都市博中止を公約にかかげ，「開かれた都政」を旗印に弱者の味方として登場した 青島知事に，最初はおれたちも期待した．それまで一切放置されてきたおれたち野宿 者や日雇労働者の失業・就労対策，生活保護行政の転換を，青島知事ならあるいはや ってくれるのではないかと思った．しかし，青島はおれたちの交渉要求を一貫して拒 否しながら，あいもかわらぬ短期施設収容の繰り返しと就労対策の放置という政策を つづけ，今ついに野宿することさえ許さない，つまりは生きることをやめろというに ひとしい強権の発動にいたった．
「動く歩道」工事強行のうらには，財界の反対を押しきって都市博を中止した青島知 事の政治生命がかかっているとも噂される．それがあながち下司の勘繰りとも思えな いほど，着工にいたるまでの青島の態度は強硬で，一方的で，その論理は一貫せずあ やふやだった．理由などどうでもいい，結論だけは変わらない，というかのように． かつて佐藤栄作を「産業界の妾」と罵倒し，成田治安法による強権発動に反対した青 島はそこまで変節したのだろうか．
24 日，4 号街路北側通路の防衛に起った仲間達への弾圧は苛烈で，不当で，非道だ った．ビラを書き，福祉事務所との交渉を組織し，炊き出しを呼びかけるというよう な役割を担ってきた 3 人の仲間が「こいつは検挙」と選別されて逮捕された．頭を割 られ流血した仲間もいる．ひとりの仲間は機動隊にゴボウ抜きされる際，両手両足を 抱えられ逆さまに引きずられて頭を打ち，今も頭痛と吐き気を訴えている (この仲間 は新宿福祉事務所員がレントゲン撮影が必要と判断して救急車を呼び百人町の春山外 科に運ばれたが，レントゲンどころか頭を触ってみただけで追い返された．27 日にふ たたび救急車で春山外科に運ばれたが，「お前また来たのか，臭さが同じだからわか った」などと言われて熱も計らず鎮痛剤を与えられて追い返された．野宿者の現実は こんなものだ．収容所の職員や，収容所にたまにやってくる医者も似たようなもので ある)．
13 日の東京都による「最終通告」の際には，倒れた背中にジュラルミンの盾を垂直 に落とされ，歩くこともできなくなった仲間もいる．
権力が意志を貫こうとするときは，どんな暴力が行われるか．おれたちはそれを身 をもって知った．
新宿のホームレスは，権力の横暴によってこそ，実力での抵抗をためらわない主体 へと変えられた．
都が「温かい食事と清潔な衣類を用意しました」とあたかも天国のように宣伝する 芝浦収容所は，94 年春には 2 名の死者まで出している従来の収容施設の焼き直しに過 ぎず，有刺鉄線で囲まれた敷地や外出禁止措置などむしろ悪くなっている．あとはガ ス室があればアウシュビッツだ．この場合はガス室ではなく出所後の行き場を奪われ て路上でじわじわと殺されていくだけのちがいだが．二百人の定員に対し，27 日現在 六十数名の入所者しかいないのはあたりまえだ．ホイホイと収容所行きに応じること が自分たちのねぐらを奪われることだということがわからないほどおれたちが愚かだ と思っているのか．行き場所のないおれたちの弱味につけこもうとする東京都は，卑 怯で下劣だ．
仲間たち! 釜ヶ崎をはじめとする日雇全協の部隊はきょうでいったんそれぞれの町 に帰るが，あしたからもインフォメーション前での夕方の炊き出しはつづける．
ともにたたかいぬこう!
おれたちは都が暴力による排除を行なう前日まで話し合いによる解決を求めてきた． 対策の立てかたしだいではここから立ち退く用意がある，とまで言った．しかし都 は「強制撤去・着工の決定は動かない」と交渉要求を蹴り，さらには「撤去後なら話 し合いに応じる」などと言いつのっている．
なぜここまで野宿者への根本的な生活保障・就労対策をいやがるのだろうか．
奴らは，おれたちに早く死んでくれと願っているのだ．奴らの「対策」とは，おれ たちがひとり残らずくたばるまで，散り散りにすることと収容所にブチ込むことで世 間から隠しておくことだ．
いらなくなった労働力の処分装置として，青島都政はまさに産業界の走狗へとなり 下がった．
青島都知事よ，かつての参議院議員青島幸男に罵倒されるべきはお前だ．
1996 年 1 月 28 日新宿連絡会は，仲間とともにたたかい続ける！インフォメ前緊急避難所に結集しよう!
集合はすべてインフォメ前
「動く歩道」問題
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