2005年1月10日

防衛庁長官   大野功統 様
防衛施設庁長官 山中昭栄 様

辺野古海域のボーリング調査の即時中止を求めます。

米軍普天間基地代替施設として、名護市辺野古の海底に行われたボーリング調査の準備作業は、サンゴを破壊し、希少生物であるジュゴンの藻場を荒らし、作業過程で、基地建設に反対する地元住民など3人にも怪我をさせるなど、すでにその暴力的な実態が明らかになってきました。

ジュゴンが生息する辺野古の海は、人々の命と暮らしを守りはぐくむ、いのちの海です。
一方、戦争は、人と自然のいのちを破壊し続けています。

沖縄は、日本「本土」を守る捨て石として、沖縄戦の中で、命を踏みにじられ、戦後もベトナム戦争をはじめとする米国の戦争の出撃基地として、戦争に荷担させられてきました。
そして米国と日本は、軍事協力強化政策の中で、沖縄住民の平和への願いを無視し続けてきたのです。

辺野古に新基地ができれば、海とその生態系は破壊され、戦争という暴力の絶望的な連鎖が強められ、また作り出されることになります。昨年4月から数えただけでも今日で267日間、辺野古で座り込んでいる人々、海人、海でボーリング調査を止めようとしている人々は、自然と生命を守ろうとして、全世界の人々と連帯してたたかっていますが、このたたかいは、同時に、自然と生命の「ちから」に守られているのです。辺野古での地質調査を請け負っている会社は、作業者が暴力行為を行ったことを認めています。このような暴力を行わなければ建設できない基地は、それ自体が海と人に対する暴力であり、作るべきではありません。そもそも、人々を殺戮する戦争のための基地を作ることは、人道的な犯罪ともいえるのではないでしょうか。暴力の行使は、基地建設自体の非人道性を示しています。

破壊することから命を生み出すことはできません。与えられたかけがえのない命を壊さずに守り、命をつなげていくことこそ、生きている人間の責任であると、私たちは考えます。
「ぬちどぅ宝」「命こそ宝」という言葉を、いまもっとも聞かなければならないのは、日本政府であり、防衛庁・防衛施設庁ではないでしょうか。

1月10日以降、掘削に向けた本格調査が行われるということですが、既に沖縄住民の81%が、辺野古への基地建設に反対しています。世界自然保護連合の2004年の総会では、ジュゴンの保護区を設定するようにという意見が採択され、辺野古は世界の注目を浴びています。環境しょうが「きわめて自然度の高い地域」と認めている辺野古のしゼンを、これ以上破壊してはなりません。

私たちは以下を要求します。

1. 辺野古のボーリング調査をただちに中止し、辺野古移設計画を白紙撤回してください。

2. 作業者による、海上での暴力行為についての調査結果の詳細と謝罪を公表してください。

3. 普天間基地を即時無条件に閉鎖してください。

以上

                     日本キリスト教協議会平和・核問題委員会

                               委員長 小笠原公子

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