核のゴミキャンペーン第16号

核のゴミキャンペーン第16号 1997.3.18
●この原稿はパシフィック・ティール入港当日に書いたものですが、送信が1日遅れて しまいました。すいません。

厳戒態勢下でパシフィック・ティール入港

フランスから返還された「核のゴミ」が、今日また六ヶ所村に運び込まれまし た。私たちは、この愚かな輸送を憤りと悲しみをもって迎えました。今後何世 代にもわたって災禍をもたらすことがあっても、何一つ生産性のない「核のゴ ミ」を日本の電力会社は莫大なコストをかけて運び、貯蔵しているのです。そ の費用の大部分は言うまでもなく私たちの電気料金でまかなわれています。私 たち自身が愚かな営みの担い手となっているのです。

早朝から抗議行動

核のゴミキャンペーンでは、首都圏を中心に9人が六ヶ所村入り、前日から風 船作戦の準備を行ないました。グリーンピースチームは11人、あわせると20人 が現地入りしました。チャーター船がキャンセルされ、予定していたメインの 抗議行動の手段を失った私たちですが、急きょ風船を使った陸上からの抗議行 動を組み立てました。今朝は4時に起きて行動開始、風船アクションは入港時 のパシフィック・ティール号への抗議に焦点を絞ったものです。

午前5時前にむつ小川原港に到着した私たちは、ただちに作業にとりかかると 同時に、むつ小川原港に隣接した新納屋港の堤防から海上の監視を開始しまし た。その時点では、ティール号はまだ船影すら見えませんでした。通常なら夜 明けとともに海上に姿をあらわす筈ですが、今回は何があったのでしょうか。 そもそも日本近海までのティール号の足取りはきわめて速かったのです。場合 によっては3月13日についてしまうのではと思うほどのペースで、太平洋諸 国を突っ切るあたりから速度が落ちました。そして小笠原近海からはゆっくり と進んできたのではないかと踏んでいます。

入港時アクション

むつ小川原港への入港は午前8時30分、8時頃沖合いに見えはじめたかなと思う と、見る見るうちにブルーの船体が大きくなりました。むつ小川原港入り口の 堤防付近では、「NO!核のゴミ」と書かれた旗を掲げたグリーンピースのゴ ムボートが抗議行動を展開しました。海上保安庁は巡視艇やゴムボートなど20 隻近くが出動していましたが、その警備をかいくぐり、グリーンピースボート は猛スピードでティール号に30メートルまで接近しました。

海上でゴムボートのチェイスが展開される中、陸上からは現地住民団体の抗議 集会と核のゴミキャンペーンで用意した抗議風船、グリーンピースの大横断幕 がでむかえました。この風船は直径1メートルの大きさで、「NO」「放射能マー ク」と書かれたもの。大横断幕には「原子力発電に終えんを」と書かれていま した。

抗議集会のシュプレヒコール、大風船と大横断幕、そして抗議のゴムボートと 多彩な入港抗議となったのですが、コンビネーションに多少難ありで、それぞ れが総合して臨場感を盛り上げるまでに至らなかったのがちょっと残念でした。

輸送容器の施設搬入時に怪我人1名

ティール号が接岸したのは9時30分頃。それから延々と検査がはじまりました。 検査を終えて最初の輸送容器が吊り上げられたのは1時15分頃。この時点で公 表されたスケジュールより1時間近く遅れていました。それからまた表面汚染 検査が開始されましたが、私はこの時点で、この原稿を書くためにその場を去 らなければならなかったのです。むつ小川原港ゲート前では「古靴アクション」 が展開されており、予想どおり輸送容器の施設への搬入時には警備陣が古靴と 一緒に座り込んだ人たちに襲いかかりました。

このさいの警備側とのもみ合いの中で1人が倒れ、救急車で運ばれました。状 況は良く分かりません。分かっているのは警備陣によってゴボウ抜きにされた 後でその場に倒れていたこと、その人が核のゴミキャンペーンの一員であると いうことです。貧血で倒れたということで、一応脳内出血はなかったようです が、一時は意識を失い、今も体が痺れて動かないという状況です。

今後もぞくぞく予定される輸送計画

高レベル放射性廃棄物の輸送は今後次々予定されていて、この4月から来年3月 までの間に100体と150体の2回の輸送があると思われます。これは青森県の核 燃料税の予算組みから読み取れるもので、県の予算組みの段階で日本原燃との 事前確認がなければ予算など立てられるものではありません。この計画には、 さ来年度、さらにその次の年度と予算組みがされており、長期にわたって輸送 計画が存在していることを示しています。

今回、抗議のために六ヶ所村に集まった人の数は約300人ですが、3回目、4回 目をストップさせるためにも、それ以上の抗議の声が日本全国にあるというこ とを各地から表明しましょう。パシフィック・ティールによる輸送は行なわれ ましたが、これからでも各地でのはがきビラ配布や、高レベル放射性廃棄物、 再処理、プルトニウム利用・・・に対する抗議集会などを計画して、連絡して ください。

プルトニウムの矛盾の海を漂うパシフィック・ティール

この高レベル放射性廃棄物搬入直前の3月11日、東海村の再処理工場で爆発事 故が起こりました。ちょうど1週間前で、ティール号の到着日程の発表日と重 なりました。翌日は電事連への抗議行動も組まれており、動燃への抗議もしな ければならず、大変な一日になってしまいました。

この事故は、例によって毎日のように新事実が発表され、次から次へと事故の 規模が拡大するという状態になっています。事故原因は明らかになっていない のですが、プルトニウムやセシウムの入った再処理廃液が環境中に吹き飛ばさ れたことは間違いありません。詳細はまた今度にしますが、この事故は再処理 工場そのものの欠陥をあばきだしています。六ヶ所村の再処理工場でも同じ事 故が起こり得ますし、レッドオイルと呼ばれる有機溶媒の爆発になればもっと 大規模な爆発になるでしょう。東海村のように海岸に面していない六ヶ所村の 再処理工場の場合、放射能がどちらに流れても確実に住宅街が放射能をおそう ことになります。

六ヶ所村の再処理はまだ動いていません。いまならまだ止められるのです。核 燃料サイクル施設が次々に持ち込まれた六ヶ所村ですが、再処理だけは稼動す る前に止めなければなりません。何としても!


お知らせ

核のゴミキャンペーン第2弾・最終会議

3月24日(月)午後7時〜9時
内容 1.今回のキャンペーンを振り返って
2.キャンペーン後の取り組み

このキャンペーンは今回の高レベル放射性廃棄物輸送期間に限定したキャンペー ンでした。しかしこの期間内に行われると想定していた、使用済核燃料の六ヶ 所村搬入は延期になり、課題が積み残された形になっています。また再処理工 場の爆発事故も発生、再処理の問題がにわかに注目されることになりました。 キャンペーンの終了は最初の決め事なので守りたいと思いますが、以上の点も 踏まえ、今回のキャンペーンの成果と反省を話合うとともに、今後の取り組み をどうすべきか相談したいと思います。


核のゴミキャンペーン・第2弾

■郵便振替[核のゴミキャンペーン]00150-1-728279
■Email;QWA03554 ■ホームページ http://www.jca.or.jp/nwaste/
■連絡先:グリーンピース・ジャパン03-5351-5400
     グリーンアクション075-701-7223
     ストップ・ザ・もんじゅ東京03-3366-6470