内閣総理大臣 小泉純一郎様
法務大臣 森山 真弓 様
厚生労働大臣 坂口 力様

                    2001年5月21日 
             日本キリスト教協議会(NCC)
 総幹事 大津 健一
NCC「障害者」と教会問題委員会
委員長 中村 雄介

ハンセン病国賠裁判熊本地裁判決を受け入れ、
控訴しないでください
 

謹啓

 国務のために、日々のお働きを感謝します。

 この度5月11日、元ハンセン病患者の隔離政策の見直しを怠ったとして、国と国会の責任を認めた熊本地裁判決が出されました。私たち日本キリスト教協議会は、国が熊本地裁の判決を受け入れ、控訴の手続きをしないように要望します。

 熊本地裁の判決は、長い歳月愛する家族からも住みなれた郷土からも引き離され、別離と孤独の悲哀と苦悩の日々を送られてきた多くのハンセン病患者の方々の痛恨の思いをようやく認めたものと評価できるからです。

 実際にハンセン病が完治し、伝染の恐れもなく、隔離する必要など全くなくなっていた時期を迎えていたにもかかわらず、なお長期にわたって国は隔離政策を継続してきました。その結果、不当にも一般社会から隔離された状況の中で生涯を終えなければならなかった方々の無念の思いや、更に現にこれらの政策によって生じた厳しい社会的差別と偏見の中で生きなければならない人々の困難さを思うとき、国がこの判決に従い、遅れ馳せながら失われてきた名誉の回復と市民としての損失の補償をすることこそが、国家の行政の責任を負う政府機関に与えられた重大な責任であり使命であると考えます。 

 以上の考えに基づき、国は、熊本地裁の判決を尊重し、控訴することを断念して、その趣旨にかなう施策を至急に実現されることを心より要望します。

                                                  敬具


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