2001年4月26日

 自民党総裁選も終わり、小泉新内閣が発足します。自民党は、党の実力者があちこちで「挙党体制」を強調しだし、野党の党首は「そばやの二階」で結束を確認しあいました。注目したい点が二つ。
 1つは、中曽根康弘氏の4月23日6時の大阪市内のホテルでの講演から。小泉氏との会談で「あなたは時代の先を読む非常によいセンサーを持っていると言った。時代がどう流れていくのか、わかるのがよいセンサーで、その力を持った人間が時代に先回りした政治をやる。小泉氏を見ていると、(自分と)似ている点が多い」。誰も予想しえなかった国鉄民営化を断行した中曽根氏が郵政民営化(公社化)を唱える小泉氏にその同質のリーダーシップを読みとっているということ。
 2つは、小泉・亀井陣営の政策合意。憲法について国民的コンセンサスを踏まえ、21世紀にふさわしい憲法改正を早期(!)に目指すとしている。外交・安全保障についても「集団自衛権は必要最小限の範囲で行使の可能性について検討」としている。加えて教育基本法の改正を検討という。これでは、小泉氏の掲げる"派閥解消と自民党改革"の主張に目を奪われて、それを国民の声と同一視してよいのだろうか。まるで、首相公選制の前哨戦のような受け止め方で、自民党の党首選であることを忘れている。
 タカ派内閣が出現するという危険な足音を聞き取る。具体的に野党は、連休明けには参院選で協力する選挙区にそろって出向き、結束を強調するとのことであるが、自民党中心の与党の来るべき「国家戦略」に対応し得る野党の政策合意をどう作り得るか。結束強調だけではもろい。憲法の精神を踏まえること、働く人々の立場にたった生活と失業の不安を解消するセイフティネットをどう野党協同で打ち出せるかどうかに選挙の勝敗はかかっているのではないか。