米軍は自国内で基地の統廃合を積極的に進め、節約した金で軍の近代化を図る一方、「同盟国」に対しては負担の増大を要求している。毎年発表されている「共同防衛のための同盟国の寄与」は、米国を含む23の「同盟国」が軍事的に米国の戦略にどの程度貢献しているかを詳細に分析したものである。3月に議会に提出された1999年度版が最近インターネットで公開された(4月末)。前回と一部重複するが、新たなデータをもとに解説する。
米国が「同盟国」の寄与を測る尺度として用いているのは、1.軍事費、2.多国籍軍への貢献、3.米軍駐留経費の負担、4.海外援助、の4項目である。具体的には、軍事費や海外援助額を前年に対し10%以上増やすこと、米軍駐留費の75%以上の負担すること、などを求めている。自国の価値基準を基に他国を評価し、負担増を求める米国の傲慢さが如実に現れている。表3は各国に対する評価をまとめたものだ。昨年の報告で合格点が3項目だった日本とギリシャは2項目となった。一方、昨年合格点が1項目だった韓国は3項目で合格となっている。その他の国は、1項目か2項目、フランス・英国・ノルウエーは4項目すべてで不合格である。
しかし、実際はそう単純ではない。日本の海外援助は97年には96年に比べて2.4%減少している。しかし絶対額は、96年が 97億3000万ドル、97年は94億9200万ドルである。一方米国は、97年には96年に比べて16.8%減らしているのだ。絶対額も97年度は95億4700万ドルとほとんど日本と同額である(表4)。
143.17 |
134.23 |
91.66 |
114.74 |
95.47 |
-16.8% |
-33.3% |
|
97.10 |
134.87 |
148.35 |
97.30 |
94.92 |
-2.4% |
-2.2% |
表5は、23の「同盟国」をさまざまな項目についてランク付けをしたものである。これによると、海外援助では、米国(1位)・日本(2位)がそれぞれ全体の19%以上を占めている。次いで仏・独が13%、英が約8%である。さらに、国連の「平和維持」基金のための支出も、23カ国全体の16%以上も日本は拠出しており、米国に次いで2番目の位置にいる。合格の判定基準がいかに無意味なものであるかが判る。
19.23% |
0.76% |
|||||
19.12% |
0.56% |
|||||
13.49% |
0.47% |
|||||
13.25% |
0.47% |
|||||
7.78% |
0.38% |
|||||
6.08% |
0.20% |
|||||
4.49% |
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3.66% |
||||||
3.11% |
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2.73% |
||||||
2.55% |
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1.68% |
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日本の評価でもう一つ不合格なのは、軍事費の項目である。GDP(国内総生産)に対する割合で比較しているから当然の結果だ。日本のGDPは、評価を受けている23カ国全体の18%以上を占める。ちなみに、独9.7%、仏6.5%、英6.4%で、米国は39.5%を占める。軍事費の絶対額が380億ドル(表6)でも合格にならないわけだ。日本の軍事費は絶対額において2位の仏とほぼ等しく、23カ国全体の7%以上となっている(表6)。海軍のトン数でも日本は2位の英国に次ぐ第3位を占めている。
2698 |
51.52 |
||
392 |
7.49 |
||
380 |
7.27 |
||
371 |
7.08 |
||
319 |
6.10 |
||
224 |
4.27 |
||
184 |
3.52 |
||
95 |
1.82 |
||
80 |
1.52 |
||
72 |
1.37 |
||
71 |
1.35 |
||
65 |
1.25 |
||
54 |
1.04 |
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40 |
0.76 |
||
37 |
0.71 |
||
36 |
0.68 |
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32 |
0.61 |
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28 |
0.53 |
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23 |
0.44 |
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18 |
0.34 |
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12 |
0.24 |
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4 |
0.08 |
||
1 |
0.03 |
表7は、1990年から98年にかけての軍事費の推移をあらわしている。90年から98年にかけて日本の軍事費は12.8%増加した。その間、韓国(36%)・ギリシャ(21%)・トルコ(31%)などでも軍事費の増加が見られるが、絶対額は日本に比べるとはるかに少ない。一方、カナダ(33%減)、独(31%減)、英(28%減)、仏(11.1%減)などNATOの主要国は軍事費を大幅に減らしている。もちろん米国も例外ではない。8年間でなんと29%、約3割減らしているのだ。
「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄(憲法9条)」した国の半世紀後の現実である。
このように米国の評価基準を当てはめても、詳細に見るならば、日本は米国の意に忠実に添っていることが明かである。実態は4項目すべてにおいて、米国の要求を十分満たしていると見るべきであろう。