労働法制の動き

改正パート指針とパート労働法の改正の課題


不況の影響により企業がますますリストラを進める中、パートや臨時の雇用形態でその 職場で働いている労働者が増加し、とくに女性パート労働者を含め「非正規雇用労働者」 が急増しています。

パート労働者をめぐる状況の特徴として、「正社員」としては雇用されず、企業社会、職 場における待遇や格づけが明確に差別された存在であり、いわば異なる「身分」を与えら れていながら、最近では、パート労働者に責任ある仕事を任せ、賃金や賞与等で一定報い る雇用管理も登場しており、「基幹労働力」として企業における戦力として位置づけられる など、ますます多様化しています。また、労働時間の長く、仕事内容も正社員に類似して いる「疑似パート」が多く存在し、契約形態が有期契約であり、景気変動に伴い雇用の調 整弁としての意味をもたされています。

女性少年問題審議会『建議』(1998年2月20日)に基づき、改正パート指針が出され、 労働条件の文書による明示、パート労働者の過半数代表の選出、パート労働者の雇用管理 責任者の選任などが改正されました。しかし、労働契約の締結にあたって「契約期間」を 定めることが、従来に増して「有期契約」のパート労働者の増大に結び付いたり、時間外・ 休日労働の有無を明示することから、所定外労働が増加するという事態が生じていること が問題となっています。

さらに、「パートタイム労働に係る雇用管理研究会」が1998年12月14日に発足し、 パート労働者と正規雇用労働者との均等処遇を実現するための、いわゆる「モノサシ」作 りの検討が始まりました。事業所とパート労働者個人を対象に、全国的アンケートを実施 し、ヒアリングの実施もあわせて、労働省は「平成11年度中に取りまとめ」を予定して います。

パート労働者の権利保障の確立のために、均等待遇原則やフルタイマーへの「転換権」 の確立、法的規制の実効性を確保するための罰則の設定、個人として自立した生き方を選 択する可能性を高めるための所得税や社会保険、雇用保険制度の見直しなどのための法改 正や、ILO175号<パートタイム労働>条約の批准の早期実現がたいへん重要な課題 となっています。




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