12 住民投票実施を訴える新町長が誕生!
原発反対派・住民投票派は、自主管理住民投票運動やリコール運動の中心となった
笹口孝明氏を町長候補として擁立、選挙準備を進めてきた。一方推進派は佐藤町長が
立候補を固辞、足並みが乱れ、立候補の事前説明会が予定された1月8日になっても候
補者が決まらず、ついに推進派は正式に立候補を断念した。
そして1月16日、町長選が告示され、午前8時の告示と共に笹口氏が手続きを完了、
無投票当選と見られたが、同日午後4時になって予想外の長倉敏夫氏が立候補手続きを
届け、一転一騎打ちとなった。長倉氏は去る昨年4月の町長選でも出馬、落選している
が、無投票は良くない、として、住民投票実施と原発計画反対を訴えての立候補と
なった。ただし、住民投票をめぐるニュアンスとしては笹口氏が実施そのものを強く
訴えているのに対し、投票そのものには賛成であるがあくまでも議会制民主主義を補
完するもの、として、やや引いたスタンスをひく一方、住民投票だけが町長選の争点
になるのはおかしいと主張、観光や産業の育成を訴えている。また、昨年2月の町有地
売却案がはかられる町議会が反対派の抗議で流会となった事態に対し、「民主主義を
否定する勢力から町長が出るのは許せない」と主張している。また、長倉氏は住民票
こそ巻町越前浜にあるものの、生計の場は埼玉にあり、今回の町長選のために巻町へ
戻ってきており、選挙が終わればまた埼玉に戻ると言われている。
生活の場が巻町にないとはいえ法的には保障された長倉氏の立候補の権利を、私た
ち市民新党にいがたは否定するものではない。しかしこの数年間、町内で原発と住民
投票をめぐってこれだけ焦点化され、さまざまな論争の場、政治主張の対決の局面が
重ねられてきたにも関わらずそうした局面にいっさい関知してこなかった人が、こう
した行為に出ることに対しては疑問を挟まざるを得ない。また、長倉氏が問題として
いる95年2月の議会流会に関しても、その根本要因は反対派の抗議行動ではなく推進
派・町当局の不合理で強引な町政運営であったことは、結果として反対派の中から逮
捕者を出すこともなく、待機していた機動隊も導入されず、マスコミも治安当局もこ
の行動を非難していないという事実が雄弁に物語っている。また、仮に百歩譲ってこ
れに問題があったとしても、当時反対行動を担った反対派と笹口氏は一線を画してお
り、当時の抗議行動にも参加していない。したがって、その主張は全く誤りであると
言わなければならない。
こうして、急遽立候補した長倉氏と笹口氏の一騎打ちという形で選挙となり、1月
21日投票がおこなわれ、即日開票の結果笹口氏の当選が確定、いよいよ新町長の誕生
となった。開票結果は以下の通り。
ヲ開票結果ヲ
笹口孝明(47) 8569(当選) 長倉敏夫(60) 991
※当日有権者数 23065 投票総数10565(投票率45.81%)
無効 1005
投票率は45%と低調で、笹口氏の得票は8569票で、リコールで集められた12000を下回り、辞職した佐藤町長の94年当選時の票(9000)をわずかに下回る形となり、意外な結果となってしまった。しかしこれは推進派が立候補を断念し、さらに公示日まで「無投票」「笹口町長誕生は必至」との観測が流れていたためにた盛り上がりにかけたことがひとつの原因と言える。この点から考えると、推進派にとって長倉氏の立候補は、明確な推進派の立候補により反対派の猛反発をくらうよりもより有効に、しかも自らが傷つかない形で、笹口当選の権威を傷つける効果があったといえるだろう。前述の住民運動への敵対発言等と考え会わせると、長倉氏の立候補の経緯と推進派の思惑とに何らかの関連を考えても不思議はない。
しかし、推進派が立候補を断念したまま選挙を迎えた時点で、町民は笹口氏の当選と住民投票の実施について確信したのであり、この問題についてはその時点で一定の決着がついたと言っても間違いはない。推進派は自らの敗北を知り、圧倒的多数の住民が求めている住民投票の実施に向けて協力すべきである。