新潟港の米軍艦入港申請手続き及び港湾管理業務、並びに米軍戦闘艦の装備に関する調査検討結果と緊急提言

             1998年7月31日 市民新党にいがた

 去る7月10日、米海軍掃海艦「ガーディアン」が新潟港に入港した。これに前後し て、海上自衛隊のミサイル艇2隻・掃海艦2隻が相次いで入港、そろって12日に出 港、陸奥沖での掃海訓練に参加した。
 今回の「ガーディアン」入港に関し、県当局は「新ガイドラインに関係なく、適正 な手続きに基づき申請されたので通常の業務に従い処理しただけ」と答えている。現 行法制上一見「正論」に思えるこの論理には、実は重大な問題がある。私たちはこの 問題について諸資料をもとに詳細な検討をおこない問題点を明らかにしたので報告す る。

問題点1.県には安全を確認する手段も意志も無い

 私たちは、自衛隊・米海軍掃海艦の入出港関係書類を入手し調査検討した。驚くべ き事に、軍艦であっても民間船と同様、原則として申請書1枚で県は許可の是非を判 断する(資料1参照)。
 この中に「危険品の有無」の欄があるが、自衛隊艦・米軍艦5隻全て「無」となっ ている。この理由は「燃料も広い意味では『危険品』になってしまうが、燃料や弾薬 や爆弾の場合、『自己消費』分は『危険品』として申請しなくてよいことになってい る」(県港湾事務所)とのこと。つまり、自分の装備に関わるものであれば、原子炉 燃料でも、どんなに破壊力の強い爆弾でも、核弾頭でも劣化ウラン弾でも、そしてそ れらをどんなにたくさん積んでいても、「危険品無」になってしまうのである。そし て結局、県の港湾事務所が判断するのは、特別な事情がない限り、原則として艦艇の 全長、幅、吃水(水面から船底までの深さ)などだけなのである。
 県空港港湾局は、報道機関の取材に対して、今回の手続きが適正であったことを強 調すると共に、「県民の安全が確保されることが大前提」などと胸を張って答えてい るが、現実の業務としてはこのように単なる技術的・物理的問題だけで手続きが進め られている。そこでは爆発物・放射性物質・放射性燃料の存在の有無とその量など、 「県民の安全を確保」できるかどうかを判断する手段も、そのための意志も持ち合わ せていないということが、今回の経緯及びこの調査で明らかになった。「ガイドライ ン云々は関係なく、ルーティンの業務」と強調すればするほど、今後も無制限無条件 に米軍艦艇を受け入れます、と宣言していることに等しいのである。

問題点2.県の論理からは、現役就航中のほとんどの米軍戦闘艦に対し、入港を 断ることができない。

 そこで私たちは、県の論理の問題性をより明らかにするために、主要米軍戦闘艦の 諸元データを入手し、これを新潟港の収容能力と照合して入港が物理的に可能かどう か、新潟港湾事務所から明らかにされた判断方法に基づき、独自に検討した。その検 討結果が資料2である。この資料を見るとわかる通り、空母を除く多くの戦闘艦が− いくつかの艦艇については一定の条件下で−物理的には入港可能という結果が明らか となった。東港は空母を除く全ての収容が可能であり(一部は将来的に可能となるだ ろう)、西港は東港より収容能力は劣るものの、民間埠頭を利用(それこそ新ガイド ラインの狙うところでもある)すれば、多くの潜水艦及び巡洋艦サイズまでの水上艦 をほぼ収容できる。

問題点3.それらの艦艇の中には、核疑惑艦船や劣化ウラン弾が装填されている 可能性のあるものが少なくない。

 さらに、米軍戦闘艦の核武装の問題についても検討を加えた。核武装の可能性があ る巡航ミサイルトマホークを装備している艦(「装備注」欄に「T」で示す)につい ても新潟港に入港可能なものは少なくない。また、沖縄鳥島での発射事件の後、米軍 は劣化ウラン弾が軍艦の対空兵器バルカンファランクスに一部使用されていることを 認めているが、このバルカンファランクス(同じく「F」で示す)もほとんどの戦闘 艦に装備され、95年に来港したロドニーデイビスにも装備されている。仮に艦上火災 があった場合や第3国から攻撃があった場合(米国の艦艇は海外で実践に従事してお り、報復テロの対象となっているものもある)、放射性物質が県民の頭上にまき散ら される危険性を無視することはできない。
 結局、これらの軍艦が次から次へとやって来ても、県の言い分をこのまま続けるこ とになれば、技術的・物理的に可能な限り県は「適正に、通常の業務に基づき」許可 をロボットのように下し続けることになるのである。−一見「正論」のように聞こえ る県の発言は、そういうことを意味するのである。
<資料1>入港申請書の写し:このホームページでは省略。必要な方は御連絡を。
<資料2>米海軍の主要艦船の諸データと新潟港への入港可能分析結果:必要な方は御連絡を

新潟県知事 平山征夫 殿
関係各位 殿

新潟港の米軍利用等に関する緊急申し入れ

  1998年7月31日
      市民新党にいがた
     新潟市真砂1-21-46
    電話025-230-6368
       前略  先の米海軍掃海艦の新潟港入港に関し、県当局は「新ガイドラインに関係なく、適正な手続きに基づき申請されたので通常の業務に従い処理しただけ」と答えています。しかし、この論理には、添付資料のように重大な問題があります。
 すなわち、(1)入港に関しては物理的・技術的な問題を判断するだけで、「県民の安全を確保」できるかどうか確認する手段がなく、今のところ県当局にその意志も見られない。(2)県の論理を認めれば、現役就航中のほとんどの米軍戦闘艦に対し、入港を断ることができない。(3)それらの艦艇の中には、核疑惑艦船や劣化ウラン弾が装填されている可能性のあるものが少なくない といった点です。
 米軍の日本国内港湾施設利用に関しては、国の見解が必ずしも統一されているわけではありません。確かに外務省は、条約上の米軍の権利を円滑に確保する義務を日本側が有するという観点から「機能上問題がなければ自治体が拒否できる余地はない」という見解を示しています。しかし一方、運輸省は「関係自治体との協議が必要」としています。自治体でも米軍の空港港湾利用に対し何らかの制限を設けている、あるいは設けようとしているところも少なくありません。「新ガイドライン・周辺有事」が謳われている今だからこそ、「戦時下」「非常時」の名の下で民主的諸権利が次々と踏みにじられ戦争に総動員されていった先の戦争の轍を踏まないためにも、無条件・無批判的な官僚的業務を営々とこなすのではなく、自治体が否応なしに巻き込まれる「有事」について、その目的の正当性と透明性を求め自ら主体的に判断することが求められていると思います。そのような立場から、以下申し入れます。

1.新ガイドラインによる県民生活への影響に関するこれまでの調査検討結果を早急に明らかにすること。また、今後もよりいっそう検討を具体化し、適宜その検討結果を明らかにすること。

2.米軍等の戦闘艦の新潟港利用に関して、「県民の安全を確保」することを担保できない現行手続制度を見直すこと。
 われわれとしては、港湾管理条例第5条を活用し、武装艦については民間船とは異なった制限や手続、判断基準などを設けることを提案したい。

3.このほか自治体の協力業務について、他の自治体とも協力して自治体の主権と住民の安全を確保する立場で働きかけをおこなうこと。また、「有事」の目的の正当性・透明性が確保されなければ協力できないという立場を明確にすること。

4.多くの自治体が求めている「地位協定見直し」について、県としても積極的に国に対して働きかけること

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