どうなっとんじゃー! 柏崎原発!

世界初の商用型「改良型沸騰水炉」を採用した6号機など、柏崎原発でトラブル続出!

 まだ世界のどこにも商用として使われていない「改良型沸騰水炉」を採用した柏崎 原発6号機の他、同原発ではトラブルが続出しています。また、トラブルに対する「認識の甘さ」もあとになって明らかになるなど、柏崎原発は大変な状態。
 以下の内容は、インターネット上の市民運動メーリングリスト「aml」やパソコン 通信上の原発関係の市民運動フォーラムなどに掲載された情報、また「原子力安全資 料情報室」の情報をもとに、加筆・整理して掲載しています。公開を原則とされたこ れらのメーリングリストなどの情報を利用しているために、一部は発信者にお断りし ないまま使わせていただいております。この場をお借りして御礼申し上げます。問 題・問い合わせがありましたら nnpp@ppp.bekkoame.or.jpまで。
 なお、下記記事は新情報順です。


ヨウ素漏れの調査で重大事実判明!

(97年1月)
 96年8月のヨウ素漏れ事故(下記次項記事参照)の調査結果が発表された。それに よれば当初考えられていたように被覆管の「ピンホール」ではなく、「ひび割れ」で あることが判明。28日におこなわれた反対派の追求に東京電力側は「認識が甘かっ た」と自ら表明。
(詳細は後ほど)


2号機がトラブル!

(96年12月〜97年1月)
 2号機(沸騰水型、定格出力110万キロワット)は、定格出力運転中、排ガス放射 線モニタの値が上昇。そのため96年12月16日からの定期検査中に燃料対の漏洩検査 を実施したところ、漏洩のあるものが1体認められ、97年1月27日、当該燃料集合体 の交換を行なった。


 

またもや柏崎原発6号機で重大トラブル!
ヨウ素漏れでとうとう停止

(96年8月)
 東京電力柏崎刈羽原発6号機 (ABWR改良型沸騰水型軽水炉、出力135万 6000kw)が96年8月24日午後5時15 分、手動で出力降下を開始し、25日午前10時停止し た。 原子炉一次冷却水の放射性ヨウ素濃度が上昇したことから、排気筒モニタを確認 したところこちらも上昇していたので手動停止することになったようである。

 

<資料1>東京電力による公式発表(96.8.24)

試運転中の柏崎刈羽原子力発電所6号機の手動停止について
平成8年8月24日
東京電力株式会社
 柏崎刈羽原子力発電所6号機(改良型沸騰水型、定格出力135.6万キロ ワット) は、定格出力で試運転中のところ、運転範囲内ではありますが、 原子炉水中のよう素 濃度及び排ガス放射線モニタの指示に増加傾向が認め られました。このため、燃料か らの微小漏えいの可能性が考えられるので、 念のため原子炉を停止して燃料集合体の 漏えい検査を行うこととし、本日午後5時15分より出力降下を開始しました。
 なお、本事象による外部への放射能の影響はありません。 また、資源エネルギー庁 による国際原子力事象評価尺度(INES)暫 定評価では、0(マイナス)とされて おります。
以 上


今回の事故の問題点

●事実関係の整理
 炉水のヨウ素濃度が上昇した原因は、燃料棒の損傷で内部からヨウ素が漏えいし、 それが冷却水中にとけ込んでタービン建屋までいき、この復水器で遊離して気体と なって排気筒から放出されていったものと考えられる。復水器はタービンを回し終 わった蒸気を水に戻すために海水を引き込んだパイプの間に蒸気を通す装置で、蒸気 を吸い込むために常に真空状態に保つ必要があり、内部の気体はポンプで抽出して排 気されている。
 サンプリングにより測定された炉水のヨウ素濃度は1グラム当たり20ベクレル。 保 安規定で原発停止と定められている1300ベクレルよりは少ないが、東電によると「通 常値の五百倍」になっているということである。燃料棒約52300本の どれかが損傷し たのだろうということで、原子炉を停止して調査する。調査というのは燃料を一体づ つ(62本の燃料が1体の集合体を作っていて、集合体の総 数は872体)シッピング検 査という漏えい検査機をセットして行う。

●続発する6号炉事故
 柏崎・刈羽6号炉は96年1月試験運転に入ったばかり。2月には内蔵型再循環ポ ン プ(インターナルポンプ)の事故で,やはり手動停止している(その詳細もこのペー ジで掲載しています)。今度の事故時も試験運転中であるが、前回と異なり、出力 100%で稼働している最中の事故であることに留意しなければならない。

●ヨウ素漏れの重大性
 炉水に漏れ出た放射性ヨウ素は通常値の500倍。東電は、燃料棒にピンホールが開 いたらしい、と主張している。今年運転開始した炉の燃料棒被覆管に孔が開くとは いったいななんだ、それでも心配いらないなどという神経はどうなっているのだとい いたくなる。これぐらいの運転期間で孔があくようなことではおちおち寝てもいられ ない。こんなことでは老朽化した炉の場合は恐くてしかたがない。もし燃料製作時に 孔が開いていたのを見逃したのなら、これも大変。「日本の原発は優秀だ」などとい う強がりはすぐにでも引 っ込めてもらいたいものだ。燃料棒被覆管のなかには燃料の ペレット(錠剤のような塊)が入っている。これはウラニウムと死の灰の塊、その死 の灰のひとつが放射性ヨウ素。推進側のパンレットを見ると「放射能は5重のバリア で閉じこめら れている」と書いてある。その一番内側のバリアがペレット、次が被覆 管であるが、このふたつが突破されたことになる。
 「炉水に漏れた放射能はほんのちょっと。開いた孔も微小」と東電は状況をなるべ く大したことではないように見せようとしている。しかし被覆管に孔が開くのは大変 なことである。放射能が炉水に出たこともさることながら、別の大問題が発生する。 原子炉を止めて炉が冷えると、開いた孔から水が被覆管の中に侵入する。そのあとま た炉を運転再開すればどうなるか。炉の出力が突然上昇するような事故(このような 事故は浜岡でも起きていて、中性子束高という信号で緊急停止している)の際、水の 侵入した燃料棒(浸水燃料と呼ばれる)は水蒸気爆発を起こし、大暴走事故に発展し てしまう。浸水燃料はそれほど恐ろしいものだから、原子炉をすぐ停止しなければな らない。今回東電は872体の燃料棒をシッピングテストという方法で検査し,孔の開 いた燃料棒は交換するはずだ。放射能を炉水に出したまま運転するのももちろんやっ てはいけないことだが、事故の内容を大したことがないとごまかすこともやめてもら いたいし、検査結果は包み隠さず全部公表してほしいものである。 「ピンホールだ。 針でつついたような小さな孔だ」と平気をよそおっても、検査をする前から「ピン ホール」という確証はない。
 なお、燃料棒のピンホール発生についての確率は100万本に1本で、これは諸外 国の水準から見ると1桁から2桁良い数字とか言われている。しかし実際には、柏崎 刈羽の燃料本数は5万本余りで、運転開始から1 年もたっていないわけだから、確率 で言うのならば6.7倍ほど悪いことに なってしまう。もちろん一件の事故と相当大 きな実績からの評価とは比較 できまないが。(柏崎の事故も1本であるかどうかまだ 不明で、もしかしたらもっと悪い結果になるかもしれない)
 なお、実際には100万本に1本というのは、従来の7×7あるいは8×8 集合体 で燃焼度30000から38000MWD/tのものについての話であり、新型9×9燃 料体で最高燃焼度70000MWD/tなどというものについてはまだ実績もない。 (一気にここまで行くという意味ではなく段階的に燃焼度を上げる計画のようで、い ま話題にしている高燃焼度燃料は8×8タイプで目標 燃焼度は50000MWD/t)

●燃料体
この柏崎刈羽6号機はたぶん高燃焼度燃料体を使っていると思われるが、 そうだとし たら以前に浜岡原発で起きた燃料棒のクラッド表面剥離による燃料損傷事故を思い浮 かべるべきである。新型燃料体はそれ以前のものに比べて信頼性が落ちていると考え られるので、こういった燃料損傷は今後も起こる確率は高くなると考えられる。
 また、このような燃料体については、原子力産業側も「従来の燃料に比べて1桁か ら2桁健全性が悪くなることもあり得る。諸外国と同程度の水準になるとしても、安 全上問題にはならないが、従来よりも損傷しやすいということについて国民の納得が 得られるかどうかという問題がある、という旨のことを言っている。
 もちろん、その後新型燃料体の開発で従来の損傷率を上回らないような技術開発を している可能性は否定しないが、それが現実に実証されるためには相当程度の運転実 績を積んでからのことであり、少なくとも新型燃料を100万 の数倍以上装架したう えでようやくできることであろう。1炉年100万キロワットで推定20000本の 使用実績であるから(110万キロワットでは764体の集合体で一体当たり62本 の燃料棒を使い、平均的には2年あまり炉 内滞在時間がある)、200炉年くらいの 実績をみないと本当の所はわからない。BWRの認可出力は2419.5万キロワッ ト(柏崎刈羽 6号を含む)なので、全部に高燃焼度燃料を装架したとしても、 10.3年くらい経過しなければそれだけの実績にならない。

  ●なお、この炉は今のところ日本で(世界でも)唯一の商用改良型沸騰水炉(ABWR)で 、浜岡5号炉としてこの炉が建設される予定である。中電は浜岡現地 での説明会でこの炉の安全性を主張していたが、そのさなかに柏崎で事故がおこっ た。改良型沸騰水炉は安全性を切り捨て経済性を追求した炉で、決して「改良した」 炉ではない。
 アメリカを始めとして、世界のどこでも運転実績がなく、日本以外どこもつくろう としていない改良型沸騰水炉。運転してみれば試運転段階で信じられない事故を起こ すのである。

●「国際原子力事象評価尺度(INES)暫 定評価で0(マイナス)」について
 燃料のピンホールは所内及び所外で放射能汚染事故にならない限り、深層防護の劣 化に当たるかどうかだけで判断され、小規模漏えいだと安全には影響を与えないと考 えられてゼロマイナス評価になる。これでも燃料の健全性を損ねる可能性はあるの で、ピンホールから燃料損傷につながっていけば尺度は高くなるはず。それを防ぐた めに未然に運転を止めて検査することになったもので、尺度がゼロマイナス だから問 題は無いという単純な言い方をして良いものではない。燃料のピンホ ールが評価対象 外ではないことを考えてみればわかるとおり、発展していけば尺度が 上がる、つまり もっと重要な事故につながることも可能性としてあり得るという考え方に立っている ことを認識しているのであれば、「安全に影響を与えないゼロ以下だ」 なんていう乱 暴な発言にはならないはずだ。
 なお、ゼロプラスマイナスは IAEAとOECD/NEAが協力して作った国際評価尺度(INES)では単にゼ ロとなっているものを日本では詳細に分けると称して 分割しているものです。ゼロプラスマイナスは日本の国内向けの尺度であり、 INES国際評価尺度にはゼロプラス とかマイナスは単にゼロとされている。また、 このゼロと1についてはINESに 加盟している国々で統一がとれていない。従っ て、どこかの国が燃料棒のピンホールをゼロにもあたらない「評価対象外」としてい たとしても、それはINES の規定ではない。国際比較は通常2以上に限ってしか意 味を持たないのである。


2月22日・23日、世界初の「改良型沸騰水炉」を採用した柏崎刈羽原発6号機が重大トラブル!

(96年2月)  去る96年2月22日、東京電力柏崎刈羽原発6号炉(改良型沸騰水炉、135.6万キロ ワット)が2度に渡って停止する事故が起きた。同原子炉は改良型加圧水炉として初め ての実用炉として、96年1月19日から試験運転を開始していたものである。
(本ページは、新聞報道、東京電力及び新潟県の発表をもとに、東京の原子力情報資 料室による事故に対する分析・評価を全面的に参考にして作成しました。資料転載を 快く了承して下さった同資料室に感謝いたします。)

事故の概要

 2月22日午後9時半頃、再循環ポンプ10台のうち1台がポンプの回転数を調整する電 源装置のトリップにより停止し、出力低下が起きた。東京電力は電源装置の制御回路 C1にあるプリント基板の異常と判断し、予備の制御回路C2に切り替えて22日午後11 時53分にポンプを再起動。その後、C1のプリント基板を交換して翌23日午前8時25 分にC1の復旧を試みたが、まもなく同じポンプが停止。このため午前8時35分から原 子炉の停止操作を開始し、午前11時過ぎに原子炉は停止した。

今回の事故と「改良型」の問題点

  • 1.ポンプの再起動
     再循環ポンプが停止した後も原子炉を直ちに停止せずに、予備の制御回路に切り 替えてポンプを再起動する操作を行なった。再循環ポンプを再起動させることによ り、局所的な出力の上下が発生する出力振動現象が発生する危険性があることが知ら れている。この結果、部分的(あるいは場合によっては炉心全体)に出力が増大し熱 除去に失敗して燃料帽を損傷させる可能性がある。その破損が大規模であれば溶融す る危険性すらある。燃料の被覆管に穴が空けば、特に沸騰水型では即環境中への放射 能放出につながるものである。
  • 2.インターナルポンプの潜在的危険性
    「改良型」は、圧力容器内に回転翼を入れており、これが最大の特徴の一つとなって いる。しかし、ポンプの破壊などが起こった場合には炉心の損傷に直接結びつき、ま た地震などによってポンプが脱落するなどの可能性が否定できず、未完成の技術であ り、信頼性が低い。
  • 3.構造の簡略化
     「改良型」では、格納容器(コンクリート製)の耐性の低下、緊急炉心冷却装置 (ECCS)の簡略化など、経済性を優先して安全性を軽視している。プラント全体とし ても信頼性が低く、この6号炉で実験をおこなっているとすら言える。柏崎が危険な原 子力技術の実験場となっているのである。

    なお、本原発ではMOX燃料(プルトニウムとウランの混合酸化燃料)の使用が計画さ れているが、プルトニウムを使うことで経済的に高くつくばかりでなく、原子炉の安 全余裕を減らす、きわめて危険な計画である。
    3月定例県議会で、市民新党はこの事故と原子炉の危険性、電力からのトラブル報告シ ステムや安全協定などで県の姿勢を追求する方針。
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