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スリランカ: パイロット・プロジェクトのための調査・提案報告抜粋

非暴力平和隊のために作成されたレポート

ドナ・ハワード、アンドリュー・ケンドル、ヨランダ・フォスター
2002年9月13日〜10月6日、2002年11月2日〜11月15日
概要とコメント:クリスティーネ・シュバイツアー

(注:非暴力平和隊のことをNPと略します)

提案の記述:
 スリランカのNGOの一つが、2002年初頭の停戦によって開始された和平プロセスの間、非暴力平和隊が暴力の縮小を手助けするパイロット・プロジェクトを果たすことを提案している。

 NPは、土地を巡る紛争が暴力を引き起こすかもしれない非常に軍事化した地域、および、タミル人やシンハラ人あるいはムスリムの間で社会的緊張がエスカレートするかもしれない混在地域において、プレゼンスおよび監視、ならびにもし必要とするならば、同行を提供するだろう。

現地パートナー:
 招聘している組織は、PAFFREL「自由で公正な選挙を求める住民連合(People's Alliance for Free and Fair Elections )」である。 彼らは、主にいろいろな地域において、NPがチーム・メンバーを配備することによって、彼らの委員会の仕事を支援することを提案している。
 また、「民主的権利の擁護のための運動, (Movement for Defence ofDemocratic Rights)」、「サマダナ(Samadana/m)」、「国民平和会議,(National Peace Council)」、「国民反戦連合, (National Anti-WarAlliance)」、「社会と宗教センター, (Centre for Society andReligion)」その他のような他の組織も、NPとの協力への関心を表明しており、PAFFRELのリーダーシップについて満足の意を表明した。
 NPは、スリランカで独立しているNGOとして登録することになろう。

目標:
 主な目標は、和平プロセスが続けられている間に、暴力の激しさ/潜在性を減少させ、民間人のための安全を増加させ、その和平プロセスへの民間人の参加のための可能性を改善することである。NGOからの感想は、草の根レベルにおいて平和を維持することが、公正とともに平和を促進するかもしれない、ということであった。

提案された活動:
 NPのチーム・メンバーの活動は、プレゼンスおよび監視、そして要求されるならば、同行が含まれるであろう。
 NPチームのメンバーを、東部(特にトリンコマリー(Trincomalee))、北部(ジャフナ(Jaffna)、キロノッチチ(Kilonochchi)、他)、西部(コロンボを含む)、南東部のモネラガラ(Moneragala)、マタラ(Matara)他の村々に配備する。もちろん他の場所も、後でより大きな需要を示すかもしれない。

 PAFFRELは、25の地域委員会に対するリーダーシップを明らかにした。 北部と東部では権利の保護についてどのようなタイプのグループが鍵を握ることになるかに関して、平和市民有権者グループによってさまざまな考えが議論されていた。
*苦情受付のための市民委員会
*土地紛争、逮捕、および拘禁を監視するための調査団の設置
*行方がわからなくなった子供の監視のために、国連人権特別委員会(HRC)と連携する学区委員会

 NPは、これらのグループの力量を支援し、非常に軍事化している地域での保護を提供するという役割を提供できる。
 また、各委員会には、「ただ、そこにいるだけ」の、NPのチーム・メンバー2人がいるべきである。 このモデルは東部における人間の安全確保に対する鍵になるであろう。

必要性、任務、および原則:
 現段階の「スリランカ統一戦線(Sri Lanka's United Front (UNF) )政府」と「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」との間の交渉プロセスは、戦争状態を縮少し、解決に向けての条件を作り出すことを約束している。 この過渡期の間、スリランカの平和活動家と市民社会は、平和構築のための議題の中に、自分達の問題を持ち込むことを始める時、支援を必要としている。スリランカの東部の州では、停戦後の状況は脆弱である。
 紛争解決に向けての政府レベルの交渉は成功しているが、その一方で、市民レベルのイニシアチブは遅れている。 戦争で疲弊した地域の再定住と再建の問題は、東部のデリケートな社会機構に脅威を与えている。

 帰還民の要求と期待、特に土地に関する要求と期待が紛争点なのかもしれない。東部の三つのコミュニティすべてが恐怖と不安を感じているが、特にムスリムが彼らの未来に関して不安を感じている。
 そのような情況はスポイラーにとっての猟場である。
 さらに、その地域に責任がある政治的権威の欠落は、人間の安全保障について不安に満ちた問題を引き起こす。 シンハラ人の村がタミール人の村を取り囲んでいたり、その逆の場合の人口分布は、明らかに暴力の潜在的な源である。

 この提案は、既に選ばれた実地のやり方の利用に基礎を置く大規模な介入を利用することによって、NPの任務にがっちりと適合する。このことは、民間人を保護し、双方の紛争当事者が「変わる」ことを望んでいることを示す機会を彼らに提供することにより、NPの「政治的に立場をとらない」という姿勢に妥協することなく、おこなわれ得る。大部分の西側政府やインドその他により、テロリスト組織だ、と特定されているLTTEは、軍事力よりは、むしろ統治に関しての信頼性を示すことが必要である、ということにまさに気付いている。
 非暴力平和隊は、平和的解決への願望を示すすべての当事者にその任務を振り向ける。 インタビューしたすべての潜在的当事者はこれに同意している。

 このプロジェクトは、NPの「政治的に立場をとらないこと」という原則を完全に満たすであろう。何故ならばNPは、紛争に関わっている三つの民族的/宗教的グループすべてと一緒に、彼らのテリトリーの中で活動するであろうから。

紛争に対するプロジェクトの潜在的影響:
 紛争の分析およびそれに対してグループが及ぼすであろう影響に関する報告1.2節を参照のこと。
 NPがそこに行く限り、スリランカでは、暴力の抑止によって停戦を保持し、平和な社会を求めて変革を実行している人々の生命を保護し、不安定な地域の中で民間人の安全を維持すること、の点においてユニークなチャンスが生まれる。以前の停戦協定は、この支援する「政治的に立場をとらない」平和維持活動がないために失敗したのだ。 考えられる結果として、調査チームはその最新版を下記する。

(1)選択肢としての非暴力の促進
  スリランカの政治風土は非常に暴力的であり、北部と東部はかなり軍事化されたままになっている。 NPプロジェクトが果たすことができるであろう最大の貢献は、信頼できる選択肢としての非暴力の戦略の促進による紛争の緩和である。
(2)民間人の参加のための安全なスペースの拡大
(3)アジアにおける非暴力的介入の実践
(4)武力紛争へのぶり返しの抑止

タイムスケジュール:
 第1ステージ 2003年3月〜7月: 恐らく3人の現地活動家の先発チームがスリランカに到着し、PAFFRELとともに活動を始める。先遣隊のNPスタッフの事務所開設、物資調達ルート、試行および評価の開発
 第2ステージ 2003年7月〜10月: 2カ所で現地のプレゼンス
 第3ステージ 2003年11月〜2004年1月: 現地のプレゼンスを6カ所に増加
 第4ステージ 2004年7月: 現地のプレゼンスを可能性のある16カ所に拡大
 第5ステージ: 撤収のための準備、発足段階と対照的に規模縮小 合理的な目標を確立させ、3年以内に達成させることができる。  変化と不安は和平プロセスの間、継続することだろう。(それには、2〜5年かかると予測される)。
 地元の組織には、私たちのプロジェクトの範囲を超えてなされる必要があるどのような暴力縮小活動をも引き継ぐ能力があるだろう。 撤退のための責任ある戦略は、この国の北部と東部における、和平協定と増大する安定性および民間組織の拡大する能力を巡って立てられるであろう。

チームの規模:
 適切な人数の問題は、PAFFRELと議論した問題であった。デリケートな政局のため、小人数のチーム(スリランカへの先発チームに同行する恐らくは3人の現地活動家)で始めるのが賢明である。
 これらの先遣隊のNP活動家(紛争監視の経験者)の仕事は、信頼性を明らかにする手助けであろう。
 もし活動が、下記スケジュールの1年目の目印を超えて継続し、上記の各地点に少なくとも3人のNPスタッフがいるならば、およそ50人のチームメンバーが現地にいることであろう。 さらに、特定の委員会などに求められる管理スタッフと他のメンバーがいるだろう。

認可:
 NPが、スリランカ国内で重大な制限なしに活動できることを確実にしたければ、政府およびLTTEの公式の書面による合意を必要とする。
 報告書に概説されている警告に留意するのであれば、少なくとも小規模のボランティア・グループに対しては、この認可が得られる見込みは比較的容易である。

資金集めの可能性:
 一般的に、お金は停戦あるいは和平協定の後で国家につぎ込まれる。世界は、手榴弾の爆発が終わると直ちに財政的に支援しようとする。これはスリランカにもあてはまり、特にスカンジナビア諸国の援助が際立って注目を浴びている。現在、ノルウェー、スウェーデン、日本、カナダ、米国、およびEUが、プロジェクトに資金を供給するのを切望している。

危険レベル:
 何人かの国際的な選挙監視員が2001年12月に受けた物理的な威嚇は、かって襲撃が企てられた時に、党派の支持者が、国際人がどこか他にいることを確かめるのが常であった陽動作戦と同様に、国際人に対するゲームのルールが変っているという徴候だ、とある人は見なしていた。それが、国際的な監視員に対する物理的な暴力が、より広範囲に拡がりそうだ、ということを意味しているのかどうか、それとも、選挙期間だけの深刻な可能性なのかを見定めることはまだできない。現在、調査チームは、NPの現地スタッフに対する潜在的危険のレベルは許容できる、と感じている。
 NPスタッフに対する他のリスクには、セクシャルハラスメントを含めて、交通事故と地雷そして犯罪被害者になること、が含まれる。

注目度および評価することの可能性:
 スリランカは小さな国ではあるが、あのように長びいた戦争の後に、停戦と了解事項覚書という重大さの故に、今年はニュースでかなりの程度で特集されていた。
 暴力に戻ることのない紛争解決は、他の多くのアジア諸国のためになるであろうが、インドにとっては重大な意味を持っている。というのは、インドは、もしスリランカでLTTEがイーラム(Eelam「タミルの国」という意味)の樹立を達成するならば、タミール・ナド州(訳者注:インド大陸南端の州)の人々が、潜在的な不安と見られ、独立国家を要求するのではないか、と見ている。したがって、スリランカのできごとは、その規模から連想されるよりもはるかに大きいニュースなのである。
 NPの調査担当理事の目には、明確で具体的な目標、紛争の中のいろいろな活動分子への潜在的アクセス、およびNPがやるであろう活動と同様な活動をするような類似のNGOが存在していない、という理由により、影響アセスメントを含むすべての見方でのプロジェクトの評価を容易におこなうことができた。

次のステップ:
 デリーでパイロット・プロジェクトが選ばれたならば、プロジェクトの指揮スタッフをできるだけ早く雇用すべきである。
 スリランカがサイトとして選定されたならば、できるならば、少なくとも2人の人が、プロジェクトを受け入れる準備をするために、1月の終わりまでに(この日限は地元のNGOによって強く示唆された)スリランカに到着すべきである。国内事務所はその時に調達されるだろう、そして、進展会議がすべての地元の当事者と共に定期的に開催されるだろう。
 これらのスタッフは、NPのチーム・メンバーを配備するよう推奨されている場所すべてに旅行しなければならない。そこの状況についてさらなる情報を明らかにするためだ。パートナー組織の地元メンバーは、宿舎を見つけたり、連絡をとることを手助けすることができる。チーム・メンバーの間近で暮らし、活動する市民の意欲を判断し、その特定の場所で必要とされているものを理解するために、時間を費やし配慮しなければならない。この最初のスタッフが2月まで国内に留まり、NPのチーム・メンバーの最初の波が25人以下であれば、国内における実際的なことは8月までに達成することができる。(それは、チーム配備の計画された期日である)。 スリランカはそんなに大きな国でなく、人々はやさしい。

[以上]

<訳者後記>
スリランカについては、「知恵蔵」(朝日新聞社発行)2003年版の253頁「スリランカ民族紛争」の項を参考にしたことを付記します。


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