資料室


もくじ


(連絡先)

清津川ダムを考える会
代表 三橋 允子
959-0421 新潟県西蒲原郡西川町大字鱸176
T(025)266-9623、F(025)231-1358

イヌワシネットワーク
代表 斎藤 裕子
951-8065 新潟市東堀通2ー481「くらしの相談・にいがた」内
T(025)228-2127、F(025)222-0914




                         平成12年9月26日
北陸地方建設局事業評価監視委員会 様
                       清津川ダムを考える会                  
                       イヌワシネットワーク
                       連絡先 清津川ダムを考える会代表 三橋 允子  
                              新潟県西蒲原郡西川町大字鱸176




     清津川ダム計画評価委員会の延期と慎重審議の要望書
      (事前の自然環境の視察、勉強会のお願い)


 清津川ダム計画につきまして、9月27日に北陸地建にて評価委員会が召集され、即日判断すると新聞発表されました。委員の皆様に是非この委員会のもつ意義、責任、そして危険性を御認識いただきたく、急遽御連絡申し上げます。最後までこの内容をお読みいただき、委員会の延期、そして、慎重審議をお願い申し上げます。当該ダム建設予定地は、現在の日本では、ほとんど見られない、大変に貴重な自然を有しております。その自然環境に関する十分な知識と事前の学習無くしては、絶対に評価され得ない地域であります。その自然について、データを提出されない状況で審議が進められること自体、あってはならない行為考えております。このダム予定地の自然環境は、先に自然保護協会の調査報告書にありますように、ブナ林を主とする原生的な森林が奇跡的に残され、レッドデータブックに挙げられる動植物の宝庫といえる貴重な環境です。近年、希少野生生物となった、イヌワシ、クマタカ、オオタカ等猛禽類が数多く生息・繁殖できる健全な生態系が現在も維持されているということも明らかになっております。当該地域の希少猛禽類に関しては、日本自然保護協会に登録する「新潟県自然観察指導員の会」ですでに調査を進め、ダム建設がイヌワシ、クマタカ等の生息や繁殖に影響があると指摘しております。特に、クマタカについてはその影響が深刻で、ダム建設によって、その生息地の大半を失うと指摘しております清津川ダムについて、評価を行うに際しては、この地域の貴重な自然を委員各位が実際に、視察され、また、現在進められている猛禽類をはじめとする希少野生動植物、そして原生的自然環境等の情報を地元保護団体である「新潟県自然観察指導員の会」または、日本自然保護協会から、十分に聴取されることが必要です。自然環境の正確な情報を集めずに行われる評価自体が意味を為さないこと、また、委員会での判断が日本の希少野生動植物の絶滅を招く行為であるということ、更に、生物多様性条約に批准する日本の評価委員であること、これらの責任を自覚していただきたいと思います。重ねて、委員会の延長と慎重審議を願いいたします。 先に、当団体及び、「新潟県自然観察指導員の会」等県内10の自然系団体連名で国会議員に提出した「清津川ダム計画」中止の要望書の記載事項を参考として以下に示します。

                      記

清津川ダム計画地域一帯の自然環境の重要性について

1  猛禽類を頂点とする多様な生態系の存在
この地域は、数多くの野生生物の宝庫です。希少猛禽類を頂点として、天然記念物のヤマネ、ニホンザル、ツキノワグマ等多数の野生生物が生息する健全な生態系が残されています。日本が批准している生物多様性条約では、「多様性に富む場所を保全する政府の責務」を掲げています。また、このためには、多様性を維持するために既存の公共政策を改めることや新しい公共政策を行うことを求めています。公共事業を見直し、この地の多様な自然を21世紀に伝えることは、日本社会の責務であると思います。

2  ダム建設地域にイヌワシ等希少猛禽類が生息
ダム予定地周辺には、種の保存法の政令指定種および天然記念物指定種のイヌワシ等絶滅が危惧される山地性の大型猛禽類が多数生息しています。生態系の頂点に立つこのような生物は、自然界の中では生態的には最も弱い立場であるため、ダム建設による環境改変は、その生息と繁殖に大きな悪影響を与えます。特に、近年本州で急速に繁殖率を低下させているクマタカがこの流域に繁殖地を持っていますが、このダム建設が計画通りに進むならば、その生息地・繁殖環境のほとんどを失うことは明白です。私たちは、このダム開発が環境庁による猛禽類保護指針に反していると判断しています。このような生物が普通に暮らせる自然があり、それを目にする機会があることは、地域の大きな財産といえます。

3 ダム計画地は「緑の回廊」になるべきところ
この地域一帯は、周辺地域の開発がこれまでずっと続いてきたことから、ダムが計画された流域(谷)の中にのみ本来の自然が残されているといっても過言ではないところとなってしまいました。この谷の自然の消失は、周辺に住む全ての野生生物の生育・生息環境に壊滅的な影響を与えると考えられます。特にこの谷は、苗場山から連なる西山地域を結ぶ野生動物の交流路(緑の回廊)となっており、ダムの建設および将来の湛水による人工湖の出現は、森林生態系を分断するものです。林野庁は今年から、全国の国有林において野生生物のための「緑の回廊(コリドー)」を指定していく計画を打ち出していますが、この地域はこのコリドー計画に組み込むべき地域であると考えます。
  
4 国立公園地域は、野生生物の安全な生息環境であることを最優先すべき現在注目すべきは、希少野生生物だけではありません。その希少な野生生物の生存を支えているのは、多くの普通に見られる野生生物です。このような自然のまとまりを保全することが国立公園の大きな役割の一つです。私たちは、その地域の中であるにも関わらず、今までのように大規模開発を行っていくことには、国民全体の理解はもう得られないと考えます。また、開発によって生息地が撹乱された野生動物は人里への移動を余儀なくされ、その結果、食害等が発生して有害鳥獣として駆除されていくという問題もあります。先に鳥獣保護法が改正された趣旨でもあったように、迷惑だからといって野生動物を駆除してもこの問題は解決せず、本来の生息環境の保全こそがまず先に行われなければなりません。国立公園はその拠点となる場所であり、この計画の見直しはそれを実現することになります。
                                     以上



                                                                 2000年11月29日

建設大臣 扇 千景 殿

                                 清津川ダムを考える会  代表 三橋 允子
                                           新潟県西蒲原郡西川町大字鱸176
                             TEL(025)266-9623(昼)、(0256)88-2270(夜)
                                                        FAX(025)231-1358

申 入 書

 貴殿におかれては、ますますご清祥のことと存じ上げます。
 さて、清津川ダム事業計画については、本年8月の自民・公明・保守の与党3等の見直し勧告を受けて、先日、北陸地建事業評価監視委員会が開かれました。また11月18日に、新潟県知事が初めて建設予定地を視察しました。さらに、その同じ日には、村上市で「第13回森と自然を守る全国集会in村上」(11/17〜19)が全国各地から約450名の参加者を集めて開催されていましたが、同日の全体総括集会で、「清津川ダム建設中止を求める集会宣言」が満場一致で決議されるなど、新たな動きが出ています。
 清津川ダム計画について、表面的には行政や地元住民は建設推進で一致しているように言われていますが、地元湯沢町民の情報などによれば、それとは大きく異なっていることがわかります。これまで地元町民には、ダム計画について一方的で当たり障りのない限られた情報しか与えられておらず、本当に知りたい詳細な内容や正しい判断をするため必要な情報がなかったこと、地元協議会に水没者全員が参加しているわけはでなく地権者など利害関係者が入っていること、ダム建設によって移転を余儀なくされる住民の不安が強いこと、ダム建設に対であっても生活のためや地域社会の人間関係の中でその意思を表明できない人が多いことなの状況があり、いま住民投票を行って民意を問えば半数以上の町民はダム建設に反対するだろうと言う町民もおられます。
 昨年(平成11年)12月24日に湯沢町議会で採択された「清津川ダム建設促進に関する請願」についてさえ賛成12、反対6という状態ですから、3分の1もの反対議員がいるわけです。
 30年以上にわたってダム計画に翻弄されこうむってきた経済的・精神的な損失は図り知ず、もしそれらが正当・確実に補償されるのであれば、何も好んでふるさとを水没させたいなどと考える住民はほとんどいない、というのが真相のようです。
 11月16日に開催された事業評価監視委員会でも、清津川ダムについてダムの規模や自然環境に配慮したダムサイト案の見直し、さらには専門委員会を設置して代替案を検討することなど多くの提言がなされています。
 以上のように、清津川ダム計画については、地元住民、新潟県民、県内NGOのほか全国民がその行方について非常に高い関心を持って注目しています。貴殿におかれては、以下の資料を参考にし、下記の要望について善処されるとともに、すでに清津川ダム計画については推進する理由が全くないことが明白であるので、直ちに事業計画の中止を検討するよう強く申し入れます。


1 これまでに数回にわたって閣議決定されている(たとえば95年9月29日の閣議決定)
とおり、審議会等の会議・議事録は公開されること。貴省の竹村公太郎河川局長も北陸地建事業評価監視委員会の公開について検討すると応えていたのに、市民・マスコミとも傍聴できなかった。貴省関係の審議会等の公開度は、他の省庁や自治体の対応と比較して極めて低い。
2 評価監視委員会の提言を容れて、代替案を検討する専門家委員会を設置すること。専門委員会については、自然保護団体が推薦する委員を登用し、円卓会議方式を採用すること。また会議・議事録を市民に一般公開するとともに、地元住民や自然保護団体等の意見を聞く公聴会を数回にわたって開催すること。

(資料)
1 清津川ダム建設中止を求める集会宣言
2 新聞記事「知事、初の予定地視察」「審議公開を要望」(新潟日報・11/18)
3 同 上「21世紀へ自然守り継げ」(新潟日報・11/19)
4 同 上「治水、利水面で必要」「知事、財政状況を考えると楽な額ではない」(同
上)
5 同 上「清津川ダム『規模見直しを』 代替案検討も求める」(毎日新聞・11/27



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