核のゴミキャンペーン第２号

核のゴミキャンペーン・第2弾第2号 1996.12.17

高レベル輸送ルートは喜望峰

フランスからとんでもないニュースが飛び込んできた。フランス政府の秘密文書で、輸送船のシェルブール出発は1月16日、輸送ルートはなんとアフリカまわりの喜望峰経由、オーストラリアの東、ニュージーランドとの間を抜けて、太平洋の国々を突っ切るというコースである。つまり「あかつき丸」と同じコースだ。日本到着は3月20日すぎになるだろう。

詳細解説は次号にするが、電力会社は今回も大変なコストのかかる輸送を選択しなければならなかったということである。

この件について詳細資料の必要な方はグリーンピース・ジャパン 03-5351-5400（竹村）まで。

日欧原子力協定交渉が合意に

12月10日ブリュッセルからのニュースによれば、日欧原子力協定をめぐって続けられていた日本政府と欧州連合（EU）間の交渉が合意に達し、年内にも覚書交換が可能になったという。実はこの協定は高レベル放射性廃棄物や使用済核燃料の輸送と深く関係している。

日本は英仏と再処理契約をして、使用済核燃料を海を越えてヨーロッパへ送り続けてきた。しかしその契約分の輸送はほとんど終わりに近づき、あと少しで日本からヨーロッパへの輸送はなくなろうとしている。

英仏は大きな顧客であるドイツと日本のため新しい再処理工場を建設したが、それがやっと完成した頃に契約は（皮肉にも）終わる。そこで目をつけたのが MOX。今度は再処理して出てきたプルトニウムをMOXに加工するという商売をはじめようとしている。

いま、COGEMAとBNFLの両者とも日独の電力会社に新契約の猛アタックをかけている・・・らしい。一説によればこの新契約はMOX加工とのバーター契約で、再処理を棚上げした貯蔵契約で、そのかわり英仏で建設中の施設でのMOX加工を交換条件としている・・・らしい。こんな場当たり的な契約でも、行き場のない使用済核燃料をかかえる電力会社の中には飛びついてしまうところもあるようだ。

この契約のために必要なのが日本とEUの原子力協定である。日本はプルトニウムやウランなど保有している核物質を他国に持ち出す場合、その取り扱いについて２国間協定の締結をIAEAなどから求められている。技術移転や核不拡散上の疑惑を取り除くためだ。

したがってこの協定成立は、日本のMOX利用に一歩近づいたというだけでなく、再び海外に使用済核燃料の大量輸送が行なわれる可能性が出てきたことを示唆している。日本の電力会社の再処理再契約とならないよう厳しく目を光らせる必要がある。

●この協定成立のよって日本の核物質取り扱いの公開性は著しく損なわれるが、それについては別の機会に。

大使館への働きかけ報告

核のごみキャンペーンとして精力的に大使館まわり。今までに、ジャマイカ、アルゼンチン、エクアドル、グァテマラ、パナマ、チリ、ブラジル、ニカラグア、オーストラリア、ベネズエラ、パプア・ニューギニア、ニュージーランド゛、フィジーの１３か国の大使館を訪問、大使、公使に高レベル放射性廃棄物海上輸送の危険性を訴えた。どの国も４年前のあかつき丸によるプルトニウム輸送、昨年の高レベル放射性廃棄物輸送をよく覚えており、反対の立場は変わってないという。

日本政府から、この件に関して連絡はあったかと聞くと異口同音に「公式には何の連絡もうけていない」との答え。大使館側から日本政府に問い合わせたところもあり、そのときは「今回は情報を公開する。」と言われたという。その「情報公開」というのが、１２月５日に電事連が発表した「ルートは出港後、１日か２日後に発表」というもの。ルート周辺国が知りたいのは事故の環境アセスメント、事故時の損害補償などで、出港後にルートがわかっても大使、公使たちが口をそろえて言うように「遅すぎる」のである。

現在、国際環境保護団体グリーンピースの抗議船、「虹の戦士号」と「グリーンピース号」がカリブ諸国し、輸送反対キャンペーンを展開。現地からの新聞記事が毎日送られてくるが、現地の関心はかなり高い。今年発効した国連海洋法によれば、危険な輸送の領海通過について当事国は事前通告の権利をもつ。日本が海洋法を守る意志があるならば、とっくに各国に通告しているはずである。それとも、どこの国の領海も通らずに輸送をするつもりなのだろうか…。

前回の輸送で軍隊まで出して強く反対したチリではその軍も含めヨーロッパ旅行に招待され、再処理工場見学もしたと聞いた。また、西インド諸島大学のグループの「資源のない日本にはプルトニウムは重要。輸送に問題なし」という論文が出回っていたり、当局のあせりを垣間見た。

アンティグア・バーブーダ首相（ＣＡＲＩＣＯＭ議長）反対声明

カリブ諸国の一員、アンティグア・バーブーダの首相のレスター・バードＣＡＲＩＣＯＭ（カリブ共同体）議長が、ＣＡＲＩＣＯＭ諸国に輸送反対を呼びかけている。同政府発行のプレス声明によれば、カリブ諸国を通らない保証を得たいという。

１２月１６日事務局会議報告

賛同の申し込み

非核市民宣言運動ヨコスカ、グループ風、町田人権連絡会、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会、さよなら原発恐山をおそれる会など８つの賛同・呼びかけ団体が加わった。約40団体・個人に。引き続き、各団体とも来週までに１団体増やす努力をして、早く100を超えよう。

輸送日程の予測

高レベル研究会の調査で、輸送事業者側から科学技術庁に出される輸送計画書が12月6日に出されたことがわかった。この輸送計画書は4週間前までに出すことが義務づけられており、逆算して1月3日までは輸送船は出発できないことが判明した。したがって年内の出発はない。

輸送計画書提出が12月になったということは、最終的なルート決定がそれまで決まらなかったことを物語っている。国連海洋法条約を踏みにじるか否か、彼らにも悩ましい問題だったのである。（新事実判明で、一部記事変更しました）

伝達ツール企画コンペの顛末

予想はしていましたが、はがきつきチラシの企画コンペに具体的に紙に書いた企画案を出したのは1人だけ。口ではああだこうだ言うのに、きちんとまとめることはなかなかしない・・・。市民運動はこれではいけないと思うのだが。

そして出てきた企画も片面だけ。完成版ゼロという企画コンペになった。そして再び、ああだこうだの討論会。えー、キャンペーンの恥をさらしているようですが、それだけ熱気を帯びた事務局会議でもあったのだ。

企画コンペじたいは、12月24日の事務局会議に持ち越し。それまでに次の3 点を明確に考えてくることになった。

このチラシのメインタイトル
電力側に何ていいたいのか
どこらへんの人を対象にしているのか

東京まで来られない呼びかけ・賛同の皆さんもぜひご意見をお寄せください。

次回事務局会議のお知らせ

というわけで、次回は月曜日の12月23日が祭日なので、翌24日になりました。

日時 12月24日午後6時30分から
会場ストップ・ザ・もんじゅ東京事務所
東京都新宿区西新宿7-20-14-302
tel/fax 03-3366-6470
●早めに終わってクリスマス忘年パーティです。

インフォーメーション

核のゴミ来るな！青森緊急集会
1月26日（日） 12時30分から17時
青森県農業会館（青森市本町 ℡0177-75-1170）
同実行委主催連絡先 0172-26-3469（放出）
同実行委では賛同・カンパ（個人のみ）を募集している。一口千円、振り込み先は、「高レベル廃棄物搬入阻止連絡会」02350-9-38977。

核のゴミキャンペーン・第2弾
■連絡先：グリーンピース・ジャパンTEL03-5351-5400／FAX03-5351-5417
ストップ・ザ・もんじゅ東京 TEL／FAX 03-3366-6470
グリーンアクション TEL075-701-7223／FAX075-702-1956
■賛同費・カンパ送り先：郵便振替00150-1-728279
賛同費、およびFAX情報の受信は1口5000円です。
（個人、団体とも同額。このお金は情報発信と伝達ツール作成、現地行動などに使います。）
■Email：QWA03554■ホームページ： http://www.jca.or.jp/nwaste/

１９９６年１２月１８日グリーンピース・ジャパン・プレスリリース

グリーンピース暴露
高レベル放射性廃棄物は南アフリカ航路でパナマ運河は通過できず

環境保護団体グリーンピースが入手した内部外交文書によれば、今回の高レベル放射性廃棄物海上輸送のルートは南アフリカ喜望峰まわり、船の名前はパシフィック・ティール、フランスを出港するのは来年の１月１６日、ルート周辺国は１２月２３日に通告を受ける予定だという。

グリーンピースは、最短距離であるパナマ運河ルートを通れないのは、カリブ、中南米の国々の反対により、最長距離である南アフリカホーン岬ルートを通らざるをえないほど、輸送主体側（電力会社）が追いつめられている、と見ている。

南アフリカまわりのルートは、１９９２年のあかつき丸によるプルトニウム海上輸送と同じもので、各国の反対を招いた。１９９５年の第１回目の高レベル放射性廃棄物輸送の際にはブラジル、アルゼンチン、チリの反対にもかかわらず、南アメリカホーン岬を通過した。

グリーンピースは１２月当初からカリブ諸国にグリーンピース号を派遣して反対運動をおこなっている。また１２月１６日からは虹の戦士号をホーン岬近くに派遣していた。

グリーンピースの入手した外交文書の内容（仮要約・原文仏語）は以下の通り。同じ指示を受け取っているはずの英国と日本の大使館に連絡をとってください。連絡はただちにおこなってください。（コジェマ、ＢＮＦＬ，ＯＲＣが輸送のはっきりした日程を公表するプレスリリースの前におこなってください。）秘密に以下のことを伝えてください。

―１月１６日にパシフィック・ティールがシェルブールを出港。
―喜望峰、オーストラリア東、南太平洋を通る。
―ルート周辺国は１２月２３日に秘密うちに通告される。
―他の国々には１月６日から１１日の週に通告される。

お問い合わせ：ＴＥＬ：０３―５３５１―５４００
グリーンピース・ジャパン核問題担当竹村英明・鈴木かずえ