南京大虐殺74カ年証言を聞く東京集会
 わたしたちは、南京大虐殺に象徴される侵略戦争と虐殺の歴史を忘れず、二度と繰り返さないために、この14年間、全国の仲間とともに、12月に南京から生存者をお招きして、証言集会を開催してきました。南京大虐殺からもう74年にもなる中で、証言者は年々少なくなっており、証言を通して、侵略戦争と南京大虐殺の実相に接近しようという集会はますます大切なものとなっています。
「3・11」に、日本では東日本大震災と東京電力福島原発事故という未曾有の出来事があり、被災地の必死の努力にもかかわらず、いまだに復興もままならない状況が続いています。地震と津波は自然災害ですが、東電原発事故は紛れもない人災です。
災害復興の中で、「がんばれニッポン」「ニッポン再生」「いい国、日本」がしきりに叫ばれています。日本再生の為に全国民大連合でがんばろうと言うキャンペーンは、どこか内向きで、諸問題の隠蔽と責任回避が潜んでいるような気がします。
「国難」といわれる中でこそ、冷静に事態を見極め、問題に関わる民衆の連帯をつくることぬきに解決はないでしょう。責任の所在をはっきりさせずに「国」が一人歩きし始めると、民衆の生活と命を離れた、かつてのような悲惨な戦争にのめり込んでいった歴史につながるのではないでしょうか。
世界は、恐慌直前といわれる経済危機と、不安のただ中にあり、日本では、「政権交代」もむなしく、「回転ドア」といわれる首相交代劇が世界の失笑をかっている有様です。その実、日米軍事同盟強化、東アジア緊張路線がますます強化されているように思えます。日中の関係も、日本の社会状況も決して安心できるような状況とはいえません。
一方で生活と命を守る運動も広がっています。「日本再生」の中身をしっかりととらえかえし、政府・マスコミ一体となった日本の状況を、自分たちと子供の未来、そしてアジアの目から見直したとき、歴史を見る目も厳しいものとなってくるに違いありません。
歴史と向き合うことの大切さがいまこそ問われているのではないでしょうか。


以上の呼びかけのもと、12月11日(日)に東京で南京大虐殺74カ年証言集会を開催した。
潘巧英さんは、南京城内に入る直前、南京市湯山における日本軍による大虐殺の実相を詳細に証言した。費仲興さんは聞き取り調査を「湯山における村民虐殺」として体系的に報告した。ドキュメンタリー映画「南京の松村伍長」は、大虐殺に直接関わった元兵士の生々しい証言記録である。
増子義久さんは、花巻から見える被災地と「日本再生」の関係、南京大虐殺における日本兵の精神的貧困、そこにおける諸問題について多方面から解き明かし、都合のいい「日本はひとつ」ではなく、被災者に本当によりそうことで見えてくる「関係」を強調した。