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2003年11月19日

内閣総理大臣 小泉純一郎様

文部科学大臣 河村 建夫様

                         

                要 望 書

 中央教育審議会「答申」に基づく、教育基本法「改正」法案を国会に提出しないでください

わたしたちは、本年3月20日、中央教育審議会が文部科学大臣に提出した答申、「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」に基づく教育基本法「改正」に強く反対します。

・ 答申は、日本社会が抱えるさまざまな問題を列挙して、「我が国社会が長期的に発展する礎(いしずえ)を築くために」改正が必要としていますが、教育は「国」のためにあるのではありません。

・ 教育現場では、「日の丸・君が代」強制、『心のノート』強制、愛国心の評価などが押し進められ、思想および良心の自由を踏みにじられた子どもたちや教職員、保護者らが抗議の声を上げています。答申に基づく教育基本法改正は、このような個人の基本的人権を侵す国家主義教育、愛国主義教育を徹底させることなります。

・ 国家主義教育、愛国主義教育は戦争につながります。すでに過去の日本の侵略戦争を賛美・肯定する歴史歪曲教科書が検定を通過し、採用にむけての動きが活発化していますが、教育を再び「戦争の道具」にしてはなりません。

・ また、国が、「21世紀を切り拓くたくましい日本人」という国に都合のよい教育目標を定めて人間形成を図ることは、競争原理に基づく差別・選別主義教育を助長し、さらに徹底させていくことになるでしょう。

・ わたしたちは、教育とは、ひとりひとりの人間が、神から与えられた異なる能力や個性をそれぞれの仕方で発展させ完成していくことを助ける営みであり、それによって、人々が互いに愛し合い、助け合う平和な社会が作り出されていくと考えます。国のための人づくり教育ではなく、ひとりひとりの尊厳を大切にする教育こそ必要です。

よって、中央教育審議会「答申」に基づく、教育基本法「改正」法案を国会に提出しないよう、要望します。

日本キリスト教協議会教育部

                              理事長 石田 学

                        (2003年11月10日 第2回理事会決議)