労働基準法

第六章 年少者


(最低年齢)
第五十六条
満十五歳に満たない児童は、労働者として使用してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、第八条第六号乃至第十七号の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、且つその労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満十二歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。但し、映画の製作又は演劇の事業については、満十二歳に満たない児童についても同様である。
(年少者の証明書)
第五十七条
使用者は、満十八歳に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。
2 使用者は、前条第二項の規定によつて使用する児童については、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければならない。
(未成年者の労働契約)
第五十八条
親権者又は後見人は、未成年者に代つて労働契約を締結してはならない。
2 親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向つてこれを解除することができる。
第五十九条
未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代つて受け取つてはならない。
(労働時間及び休日)
第六十条
第三十二条の二から第三十二条の五まで、第三十六条及び第四十条の規定は、満十八歳に満たない者については、これを適用しない。
2 第五十六条第二項の規定によつて使用する児童についての第三十二条の規定の適用については、同条第一項中「一週間について四十時間」とあるのは「、修学時間を通算して一週間について四十時間」と、同条第二項中「一日について八時間」とあるのは「、修学時間を通算して一日について七時間」とする。
3 使用者は、第三十二条の規定にかかわらず、満十五才以上で満十八才に満たない者については、次の各号に定めるところにより、労働させることができる。
一 一週間の労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、一週間のうち一日の労働時間を四時間以内に短縮する場合において、他の日の労働時間を十時間まで延長すること。
二 一週間について四十八時間以下の範囲内で命令で定める時間、一日について八時間を超えない範囲内において、第三十二条の二又は第三十二条の四の規定の例により労働させること。
(深夜業)
第六十一条
使用者は、満十八歳に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満十六歳以上の男子については、この限りでない。
2 労働大臣は、必要であると認める場合においては、前項の時刻を、地域又は期間を限つて、午後十一時及び午前六時とすることができる。
3 交替制によつて労働させる事業については、行政官庁の許可を受けて、第一項の規定にかかわらず午後十時三十分まで労働させ、又は前項の規定にかかわらず午前五時三十分から労働させることができる。
4 前三項の規定は、第三十三条第一項の規定によつて労働時間を延長し若しくは休日に労働させる場合又は第八条第六号、第七号若しくは第十三号若しくは電話の事業については、これを適用しない。
5 第一項及び第二項の時刻は、第五十六条第二項の規定によつて使用する児童については、第一項の時刻は、午後八時及び午前五時とし、第二項の時刻は、午後九時及び午前六時とする。
(危険有害業務の就業制限)
第六十二条
使用者は、満十八歳に満たない者に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械若しくは動力伝導装置にベルト若しくはロープの取付け若しくは取りはずしをさせ、動力によるクレーンの運転をさせ、その他命令で定める危険な業務に就かせ、又は命令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。
2 使用者は、満十八歳に満たない者を、毒劇薬、毒劇物その他有害な原料若しくは材料又は爆発性、発火性若しくは引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、著しくじんあい若しくは粉末を飛散し、若しくは有害ガス若しくは有害放射線を発散する場所又は高温若しくは高圧の場所における業務その他安全、衛生又は福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。
3 前項に規定する業務の範囲は、命令で定める。
(坑内労働の禁止)
第六十三条
使用者は、満十八歳に満たない者を坑内で労働させてはならない。
(帰郷旅費)
第六十四条
満十八歳に満たない者が解雇の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。ただし、満十八歳に満たない者がその責めに帰すべき事由に基づいて解雇され、使用者がその事由について行政官庁の認定を受けたときは、この限りでない。

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