住専問題に関する市民新党にいがた

の政策と資料

目次
  • はじめに
  • 住専問題に対する市民新党にいがたの政策
  • 住専問題に関する資料
  • 住専問題と地方
     県内金融機関への公開質問と回答も掲載!

    はじめに

     住専に救済すべき預金者はいない。だから住専がどうなろうと、税金は投入すべき でない、民事不介入なのだ。もしそれで破綻する金融機関が出たら、預金者保護と金 融秩序安定のため、その時点で税金を迅速・公平・公正・透明そして最低限、投入す る。破綻金融機関はもちろん清算。責任者の追求や債権回収は徹底的にやる。「手遅 れになり、金がたくさんかかる」といわれるが、長い目でみれば、こちらの方が、公 正・公平・透明を保て民主主義的だと信じている。  もし百歩譲って税金を住専処理に使うのなら、専門知識と強い権限を持った第三者 スタッフで構成する調査機関を国会に設け、住専問題の詳細な検証をし、政策的・経 営的・法律的など様々な責任を明らかにする。そのくらいのことは、せめて住専処理 案の作成と並立でされるべきであった。
     しかし「住専問題は火事だ!責任よりまず火を消せ!」という危機感だけを煽る与 党政治家の声で、事は走り出してしまった。しかも責任者の一人であることは自他と もに認める農水省・大蔵省が、自らの責任回避をはかりながら、不徹底な情報開示の もと、相変わらずの不透明な密室談議で、住専処理案を作成。こうしてできた処理案 を、不動産・開発業者、母体行・銀行、農協系、農水・大蔵省など住専問題・バブル 経済の責任者そのもの、又はそれぞれのヒモ付き政治家が、国会で議論している。
     この現実を「火事」とは本当に良く言ったものだと、最大限の皮肉・怒りをもって 言いたい。確かにこれこそマッチ・ポンプだ!。当然の帰結として国会は議論・論 戦・真相究明とは名ばかりの「アサマシイ責任のなすり付け合い」、「急がなけれ ば!という脅し」「ギリギリで苦渋の決断の御理解を!という結論の押しつけ」に終 始している。 
     勿論、責任分担のコンセンサスなど得られていない。従って「なぜ税金を支出する のか?」「なぜ1次処理と最終処理に分けるのか?」「なぜ1次処理においての損失負担があのような数字となるのか?」「なぜ2次損失の半分を市民負担とするのか?」 「なぜ農協系が5300億なのか?」など疑問・不信・怒りの種は非常に多いのにもかか わらず、政府は透明度の低い説明しかできない。しかも、大蔵省作の一次処理案、最 終処理案全体が、市民から見てまるで煙幕をはられているような非常に難解な内容と なっていることも、さらに不透明感をます。国会で住専審議が始まってかなりたつ が、自民党の三塚氏にさえ「国民の理解において厳しい段階を一歩も出ていない」と いわしめる始末である。
     しかし怒ってばかりもいられない、これ以上税金を無駄使いされないようにするた めにも、あの忌まわしい開発ラッシュ・バブル経済が再発しないためにも、そして 「市民新党にいがた」の目指す、エコロジー型・地域循環型経済社会の構築のために も、住専問題をボクたちの手で研究し、対案を作成しなければならない。以下住専問 題に関する基本的言葉や数字をボクたちのレベルでできる限り簡単に整理し、しかる 後、対案を作成してみた、色々と間違っているところはあるかも知れないが気が付い たら指摘して欲しい。こういう所からも、私たちの政治が始まるのを信じて。

    住専問題に対する市民新党にいがたの政策


    ■行政改革
     住専問題の経過を検討すると、大蔵省や農水省による不透明な過程で作成された、 不公正・不公平な通達・覚書・念書が、かなり悪いことをしているのを指摘できる。しかしボクたち市民が、どんなに頑張って詳細にその内容の「かなり悪いこと」を論 じても、大蔵省や農水省そして通達・覚書・念書の違法性までを、裁判所や国会で証 明する事は不可能に近い。  従って、まず通達・覚書・念書による行政を原則禁止する。又、例外的に作った通 達・覚書・念書に関しては、
    「誰のどのような要請に基づいてどのような目的で出したのか」
    「どのような議論・経過があったのか」
    「誰がどのような意見をだしたのか」
    などの議論の経過を含めた情報開示を義務づける。
     住専問題における行政責任を清算するため、大蔵省・農水省の係長以上の職にあっ た者に対して、今後20年間、両省の規制・許認可権限の及ぶ企業や公益法人などの外 部団体への天下り就職を禁止する。尚85年プラザ合意以降の大蔵省銀行局課長以上経 験者は、超法規的処置で懲戒免職処分扱いとし、退職金は天下り先のものも含めて没 収する。
     以上のことを徹底した上で、大蔵省を
    金融・証券監視委員会(金融検査部/銀行局/証券局/証券取引監視委員会/国際金 融局の金融・証券監視部門)
    税務庁(主税局/国税庁/関税局/税関)
    債務庁(理財局)
    財務庁(造幣局・印刷局・財務局)
    総理府・予算庁(主計局)
    総理府・経済企画庁(銀行局/証券局/国際金融局の金融・経済政策部門)
    に分割する。これらを徹底できないままの大蔵省分割論は、結果的には大蔵省の「焼 け太り」を許すことになり極めて危険であることを指摘しておかなければならない。

    *現在の大蔵省:予算=主計局、税制=主税局、金融=銀行局、証券=証券局/証券取引 監視委員会、国際金融=国際金融局、国債=理財局、徴収=国税庁、関税局・造幣局・印 刷局・財務局・税関

    *さきがけ構想:大蔵省を金融庁、歳入庁、予算庁、理財庁に分割

    ■政治改革
     政府と直接取引のある金融企業及びグループの政党・政治家への政治献金を禁止し して、政・官・財の癒着関係を正す。

    ■財政改革
     バブル経済の血液となった大量の資金は、G7と呼ばれる国々の中でも異常に高い日 本市民の貯蓄性向による所が大きい。そしてこの高い貯蓄性向は、市民の持つ将来へ の不安に起因している。将来への不安とはすなわち、長年、福祉・医療・年金などの 社会保障政策に、財政の大きな部分を使わなかったことのツケなのだ。資金のダブツ キを抑えるには、財政を大胆に社会保障重視に変革し、将来への不安を減少させて、 市民一人一人の力強くて健全な消費性向を高めることが必要だ。

    ■金融政策改革
     金融機関の経営理念を、例えばボーダレスと地域循環を「行」、自由主義と相互扶 助を「列」として、その組み合わせを「環境」として設定する。それぞれの環境での ルールをその理念に添っての「住み分け金融政策(例えば地域縦貫型かつ相互扶助の 金融機関に対しては、地域の組合員以外の融資は禁止してしまう。)」決めていく。  金融業政行政は、自らをも含む徹底した情報開示を大前提として、
     各環境での金融機関の利害調整機能
     事故・犯罪防止のため高&強度の金融機関監視機能
     万が一の不測の事態における迅速・強力な処理行動機能
    を備え持つだけする。

    ■金融・証券犯罪や金融破綻をめぐる法律改革
     公的資金導入につながるような大規模な金融破綻の結果責任を追求できるように法 律を作成。
     罰則はニセ札作り以上にする。
     金融破綻と直接関係のある債権回収のために、株式会社や有限会社その経営者の責 任を無限のものとする。
    *アメリカでは起訴1500人以上有罪判決1250人
     大和銀行事件では、アメリカでは最大1300億の罰金、日本では100万

    ■住専処理をめぐっての政策
     原則 : 6850億の財政支出は認めない。
     住専には保護すべき預金者はいない。従って民事不介入の原則通り住専処理には税 金を使わない。住専は破産法で処理する(破産申し立て+資産保全処分+破産宣告・管 財人選任+債権確定+資産回収+債権者配当+破産終結)。もしそれで破綻する金融機関 が出たら、預金者保護と金融秩序安定のため、その時点で税金を迅速・公平・公正・ 透明そして最低限、投入する。破綻金融機関はもちろん清算。責任者の追求や債権回 収は徹底的にやる。「手遅れになり、金がたくさんかかる」といわれるが、長い目で みれば、こちらの方が、公正・公平・透明を保て民主主義的だと信じている。
     もし百歩譲って税金を住専処理に使うのなら、専門知識と強い権限を持った第三者 スタッフで構成する調査機関を国会に設け、住専問題の詳細な検証をし、政策的・経 営的・法律的など様々な責任を明らかにする。そのくらいのことは、せめて住専処理 案の作成と並立でされるべきであった。
     では6850億の財政支出をみとめないでどうするのか?。朝日新聞は1次損失6兆 4100億と2次損失のうちの回収不能部分1兆2400億の合計7兆6500億をつぎの様に 一括損失処理する案を発表している。

     母体行=債権放棄分3兆5000億+紹介融資損失分1兆5700億= 5兆 700億
     一般行=債権放棄分1兆7000億             = 1兆7000億
     農協系=債権放棄分2兆4500億- 紹介融資損失分1兆5700億=  8800億

    これを全面的に採用したい。
     この案のベースには、いわゆる母体行責任論がある。これまで金融界では、系列ノ ンバンクの経営破綻に関しては、母体行が責任を持つというのが常識だったこと。母 体行が住専経営陣を派遣し経営に深く関与してきたこと。住宅ローン市場から住専を 追いやったこと。総量規制の後、多額の紹介融資をしその90%以上が不良債権になっ ていること。などなどだ。しかも超低金利下で史上最高の業務純益を上げ、さらに前 例のない巨額な不良債権の無税償却を認められる母体行には、6850億の財政支出に代 わっての母体行処理に耐えられる充分な体力があるとみている。
     また、農協系の貸し手責任をさほど軽く見ていないところも良い。5300億の負担が ギリギリと説明されているのであるから、8800億となれば経営破綻もでてくるであろ う。そうなった時に、破綻金融機関の消滅と預金者保護を前提に税金を使う。「どう してもつぶせない必要だ!」というなら地域循環型・相互扶助型の金融機関として、 組合員がもう一度作り直せばよい。その時には地域循環型経済育成政策又は地域循環 型・相互扶助型の金融機関育成の予算内の財政支出を考える。
           


    住専問題に関する資料


    1)住専処理

    ■住専とは
     住宅金融専門会社の略。日本住宅金融、第一住宅金融、日本ハウジングローン、住 宅ローンサービス、住総、総合住金、地銀生保住宅ローンの7社と、農協系の協同住宅 ローン計8社がある。
     かつて都銀は、貸し出し手続きや債権の保全・回収が煩雑な住宅金融に消極的だっ た。住専は、住宅資金の安定供給、大量集中による事務効率化などを目的に、大蔵省 の強い要請を受けた現在の都銀11行・長銀3行・信託7行によって作られた。1971年 6月、三和など9銀行出資の「日本住宅金融」が日本初の民間の住専として設立。その 後、79年までに都銀・長銀・信託・地銀・第二地銀・生保の各グループが母体行とな る計7社の住専が設立された。その設立の経過からして当然の帰結であるが、住専の貸 し出し資金は、母体銀行などが融資。トップ・役員などの経営陣は母体行(銀行、証 券、保険)社長・会長・大蔵OBで独占されていた。
     80年以降、都銀・地銀などが、次々に住宅ローンを中心とする個人分野に力を入れ 始めた。競争になれば、融資資金をダイレクトに調達できずかつ一般市民と関係の浅 い住専が、金利面でもサービス面でも圧倒的に不利。住専は皮肉にも母体行によっ て、住宅ローン市場から不動産融資に向けて追いやられることになった。
     バブル末期、90年3月の大蔵・農水省通達で、不動産関連融資の総量規制と建設・ 不動産・ノンバンク規制が行われ、母体行からの不動産向け融資が規制されることに なった。しかし住専はこの規制の対象からはずれたため、かえって住専からの融資は 増大した。バブル経済のもと、急激な地下高騰で、まさに破裂寸前まで膨れ上がった 価格の不動産を担保物件として、住専は、地上げ・土地転がしで巨利を得ようとする 不動産業者に、まともな審査もせず巨額の融資をし続けた。中には担保では全くカ バーできない信じられないような乱脈・ズサン融資も多くあった。加えて住専は母体 行から紹介融資という形の不動産融資をドンドン押しつけられた、不動産融資に伴う 危険回避に住専は利用されたのだ。
     そしてバブルがはじけた!地上げ・土地転がし・開発は失敗、地価は一気に下落、 無謀な不動産業の借金経営はアット言う間に破綻した。同時に住専では、大量の不良 債権が発生し始めた。しかし、融資先の倒産や不良債権の表面化を恐れ、問題の「先 送り」と「ボカシ」だけを優先する意識が、組織全体を覆っていた。そのため追い貸 しなどの融資が増加、役員の退職金は1億超などの放漫経営が継続された。こうして巨 額の不良債権を抱え込んだ住専の経営はゆきづまった。93年2月第二次再建計画は、 住専に対する金利負担を軽減(母体行0%農協系金融機関4.5%その他2.5%)して地価 の上昇をまつというものだった、しかし地価はさらに下落、金利下げなど最早焼け石 に水。95年9月までには7社が債務超過・倒産状態に陥った。
       95年6月末の借入残高13兆6000億円。このうち農協系からは5兆5000億(農協系 住専を含めれば6兆1000億円)。一方、資産合計(簿価)は12兆9200億(現預金を 含めれば13兆1900億)でその内、不良債権は9兆5600億となっている。各住専別の 数字は以下の通り。
     
             総資産    不良債権  回収不能  回収困難 回収時間要
    日本住宅金融      24256億 17798億  11288億   2480億    4029億
    第一住宅金融    18411億 11515億    7180億   1905億   2429億 
    日本ハウジン          25150億 18532億   13588億     1952億  2991億
       グローン
    住宅ローンサー  15936億 12361億     7064億     1832億   3464億
    ビス
    住総、      19796億 15886億   11724億     1304億    2856億
    総合住金、    13406億 11198億    6528億    1618億    3051億
    地銀生保住宅ローン 12303億   8333億    5363億    1259億   1710億
    合計       129258億 95623億   62735億  12350億 20530億
     市民からみれば住専の経営方法には明らかに問題がある。しかもその結果は、上記 の通り阪神・神戸大震災の総被害額に匹敵する金額だ。しかしその経営者は自分の責 任を認めない。そればかりか「政策上の失敗がバブルを発生させそして崩壊させた」 と政府を攻撃するばかりで、あさましい責任転嫁としか映らない。もはや反省の材料 にしか使えない、社会的価値はゼロだろう。

    ■住専処理
       住専処理とは巨額の不良債権を抱えた住専7社を清算・整理すること。いわゆる1次 損失(ロス)6兆4100億とは、現預金を含めた住専資産の帳簿価格13兆1900億と、 担保不動産を路線価で評価した「時価」6兆7800億の差額。第1次処理案とは、この 損失負担を

    母体行  3兆5000億 債権放棄
    非母体行 1兆7000億 債権放棄
    農協系    5300億 贈与
    国民     6850億 財政支出

    とするというものだ。 住専最終処理では、
      回収が困難な債権    1兆2400億
    回収に時間がかかる債権 2兆500億
    正常資産        3兆4900億

    に分類された合計6兆7800億の資産が、新設の「住専処理機構」に6月末までに売却 される。この段階で住専7社は、整理清算されたことになる。住専処理機構は、日銀と 全金融機関各々が1000億ずつ出資して4月1日設立される。6兆7800億の資産買い取 り資金は、母体行・一般行・農協系がそれぞれ3分の1ずつ低利融資(預金保険機構に 元本を保証されている)する。住専処理機構は買い取った旧住専の債権回収に務め、 債権ゼロとなったところで住専問題の処理はジ・エンドとなる。
     この債権のうち最終的に回収できなかったものが、いわゆる2次損失(ロス)とな る。担保評価は路線価の70%、競売なら50%以下になるという指摘もあり、その金額 は2兆を越えると予想されているが、これはいかに債権回収をするのかということや、 地価が今後どう動くのかに大きく左右されるため、未確定の部分が多い。
     従って2次損失の負担案も、財政支出でその半額(1兆を越える!)、それに預金保 険機構内に新設される金融安定化基金9000億(全金融機関から出資される)の資金を 年利4%で15年運用して出る5500億の利益、さらに母体行が住専処理機構に低利融資 をするその利ざや3300億でまかなう、というオオマカなものとなっている。

    ■例えば5300億贈与の不透明
     農協系の5300億贈与という損失負担の積算根拠は不透明だ。「5兆5000億の融資 残高に対してなぜこの金額なのか?農協系がこの金額しか出さないから、市民が6850 億出さねばならんのだ」という論がある。
     これに対し「母体行が責任を全うしないからだ」と、農協系は否定するが、「ハイ そうですか」と納得する気にはなれない。
     5300億という数字を出してきた政府が、その積算根拠をなぜか2つ出しているか ら、不透明感はさらに増す。
     その1つは「念書・覚書」積算根拠説。
     93年2月第二次再建計画で、住専への融資の利率が引き下げられた。この時、農協 系金融機関の貸付利率は4.5%。母体行0%その他2.5%に比べて、かつ今の低金利時代 から考えれば、非常に優遇された金利だった。しかも「母体行が再建計画に責任を 持って対応する」「金融情勢の変化で農協系の経営に大きな問題が生じた場合には、 両省で協議し責任を持って対応する」ということを骨子とした「念書・覚書」までも らっていた。
     そしてこの念書に基づき5300億が計算されたというのだ。
     つまり、「この再建計画が10年続くと仮定した場合、住専への貸出金利引き下げで 支援する総額は8550億。既に支援した3250億を差し引いた5300億が贈与額の根 拠」と農水省大臣は説明している。
     もう1つは、信連経営状況根拠説。
     信連は今年度推定経常利益1300億の内1100億と、1384億ある貸し倒れ引当金の 内500億を取り崩す。「経常赤字になる信連が30、当期赤字になる信連が20出るギリ ギリの水準」はやむを得ないとしてさらに400億。合計2000億。
     農林中金は、有価証券の含み益1000億と、600億の貸し倒れ引当金の内210億、 1400億の任意積立金の内760億、経常利益は800億あるが、農協系の住専の不良債権 800億の償却に当てるため、2000億がギリギリの負担とした。
     共済連に関しては融資残高に応じてあん分して1300億。
     総合計5300億というわけだ。
     同じ5300億の積算根拠が2つというのでは、信用しろというのが無理な話。一連の 農協系金融機関優遇施策の根本にあるとも指摘されている「念書・覚書」は、大臣も 知らなかった密室行政・不透明行政の象徴のような代物。それが片方の説の論拠に なっている。しかも、どちらの説明もその根本に農協系救済の意志が見え見えである にもかかわらず、救済される農協はそれを否定している。何のために、どのような効 果をねらって、何を根拠に5300億なのか、不透明である。公平・公正とはほど遠い。

    <ここでちょっと擁護の解説>
    *不良債権
     破綻先債券=回収不能債権(担保でカバーできない)、延滞債権(利払いが6カ月以 上滞っている)、金利減免債権をいう。
    *帳簿価格
     今売ればいくらかという価格でなく、いくらで買ったかの価格から減価償却を控除 した価格。
    *時価
     今売ればいくらかという価格だが、正確には売れなければ分からない。従って、行 政が毎年公表する路線価を専門家が調整した価格をさすことが多い。

    ■会社更正法による処理 (清水直弁護士衆院公聴会の発言より)
     住専7社に会社更生法を適用すると、保全管理人が各社の内部に入り、資産債務の調 査や、経営破綻の原因、責任の追及などを直ちに始められる。その後、公正手続き開 始までには3カ月か4カ月、公正計画の立案までには2年か3年あれば充分だ。調査結果 によっては更生計画の中で、母体行の負担を重くし、公正を期すこともできる。取り 立てに協力しない借り手がいる場合、債権者として借り手を更生会社にしたり、破産 を申し立てたりすることができる。住専からの抜け駆け的な債権回収や、住専の資産 に対する不当な権利設定も比較的容易に排除できる。東京と大阪の地裁に住専関連特 別部を設け、ベテランの裁判官や書記官を配置し更生手続きを迅速にできるようにす れば、裁判所の管轄下で極めて透明性の高い処理が進められる。政府案では、住専処 理機構が3カ月から6カ月後にようやく動き始める。そのあいだに住専の資産価値は日 に日に劣化し、責任追及のための証拠も散逸する。政府案を取るにしてもまず更生法 手続を申し立てて、全財産の凍結を図るべきだ。

    ■破産法による処理
     まず債権者が裁判所に破産を申し立て、裁判所は破産宣告と同時に、弁護士などの 専門知識を持つ第三者を管財人に選任する。住専の資産を処分する権限は、この管財 人に委ねられ、回収した資産を債権者に分配し、手続きを終える。  債権の回収が管財人に委ねられるために手続きが透明である。管財人には債権回収 のための強力な権限が与えられており、経営陣の責任追及も厳しくできる。これに よった場合にかかる決着までの時間は、政府案の債権回収までの時間と比べれば同 じ。
     ただ、更正法や破産法で処理した場合、回収される債権の配分は基本的に融資額・ 債権額に応じて比例配分されるために、例えば政府第一次処理では、農協系2兆7300 億、母体行1兆7400億、一般銀行1兆9400億となり、農協系の負担が非常に大きくな る。

    ■母体行処理
     金融界では、系列ノンバンクの経営破綻に関しては、母体行が責任を持つというの が常識だった。住専の設立母体行であること。住専経営陣を派遣してきたこと。住宅 ローン市場から住専を追いやったこと。総量規制の後、多額の紹介融資をしその90% 以上が不良債権になっていること。などなど、住専問題にいわゆる母体行責任が大きく存在することは誰でも知っている。
     しかも超低金利下で史上最高の業務純益を上げ、さらに前例のない巨額な不良債権の無税償却を認められる母体行には、6850億の財政支出に代わっての母体行処理に耐えられる充分な体力がある。

    ■農協処理
     農水省大臣にさえ「バブルに浮かれて住専に走った。」と言われているように、住専処理問題に関して欲にかられた「貸し手責任」があることは確実である。農協系に貸し手責任がないのなら、既にあるペイオフ制度など永久に発効することはないだろう。従って住専に5兆5000億を貸し出している責任に対して、「5300億の贈与」などというあたかも「農協系に責任無し」かのような対応では、一般市民は納得できない。もう6850億、全国890万の組合員で負担する方法も無いわけではない。

     


    2)不動産業者などの借り手

    ■借り手責任
     バブル後期、異様な土地の値上がりや過熱投機に危機感を抱いた大蔵・農水省は、90年3月の通達で不動産関連融資の総量規制と建設・不動産・ノンバンク規制に乗り出した。
     よく破綻した企業を「放漫経営の末」などと表現する。しかし、不動産業者は、その時点で既に、そんな生やさしい状態ではなくなっていた。覚醒剤中毒ならぬ借入金中毒患者と化していたのだ。
     この通達はその中毒患者に対して突然、覚醒剤(銀行からの借入金)をストップする効果をもった。禁断症状で、すでに秩序や正義などには規制されない、経済人などとはほど遠い状態となっていた不動産業者は、その時点で通達の対象外となり唯一の「借金という覚醒剤の売人」であり続ける、住専・ノンバンクに殺到した。この結果、例えば、末野・富士・朝日という3つの不動産業者だけで、住専などのノンバンク や金融機関からの借入金1兆3000億超、一方、売上は1058億などという、トンデモ ナイ数字が残っていくことになった。さらに始末におえないのは、ヤクザとも結びついたこと。こうして住専の債権は、賃借り権というそれだけでも手強い法律的バリアーだけでなく、そのバックに暴力装置までひかえた、つまり、非常に回収困難な不良債権となった。
     住専からの借り手、不動産業者の責任の追求は、債権回収にこそありそれ以外にはない。彼らには、国会に呼ばれたり、新聞で書かれたり、テレビに追っかけ廻されたり、まして集会やデモなど、「カエルの顔にナントカ」程の効果もない。「経営破綻は失政に責任がある」などと「アンタに言われるスジでない」ことを言われるだけだ。地の果てまでも追いつめて、最低限の生活を超える部分の資産一切は取り上げる、刑務所で反省してもらう。そのくらいの「気構え」が必要だ。
       それにはまず、不良債権の具体的な個々の中身の情報開示が大事だ。そこを徹底的に調べ上げ、責任を追求しながら、借り手の債権回収妨害行為を断固排除していく。現時点で回収不能と評価されている不良債権をもあきらめない。必要なら法律を作り、改正して、対処しなければならない。 民間経済活動に国家が直接介入しないという「原則破り」が住専問題処理の本質だ。もし、それに踏み込むならば、借り手責任も従前のものではない、超法規的処理又は時限立法で、強烈にやらなければならない。逆に言えば、借り手責任の追求を従前のままにしておくならば、住専問題の処理に税金をつぎ込むべきではないのだ。
     
    *借り手の例
     東海興業・塩川グループ  638億第一住宅金融
     末野興産        2367億(単体1863億)売上117億
     富士住建        2988億(単体1551億)売上441億
     フジビル
     朝日住建・       (単体955億)売上500億
     借り手が担保物件に賃借り権等を設定し債権回収を妨害している。
     借り手のトップに高額納税者・脱税者有り
    *住専処理不良債権をどう回収
       不良債権の具体的な中身の情報開示が大事
     借り手の債権回収妨害行為は貸し手に強い姿勢があればかなりの部分を排除可能。
    *最高、東京高、東京地検による、3庁住専問題等協議会を設置。東京地検特捜部に専従班を置き資料収集を行っていく。


    3)母体行

    ■母体行とは
     かつて都銀は、貸し出し手続きや債権の保全・回収が煩雑な住宅金融に消極的だった。しかし現在の都銀11行・長銀3行・信託7行は、住宅資金の安定供給、大量集中による事務効率化などを目的に、大蔵省の強い要請を受けて住専を作った。1971年6月、三和など9銀行は日本初の民間の住専「日本住宅金融」を設立した。その後、79年までに都銀・長銀・信託・地銀・第二地銀・生保の各グループが母体行となって計7社の住専を設立した。その設立の経過からして当然の帰結であるが、母体行が住専の貸し出し資金を融資した。トップ経営陣も母体行(銀行、証券、保険から259人)・大蔵OBが独占状態であった。
     住専の母体行は以下の通り。*印は各住専の最高トップを出している金融機関。
    日本住宅金融、     *三和、さくら、あさひ、東洋信託、大和、北拓、三井信              託、千葉、横浜
    第一住宅金融      *長銀、野村証券、     
    日本ハウジングローン、 *興銀、日債銀、大和証券、山一証券、日興証券 
    住宅ローンサービス、  *第一勧業、富士、三菱、住友、あさひ、さくら、東海、
    住総、         *三菱信託等信託7社         
    総合住金、       *        、第2地銀65行   
    地銀生保住宅ローン、  *千葉銀等地銀64行、生保25社
    
           
    ■母体行責任
     80年以降、都銀・地銀などは、次々に住宅ローンを中心とする個人分野に力を入れ 始めた。競争になれば、融資資金をダイレクトに調達でき、かつ、住宅建設ローンを する個人とも関係の深い都銀・地銀が、金利面でもサービス面でも圧倒的に有利。結 果的に、母体行が住専を、住宅ローン市場から不動産融資に向けて追いやった形と なった。
     バブル末期、90年3月の大蔵・農水省通達で、不動産関連融資の総量規制と建設・ 不動産・ノンバンク規制が行われ、母体行からの不動産向け融資が規制された。する と、母体行は住専に対し紹介融資という形で不動産融資をドンドン押しつけ(95年6 月で1兆7287億このうち91%が不良債権となっている)、不動産融資に伴う危険回避 に住専を利用しはじめた。しかも、不動産価格が暴落し既に経営破綻の兆候を見せて いた不動産業に対する追い貸しなども住専に押しつけ、事実上、不良債権のごみ捨て 場として住専を利用した。
     いわゆる、母体行責任が存在することは決して否定できないし、農協系が「母体行 が全責任を持って・・」と主張しているのも事実だ。しかも従前の金融機関の破綻問 題や住専以外のノンバンクの不良債権問題は、母体行責任で処理してきた経過がある。ところが、今回の住専処理に限って、母体行は「住専は系列ノンバンクと異なっ た独立企業」と主張、「損失の負担は貸し手責任で」という論を展開している。それ も非常にウマク、シタタカに。
     超低金利のもと支払う利子は低下し、資金調達コストは大幅にダウン。一方、税収 不足に困った政府・自治体は高い利率で巨額の国債・公債を発行しまくる、売上はえ らく効率的だ。その結果、史上最大の業務純益を抱えて余裕の母体行は、結構アッサ リと住専への債権3兆5000億を放棄。かつ配下の一般銀行に1兆7000億を放棄させ た。
     「これで、母体行責任は十二分取ったことにする。何しろ農協系に比べれば大きい 金額だから市民評価も上がるはずだ。そして次の一手で、貸し手責任論を展開する。 ここから先を譲歩したら株主代表訴訟で痛い目に合うかも知れぬから強硬にいわねば ならぬ。」
    というところだろう。橋本徹(富士銀行頭取、全国銀行協会連合会会長)は、住専処 理における財政支出について
    「本来は農協系が負担すべき金額の一部を肩代わりするものだ。」
    「違法行為がない限り、銀行関係者が私財で負担する必要はない。」
    と発言した。
    「後は協力するだけ」と宣言しているのだ。
     94年だけでも「自民党7億6500万、新進党2億6000万、さきがけ5600万と巨額な 政治献金」で政治家の首根っこはおさえてある。国だって「国債引き受けないよ」と いわれたらパンクだ。土建国家ならぬ金融国家をしっかりと解体していく努力をしな い限り。銀行の天下はまだまだ続く。
            
               不良貸し付け先     母体行
    日本住宅金融、     40          2
    第一住宅金融      上位50        1 (全体12)
    住宅ローンサービス   上位20        13
    住総、
    総合住金、
    地銀生保住宅ローン、  上位20        2
    日本ハウジングローン
    
    *都銀11行
     第一勧業、住友、富士、さくら、三和、三菱、大和、東海、あさひ、東京、北海道 拓殖
    *長銀3行
     日本興業、日本長期信用、日本債券信用銀行
      *信託銀行7行
       住友、三菱、安田、三井、東洋、中央、日本信託銀行
    *銀行の高給
     頭取5〜6千万、支店長2千万前後、38才1千5百万
    *2次ロス住専処理策受け入れなら株主、富士銀行提訴


     

    4)農協系金融機関

    ■農協系金融機関とは
     農協系金融機関とは、主に信用業務を行う農林中央金庫と各都道府県の農業協同組 合連合会(信連)、保険業を担当する全国共済農協連合会(全共連)と都道府県の共 済農業協同組合連合会(共済連)などのことをいう。農林水産省の政策金融などの一 端をにない、利子補給などの財政支出に支えられて、68兆もの農家の貯金が集まる が、農業向けの投資は先細りで運用先に苦しんでいた(単位農協の貸出率25%県信20 %弱都銀90%以上信金・信組70%以上)。

    ■農協系金融機関の証券投資
     89年農水・大蔵省は単位農協に、この豊富な資金の証券投信や抵当証券への運用を 認め、一定基準を満たす農協には株式運用の道を開くため、農協余裕資金運用規制を 緩和した。これを契機に農協は、バブル期株価が最高を記録する直前、最悪のタイミ ングで、資金を証券投資信託にそそぎこみ、多額の損失をだした。

    ■農協系金融機関のノンバンク融資
     ノンバンクに対しての農協系金融機関の融資は、農林中金3兆4273億(不良債権 119億)、信連2兆1976億(365億)、共済農協2兆681億(95億)、合計7兆7000 億となっている。
     
    ■農協系金融機関の住専融資
  • 大蔵・農水省通達(93年廃止)   他の協同組織金融機関と同様に農協法では、組合員以外の融資は組合員向け貸し出 しの20%を上限とするという「員外貸し出し規制」がある。80年10月「農協系資金 の活用の政策的意図」を持った通達で、住専は「員外貸し出し規制」を受けない「そ の他の金融機関」に指定(個人住宅ローン資金に限った)された。   83年には、貸金業規制法で、住専を「主として住宅の取得に必要な長期資金の貸し 付けを行うもので大蔵大臣の指定するもの」として銀行と同じ金融機関のお墨付きを 与えた。
     90年3月の大蔵・農水省通達で、不動産関連融資の総量規制と、不動産・住専を含 むノンバンク・建設への融資の実行状況の報告義務を求める「三業種規制」が、行わ れた。地価の異様な上昇・過熱を抑えるため、不動産関連への融資による資金供給を 抑制しようとした。そのねらい通り一般金融機関からの資金の流れはとまり、バブル を急速に冷やす効果はあった。しかし、規制の対象から住専や農協系を除外したた め、農協系から住専、住専から不動産関連へと巨額の金が流れる ルート整備をしたこ とになった。
     貸し出し率の低迷に苦しんでいた農協系金融機関(信連14%以下)は、整備された 住専をルート通じて融資のフリーパス手に入れ、不動産向け融資をグングン加速して いった(90年3月2兆9000億から92年3月5兆6000億へ)。特に住専に対し、ろくな 審査もしないまま、身の程しらずの巨額融資を無担保同然で続けた。その結果95年6 月末までに、住専7社に対する融資残高は、総貸し出し9兆9000億の内約60%の5兆 5000億(農林中金8000億、信連3兆4000億、共済連8600億、全共連4500億)。 これに農協系金融機関が母体となっている住専、協同住宅ローンへの融資を加えると6 兆1300億円にものぼり、住専の経営破綻に連鎖してその大半が不良債権化する深刻な経営危機に瀕している。

    ■農協系金融機関の貸し手責任
       証券投資でもノンバンク融資でも農協系が、営利を追求しているのは事実。しか も、融資規制を緩めるよう、行政に圧力をかけた疑いさえあると聞く。つまり、農協 系は何も知らない無欲で善意のお金持ちで、それを、悪い銀行・役人・住専がよって たかってダマシタというのは当たっていない。トップの給料にしても銀行ほど高額で はないが年収1500万は越え、アマチュアと呼べる金額ではない。農水省大臣にさえ 「バブルに浮かれて住専に走った。」と言われているように、住専処理問題に関して 欲にかられた「貸し手責任」があることは確実である。農協系に貸し手責任がないの なら、既にあるペイオフ制度など永久に発効することはないだろう。
     これに対し農協系は母体行責任論と大蔵・農水の行政責任論を与野党農林系議員を 動員して強硬に展開。「住専問題の処理5300億の負担は、本来、不当・過大であり農 協系の協力という意味の贈与。これで自分たちの責任は十二分に果たした」と主張し て「農協系が本来負担すべき金額が出せないから6850億、財政支出をするのだ」とい う貸し手責任に基づいた財政支出の農協救済説を真っ向から否定している。
     農協系救済、すくなくとも農協系優遇と見られる処理は5300億だけではない。93 年2月第二次再建計画での金利優遇。さらに、住専最終処理で、処理機構が住専の資産 を買い取るのに必要な資金6兆6000億を、母体行、非母体行、農協系金融機関が、2 兆2000億ずつ融資(0.62%)するのだが、その融資でも、母体行や一般銀行には0.8 %前後の超低金利とする一方で、農協系には十分に採算がとれる短期プライムレート (現在1.625%)が適用される。農協系を優遇する構造はとどまるところを知らな い、といった感じさえする。 こうして市民から見ると優遇されている農協系が、そ れを否定するから話は複雑。税金を払っている市民にも不満がつのる。「間違ってま した、助けてください!」と言わない農協系になんで市民1人が1万も2万も出さなけ ればならないのか。悪いのは周辺で自分は無責任、反省はない。当然同じ事を繰り返 す。税金の無駄使いだろう。

    ■農協系金融機関の住専向け融資各県別残高と損失負担額
                                                                                                         単位:億
         共済連融資残  負担  県連融資残        負担  経常損益
    北海道  239      8.8     1245     82.2        96
    青森   125      4.6       386     25.4          8
    岩手   128      4.7       357     23.5        22
    宮城   194      7.1       597     39.4        6
    秋田   122      4.5       250     16.5        8
    山形   149      5.5       422     27.8      11
    福島   120      4.4       631     41.6      23
    茨城   199      7.3       911     60.1      16
    栃木       210       7.7          932     61.5        0.3 
    群馬   163       6.0           649     42.8      12
    埼玉   302      11.2          490     32.3      -191
    千葉   302      11.2        1304        86.1       42
    東京   169        6.2      2047      135.1        29
    神奈川  183        6.7      1607      106.1         118
    新潟   203        7.5           668      44.1        48
    富山   127        4.7           370        24.4        31
    石川   158          5.8         494          32.6        44
    福井   143        5.3         365            24.1       31
    山梨   120        4.4         493          32.5        6
    長野   312       11.5      804        53          110
    岐阜   189         7.0       1015          67        29
    静岡   490       18.1         3429      226.4     106
    愛知   757       28         373        24.6     90
    三重   157         5.8       1696        112           35
    滋賀   161       5.9       820       54.1       24
    京都   164       6.0       469       30.9       23
    大阪   205       7.6        1096         72.3      40
    兵庫   210       7.7        1060       70       107
    奈良   113       4.1      418      27.6      29
    和歌山  105       3.8      485      32           19
    鳥取   100       3.7        90       5.9        8
    島根   107       3.9      224      14.7        19
    岡山   213       7.9      949      62.6     -17
    広島   240       8.9      580      38.8        39
    山口   174       6.4      630        41.6        4
    徳島   136       5.0      318        21            27
    香川   231       8.5      389      25.6    79
    愛媛   111       4.1      342      22.5      43
    高知   107       3.9      431      28.4    21
    福岡   210       7.7      926      61.1      18
    佐賀     94       3.4      272      17.9      12
    長崎     85       3.1      502      33.1      10
    熊本   174       6.4      451      29.7      12
    大分   127       4.7      282      18.6      16
    宮崎    99       3.6      387        25.5       9
    鹿児島  103       3.8      378     24.9      3
    沖縄     44         1.6      276     168.2          8
    共済連計 8598      319       
    全共計  4493      957
    合計  13091      1276     33416    2000
    

    *信連・単位農協の不良債権を98年3月までに開示
     不開示の理由:員外融資は5分の1・債務者が特定されるおそれあり。 *宮城県信連
     貯金6486億、総融資1709億、債務超過、住専へ598億融資このうち59億程度の損 失。90年始めから、株式、投資信託で失敗。利ざやは83年2.18%から93年0.98%に 減少。
    *ペイオフ
     金融機関が経営破綻した場合に、金融機関に代わって預金保険機構が、預金を払い 戻すこと。現在は預金者一人に最高一千万円までの元本を払い戻す。金融機関は預金 保険機構に、預金残高の0.012%を保険料として毎年払って、払い戻しの財源にして いる。払い戻しの対象になる主な金融商品は、普通預金、定期預金、信用金庫などの 定期積金、元本補填契約のある金銭信託や貸付信託。1971年に制度ができたが、ペイ オフは一度も実地されていない。
    *協同組織金融機関
     信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合などの金融機関。収益追求よりも相 互扶助を理念とし、程度の差はあるが、限定された顧客を対象に業務を行うことを期 待されている金融機関。

     


    5)農水省・大蔵省

    ■農水省・大蔵省と住専
     
  • 71年住専設立  都銀はかつて、貸し出し手続きや債権の保全・回収が煩雑な住宅金融に消極的だっ た。そこで大蔵省は、住宅資金の安定供給、大量集中による事務効率化などを目的に、現在の都銀11行・長銀3行・信託7行に、強い要請をして住専を作らせた。こうし て1971年6月から79年までに7社の住専が設立された。都銀・長銀・信託・地銀・第 二地銀・生保の各グループが、母体行と呼ばれるなら、農水省・大蔵省はさしずめ住 専の父ということになる。
  • 73年大蔵大臣の直轄会社に指定  4半期ごとに営業報告を義務づけた、退職した大蔵省幹部職員を住専の社長等の経営 陣トップに送り込むようになった。給与などの待遇まで指示したといわれている。 
  • 80年10月大蔵・農水省通達(93年廃止)   農協法では、組合員以外の融資は組合員向け貸し出しの20%を上限とするという 「員外貸し出し規制」がある。「農協系資金の活用の政策的意図」を持ったこの通達は、半期ごとに融資の実行状況と融資予定額を大蔵・農水省に報告することを求める 代わりに、住専を「員外貸し出し規制」を受けない「その他の金融機関」に指定し た。元々、「個人住宅ローン資金に限って」の規制除外であったはずなのだが、いつ のまにか「必ずしも個人が借りる個人住宅ローンに限定しているわけではない」と解 釈も拡大。農協系による住専に対しての融資ルートが開かれた。
     当時すでにノンバンク規制が必要という意見があったが、「自民党が規制に消極 的」「大蔵省が取り合わなかった」と責任のなすり合いが行われている。
  • 83年貸金業規制法  悪徳貸し金業者を規制する法律の中で、住専を「主として住宅の取得に必要な長期 資金の貸し付けを行うもので大蔵大臣の指定するもの」とし、規制対象から除外し た。住専に限りなく銀行に近い堅気の金融機関としての「お墨付き」を与えたことに なり、これにより住専は、農協系金融機関の融資を受けやすくなった。
  • 85年プラザ合意  アメリカは財政赤字の穴埋め・貿易収支是正のため円高・ドル安を押し進め、ジャ パンマネーを自国に流入させる必要があった。そのためには、日本の金利がアメリカ よりも低くなければならない。そこで、日本の公定歩合の引き下げを求めた。日銀は 拒否していたが、日本の財政再建のためにも公定歩合は低い方が良いという意見を持 ち、かつアメリカの機嫌を損ないたくない大蔵省は、プラザ合意で公定歩合の引き下 げ・金融緩和の政策実行をアメリカに約束した。以後、地価や株価が上昇しバブルの 危険があったのに、金融緩和の是正に動かなかった。
  • 85年金融自由化  それまで預金の金利は大蔵省の許認可事項であったが、その金利を自由化した。し かも銀行の資金調達手段も、大口定期預金や譲渡性預金等が認められるようになり、 多様化した。
  • 90年不動産関連向け融資の総量規制と建設・不動産・ノンバンク規制の通達   90年3月の大蔵・農水省通達(当時の責任者は、土田元銀行局長)。地価の異様な 上昇・過熱を抑えるため、不動産関連への融資による資金供給を抑制しようとした。 一般金融機関からの資金の流れはとまり、バブルを急速に冷やす効果はあったが、規 制の対象から住専や農協系を除外したため、農協系から住専、住専から不動産関連へ と巨額の金が流れる ルート整備をした形になった。
  • 91・92年第1次立ち入り調査  91年から92年にかけて大蔵省は住専に対して立ち入り調査を行った。すでに4兆を 越える不良債権があることを把握。将来はより多額の損失が発生することを予測する 報告書を作成していた。これを受け、当時の宮沢首相が「早く処理をしなければなら ないから、政府が公的援助をしてもいい」といっていた。
  • 93年2月第二次再建計画  前年までの第1次立ち入り調査で、住専の経営破綻は明らかだった。にもかかわら ず、住専に対する融資の金利負担を軽くして(母体行0%農協系金融機関4.5%その他 2.5%にした)、地価の上昇を待ち経営を建て直そうとした。この計画には「再建をし て農協系の融資元本を返済させることが前提にあった」という。しかし地価は下落、 金利軽減は焼け石に水。住専問題を「ボカシ」「先送り」した失政と批判されてい る。
     又当時の寺村銀行局長と、真鍋農水省経済局長が、「母体行が再建計画に責任を 持って対応する」「金融情勢の変化で農協系の経営に大きな問題が生じた場合には、 両省で協議し責任を持って対応する」「当座の運用資金は母体行」「農協系への優先 償還、元本保証」「日銀の低利融資」という、一連の農協系金融機関優遇施策の根本 にあると指摘されている、「念書・覚え書き」まで交わしていた。この「念書・覚え 書き」は農水省は事務次官、大蔵省は銀行局長までのサインで行われており、いずれ も大臣には知らされずに作られていた。

    ■大蔵省の責任
     住専設立の経過からして母体行が住専の母なら、父は大蔵省だろう。子である住専 をトンデモナイ放蕩息子に育ててしまった責任を父と母は反省しなければならない。  大蔵省という父は、権威を笠に着て威張り散らし、ことあるごとに母や子の自主性 をつぶしてきた。結果、その母や子を、金融自由化という厳しい現実に耐える術も体 力も持たない、ただの金ブトリにしてしまった。責任は大いに父にあるにもかかわら ず、子が不始末をしでかした途端、外向きには「子どもと自分は別人閣」と分かった ような理屈で逃げた。内向きには「育てたお前が悪い、だれのオカゲで食わしても らってるんだ」と母や子をナジル。それだけでなく「学校(農協系)も仲間(不動産 関係)も悪い」と全ては自分以外の責任、自分だけは一生懸命やってきたと開き直っ ている。     


    6)政治と住専問題

    ■政治と母体行
     政党は94年だけでも母体行から
           自民党  7億6500万
           新進党  2億6000万
            さきがけ     5600万
    と大きな額の政治献金を受け取っている。ここにきて、自民党は全体の20%を占める 母体行からの政治献金を辞退する事を発表、さきがけも後を追うようだ。しかし、い わゆる保守系政党と母体行・大手金融機関の関係は、深くて長い。こんな事で両者の パイプが切れたなどとは、誰も思っていない。
     これまで政治家と企業の癒着は、ゼネコン、佐川急便、リクルート、ロッキード・ 丸紅と比較的新興企業ばかりが目立ってきた。しかし実は金融機関と政治家の関係こ そ日本の経済と政治の根幹をなすものなのだ。国・自治体が発行した国債の金額の巨 大さは以下のとおり
    利払費比率          94年…15.9%
    公債依存度          94年…18.7%  
    長期政府債務残高の対GNP比 94年… 53.0%(米59%、英38%、独21%)
    国債残高           94年…201兆
     住専の負債13兆6000億などカワイイ数字に見える。94年以降、政府は税収減少に もかかわらず、不況対策と称して無謀な公共事業を展開した。そのための歳入を国債 に依存、その残高は220兆を越え毎年20兆増えるという乱脈ぶりだ。これ表現を変え れば、超低金利下での金融機関にさらにウハウハの商売をさせてやっていることにな る。保守系政党が受け取っている10億チョットの政治献金は金融機関・母体行にとっ てウマイ商売をさせてもらっている必要経費だ。

    ■政治と農協系金融機関
     農協系金融機関と政党の結びつきも強い。国から利子補給をしてもらっているし、 何と言っても保守系議員の多くは農林族なのだ。農協系金融機関からの政治献金は、 母体行のものほど多額ではない。しかし、これは支援が少ないという意味ではない。 母体行の職員は選挙運動はあまりしないが、農協の組合員はガンガンやっている。加 えて、農協系金融機関は母体行どころでない不透明な経営が多く、政治献金等という いわば表の金でない金がいくら動いているか分からないのだ。住専問題で農協系金融 機関を批判する論調がマスコミにもかなり存在する。しかし、各政党とも農林族と呼 ばれる国会議員その傘下の自治体議員の数は多く、それぞれの政党内で大変な力を 持っている。従って、責任論において農協系金融機関を批判する政治家・政党はほぼ ゼロ。農協系擁護では、オール与党だ。これはオカシイ。

    住専問題と地方


     「住専問題」にはほとんどの人が怒っている。しかし、新潟県はバブルの影響はあ まりなかったと言われているし、住専やその支店も県内にはなく、「国民の税金」と は言うものの、意外と身近には感じてないというのが実情ではないか。住専問題と言 うとすぐに「6850億の税金投入反対」ということしか言われないような風潮がある が、「国民の税金」とはいいながら、国家の予算、都銀の話、といったイメージも強 い。しかし、地方に住む私たち、そして自治体にとっても重要な問題である。
       実は(「実は」などと言っても、御存知の方も多いとは思うが)新潟の地元金融機 関である第四銀行や北越銀行、大光銀行、新潟中央銀行も住専に出資・融資してい る。例えば第四銀行などは全国の地銀グループのひとつとして住専7社のひとつである 「地銀生保ローン」に3600万円出資し、さらに同ローン他各社に対して171億の融資 を行ない、そのほとんどのなんと147億が不良債権化している。また、農協系金融機 関である新潟県信連・共済連は、やはり住専に対してそれぞれ660億円以上(47県信 連中16位)、200億円以上(全国47共済連中14位)となっており、それぞれ県内の4 地銀の融資総額をはるかに越えるか匹敵するものとなっている。
     私たちは大なり小なり銀行に預金をしているが、その預金を集めて開発業者に融 資しているのが銀行だ。新潟県だけを見ても、県民のひとりひとりの預金のうち総額1 千億円以上が、県内金融機関→住専というパイプを通して暴力団系開発業者にザック ザックとカンパされたようなものである。(下記公開質問と回答を参照)しかも、処 理策による「無税償却」がおこなわれるとすれば、国庫へ納められる法人税だけでな く法人地方税(事業税と法人住民税)を納めなくてもいいようになってしまう(現在 処理策の確定が遅れているために無税償却方針を取らないところも出ているようであ るが)。私たちの試算によれば、県と市町村全部で数十億の影響が出るものと考えら れ、しかもその穴埋めをする「地方債」が発行されれば、またまた銀行が儲かる仕組 みになっている。まさに、「利権集団の、市民の金による、利権集団のための」住専 破綻と処理なのだ。
     地元と金融機関と住専との具体的なつながりも、やっと見えてきた。こうした問題 意識に基づいて、私たちは住専に関わった県内の全ての金融機関(地元機関及び都銀 の支店、さらに他県の地銀の支社、農協系金融機関)に対して住専への出資・融資額 や無税償却による地方税への影響などについて公開質問状を発することにし、去る3月 12日、第四銀行と富士銀行新潟支店には直接面会し質問状を手渡した。こうした観点 から取り組まれた行動は全国でも初めてだと思う。すでに地元銀行4社、農協系金融 機関2社からは回答が寄せられているが、都銀は全てが回答を拒否している。これらの 集計結果について以下に明らかにする。
     余談になるが公開質問当日はテレビなど報道機関の取材があり、ニュースや翌日の 新聞には大きく報道されたが、地元新潟日報だけは取材もない状況だった。また、新 潟県予算案に対する新潟日報の連続特集記事も、「検証」というタイトルなのに県の 方針をそのまま垂れ流ししているだけで、よっぽど読売新聞の方が批判的な立場・視 点を示している。このあたりは、「地方紙は全国状況には比較的鋭く切り込むが、県 や地元大企業とは対決できない」という指摘(本田勝一氏)が正しく思えた経緯だ。

    住専問題に関する地元金融機関への公開質問と回答


     佐高信氏を招いての「市民塾」を通して、私たちは地元金融機関と住専との関わり を徹底的に検証する必要があると考え、住専問題に関わった都銀・地銀・農協系金融 機関に対して以下のような公開質問状を提出した。対象は地元の地方銀行4社、都 銀・長信銀・信託銀行及び他県の地方銀行のうち県内のいずれかに支店・支社を持っ ている機関(都銀・長信銀・信託銀10社+他県地銀8社)、農協系金融機関2社の計24 社に質問状を送付した。回答があったのは農協系金融機関2社と地元地銀の4社だけ で、都銀・長信銀・信託銀及び他県の地銀は一切回答がなかった。
     なお、この質問状の中にも含まれているが、無税償却処理による法人地方税への影 響に関して、私たちは強い関心を抱いている。善良な市民からかき集めたお金を元手 に、多額の利益を出しながらその一方で暴力団がらみの不動産業者に融資を垂れ流 し、そのツケを不良債権とすることによって税が償却され、その結果減収となる自治 体は地方債を発行し、その地方債の引き受けてとして、また利益のうまみを受けるの が金融機関だからである。「6850億円の税金投入」だけが問題ではなく、市民から預 かったお金の運用の不透明性と、そのツケもまた税金投入以外の形で市民に回される という、2重3重の収奪構造がきわめて重大な問題なのだ。
     こうした実態を探るために、私たちは県内にある各金融機関の税額の算定根拠とな る、利益の総計と従業員数、不良債権の額を集計し、県及び市町村税に与える影響を 試算中であることを添えておきたい。(中山・山田)

    ●公開質問の要旨

    <銀行宛質問>

    (1)貴銀行が母体行となっている住専名とその出資額はいくらか
    (2)貴銀行から住専経営陣に派遣したことがあればその派遣先住専名と派遣年数と 人数は
    (3)貴銀行が現在融資残のある住専名とその融資残額は
    (4)上記融資残額のうち、それぞれの住専に対する回収不能債権、延滞債権、金利 減免債権それぞれの金額は
    (5)いわゆる総量規制の通達以降に貴銀行から住専への紹介融資の金額は
    (6)不良債権償却で減額される貴銀行の法人税・法人地方税(法人事業税・法人県 民税・法人市町村民税)などの金額、特にそのうち新潟県民税・新潟市民税は
    (7)貴銀行が銀行協会へ納めている金額及びそのうち政治献金分は
     また、貴銀行が政治家・政治団体に対して直接おこなっている政治献金の有無と、 あればその額は
    (8)貴銀行の役員の数と役員報酬の額は
    (9)ディスクロージャーに関する貴銀行の方針及び現在の状況

    <農協系金融機関宛質問>

    (1)貴機関が現在融資残のある住専名(農協系住専も含む)とそれぞれの融資残額 は
    (2)上記融資残額のうち回収不能債権、延滞債権、金利減免債権それぞれの金額は
    (3)上記融資額のうちいわゆる総量規制通達以降に貴県信連から住専へ融資した金 額は
    (4)各住専への融資の際の審査はどのようにしていたのか
    (5)融資の際の受け取り利息の平均利率は

    ●各金融機関の回答

    :銀行については県内地元地方銀行のみが回答
    ■銀行宛質問1〜8に対する回答(住専への出資・融資、不良債権、減税額、政治献 金など)
                                                           単位千円

    ■銀行宛質問9(ディスクロージャーに対する方針)については、各金融機関がディ スクロージャー誌を発行していること、今後もつとめて情報開示していくことなどを 回答。第四銀行はさらに、1995年9月期に、他行にさきがけて延滞、金利減免債権の 開示を行なったと回答している。
    ■県内農協系金融宛質問1〜3に対する回答(住専各社への融資額、種類、総量規制 以後の融資など)
                     単位千円
    ※「融資額の今後」が「全額回収見込み」となっていることについて は、下記「総括及び注意・コメント」を参照のこと

    ■県内農協系金融機関宛質問4・5に対する回答(各住専への融資の際の審査、融資の 受取利息について)
    <JA新潟信連>
    4(融資の際の審査):当会では、審査専任部署として審査部・審査課を設置し、融 資部・融資課での一次審査を行った案件について二次審査を行い、不良債権発生の防 止に万全を期しております。
     住専への融資については、住専が住宅資金融資という公共制を有しており、住宅政 策上の位置付けにあることや、銀行などが母体になっており信用力も高いこと、その 他融資当時の住専の経営状況等を総合的に判断し、借り入れ申込に応じてきたもので す。また、住専への融資は、行政指導上、金融機関貸付として位置付けられたもので す。
    5(融資の際の受取利息):借りれ申込については、融資期間に応じ、長期プライム レートないし短期プライムレートを基準金利として、個別案件ごとに交渉の上変動金 利を基本として定めておりました。住専に係る融資平均利率のみの計算はしておりま せん。
    <JA新潟共済連>
    4(融資の際の審査):貸付の審査は、運輸省令・通達および内部基準並びに企業の 返済能力などに基づいて適正に行っております。
     住専会社の場合、運輸省令・通達および内部基準などの適合状況については、すべ ての内容を充足しておりました。
     返済能力については、業績、財務体質を中心に企業の設立経緯、主要株主、取り引 き関係などを勘案して判断しておりますが、住専会社の業績は、バブル崩壊以前まで は好調であり、財務体質も良好となっておりました。
     また、大蔵大臣直轄会社として銀行、大手証券会社、保険会社が出資して設立さ れ、役員も母体行、大蔵省から派遣されており、母体行の融資残高、営業支援など母 体行の経営関与の深さから判断して、当時は優良貸付先と見ていました。
    5(融資の際の受取利息):貸付利率については、長期プライムレートを基準金利と して、個別案件ごとに交渉の上変動金利を基本として定めています。
     住専のみに係る貸付平均利率は計算しておりません。


    ●公開質問回答に関する総括と注意・コメント

    ▼農協系金融機関の「融資残」について、回答では「全額回収見込み」とあるが、こ れはいわゆる政府処理案に基づく処理が行われた際に税金などが投入されることに よって回収される「見込み」のものである。一般的には農協系のこの融資残について も「不良債権」として評価されている。
     これらの集計結果を見ると、結局、県内の地元地方銀行全体で約1200億円(地方銀 行計約250億、農協系1000億弱)の不良債権を抱えていることになる。「税金投入」 も大変だが、これだけの県民の預金が勝手に垂れ流され焦げついている事態も、もっ と重く見なければならない。地元のリアルな実態がわかってくると、こうした実態の 背景にある日本の経済構造総体、政治システムに対してより大きな、そしてより具体 的な怒りがわいてくる。(中山均記)
    ▼農協系金融機関は、取り敢えず6850億円、今後を含めれば1兆2000億、悪くすれ ば2兆もの負担を、市民に強いる「結果」の中心的貸手責任者である。で、ありなが ら、自分たちの審査は「適正」で「基準に適合」したものでると、シャーシャー言っ てのけたのが、上記4.5.だ。「迷惑をおかけしました」とか「チョット、まず かったなー」なんて、反省めいた意識は微塵も感じられない。これぞ親方日の丸、モ ラハザードの極みである。逮捕された末野興産の末野は悪い。借り手責任の追及は、 これからもっと頑張ってもらわなければならない。しかし末野や、末野のような輩に 金を供給し続けた連中が、審査は「適正」で「基準に適合」などというタワゴトをい いながら、1兆2兆と市民の金を手にしていくのを許してはならない。許したら彼等 は同じことを必ず繰り返すだろう。公開質問をやってみて、やはり農協系金融機関は 整理清算すべきである、という思いを強くした。こんなものを、無責任に残して行っ たら、第二の国鉄になることは間違いない。農協系金融機関は清算、無能・無責任・ 無自覚なくせに「欲」だけが強い事業体は社会にとって害でしかない。相互扶助の初 心に帰るなら良し、そうでなければ、預金者保護の原則を堅持しつつ即刻整理清算に 向けて動き始めるべきである。(山田達也記)
    ●地方税への影響試算中間報告
     私たちはこれらの回答及びディスクロージャー誌のデータ、他資料をもとに、地方 税への影響を試算中である。それによれば、現段階のラフな計算では、新潟県として 30億、新潟市として3億6千万円ほどの影響(減収)が出る見込みであると試算してい る。
     一昨年の10月に発足した市民新党も、試行錯誤しながらさまざまな経験を積み続け ている。今後も「地球大に考え、地域規模で行動」を実践するような活動を続けてい きたいと思いますので御協力と注目を。
      この内容について御意見・問い合わせはnnpp@ppp.bekkoame.or.jpへ
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