生活保護法

第五章 保護の方法


(生活扶助の方法)

第三十条
生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする。但し、これによることができないとき、これによつては保護の目的を達しがたいとき、又は被保護者が希望したときは、被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に収容し、又はこれらの施設若しくは私人の家庭に収容を委託して行うことができる。
2 前項但書の規定は、被保護者の意に反して、収容を強制し得るものと解釈してはならない。
3 保護の実施機関は、被保護者の親権者又は後見人がその権利を適切に行わない場合においては、その異議があつても、家庭裁判所の許可を得て、第一項但書の措置をとることができる。
4 前項の許可は、家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)の適用に関しては、同法第九条第一項甲類に掲げる事項とみなす。
第三十一条
生活扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
2 生活扶助のための保護金品は、一月分以内を限度として前渡するものとする。但し、これによりがたいときは、一月分をこえて前渡することができる。
3 居宅において生活扶助を行う場合の保護金品は、世帯単位に計算し、世帯主又はこれに準ずる者に対して交付するものとする。但し、これによりがたいときは、被保護者に対して個々に交付することができる。
4 収容し、又は収容を委託して生活扶助を行う場合の保護金品は、被保護者又は施設の長若しくは収容の委託を受けた者に対して交付するものとする。

(教育扶助の方法)

第三十二条
教育扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
2 教育扶助のための保護金品は、被保護者、その親権者若しくは後見人又は被保護者の通学する学校の長に対して交付するものとする。

(住宅扶助の方法)

第三十三条
住宅扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
2 住宅扶助のうち、住居の現物給付は、宿所提供施設を利用させ、又は宿所提供施設にこれを委託して行うものとする。
3 第三十条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
4 住宅扶助のための保護金品は、世帯主又はこれに準ずる者に対して交付するものとする。

(医療扶助の方法)

第三十四条
医療扶助は、現物給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、金銭給付によつて行うことができる。
2 前項に規定する現物給付のうち、医療の給付は、医療保護施設を利用させ、又は医療保護施設若しくは第四十九条の規定により指定を受けた医療機関にこれを委託して行うものとする。
3 前項に規定する医療の給付のうち、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)又は柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の規定によりあん摩マツサージ指圧師又は柔道整復師(以下「施術者」という。)が行うことのできる範囲の施術については、第五十五条の規定により準用される第四十九条の規定により指定を受けた施術者に委託してその給付を行うことを妨げない。
4 急迫した事情がある場合においては、被保護者は、前二項の規定にかかわらず、指定を受けない医療機関について医療の給付を受け、又は指定を受けない施術者について施術の給付を受けることができる。
5 医療扶助のための保護金品は、被保護者に対して交付するものとする。

(出産扶助の方法)

第三十五条
出産扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
2 前項但書に規定する現物給付のうち、助産の給付は、第五十五条の規定により準用される第四十九条の規定により指定を受けた助産婦に委託して行うものとする。
3 前条第四項及び第五項の規定は、出産扶助について準用する。

(生業扶助の方法)

第三十六条
生業扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
2 前項但書に規定する現物給付のうち、勤労のために必要な施設の供用及び生業に必要な技能の授与は、授産施設若しくは訓練を目的とするその他の施設を利用させ、又はこれらの施設にこれを委託して行うものとする。
3 生業扶助のための保護金品は、被保護者に対して交付するものとする。但し、施設の供用又は技能の授与のために必要な金品は、授産施設の長に対して交付することができる。

(葬祭扶助の方法)

第三十七条
葬祭扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これよることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。
2 葬祭扶助のための保護金品は、葬祭を行う者に対して交付するものとする。


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