沖縄基地問題および新潟県関山演習場への実弾射撃訓練場移転問題に関する平山 新潟県知事の96年3月議会における答弁批判


95年9月、新潟県平山知事は、市民新党にいがたの武田貞彦県議の質問に答えて「安 保は極東の平和と安定のために必要」との認識を示した。そして今回、96年3月5日、  95年度3月議会において、まず福島冨県議(共産党)の質問に答えて、「関山への 在沖縄米軍実弾演習場移転反対の意向を明らかにしていきたい」と弁明した。これを 受けて市民新党は、武田貞彦県議の質問として「『安保は必要』との認識を示してお きながら、その安保体制のもとでおこなわれてようとしている実弾演習場移転への地 元への受け入れに反対というのは矛盾であり無責任である。新潟県への受け入れ拒否 が沖縄や他の地域での演習の固定化や拡大につながらないよう、沖縄県太田知事の立 場を支持し、他の自治体と協力して、こうした安保体制下の米軍駐留態勢の見直し、 基地の縮小、演習規模の縮小などを国に働きかけるべきと考えるがどうか」と質問し た。知事はこれに対し「安保は国策。具体的に地元で演習場受け入れ反対の動きがあ るので反対の意志を明らかにしていきたい。安保政策についての国への働きかけは考 えていない」と答弁した。

知事答弁への全面批判

 「関山への実弾演習場移転反対の表明をする」との踏み込んだ回答は評価したい。 しかしその一方で知事は、9月県会で「安保は極東の平和のために必要」との認識を示 している。知事のこうした態度や認識について、いくつかの点から批判したい。
 91年の湾岸戦争では、沖縄や岩国の米軍基地から部隊が出動し、その他広島からも 部隊や砲弾が現地に運ばれた。また昨年夏、在日米陸軍も再編され太平洋全域がその 作戦範囲となり、神奈川県の在日米軍上瀬谷基地には米海軍第5艦隊の潜水艦司令部 が設置された。第5艦隊とは、西アジア・中東地域を作戦範囲とするもので、これら 作戦範囲である中東や西アジア、あるいは「全太平洋地域」は極東の範囲から逸脱す るものであることは地政学上明らかである。ちなみに、この神奈川県の上瀬谷基地 は、本県新発田市にある自衛隊小舟渡通信基地と密接な関連があることを県内の市民 グループが調査の結果明らかにしており、海外の軍事評論家も同様の指摘をしてい る。さらに、本県の関山演習場でおこなわれた日米共同訓練には、沖縄駐留の米海兵 隊、アラスカやハワイに駐留する米軍部隊が参加しているが、これらはフィリピン、 ソマリア、グレナダをはじめ全世界に展開している部隊である。このように安保条約 は、条約で規定されている「極東条項」の範囲を逸脱して世界規模に拡大しているの が現状である。沖縄県はこうした安保の実態に対して、いわゆる代理署名をめぐる裁 判の「第1次準備書面」の中で、安保によって沖縄に押しつけられている米軍基地の 存在が、沖縄県内の多くの米軍犯罪と県民の犠牲を生み出し治安や環境を破壊してい るだけではなく、「全地球的規模に渡る抑圧と威嚇、脅威の発信地」となっていると いう認識を明確に示し、沖縄米軍基地の加害性をはっきりと指摘している。沖縄県が 政府と非妥協的な態度を示しているのは少女暴行事件があったからだけではなく、こ のような安保体制の現実認識から来る危機感に由来している。こうした沖縄県のおか れている現状を見るとき、一般論的かつ無批判的な「極東の安全のために必要」など という態度は、まず事実誤認であるとともにきわめて無責任であるといわなければな らないと思う。
 沖縄県は、先に触れた準備書面の中で「他人に痛めつけられても眠ることはできる が、他人を痛めつけては眠ることができない。」という沖縄の言い伝えを引用する形 で沖縄の立場と心を表明している。こうした沖縄県の立場を見るとき、「安保は必要 だが、その安保のもとでおこなわれようとしている実弾演習の自分の地元への受け入 れは拒否」し、他県やとりわけ沖縄での米軍の演習に対して見て見ぬ振りをするとい う立場は自己中心的である。県が沖縄のように他者への思いも寄せ、本県への演習場 受け入れ拒否が他の地方での演習の固定化や拡大につながらないようにするために は、沖縄県太田知事の立場を積極的に支持し、併せて他の候補地の自治体とも協力し て、移転の受け入れを拒否するばかりでなく、沖縄米軍基地や日本への米軍4万人駐留 体制の見直しを国に対して要求し、本県にも関わりのある日米共同演習や米軍演習の 規模そのものを積極的に縮小するよう要求すべきである。

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