エンジンのCO2排出量が少ないという点で現状最右翼なのはEVでしょう。従来未来車のイメージが強かったEVですが、既にトヨタがRAV4Lにニッケル水素電池を搭載したEVを国内で495万円で販売中ですし、ホンダも専用ボディを持つEVを今春より米国でリース販売することを予定しています。
しかしながら、価格面に加え一充電走行距離が短い(現状200km程度。しかも、例えばエアコンを使えば使うだけ走行可能距離が短くなってしまう。)、充電ステーションが少ない(現在19か所)等、広く実用化されるために解決しなければならない問題がまだまだ数多くあります。
しかし何よりもまず、そもそもEVは本当に環境負荷の少ない車なのかどうかを確認しておく必要があると思いますので、この点を国立環境研究所・清水浩氏の説明(日本自動車連盟監修「JAF・MATE」1997年1・2月合併号より)から引用してみましょう。
【問1:発電所で空気を汚さない?】
EVを動かす電気を発電所で作る時に空気を汚すので、EVの方が環境に優しいとは言えないのでは?
【答】
原油を「精製→輸送→エンジン内で燃焼」する場合と「発電所で利用→送電→バッテリーに充電」する場合でのエネルギー効率の違い(図参照)を認識する必要があります。最新のEVでは、同じ量の石油をもとに走れる距離が、同クラスのガソリン車の約3倍になります。従って、
1.燃料の消費量に比例するCO2の排出量は、同じ距離を走るなら、EVはガソリン車の3分の1になります。
2.窒素酸化物についても、日本の発電所と、きちんとした浄化装置を持っ最近のガソリン車では、燃料1リットル当たりの排出量はほぼ同じである(ディーゼル車は約5倍)ため、上記と同様、EVから総合的に排出される窒素酸化物の量は、ガソリン車の3分の1で済みます。
【問2:電気が足りなくなる?】
EVが増えると電気が足りなくなって、さらに原子力発電所を作る、というようなことにならないか?
【答】
最適な設計がなされたEVが導入されることを前提に考えるならば、現在、日本を走っているすべての車がEVに換ったとしても、必要な電気の量は20%程度増えるのみです。
現在、日本の夜間の発電能力は余っていますから、EVの充電のほとんどを夜間に行うとすれば、この夜間電力のみで十分まかなうことが可能で、原子力発電所も含めて、発電所を増やす必要はありません。(最新のEVは、200Vの家庭用電源があれば、ほぼ一晩で完全放電状態からフル充電状態までの充電がでさます。ちなみに、200V電源は、「一般的な木造一戸建て住宅の屋外にコンセント1個を設置する場合で、十数万円程度の費用で使えるようになります。
【問3:電池の寿命は短い?】
EV用の電池は、2〜3年で寿命だと聞きましたが、その度に買い換えることになるのですか?
【答】
鉛電池のルシオール(環境庁の作るEVで、軽自動車より小さなボディに縦に2人が乗る)を例にとると、1充電走行距離は130km。電池の寿命は充放電500回と見積もられていますから、交換なしで6万km以上走行できます。また、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池は、鉛電池よりも1充電走行距離、寿命ともに長いため、普通車クラスのEVでも10万km以上電池交換なしで走行できそうです。
【問4:バッテリー公害の心配は?】
バッテリーのリサイクル時や放置された使用済みのものから、有毒な鉛や硫酸が放出する心配はないのでしょうか?
【答】
鉛電池のリサイクル時には極板を溶かして鉛を取り出しますから、確かに、その作業を覆いのないところで行うと、鉛の蒸気が空気中に逃げ出すことはあり得ます。ただ、日本の再生工場はこの作業を密閉した中で行うため、問題はありません。硫酸については簡単に処理できるため、再生工場で扱うことに問題はないでしょう。次に放置についてですが、電池が大量に利用されるEVの場合、鉛電池にしても新しいニッケル水素電池やリチウムイオン電池にしても、資源としての価値が大きいため、放置などというもったいないことはされなくなるはずです。
さまざまな課題があるとはいえ、EVの方が効率が良くなってしまうのは意外ですね。それだけ普通のガソリンエンジンの効率が良くないせいだと思いますが。
(編集者注:このEV車の実験は屋久島で行われており、未来バンク組合員の星川淳さんが関わっているようです)