■ NCCによる北朝鮮人道支援について

NCCは、年間を通して加盟教会・団体の皆さまにご協力をお願いしている「わかちあい募金」で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への人道支援を継続的に行っています。1995年の大洪水を契機に始めた活動で、募金がまとまったところで、香港キリスト教協議会の協力を得て粉ミルクなどの支援物資を香港で購入して、朝鮮基督教連盟(KCF)を通して支援を行ってきました。送るにあたっては、ACT(Action by Churches Together=世界の諸教会で作る人道援助のためのネットワーク)とも連絡を取り、国際エキュメニカル運動の一環として日本のキリスト教会・団体が支援物資を送るという形を取ります。なお2004年のリョンチョンでの列車爆発事故に際しては、継続的に呼びかけている支援とは別にアピールを出し、実施能力に鑑みて世界食糧基金(WFP)に募金を送りました(送金額:225万円。※ 日本政府の支援額は1100万円)。

こうした人道支援に関しては他団体と共に「北朝鮮人道支援NGO連絡会」を作って、情報交換をしつつ取り組んでいます。また、2001年より毎年、他団体と共に実行委員会を作って「南北コリアと日本のともだち展」を実施して、交流を深めるための働きもしてきました。これは、日本、韓国、北朝鮮の子どもたちの絵を一つの会場に展示するという企画で、日本各地やソウル、ピョンヤンで開催してきました。

北朝鮮人道支援に関するNCCの基本的な姿勢は、1998年に開かれたNCC創立50周年宣教会議の宣言に書かれています。日本の植民地支配、神社参拝の強要、軍事侵略への沈黙・加担、戦後責任の告白に立って、アジアの民衆・キリスト者との交流、協力を大切に考えること、その具体的な働きの一つとして北朝鮮民衆への食料援助を重視することが謳われています。南北朝鮮の統一への働き、また日朝国交回復を求める運動と不可分なものとして、北東アジアにおける平和と和解の働きを含む活動として位置づけているのです。その意味で、NCCの支援は、人道支援の原則に立ちつつも、人道支援の範囲に限界づけられているものではありません。現在、緊急救援の必要は緩和され、復興・開発支援に重点が移ってきており、厳密な意味での「人道支援」の範囲に入らなくなってきていますが、NCCは今後も韓国の教会と協働しながら支援活動を続けていきます。

なお、NCCは北朝鮮との交流を1980年代から行ってきました。1987年にはNCCの正式訪問団として、隅谷三喜男、前島宗甫、中嶋正昭の3名が北朝鮮を訪問しました。1984年には南北のキリスト者を招き、再統一に向けたWCC、CCAを含むエキュメニカルな働きの枠組みを作った「東山荘会議」が日本で開催され、昨年はその20周年記念会議をNCCでホストしました。以下の記事では、北朝鮮人道支援に関する一般的な状況・動きについてご紹介します。拉致問題が絡められたり、議論が政治化して、北朝鮮での人道支援の可能性を否定するような言説が流布していますが、大前提として押さえておきたいことは、北朝鮮に限らず、国家の干渉を受けずに人道支援ができることはほとんどなく、人道支援のためのスペースは国際機関やNGOなどによる根気強い働きかけによって常に拓かれているという事実です。「継続的な駐在と建設的な関与によってのみ、説明責任を果たせる支援をおこなう立場に向かって努力できると信ずる」(北朝鮮に入っている全ての国際機関とNGOが1998年に作成した合意声明)

★ 募金送り先: 郵便振替 00180-4-75788 名義 日本キリスト教協議会
※ 通信欄に件名をご明記ください。

★ 朝鮮基督教連盟(KCF):憲法が保障する宗教の自由に基づき、キリスト教エキュメニカル団体として組織されている。聖書印刷、教会堂の建築、教職の任免は、政府とKCFの協議の上で決定されている。北朝鮮のキリスト教人口は約13,000人。家の教会が約500存在する。KCFはピョンヤンにある2つのプロテスタント教会との連絡、調整、キリスト教教育、社会奉仕活動(うどん工場の運営)などを行っている。

(NCC国際担当幹事 真野)