日米地位協定第5条を適用した事例があったのか明らかにされたい。

二、1999年在沖米海兵隊が日出生台演習場で実弾砲撃移転訓練を実施した際、民間船舶をチャーターして155ミリ榴弾砲等を輸送したのは事実か明らかにされたい。もし、事実であれば、以下の点について政府はどのように把握しているのか明らかにされたい。

1、チャーターした船舶名、船舶を所有する会社、榴弾砲等を積み込んだ港、荷降ろしをした港、輸送した榴弾砲の数、車両等輸送物資の詳細を明らかにされたい。
 また、榴弾砲等の積込み、荷降ろしは誰が、どのような手段で行ったのか明らかにされたい。
2、右チャーターした船舶に乗り込んだ海兵隊員は、船舶の運航についていかなる管理、指揮をなしたのか具体的に明らかにされたい。
3、右民間船舶での榴弾砲等の輸送について、同船舶に対し日米地位協定第5条を適用した根拠及びそれ以前に民間船舶による榴弾砲の輸送で日米地位協定第5条を適用した事例があったのか明らかにされたい。
 右質問する。

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<資料5>

参議院議員照屋寛徳君提出民間機及び民間船舶による武器・弾薬等の輸送に関する質問に対する答弁書

(内閣参質145第13号、1999年4月9日)

一の1について
 平成9年7月、沖縄県に駐留するアメリカ合衆国海兵隊(以下「米海兵隊」という。)が、沖縄県道104号線越え実弾砲兵射撃訓練を北富士演習場に移転して行った訓練に際し、防衛施設庁は、我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下、「在日米軍」という。)からの調達の依頼を受け、日本通運株式会社(以下、「日本通運」という)と輸送役務契約を締結し、当該契約に基づき、在日米軍が、御指摘の民間航空機(以下、「本件航空機」という。)等により米海兵隊の人員並びに銃器及び弾薬等を同演習場へ輸送したところである。
 また、本件航空機は、在日米軍からの調達の依頼を受け、防衛施設庁が借り上げたものであり、借上げに当たっては、防衛施設庁と当該契約を締結した日本通運が、全日本空輸株式会社(以下「全日空」という。)と貸切運送契約を締結している。

一の2について
 本件航空機で輸送された米海兵隊の人員の数は約130名、銃器の種類と数は小銃約70挺及びけん銃約20挺並びに弾薬の数は米海兵隊の軍事警察のけん銃用弾薬約30発である。

一の3について
 本件航空機への銃器及び弾薬の積込みについては、全日空の依頼を受けた民間事業者が、米海兵隊の隊員及び防衛施設庁の職員の立会いの下、自動運搬装置(ベルトコンベア)を用いて行い、米海兵隊の軍事警察のけん銃一挺以外の銃器を貨物室に、当該けん銃一挺及び当該けん銃用の弾薬約30発を機長の指定した場所に積込みした。
 また、本件航空機からの取卸しについても、同民間事業者が、米海兵隊の隊員及び防衛施設庁の職員の立会いの下、自動運搬装置(ベルトコンベア)を用いて行ったところである。

一の4について
 防衛施設庁は、輸送役務契約を締結した日本通運を通じ、銃器及び弾薬を含む積載物の内容について、あらかじめ全日空に連絡していたところである。したがって、全日空においては、銃器の種類及び数の並びに弾薬の数について把握していたものと承知している。

一の5について
 本件航空機による輸送における日本通運と全日空との間の貸切運送契約は、通常の貸切運送契約であり、本件航空機の操舵、運送管理等の運送管理等の運航業務の実施自体は、当該契約に基づいて全日空の従業員が行ったものである。また、米海兵隊の人員等を所定の日時及び場所に安全に輸送することについては、在日米軍内において責任を有する米海兵隊の指揮官が本件航空機に搭乗し、その形態で運航を管理していたものである。

一の6及び二の3について
 本件航空機及び本年2月に米海兵隊が日出生台演習場で行った射撃訓練に際し、米海兵隊のりゅう弾砲等を輸送した民間船舶(以下、「本件船舶」という。)は、在日米軍からの調達の依頼を受け、防衛施設庁が借り上げた航空機及び船舶であり、防衛施設庁と日本通運との間の輸送役務契約において、米海兵隊の指揮官が本件航空機に及び本件船舶に乗り込み、その運航を管理する旨明らかにされており、また、実際にもそのように運航されているので、本件航空機及び本件船舶は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年条約第7号。以下「地位協定」という。)第5条にいう「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるもの」に該当するものと考える。
 また、御指摘の事例以前に、在日米軍からの調達の依頼を受けて防衛施設庁が民間航空機又は民間船舶を借り上げた事例については、防衛施設庁に保管されている記録により確認できる範囲において、航空機に関してはその事例はなく、船舶に関しては、これまで射撃訓練を本土の各演習場に移転した際、民間船舶によりりゅう弾砲等が輸送されており、これらの民間船舶についても、本件船舶と同様に、地位協定第5条が適用されたところである。
 なお、従来から、アメリカ合衆国政府が防衛施設庁に調達の依頼を行うことなく自ら借り上げた民間の航空機及び船舶により、在日米軍が地位協定第5条に基づき我が国に出入及び移動していることは承知しているが、その際に、具体的にいかなる物資を輸送しているかは、アメリカ合衆国政府と民間事業者の間の契約に係る事項であり、りゅう弾砲等の武器、弾薬等を輸送したかについては政府としては承知する立場になく、この点についてお答えすることは困難である。

二の1について
 御指摘の本年2月の米海兵隊の射撃訓練に際し、防衛施設庁は、在日米軍からの依頼を受け、日本通運と輸送役務契約を締結し、当該契約に基づき、在日米軍が、本件船舶等により米海兵隊の155ミリりゅう弾砲等を日出生台演習場へ輸送したところである。
 本件船舶の名称は、「第三光洋丸」及び「よね丸」であり、それぞれの所有者は、日陽シッピング株式会社及び大米興産株式会社である。本件船舶により、155ミリりゅう弾砲4門、車両約40台及びコンテナ等の物資が輸送され、本件船舶への積込み及び本件船舶からの取卸しについては、沖縄県に駐留するアメリカ合衆国陸軍の管理する那覇港湾施設及び大分県の管理する大分港において、琉球港運株式会社、日本通運等の民間事業者が、米海兵隊の隊員及び防衛施設庁の職員の立会いの下、クレーン、フォークリフト等を用いて行ったところである。

二の2について
 本件船舶の操船、運航管理等の運航業務の実施自体は、本件船舶に係る船舶運航事業者の従業員が行ったものである。また、米海兵隊の物資を所定の日時及び場所に安全に輸送することについては、在日米軍内において責任を有する米海兵隊の指揮官が本件船舶に乗船し、その形態で運航を管理していたものである。

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<資料6>

4月13日(火)衆議院ガイドライン特別委員会 審議採録


▼田中真紀子(自民)
 不審船騒ぎの際、日本側の日頃からのトレーニングを積む必要性を感じた。日本海には柏崎原発、敦賀の原子力立地地帯などがあり、工作員などが社会的なパニックを起こす可能性もないと言えないわけで、もっともっと危機意識を高めていただきたい。日米安保の不備を整備、強化する新ガイドラインや、今回の法案に関する国民への判断しやすい、わかりやすい情報を政府は提供していくべきではないか。
▼野呂田防衛庁長官
 今、重要事態対応会議を設置して、国民に対する情報公開をどの程度までできるか検討している。
▼田中
 後方支援、周辺有事の範囲などについて、国民はもっとしっかり関心をもっているし理解力も高いので、一般国民の生活にも直接かかわることであるんだということをわかりやすく説明をする義務はない。どのようにして地方自治体、民間、国民に説得、納得してもらおうと考えているか。
▼野田大臣
 法案第9条において、今までできる限り具体的な説明を行ってきたと考えているが、今後とも関係省庁との連携のもとで地方団体への説明について更に要請があれば積極的に具体的な説明をしていきたいと考えている。基本計画は、前提として当該自治体と事前に相談しながら作成することは当然で、その中で有無を言わせず押しつけるとか、総動員的な態勢になるわけがないと考えている。(後の質問で、具体的な説明をしているわけではないと答弁)
▼田中
 KEDOの問題で、日本は10億ドル分担金として拠出しているが、北朝鮮の炉心棒の紛失・核の転用というような問題をどう捉えているのか。拉致・食糧問題などのたびにアメリカの言いなりになっていて、日本外交の主体性が感じられない。これらについてどう考えているか。TMDについて中国は「台湾のきょうだいに対して日本やアメリカはミサイルを向けるのか」といっている、中国外交に対して努力不足、日本独自の立場での発言をするべきだ。
▼高村外務大臣
 KEDOについては国際社会みんながこの枠組みを守っていかなければ行けないと判断している。北朝鮮の対応に応じて、対話と抑止をきっちりやっていく確固たる姿勢をとっている。中国については日中共同声明とその精神を守っていく。台湾の問題は、中国人同士が平和的に解決してもらいたい。

▼岡田克也(民主)
 95年、東アジア・太平洋地域安全保障戦略、EASRが出され「アジア太平洋地域における米軍の前方プレゼンスは地域安全保障と米国の全世界的な軍事態勢にとって不可欠な要素である。その展開戦力は、世界規模の危機に迅速かつ柔軟に対応する能力を保障する。」という記述があるがこの表現についてアメリカと同じような認識でいるのか。
▼高村外務大臣
 アジア太平洋全体についても平和と安全、そしてグローバルな意味でも平和と安全に貢献していると言うことは結果的に言えるだろうと思う。積極的に共有するということではなく、アメリカの世界戦略の一環であろうと思って許容している。
▼岡田
 周辺事態法における位置づけについても、アメリカはかなり幅広い範囲での、アジア太平洋地域全体における米軍の活動について日本が後方支援をするということを期待しながらこの法律ができてきたんじゃないか。ところが日本は、日本の平和と安全ということで非常に限定した範囲をいっている。そこに認識のギャップがあるのではないかと思う。
▼高村
 ふだんから密接な協議の中で、そういうギャップが少しでもあるとは思っていない。
▼岡田
 安保条約全体の中身が変わっているときに、日本及び極東の直接出撃行動はいいが、それ以外のものについてはアメリカがやっていることで、日本は関係ないというのは国際的な常識として通らない、供与している基地がいかに使われようと関係ないというのはあり得ないと思うが。
▼高村
 安保条約第4条に随時協議がある。事前協議以外の部分で意見を申し上げることは当然あるが、アメリカがどこかに移動することについて「いけない」と言うのは常識的にあわないだろうと思う。
▼岡田
 この法律についての与党内での意見がまとまっていないのにこういう委員会で議論するということは本来的にはおかしなことだと思う。国会での議論の修正ではなく、与党間の修正含みの議論をしているのでは、野党は何を議論したらいいのかと思う。今の内閣で閣議決定されていない法案を本来審議してはいけないと思う。
▼野田自治大臣
 あくまで、原案どおり通していただくのがベスト。これ以上もこれ以下のものない。
▼野中官房長官
 この法案はこれ以外にはないわけで、是非本案をこの委員会初め国会で審議をいただきたい。
▼岡田
 委員長に要望するが、与党間の合意がきちんとできた段階で、議論する時間を確保しなければ、国会の場で議論しないで決めることになる。理事会でやったとしても同じだ。これだけを審議して、実は与党の間で違う案がもうほぼできつつあると、野田大臣も言った。それがなぜ出てこないのか。
▼山崎委員長
 与党二党で法案の内容を変えることはない。
▼岡田
 この委員会の場にきちんとした与党の間の修正案というものが示されないままに採択されるということになれば、国会を無視した話になることも申し上げたい。
日米安保条約の枠内という表現を法文の中に書くのか。安保条約の実効性を確保するためにあるんだとした場合には問題はあるか。
▼高村
 今提案している法案のまま通していただくのがベストだ。実効性若しくは信頼性を確保するためのものであると言ってもいいだろう。
▼野呂田
 その通りと思う。
▼岡田
 邦人救出について、自衛隊法第100条の8の改正案では、艦船の派遣は武装した護衛艦なども含むが、このような事態を内閣総理大臣が決定すべきと思うが。
▼野中
 現行のとおり、外務大臣からの依頼に基づいて防衛庁長官が権限として行うことが適切である。

▼上原康助(民主)
 法案第9条地方公共団体等の協力問題について、関係自治体等の意見、反応を政府は捉えているのか。自治相は何か取り組んでいるか。
▼野呂田
 全国の市町村に対してかなり密接な情報、意見の調整をやっているが、今後ともこれは続けていきたい。防衛庁に寄せられた意見書は(3279市町村のうち1.3%の)43市町村が法案に対して反対の意思表明をしている。
▼野田
 意見書を見る限り、法案に対する認識が行き届いていないと言える内容のものがあったので、更なる周知を努力していかなければならないと考えている。防衛庁初め関係省庁と連絡をとりながら、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会、各都道府県の東京事務所、全国市議会議長会の基地協議会、全国基地協議会、防衛施設周辺整備全国協議会などに説明や資料配付を行った。
▼上原
 協力内容について、政府は10項目の例示を出したが、これに限られるものではないということになっており、限度や範囲、法的拘束力などの見解を出さないと地方の協力は難しいのではないか。拒否できるできないの正当な理由の見解をまとめて欲しい。第9条について、港湾法その他の法などとも精査して統一見解を求めたい。委員長、理事会で検討してください。
▼山崎委員長
 理事会で検討する。

▼遠藤乙彦(公明・改革)
 有事における大量の避難民対策について基本方針は策定されているのか。日米がイドラインで規定している米国の支援とはどのようなものを想定しているのか。事実上日本のみで対応せざるを得ないのではないか。
▼高村
 避難民の救援、輸送のための活動、応急物資の支給などの活動に伴う米国からの支援を想定している。対応のあり方に関しては、日本における受け入れ態勢のあり方を含め緊急事態対応策の検討の一環として実務面から検討が続けられている。
▼遠藤
 物資の運搬等における情報公開が必要。軍需品の化学物質や有毒物質を含む危険物について、運搬に携わる人や貯蔵場所周辺の住民の不安を生じさせない努力が必要である。軍需物資の運搬や貯蔵にあたり、対象物資の公開などの方策を採るべきと思うが。
▼伊藤安全保障・危機管理室長
 第9条2項での一般事業者への協力依頼において、応じるのであれば契約によるということになる。この場合、当然中身を理解した上で引き受けることになるわけで、それを一般に広く公開する必要については、例えば治安上の問題などからも一律にはいかないだろうと思う。現行の安全関係の法令を遵守していただき、業者、周辺住民にも万一被害の生ずることのないよう措置していきたい。

▼伊藤茂(社民)
 日米地位協定とNATO軍地位協定、ボン補足協定との比較論について、日本とドイツの場合の違いについてどう認識しているか。
▼高村外相
 各国の規定ぶりは、一般的にいって日米地位協定と相当程度共通したものとなっている。NATOの地位協定やボン協定に比べて、日本にとって不利であるとか、改定が必要であるとかは考えていない。
▼伊藤
 地位協定には具体的な明文規定がない。ボン協定は、45条(地上演習)、46条(航空演習)、16条の3(低空飛行訓練)、施設・区域の設置、使用、返還に関する規定、48条の5(最小限の需要の点検)、48条の1(一定期間ごとの計画申告)、53条の1(国内法の遵守義務:ドイツ法と同等の、またはより厳しい内容を有する派遣国の国内法規を適用することができる)などがあり、自社さ連立内閣当時、共同で比較一覧表をつくったりした。内容は非常に違うと思う。
▼竹内行夫・外務省北米局長
 刑事事件に関する被疑者の拘禁問題は、拘束について、NATOよりも日米地位協定のほうが日本側にとって有利である。低空飛行について、国際民間航空や日本の航空法により規定された最高高度基準をもちいて、米軍もこれを適用している。ドイツは、ドイツ国内全土で訓練が可能であり、特定空域においては75メートル以上の訓練が可能になっている。どちらが有利かは一概に比較しにくい。
▼伊藤
 平成7年当時の連立与党当時の専門家会議での協議で、自民党座長中山太郎さんが提出した文書は「様々な問題について、これからの課題である、真剣に自由民主党として取り組むことにする」というものだった。主権国の権威としての対応が日米間の信頼への道ではないか。ふだんにさまざまの改善、改革の努力をするのは当然ではないか。
▼竹内
 政府としては地位協定の運用の改善に従来から取り組んできている。平成7年、刑事裁判手続きを改善した。平成8年、SACO最終報告においてさまざまな改善措置を盛り込み、実施している。今後とも地位協定の運用の改善のために努力を継続することとしている。
▼伊藤
 包括的メカニズム、調整メカニズムについて。包括的メカニズムのしくみは、武官(BPC:自衛隊の統幕会議、陸海空の幕僚幹部、在日米軍司令官、太平洋軍代表など)がベースになって物事が決まっていくのではないだろうか。国会報告ではない国会承認が大事なのではないだろうか。
▼野呂田防衛庁長官
 BPCの作業は、日米両国の防衛外交関係閣僚から構成される日米安全保障協議委員会が方針を提示し、作業の進捗状況を確認して、必要に応じて指示を発出する責任がある、単に軍事専門家の決定がベースになっているというのではない。
▼伊藤
 思いやり予算の問題について、この数十年間に急増したことについてアメリカの前国防次官補(ジョセフ・ナイ)は「カリフォルニアに駐留させるよりも日本に部隊を駐留させるほうが安上がりである、日本は受け入れ支援でもっとも気前のいい同盟国である」と発言した。日本の米軍部隊への直接の財政支援は年間ほぼ50億ドル、経費の70%、これは他のすべての同盟国を合わせたよりも大きい。突出している。
▼宮沢大蔵大臣
 我が国が国力からいってできることはした方がいいと思う。また、「アメリカ軍を日本に派遣することによって、決してアメリカにとっての過剰な負担になっているんではない」ということを国内的には話している。それは我が国にとって決して不利な説明ではないと考えてきた。財政は確かに厳しいが、日本の安全に関することであったら、削減するのは最後だ、ほかに削るところがあったら削らなきゃならないぐらいに考えている。

▼木島日出夫(共産)
 周辺事態における戦闘行為によって遭難した戦闘参加者の捜索救助活動について、基本計画における捜索救助の対象は誰なのか、米軍の戦闘員だけなのか、米軍の同盟軍の戦闘員も含むのか。
▼野呂田防衛庁長官
 民間人は一般に含まれないと解される、戦闘参加者以外の遭難者があるときは、人道的な観点から救助するものとしている。戦闘参加者は法律上米軍人に限定されていないので、改めて基本計画に米国の交戦相手国の戦闘員を救助すべき旨を突起するということは現在のところ考えていない。
▼木島
 アメリカ空軍1998年9月30日付の戦闘捜索救助と題する冊子がある。この中で、戦闘行為によって遭難した米兵を捜索救助する目的は、遭難した兵員の奪還し再び戦闘できるようにすること、拘束された兵員の価値を利用する機会を敵に与えないようにすること、強力で実行可能な戦闘捜索救助部隊の存在により作戦遂行能力を増強することとなっている。法案(第6条4項)の中で、この活動だけが武装した自衛隊の外国領海内での行動を認めているのはなぜか。
▼柳澤協二・防衛庁運用局長
 他国領域内に仮に遭難者があった場合、当該領域国の同意を得た上でこれを救助することを想定している。
▼野呂田
 必要に応じ、事前に所要の調整を行うことは十分あり得るが、基本計画あるいは当初の実施区域は後方地域の中というスキームであり、仮にそういうことがあった場合の想定である。
▼木島
 基本計画には書かないということがはっきりした。一触即発の可能性を常に秘めている戦闘捜索救助活動(日本の法律は戦闘という言葉をとってごまかしているが)中に、敵軍が向かってくる可能性が大いに想定されており、これに同行する自衛隊の活動は事実上一体不可分のもので、米軍の武力行使と一体である。
▼野呂田
 アメリカ人がアメリカの兵隊を救助する場合の事例と日本のこととは全く違う。戦闘行動と一緒になるようなおそれがあれば帰ってくればいいこと。防衛庁長官が、自衛隊が収集した情勢、外務省・米軍から得た情報等を総合的に分析することにより、事前に判断することは十分可能。
▼木島
 いつ攻撃されるのかわからない状況の中を中止して逃げ帰っている間に相手が攻撃してくる、攻撃対象になるのでは。
▼野呂田
 自衛隊は、どういう状態になったら危ないかということは自らが知っている、危なければ帰ってくるだけの話。
▼木島
 法案第11条は自衛官の武器の使用を認めているが、装備の限度はあるのか。相手から攻撃を受ける可能性を認めているからではないか。
▼野呂田
 法文上明記されていないが、その事態に応じ合理的に必要と判断される範囲のもの、一般的には拳銃、小銃、機関銃程度が中心になる。
▼木島
 法案は、船舶検査活動の基本計画には自衛隊の部隊の規模及び構成等を定め、閣議決定を求めなければならないが、捜索救助活動ではその規定がないのはなぜか。
▼野呂田
 その時々の状況に応じ活動に従事する自衛隊の部隊等の規模、構成も変化することが考えられるので、基本計画について定めることはしないとした。
▼木島
 自衛隊法95条の適用問題で、PKO法ではこれを除外したが、本法案では捜索救助、船舶検査については除外規定がない、そして護衛艦を出して捜索救助に当たる、敵軍が護衛官をねらってくると、95条を発動して応戦できる法律なのか。95条は個人の命を守るという概念ではない。これは憲法9条がいう武力の行使そのものだ。
▼柳澤局長
 退避によってもやむを得ない場合に初めて、正当防衛、緊急避難に当たる以外は人に危害を与えてはならないという受動的、限定的な武器使用。PKOと比べて永続的な業務というよりは限定されたもので、これをはずす必要はないと考えている。

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