のじれん・通信「ピカピカのうち」
 

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   代々木警察による「身元調査」への抗議声明

 去る11月20日に、東京都渋谷区代々木公園の野宿労働者に対して行われた代々木警察署による「身元調査」に関して、以下の抗議声明を出しました。
 来年1、2月にも予定されている国の実態調査に先立ち、大問題であると考えます。

 また多くの仲間が生活の糧としているフリーマーケットの規制も現在続けられています。東京都、23区合同の越冬対策が廃止され、例年にも増す厳しい冬を乗り切るために、越冬・越年闘争を仲間の団結の力でやり抜いていきます。
 全国の仲間のご支援、ご注目を!

 抗議声明 2002年12月22日 
 
 去る11月20日、代々木公園で路上生活を余儀なくされている野宿労働者に対して、代々木警察署による「身元調査」が行われた。
 防犯もしくは生活安全の腕章をつけた私服警察官7人、制服警察官1人が、2班に別れ、テント小屋のみくまなく回り、氏名、本籍の聞き取り、写真撮影を強行した。
 
 「身元調査」にあたった警察官によれば、万が一死亡した場合の身元の確認のため、任意で協力してもらっていると言うが、かかる法的根拠もない、写真撮影を含む「身元調査」は、明らかに個人のプライバシーに関わる人権の蹂躙であり、警察官の職務をいちじるしく逸脱した行為である。
 我々は今回の「身元調査」について代々木署及び公園管理事務所に対し厳重に抗議するとともに、今後一切同様の行為を行わないよう強く申し入れる。

 警察による今回のような「身元調査」は、今だに「ホームレスは犯罪予備軍」という旧態依然とした治安管理の論理がまかり通っていることを浮き彫りにした。
犯罪捜査とは無縁な形で、氏名や本籍の聞き取りの他、写真撮影も行われており、誰がどうみても「犯罪者」扱いである。かっては指紋採取までやられた。

 また任意というが、警察という公権力から「身元調査」として質問されれば、なかなか拒否できないことは想像に難くない。
 現に趣旨も解らず、言われるままに聞き取りや写真撮影に応じた野宿労働者も多い。

 さらには女性の部屋にずかずかと入りこみ、中をのぞきこんでいったという。
 法的な根拠、手続きもなく、半ば強圧的に行った「身元調査」や住居侵入は、重大な人権蹂躙行為である。 

 公園管理事務所の方には、代々木署から職権により今回の「身元調査」を行う旨の連絡があっただけというが、当日が特別一斉清掃と重なることから、何がしかの連携があったと疑いを禁じ得ない。

 また職権とはいかなる法に基づく公務なのか。しかも公園内の立ち退き工事問題をめぐり管理事務所との交渉の最中の行為である。
 1回目の団体交渉の際の私服刑事による監視行為に端を発し、今後は警察の介入させないと確認したはずである。
 
 また代々木署は、11月よりかって公園横の歩道において多数の野宿労働者が出店しているフリーマーケットの規制を始めた。通行人の苦情を理由にしているが、福祉や就労から排除されようやく辿り着いた生活の糧を無慈悲に取り上げる行為は、野宿労働者をますます窮地に陥れ、「死ね」と言っているに等しい。

 野宿の最大の原因は失業である。本来なら就労や福祉といった施策を講じるべき政府、行政が、野宿労働者を長年に渡り放置し、または排除してきた過程により、ここまで問題を深刻化させてきたのである。

 その責任は、政府、行政が取るべきものであり、野宿労働者個人に還元させられるものではない。
 この夏、「ホームレスの自立支援等に関する特別措置法」が施行されたが、今だに国の「基本方針」が明確になっておらず、具体的で有効的な施策を打ち出していない。

 我々はこの「特措法」は、排除と収容を基本にし、失業を強いられた労働者が生きるための野宿を許さない、非常に問題のある法律であると考えている。
 その「自立支援対策」すら全く不十分なまま、全国各地においては公共地の適正化=排除だけが先行している。この法では国が基本方針を定めるにあたり実態調査を行うとあるが、代々木署は今回の「身元調査」はその先行的な意味もあると明言している。
来年初めにも行われようとしている実態調査が、治安対策の側面を含むものであるなら、まさに排除と収容のための労働者管理に他ならない。

 また全国各地で若者による野宿労働者の襲撃が後を絶たないが、今回の警察による「身元調査」や行政による追い出しなどの行為が、それを助長させるのである。

 今年に入り東京、千葉、名古屋、埼玉で虐殺事件があった。代々木公園においても6年前、1人の野宿労働者が若者数人により、虐殺された。
 現在もトイレに「ホームレスを殺しても無罪」などの差別落書きが散見され、いつ現実のものになるかわからない。犯罪を防止するはずの警察の行為が、犯罪を招きかねないことを肝に命じるべきである。 

 繰り返すが、今回の如き「身元調査」は、人権を蹂躙した治安管理対策の一環であり、不法、不当な行為である。代々木署と公園管理事務所の責任を厳しく問うとともに、今後、かかる行為を行わせないよう、重ねて申し入れるものである。

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