社民党を離党するにあたって

 

参議院議員 大脇 雅子

2003年12月25日


  私は、12月10日社会民主党愛知県連合に対し、12月12日社会民主党全国連合に対し、離党届を提出した。13日の党大会に配慮して、事前に離党理由を公にせず、その後土井前党首と中西常任幹事(前副党首)の慰留の言葉に耳を傾けた。しかし苦悩の末に決断した私の離党の意思は変わらない。

 私は、社会文化法律センター推薦により拘束比例名簿式選出方式で1992年参議院選挙で当選して以来、2期11年5ヶ月間、厚生労働委員会と憲法調査会を中心に、平和・労働・人権・女性問題等に取り組んできた。とりわけパートタイム労働者等非正規雇用労働者の正社員との不合理な差別禁止、正社員と同一価値労働に従事する非正規労働者の賃金格差是正と均等処遇の原則の立法化を目指し、法案要綱を作り、法制化にむけてさまざまな努力をしてきた。 今日、非正社員の増加は著しく、パート労働者、派遣労働者、フリーター等非正規雇用労働者「1500万人時代」を迎え、正社員との間の処遇の差別と格差はますます拡大している。平等・公正な労働ルールの確立なくして日本の再生は果たせず、この課題の解決は急務である、と確信している。

 イラクへの自衛隊派遣反対、憲法9条改正反対、働く人達や女性、こども、移住労働者等の人権擁護、戦後補償等の私の政治理念は一貫して変わらない。半年あまりの任期を残して、立法者として、これらの課題の立法政策の実現可能性を追求したいという切望が断ち切れないのである。だからこそ無所属となって、多くの人達との連帯を模索したい。

 社会民主党が法案提出権を失った2001年からは、参議院では、議院運営委員会や予算委員会の理事を出すことが出来ないばかりか、施政方針を除いて、法案のすべてに対し代表質問ができなくなり、委員会の質問時間も少なくなった。立法や政策の企画立案だけではなく、法案や政策を実現するために、政権交代も視野に、野党間会派(合流ではない)を形成すべきであり、少数政党に甘んずることは怠慢ではないかと問いかけ、主張してきたが、これまで社民党は消極的であった。

 福島新体制になり、いっそう国会活動の展望がもてなくなった。今回の全国党大会に執行部から提案された「党則、諸規定改正案」は、会派形成は代議士会(衆)または参議院議員総会の「満場一致」の確認と常任幹事会の承認が必要となっている。地方自治体の議員の扱いも同様である。また国会対策や法案の賛否、政策審議も常任幹事会の統制の下に置かれることになり、議員の自律性は保障されなくなる。党内民主主義は、議員の自律性を保障し、議員相互や地方組織との自由な討議と対話を通じて、集団的自覚的統制が形成されるべきもので、党則で強権的に規制すべきものではあるまい。改正案は、地方組織への討議に付されたが、私は、こうした党則の拘束を受容することは出来ない。

 議員を辞職すべきであるとの批判もある。国会議員の活動は、たとえ選出方式が比例区・選挙区のいずれであっても、全国民のために活動する義務があり、現行法上も他党への入党に対する拘束はあっても、現在の社会民主党・護憲連合では国民の視点に立った諸施策を実現する可能性が見出せないとの結論に至った以上、無所属への転出は、党派に拘束されることなく、議員の地位が保障されるべきものと考える。今後の私の具体的活動で示させていただきたい。

 最後に、党首の選任についても、結果は同じであろうと、「人事は密なるをもって良しする」という、社会党の左右対立時代のトラウマを抜け出して、党員による民主的な選挙を国民は期待しているにちがいない。また党則改正案は、時代に逆行しているのではないだろうか。もっと開かれた政党として、若い人達による再生を祈りたい。「劇場政治」の流れに抗して、常に時代の先駆的思想を吸い上げて行く「現場の根」を大切に、「行動する党」の戦略戦術を練り上げて欲しい。時代はいま「愚直に護憲」に留まらず、憲法9条改正反対の市民による統一戦線形成のために、柔軟で、弾力的な行動基準の確立と運動の展開を求めている、と思う。

 


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