首相・米大統領の明治神宮参拝に反対し、参拝中止を要請いたします

  米大統領の訪日の際、日米首脳会談が行われる直前、小泉首相とブッシュ大統領とは、明治神宮を参拝する、と伝えられています。私たちはこの報道に接し、非常な驚きと怒りとを覚えています。長い間、歴代首相が中断せざるを得なかった靖国神社参拝を、首相は昨年8月、内外の反対にも関わらず強行してしまいました。そして今年、米大統領の訪問を利用しての明治神宮への首相・第塗料の参拝強行の目論みです。政教分離の大原則を全く無視する態度に、言葉もありません。憲法違反のそしりを免れるために、宗教的行為としての参拝ではなく、表敬だからよいと首相は言いぬけするつもりのようですが、明治天皇が祭神として祀られている宗教法人明治神宮社頭において、拝礼することは、憲法の禁じる宗教的活動以外の何ものでもありません。

 首相がもし明治神宮参拝を強行すると、首相は戦前の国家神道の三つの柱、伊勢神宮・靖国神社・明治神宮に参拝することになります。そして初めての参拝が強行されれば、その継続が必ず目論まれることは必至です。国民主権・平和・基本的人権(これは日本民衆の生命の保障です!)が、これによって奪われる危険性が生じるでしょう。天皇の先祖(天照大神)、明治天皇、天皇のために殉死したとされる靖国神社の「英霊」が崇められ、戦争の準備が進められ、自衛官が海外に派遣される今日の時代は、平和と人権を求めるものにとっては真に危機的です。

 ブッシュ大統領に、明治神宮参拝を提案したのは首相であると伝えられています。大統領に、日本国憲法違反の参拝を提案するとは、どういう感覚なのでしょう。キリスト者である大統領に、彼にとって異教の神である祭神(明治天皇)を参拝させる神経は、まともではありません。私たちは、1975年英国のエリザベス女王の訪日の祭、靖国神社訪問を辞退し、伊勢神宮を見学されたときも、表敬されなかったことを知っています。どうか、米大統領も、エリザベス女王を見倣って欲しいと思います。

 小泉首相の明治神宮参拝も、首相の大統領への参拝提案も、憲法違反であり、もし参拝するならば、憲法を空洞化する働きは計り知れないものがあります。ぜひとも首相と大統領の参拝をやめていただきたいと、心から、強く強く要請いたします。

 

                     2002年2月14日

 

             日本キリスト教協議会  総幹事 大津健一

            同 靖国神社問題委員会 委員長 森山 サ 


この要請書は、小泉首相及び駐日米国大使館を通してブッシュ大統領に提出しました。       

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